カンラン
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私の足は,もっぱら路面電車。 通勤するのも,遊びに出掛けるのも,電車です。
それだけ路線が充実しているのか, はたまた電車で行けるところにしか出掛けないのか, たまに不思議に思う今日この頃です。
さて,エスが利用するのは市外線,長距離です。 路面電車(通称,ちんちん電車)と言うと, 市街地のメイン・ストリート, ちょっとした距離を走るイメージがあるようですが, この市外線,結構頑張ってます。 私の認識では,2市+1町を走り抜けているはずです。 すごいです。
そんなわけで,朝・夕えんえん40分ほど電車に揺られる日々なんですが, (ほぼ平行して走るJRだと,だいたい10〜15分の距離。) 市内に入ると,車や歩行者と並んで走ることになります。 道路にひかれた線路なので, 「お立ちの方は,ご注意ください。」と 直角カーブ,4ヶ所ほどあります。
まわりの景色がその度ごとにガラッと変わる瞬間です。 同じ道を車で走ったとしても, 特にそんな風に感じないのが不思議なぐらいです。 目線の高さのせいなんでしょうか。
カーブを曲がっただけで, 電車がものすごく進んだような気になるのです。
で,その4つのカーブのうち。
土橋のカーブ。 すごく好きなんです。
そこに至る道は,すごく狭い。 上下1車線ずつの対面走行のど真中を電車が通る道です。
両脇は,ぎりぎりのところまで民家や店舗,会社なんかの軒先が迫ってる。 歩道なんてものはなく(もしかしたら,申し訳程度に白線が引いてあるかもしれませんが。), 当然,電車の停留所は 道路上に四角く白線で囲ってある安全地帯程度のものです。 島みたいに,ぼこっと高くなってるわけでもなく, ほんとにただの四角。
だから乗客は, 電車が到着するまで まん前に建つマンションの敷地内に立ってたり, 病院の駐車場から顔だけのぞかせてたり, 会社の階段に腰掛けて待ってたりします。
その先が,土橋のカーブ。
結構な市内準中心地なんですが, どことなく古めかしい一帯。
立ち並ぶ商店の間にぽこっと暗い通路が口を開いてたり (看板表示によると,その奥には焼肉屋さんや編物教室があったりするようです。), 以前,嘉門タツオ(漢字忘れました。)氏が立ち寄ったレコード店や二重焼きのお店があったり。
そして何より私の心を揺さぶるのは, そのカーブ地点の線路を固める石畳が黒く古めかしく変色してて, 一瞬,タイム・スリップしたような気分になるところ。
隅っこ好きの私は,たいていドアのところに立って, カーブする時にふくらむようにして後ろに流れていく石畳を見おろす。
ちょうどカーブのところで 反対方向の電車とすれ違う時は,もっとわくわくします。 音楽聴いてる場合は,ますますわくわくです。
対向電車の一番後ろの部分, 車体の,地面に近い部分です。 そこが一瞬,ひらっとスカートの裾が揺れるみたいに見えるんです。 ちょうど踊ってるみたいに。
別に私の目がおかしいんじゃなくて, 一回そう思ってしまったが最後, 以来頭に焼き付いてしまっているイメージです。
目じゃなくて頭がおかしいと言われるかも知れません。 それはそれで,可。
ほぼ毎日乗る電車。 ちょこちょこお気に入りのものたちを見つけておかないとね。
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