月。
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2004年08月17日(火) 萌芽。

彼女が来年の春には母になる

それはとてもうれしい知らせだけれど
「おめでとう」という言葉とはうらはらに
一瞬 躊躇ってしまったことも確かだった

彼女の方が稼ぎが良く 生活はギリギリであること
先々が不安になる要素(ギリギリのローンで終の棲家を購入)のあること
頼りになる母は 既に亡くなってしまっていること

きっとふたりならば乗り越えてゆけると
そう思う気持ちもあるのだけれど

だけどこれは 表向きの理由でしかなくて
いまの私を占めているのは 妬ましいと思う気持ち
「今度 超音波写真見せるね」と無邪気に言った彼女に
私は 笑顔で 応えられるだろうか

あの日の選択は間違っていないと 今でも言える

年齢じゃない収入じゃない
私自身に母親になる覚悟がなかったことを言い訳にして
私は 私の我儘を通した

だから こんな日が来ることは
いつでも想像出来たし 覚悟もしていた
私がいつか 子をもつ日が来るなんてことはない
この子はだめで この子はいいなんて虫がよすぎる

いつまで こんな想いを繰り返すのだろう
それを選んだのは 自分自身だとわかっているのに
どうして 理不尽だなんて思うのだろう

あの日の彼の言葉は
「よくある話だよ みんなやってるよ」
私と彼の罪悪感を軽減するための言葉だったとしても
私の中では数年経った今でもその言葉は消えないままで

また 何処かで何かが崩れ落ちる音が 聴こえたような気がした

きっと 私は 壊れているのだ
違う 壊したんだ 自分の手で

手の中には いつまでたっても 何も のこらない


杏 |MAIL

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