│←男難の相に遭遇、楓珠恵。入院日記。→│
本日も。入院中。 ねぇ、わかるかな。 初めて私に話しかけてきた、 昼御飯を配られる列に並ぶ男性。 S氏。としておこう。 一緒に食べませんか?と、訊いてくる。 私は笑顔で、ハイ、と頷くしかなかった。 いつも4人部屋の前にあるソファと机で、 女同士で食べる予定だった。。はずだったのに! 私は地団駄を胸の中で踏みながら S氏がエスコートして引いてくれた椅子に お盆を持って腰掛けた。勿論、辛いもの好きの私には 必須な七味の瓶を持って。 なぜか旅の話や鉄道の話をするS氏。 車掌のアナウンスまで完璧だった。私より2歳年下には 全くもって見えない、44歳ほどの年恰好。 自分自身もS(統合失調症)であり十年来の闘病生活 だと、初めましての段階で告白する人だ。 きっと、真面目すぎるからこの病気になるのだろう。 昼食をいつものスピードでいただき、 そのあと、S氏は鉄道DVDを4枚を見せ、自販機で買った 冷え冷えのリンゴジュースを私に提供した。 キハツカッテマセン、オカネハツカッテマス。と笑顔で 窓の外を見ながら、話し始める。
私は冷たい飲み物が飲みたかった!欲するもの!
鉄道の話や生い立ちなんかを、30分くらい聞いて 戻りましょうか、と言ってくれた。ラッキー。 リンゴジュースはまだ3分の2も残っていた。 そのあと、作業療法で、またS氏に会った。 楓さんすごい綺麗な組紐ですね〜!と私に話しかける。 組紐が完成して披露した後、またある男性が これ、使わないからあげる、と30分も時間を費やした作品を私の手に託した。いらないとも言えない、ノーとも言えない私をすごく後悔した。顔面は笑顔であるにもかかわらず。私はいつもこの状況に悩まされる。男性がいなくなったらいいのに、と。
どのポケットも 思い出でいっぱいの その服に あえて 手を通そうよ もしかして 思うより 案外 平気なことに 気づくかもしれない
だいじょうぶ 最悪の時は もう 過ぎているから
§2016年02月17日(水)§ |