酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2006年06月11日(日) |
『棄霊島』下 内田康夫 |
元刑事の後口は、軍艦島で起こった連続する事故死について不審を抱いていたことに光彦は気付く。正義感の強い後口が犯罪を見逃した出来事に行き当たった時に光彦は後口の忸怩たる思いに同調する。生と死と民族と。小さな島国日本に連れてこられた異国の民の苦しみと恨み。過去の怨念が現代に事件を引き起こす。光彦のつける決着とは・・・?
内田康夫さんの物語は本当に勉強になります。興味の無いことを知ろうとしなくて無知のままきたことを内田節で優しく柔らかく教えてくださいます。日本が強制連行してきた異国の人々、その国の人々が現代で日本人を拉致している・・・そういう本当にあったこと、本当に起こっていることを内田康夫さんの目で見て心で語られています。内田康夫さんの考え方が絶対的に正しくはないにしても、私の様にあまりにも事実を知らないで生きてきた人間には大きな指針となってくださいます。かの国との軋轢、アメリカとの付き合い方・・・何よりも意志も意見も持たない日本、日本国民ーそれが大きな問題なのではないかと思います。自国を守る術を持たない民でいては滅びを待つのみなのではなかろうか。争いも奪い合いも無い世界ならばこんなこと考えなくていいのだろうケレドモ・・・人間は争う生き物なんだなぁ。あーx じたばたxx
眼下の殉教の島、それに日本列島の至る所から、無為に棄て去られた霊魂たちの慟哭が聞こえてくるような気がした。
『棄霊島』下 2006.4.30. 内田康夫 文藝春秋
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