静寂/「ペイフォワード」

静かであるということの概念は、
無音ではない。

今日は早く帰ってこれたので、長風呂。
私はお風呂の蓋を机にして読書をしています。
(今日の本は安部公房の「壁」でした。おもしろい!)
この時間が一番集中して本を読める。
なんもしないときは真っ暗にして
キャンドルを沢山つけて入るとすごく落ち着きます。

水の音ってすごく静か。
雫が人知れず砕け落ちるからでしょうか。
そんな音に耳を傾けていると、
かすかにピアノの音が。
風の音に紛れて途切れ途切れに聴こえてくるその音は、
どんなピアノの曲よりも綺麗に聞こえたのでした。
そんな静寂の時を過ごせたなんて今日は幸せな日だわ。

映画「シャイン」のアルバムに
雨の音とピアノ曲が入っている部分があるのですが、
それもとても好きです。

映画メモ*
「ペイフォワード」 米・2000年

監督:ミミ・レダー

キャスト
トレバー:ハーレイ・ジョエル・オスメント
トレバーの母:ヘレン・ハント
ユージーン・シモネット(中学教師):ケビン・スペイシー
トレバーの父:ジョン・ボン・ジョヴィ

ストーリー
中学1年のクラスで社会科の先生が
「もしきみ たちが世界を変えたいと思ったら、何をするか」
と問いかけるところから始まる。
トレバーが考えついたのは、シンプルだがユニークなひとつのアイデアだった。
しかし、そのアイデアはやがて、ほんとうに世界を変える可能性を持ち始める・・・。

感想
私はこの手のいかにもな感動作は苦手です。
母が借りてきたので一緒に見たのですが・・・(笑)。

人に親切にされたら自分も3人の人に良いことをする。
少しの勇気から来るやさしさや善行が世界を素敵なものに変える。
実現は難しい、でも皆が気をつければ速度は遅くても
良くなって行くことを気づかされます
(だから展開もノロいのか?と突っ込んでみたり)。
テーマは普遍的だけれど、大切なことを思い出させてくれる。

自信のない先生とアル中の母親をくっつけようとする
少年の努力はとてもほほえましいです。
デートに遅れる母の洋服を見立てて、タクシーまで呼んでくれちゃう。
このシーンはとても好きです。

オスメントくん、ケビンスペイシー、ヘレンハントの演技はこまやかで、
感情移入に足ります。
ボンジョヴィもでてたしね!かっこええわー。
中学の頃好きだったのさ。若かりしジョンにメロメロだったので(笑)。

この映画が「うーん」となってしまったのは・・・
(以下ネタバレ)















ラスト。
すべて綺麗に終わってしまうのもつまらないと思うけど、
少年が死んでしまう必要はない気がする。
釈然としない。
ああすればすべて美しいムーブメントにおわり、少年の存在は神格化される?
そんなわけない。
死ぬことで伝説になるってことは事実の醜い部分を覆い隠してしまうこともある。
社会のダメな部分をラストで見せ付けられてしまった感があります。

キャンドルを持った人々が母親のところに集まり、宗教的な音楽が流れてきたときは本当に「オゲー」となった。
息子の勇気が母親を慰めるために人々を動かしたとでもいいたいんだろうか。
もし自分があの母親の立場だったら癒されない。
勇気を出した結果がこんな形で帰ってくるなら、
私は大切な人を返して欲しいと願う。
これは価値観の違いだからなんともいえないけど。

しかも勇気を出した対象が、いじめられっこを助けるため。
いじめられっこを一時的に助けても、またいじめられる。
本人が変わらなければ終わらないでしょ?
そんなことなら、いじめられている子に一緒に仕返ししてやろうぜ!
とか言うほうが素敵なことなのにさー。
そういうラストのほうが良かった。






↑投票ありがとう

My追加




2002年04月11日(木)

日々ノオト / kica

My追加