青春の思ひで。

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2004年11月10日(水) 損ない。

夜の曲がり角の先から、車のヘッドライトが見えた途端に磨り減ったブーツの踵が駆け出そうとして音を立てた。
踵から発された力は太ももの筋肉によって阻まれた。

死ねたかどうかはわからないけれど、死に損ねた。

その直後から、やっぱ死ぬなら9階からだよなぁ、と思い。
「サン○イン」とかいう素敵なあだ名のある我が研究室も9階にある。そして自殺の名所。
おかげさまで外に窓から外に出れなくなっちゃって、不可だけどね。

こうなったらうちに帰って、9階から飛び降りよう。

にゃんこたちの遊び場に向かって。

ぐちゃぐちゃになったあたしをにゃんこたちは食んでくれるだろうか。


でも、まず死ぬなら遺書だな。遺書、書かなきゃ。
『人間失格』みたいな遺書を。


そう思いつつ部屋まで着いた後の記憶はほとんどない。
上着を脱いだところまでしか覚えていない。


徹夜明けだったので、倒れるように寝たようだ。


16時間眠り続けて起きたら14時だった。
ゼミにすら間に合わない。
しかもどうやら生き返りそこねたようだ。


昨日。
ゼミで発表をする日は、何故天気がいいのだろう。
そして、どうしてこんなに鬱なんだろう。
徹夜でレジュメきりました。
徹夜してもこの程度です。
3年生と1年生と同時発表なので、曲がりなりにも4年生のわたくしはそれなりのものを作らないと恰好がつきません。
ゼミの発表の日は飛び降りたい願望に駆られる。
あの9階の魔力か。
あまりにも気分が悪くて、先生にすらぷち無礼で、ものすごい自己嫌悪。
「体調があまりよろしくないので」って先生に対し「よろしくない」はないだろう、あたし。
おまけに嘘だし。まだ風邪ひいてるけど、体調は全然やばくないし。やばいのはむしろ。
それにしても先生は優しい。優しい。紳士だ。
ポットを運んでいたら、先生がさっとあたしの手から奪って運んでいってしまった。
信じられない。あたしは学生なのに。
どうして、若者に対する視線があんなに優しいんだろう。慈愛に満ちてるんだろう。
あたしにはわからない。
16時間の眠りの間に先生の夢を見た。



また何もかもが崩れていく。
失笑。


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