また帰って来たロンドン日記
(めいぐわんしー台湾日記)

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2002年11月09日(土) 心が通じるという感覚

心が通じるという感覚は、すなわち、人を信じてみようと思わせる感覚のことである。以前イギリスそしてフランスに4年間住んだが、結局、かの地の人々にたいしてこういう思いを抱いたことは一度たりともなかった。そして台湾である。この国の人達はやっぱり、俺にとっては不思議な人達だと言わざるをえない。なぜかどこかで、心を許せる感覚がある。それが、たとえどんなにいやな仕打ちを受けたあとにせよだ。

彼らにたいして思うことは、なにより「彼らも同じように悔やんでいる」という情景が、あまりにも明らかに俺の目前に投射されることにより、より自分に近いコミュニケーションが成立しうるという可能性を感じることである。

彼らの言うところの「對不起(トゥイブチー)」な感覚は「對得起(トゥイダチー)」の反対であって、「するべきでないことをする」というようなニュアンスを感じる。「たとえ理由がどうであれ、、、」というのが、今の俺の好意的な解釈なのである。

「心が通じる」などとは甘美かつ、幼稚な戯れ言にすぎないと一笑に付すことができそうなものだが、人の心というものは、愛情だとか、こういうささいな類いのことによって成長していくものらしい。

もしかしたら、いつの日にか、英国において親友ができる日が来るかもしれない。こういう想像ができるようになっただけでも、台湾の人達に感謝したいものだ。


倉田三平 |MAILHomePage

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