| 2006年08月07日(月) |
「バッテリー」あさのあつこ/角川文庫 |
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ぶっちゃけ、ものすごく面白い。
はっきりいって、野球が題材ですが、野球がメインじゃないです。 「野球」は勿論、そうなんですが、学校とか、先輩とか、友人とか、大人とか、先生とか、中学生の頃に感じた閉塞感とか、が題材だと思います。
また、主人公の「巧」と、キャッチャーの「豪」のキャラクターがすごい面白い。あと、やっぱり関係性がいい。
「巧」は、ものすごい才能と力を持った、一年生で、絶対に自分を信じいて、誰にも(親にも、監督にも、校長にも、先輩にも)屈することがなくて、それゆえにいろんな軋轢が起こるんですが、それがまた、すごい面白い。
この作品の面白さは、よく考えて、練られた、構成の面白さじゃなくて、作者の、鋭い感性が、物事の芯を捉えた、切ないまでの、才能というものへの渇望を感じさせるところじゃないかと思います。
「巧」という少年が持った、才能と可能性と、それゆえのまっすぐさとか、かたくなさとか、自信とか、そういうものを全てをひっくるめた『光』に対して、いろんな人がその光に照らされて、今まで我慢してきたこととか、世間たいとかに、おりあいをつけて、心の隅に隠していた気持ちがさらされてしまうんです。それで、誰もが「巧」を無視できない。 いろんな形で関わってしまう。上手くやってきた事から、本当の気持ちをひきだされてしまうんです。 相手を、本気にしてしまうんです。
そして、その一番の被害者が、キャッチャーの「豪」で、自分でも、巧の才能に対して、いつかついていけなくなるんじゃないかという不安を抱えながら、ボールを受けるんです。病院の一人息子で、母親からのプレッシャーを受けながら、それでも巧の球が取りたくて、野球部に入ってしまう。 関係性に「苦痛」が伴うんです。ただ、楽しいとか、ではなく。自分と他者への「才能」という「苦痛」が。 だけど、巧の才能への焦がれもあるんです。
いろんな人が、巧へいろんな形で惹かれていく。それが、とても面白い。
自分でも、感想をかいていてよくわかりませんが、先生は、何かを狙って描いているんじゃなくて、多分、自分の中にある、理想の少年を書いているんじゃないかと思います。
だから、読んでいて、面白い反面、ものすごい、現実的な作品なんです。 あんまり、甘えを許してくれない作品です。 よんだあとに、その世界に飛んで、ふわふわさせてくれない、こちらを、ずばっ、ずばっときりつけてくるような作品です。
でも、本当に面白い。多分、娯楽じゃない。 作者が、本気で、全身全霊をかけて、自分のために、この作品を書いているから、それが伝わってくるんじゃないかと思います。
「そうだ、本気になれよ。本気で向かって来い。子どもだとか小学生だとか中学生だとか、関係ないこと全部すてて、おれの球だけを見ろよ。」
2007年に映画化されます。すごい楽しみ。甲子園とあわせてお楽しみください。
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