早瀬の呟き日記

2002年06月02日(日) 笙野頼子調でやってみた

「幽界森娘異聞」(講談社)と「説教師カニバットと百人の危ない美女」(河出書房新社)を読む。この人が森茉莉好きだったとは意外のようなそうでもないような。確かに初期の作品は割と耽美だもんな。「不細工な嫁貰ってるデブの造型家が地獄絵書く話のどこが耽美なのさ!少年が鼠入りの硝子球を作ろうと試みる話ぐらいなら許してやるけど」などと怒ってはいけない。あれは耽美スピリット入っている。しかも、だ。なんと栗本薫の「真夜中の天使」も持っててJUNEも読んだことあるというんだからね。もっとも、「まよてん」や中島梓についてはかなりシビアに言いたい放題なので、「小説道場」でぶった斬られて「畜生!ババアめ!」などと思っている投稿者は「幽界〜」を読んで憂さを晴らすとよろしい。(ところで、本文引用したりするなら最後の参考文献のところに「真夜中の天使」を載せたほうがいいと思うのよね。礼儀として) でも「幽界〜」の文体はひじょーに中島梓にそっくりで、厭味で真似してんのかあるいは似たもの同士ってことなのか、私にはちょっとわからない。
笙野氏は耽美JUNEに微妙にかすりつつそこを突き抜けていったタフな小説家だ。「でもやっぱり恋愛ってステキよね」とか「でもやっぱり結婚とかしたいなって思うの」とか、そんな未練たらしいことは言わない。「風と共に去りぬ」なんか5分と見てられない、という徹底ぶり。素晴らしい。男気である。なかなかここまで徹底するのは難しいものだ。あ、でもやおいを否定している訳ではないのですよ。問題は「どこまでやれているか」ということ。(エッチシーンのことではないので念の為。) この辺は現在の中島のご隠居と同じことを言っている。なんだかんだ言っても「小説が好き」なところは共通しているのだ。
閑話休題。
最近は不況だからなのか会社自体に元気がないからか、面接の心得なんかの本を読むと「明るく前向きで自分の夢を持ち人ときっちりコミュニケーションができてよく笑い謙虚で芯が強く真面目にこつこつ努力できる人を求めています」とか書かれていて、じゃあ頑張ってそういう演技をすればいいのかというと「心からの言葉でないと伝わらない。不採用」とか書いてある。これで自己啓発セミナーや変な宗教にハマる若い人を非難するのは酷ってものだ。いいじゃんか、明るく前向きな(以下略)人が欲しいんだろ?ちょっぴり斜に構えちゃうひっそり君はボツなんだろ?だったら覚醒剤合法にしろ!・・・とまでは言わないけども、価値観なんか多様化してないのね結局世の中って奴は・・・ふーっ(←煙を吐く)


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琳 [MAIL]