また帰って来たロンドン日記
(めいぐわんしー台湾日記)
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2004年01月12日(月) |
【ほん】アダルトチルドレン・シンドローム |
アダルトチルドレン・シンドローム 自己発見と回復のためのステップ [原書名:The ADULT CHILDREN OF ALCOHOLICS SYNDROME : 〈Kritsberg, Wayne〉 ]
【IFF オンライン・ブックサービス 心の本棚より】
著者名:W・クリッツバーグ 斎藤 学監訳 白根伊登恵訳 出版社名:金剛出版 定価(本体): 2000円 出版年:1998年4月30日
「アダルトチルドレン(AC)は回復はできる。ただし、回復とはいちどきに起こる出来事ではなく、今日一日の積み重ねであるプロセスなのだ」−一米国のセラピストでアダルトチルドレンの治療にあたってきたクリッツバーグが、AC本人とその治療者に向けて書いた本書は、ACのリカバリームーブメントの中で、基本的文献のひとつに数えられている。 本書では、「慢性ショック」や「見捨てられ体験」などをキーワードにACがいかにして育っていくのかを解説し、そのうえでACからの回復のプロセスを明示する。彼が長年の経験から導き出した治療法「家族統合法」(Family lntegration System=FIS)は、治療の進め方を具体的に示したもので、だれにでも実践できるものとなっている。 12のステップからなるFISは、家系図や家族状況表、自己肯定訓練などを通し、自分の周囲の考察からはじめ、ついで自己へ、自己の中に眠る子どもの部分へと視野を移していく「自己発見」の治療法であり、「自己発見」を経て、順次「回復」が進んでいく。 AC概念の紹介や解説ばかりに追われている類書が多い中で、本書は一番必要な治療法について具体的に詳述しており、アルコール依存症の家族で育ったアダルトチルドレンだけでなく、機能不全家庭で育ったトラウマ・サバイバーたちにも、本書は間違いなく有効となる。また、治療者にとっても臨床実践の場面で大いに役に立つものであろう。
内容
今日一日 はじめに ■第一部 発見 第一章 アルコール問題家族の四つのタイプ 第二章 アルコール問題家族の四つのルール 第三章 家族の役割 第四章 アルコール問題家族と健康家族 第五章 見拾てられ体験 第六章 アダルトチルドレンの特徴 第七章 慣性ショック
■第二部 回復−−家族統合法 第八章 回復のプロセス 第九章 家族統合法 第十章 日々の記録 第十一章 家系図 第十二章 家族状況表 第十三章 家族の神話 第十四章 生い立ち 第十五章 魔法の子供 第十六章 家族の成員 第十七章 家族以外の重要な人々 第十八章 自己肯定訓練(アフアメーション) 第十九章 神についての考察 第二十章 統合
さいごに 監訳者のあとがき
【俺の感想】
正月二日、東京からロンドンに帰ってくる飛行機の上で読んだ本。斎藤学氏はIFFのホームページ上のインタビューで(http://www.iff.co.jp/frame/ssworld.html ここの一番下のボタンから「インタビュー」へ飛ぶ)この本はハウツー本としてすごくいい本で練習するのにいいから早く訳したと言っている。そして、どうして患者がみんなこの本を使わないのかとも言っているのだが、俺は正直言わせてもらうと、それはやはり、当の患者が「取っつきにくい」からではないかと思う。つまりこの本は、原本がアメリカで出版されており、「アルコール問題家庭」を基本にした書き方がされているため、いくらすべての機能不全家庭出身者がリハビリをしていく為のプロセスとして、非常によい内容を提示していても、斎藤氏が「体質の違いもあって、日本にはアメリカほどアルコール依存は蔓延していない」ため「日本では事情がすこし違う」と言っているように、必ずしもアルコール依存家庭出身でない日本の患者は、この本に対して、やはりどこかで心理的に距離を感じてしまうのではないかと思う。
もちろん内容に関しては、斎藤氏がこれだけ勧めるのだから、行動に移してみようという気にはなる。とくに家系図、家族状況表は非常に面白いし、とくに第14章「生い立ち」中「4、対話」のなかに出て来る、「アダルトチルドレンの空白の時期を埋めるのを手伝う」という記憶を呼び覚ますのに役立つ質問群は強烈。例えば「子供の時によく隠れた場所はどこですか」と言う質問には、俺がよく隠れていた場所が三ヶ所思い出された。しかし、なぜ隠れなければいけなかったのかというのが思い出せない(笑。
体系的によくまとまっていて、非常にいい本。「家族のルール」「家族の役割」「見捨てられ体験」「慢性ショック」などリアリティーを伴って読める。
話は先程のIFFのインタビューのページに戻るが、斎藤氏はここで「感情は勝手に湧いてくるものなので、湧いてきたら湧いてきたままにさせておいて、後は手放すんですね。」といっている。以前に斎藤氏の言として「感情はよだれのようなものなので止めようとしても出来るものではない。垂れ流しておけばよい」という言い方も聞いたことがあって、なかなかの名言だと思っている。
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