ひんしゅくをかうかもしれないが結婚指輪を売った
8,922円だった
パート仲間にさそわれて ロード・オブ・ザ・リングを見た帰り 立ち寄ったデパートで金製品を時価で買い取ります というのがあった 最近は手の節がささくれ立ってきたし なによりも 指輪の似合わない手になってきた 29年前の結婚式の時、私の指に指輪はなかった 特に欲しいとも思わなかったけれど しばらくしてからダンナが買ってくれた 「これで やっと人並みになった 結婚式になくて片身がせまかったんや」 と 言った その時は素直にうれしかったけれど 歳月の流れは指輪に彫られた模様も消してしまった 何も売ることはなかろうという声も聞こえなくはないが 指輪があろうとなかろうと何も変わらない ただ 8,922円という価格がひっかかるだけ 時価だそうだけれど 29年という月日があることは事実だし・・
たぶん 藤沢周平の時代劇の小説だったと思うのだが 少し婚期の遅れた娘に長の旅になる所用を申し付けて その後 娘の行李を開けたら2・3組の着替えだけであとは私物がなかった 昔は命とひきかえになるかもしれない日々の繰り返しだから いつ何があっても見苦しいことのないように気をつけていたのだろう 今とは比べるべきもないが、私はひどく心に残った それが指輪を売る話と結びつくのもおかしいが 私は自分の存在を示すものはあまり残したくない 息子と娘の心の中だけで生きていたい
ロード・オブ・ザ・リングをみて指輪を処分する 世界を滅ぼす魔力を秘めた指輪でもないのに笑ってしまう 私はやっぱり おかしいのか・・?
|