消防団長 隠居日記
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夜、車を走らせていると、いつしか霧雨に包まれていた。 フロントガラスに落ちる雨粒は、まるで雨空の星のように輝いていた。
もう3年も取り替えていないゴムがへたりきったワイパーで、星たちをぬぐうとにわかに白くかすんで、もやがかかったように。
信号待ちで止まる。 街灯に照らされた細かい雨が、フワフワと舞っている。 それは落下している、というよりもむしろ浮かんでいくようにみえる。
キャンバストップを開けて、走り出す。 さわやかともいえる夜気を感じて、ゆっくりと走る。 みんなに抜かされる。抜かされる快感。
唐突に雨が切れた。 馬の背を分けるとは言うが、霧雨でもそういうことがあるんだと知る。 乾いた道路。乾いた空。 速度を上げると、後ろでスイカが転がった。
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