死衣装
2007年10月08日(月)





玄関を開ければピンクのスリッパが転がっている

私が脱ぎ捨てたままの姿で

だらしなく散らばっている


カレが「どうぞ」と揃えれば

足を「するり」と潜らせ

スリッパごとベッドの部屋へと行けば

私のネグリジェがかかっている


真っ白なロングドレスのようにも見える



愛用していたスリッパと
カレお勧めの歯ブラシは

取り寄せてくれたし

ドライヤーも元々置いてあったけど

何回もお泊りをしているというのに
パジャマだけはなかったので買ってもらった

カレは「通気性の良いものを」と
ガーゼのパジャマにしようとしたみたいだけど

私はいつもネグリジェなので
自分で選ぶことにした

スルリとしているけど
サテンでもなくシルクでもなく

着心地の良さそうな生地だし
清楚でありゴージャスでもあり

速攻決めたわりに気に入った


「にゃんこは可愛いから何を着てもかわいくってズルイ」


とカレはまだ着てもないのに言う


ただ単に「寝巻き」が欲しいわけではなかった

確かに洋服のまま寝ると
シワになったり後々めんどうなんだけど

スリッパや歯ブラシがあっても

カレと私の部屋に私のものを
何かひとつ置いておいて欲しいという気持ちがあった

だからクローゼットにかけておいてもらえれば
それで何か安心できたんだと思う

だけどカレは窓際に飾ってくれた

ちょうど2週間ほどまえに到着したけど
ネグリジェはまだタグつきのまま

あれからまだお泊りはしてないから


このところ毎日のように
会う機会が「多い」と思ったら
祭日続きだったんだと

バスケマンからのメールで知らされた

会えば必ずといっていいほど
体も合わせる

そんなルールをお互い決めたわけではなく
自然とそうなる

行動的にはカレから求めてくることが多いけど
精神的には私も求めてたりする



深く


ふかく

愛されながら頭を撫でられる

最中に目が会うとやさしく微笑まれる

「大好き」っていうと「愛してるよ」と返される


愛されてる時間そのものが愛おしい


終わってもまだ30分ほどキスが続く

カレがまだ「離れたくないよ」って

いってないのに唇はいっているかのようで


離れようとしてもすぐに吸い寄せられる



壁際にかかってるネグリジェの影が長く

だけど

真っ白で「死に衣装」にみえた


ウエディングドレスではなく



いつか私が死んだら

これを着たい

できればそのときの為に

そのときがくるまでここに
綺麗なままで飾っておきたい


そんなふうに思えてしまうほど
シルエットは美しく誇り高い姿にも見えた


しかしまだ着てないんだけど

あの位置に飾ってくれてることが嬉しい


まるでカレの中での私の

現在の立ち位置を表しているようで



<<< INDEX / NEXT >>>

マイenpitu


Design by : [ m  U ]
Web用壁紙素材

エンピツ