野ブタ。をプロデュース

「野ブタ。をプロデュース」 白岩 玄

芥川賞にノミネートされて話題となった作品。
友人に借りて読みました。
ものすごく読みやすかった。1時間半くらいで読めます。

デブで脂ぎっててキモイ転校生がやってくる。
主人公の修二はその転校生をプロデュースして学校一の人気者に仕立てようとするが…。
というお話。

表紙をみて小学生くらいの話かと思っていたら、高校生の話だったのですね。
ギャグ漫画のように流れるようなプロデュースの数々と野ブタの変貌ぶりは面白かった。
文章は変な技巧も使っておらず、描写も普通の人が書くものと変わらないレベルだと思います。でもグイグイ読ませる勢いがありました。

信太の登場シーンや、ストーブの周りを囲んで野ブタをこき下ろすクラスメイト達の会話がリアルでしたねえ。罪悪感のない低い笑い、笑ってるのに面白くない、この臨場感はうまいと思いました。

自分も演出してクラスで適当に人気もある主人公で、その独白はむかつくし、こんな事考えてるなんでてキモいなあと思うんですが、他人事とは思えない。
中高時代にクラスで絶対失敗できねえとか思った事が多少なりともあるので、主人公を見ていて恥ずかしいような、懐かしいような気分になりました。
面白い前半に対して、後半の苦しさのほうが興味深いです。

作品のラストは、私には微妙でした。
主人公に変化がない。そこがいいのかもしれないけど。

文藝賞受賞。
芥川賞にノミネートされた作品ですが、これはチトちがうなー。
エンタメ系なので、作品としてはとても面白いです。

今年の芥川賞の「グランドフィナーレ」、読みたいです。

全然関係ないんですが、武者小路実篤の「友情」で号泣した事があります。最後に友達のくれたお面を投げて壊すシーンで。誰に言っても泣いた事があるという人に出会った事がありません。
2005年03月06日(日)

日々ノオト / kica

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