| それはいきなりやってきた。 |
あっつい中信号待ちをしておりました。 地元の駅前で。 駅前の信号待ちのところは少し階段ぽくなっているので、 私は上の方でじりじりと青になるのを待っていたんです。 そこで猛スピードで現れ、 キュ。 と、私の目の前で止まった自転車。 見ると、 無職感漂う風貌の男が。すなわちTシャツにジ−ンズ(よれよれ)。 Tシャツはちょいとこじゃれています。 痩せ型。色白。 髪はもうぼさぼさに近い。よく言えば若かりし頃の田中(バイン)。 ヘッドフォン、メガネ装着。 チャリもなんとマウンテンバイク。 そしてお顔は涼しい顔なのです。淡白な猫がお(どんなやねん)。 何を描写しているのかと申しますと、 好みなんです。こういう頼りない感じで無職っぽい人。 なのに少し知性漂う感じなのだ。 ひとめぼれだわ。 信号が青にかわると同時に彼はひょろひょろと自転車をこいで、人波に消えていってしまった。 久々に良い雰囲気の人を見た。 妙にウキウキして、そらを見上げながら帰った。
その人を見ることはもうないかもしれないけど、 存在だけで私をこんなに舞い上がらせるなんてすごいな。 短き夏の恋でした(短すぎるな)。 またあいたいなあ。 ご縁があるのかも!んなわけないか。
そういえば本を読みました。 江國香織さんの本です。 「神様のボート」て題名。新潮社から文庫が出てた。 中高生の頃によく読んだ作家さんだったんですが、 ファッション誌に掲載されたエッセイがなんかしっくりこないことや、辻氏と組んで小説を書いた時点で嫌になってしまい離れていた作者さんなのですが、私の気に入っているサイトの感想文がかなり良かったので読んでみることにした。
話は放浪生活を続ける母子の話で、母は「骨がとろけるほど」愛し合った子供の父親が自分を迎えに来ると信じ続けて16年間さまよい続けるという話なのです。 母と子の視点でそれぞれの時を刻むのですが、それが秀逸です。 あの人以外のものに馴染んではいけないから、引越しを続ける母は浮世離れしているけど、人を愛することってそう言うことなのかもね、と思ったりもしました。
やっぱりこの人の文章は透明だとおもった。 そしてなんか心にぎゅっと来るものがあります。 白昼夢のようなのだけど、少しだけ目が覚めているという感じ。 だから読み終わると、自分の現実に戻るのが少しだけつらいね。
あのラストは「え!?」とは思いましたが・・・・。 私は狂っちゃったのかと思いましたが、そうではないみたいですね。
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2002年09月05日(木)
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