酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2006年08月12日(土) |
『ハゴロモ』 よしもとばなな |
ほたるは8年間付き合った恋人から別れを告げられる。恋人をベースに生活の全てを動かしていたほたるは、妻の元に戻った恋人の不在に大きく傷ついてしまう。故郷に舞い戻り、変わり者の祖母の喫茶店を手伝いながら、優しい人たちと関わり、少しずつ再生をはじめるほたる。どんなに傷ついても回復する力を人は持っている。そして新しい愛がはじまる・・・
今、この時期にこの優しい物語を読めたことが癒しとなり救いとなるのだろうなぁとしみじみと心の底に温かい火が灯った。本当によしもとばななという作家さんは不思議で偉大で・・・巫女のような人だなぁと感動する。よしもとばななと村上春樹は別格と言うか・・・神の言葉を表現しているような気がするの。なんて言うか・・・迷った時の心の闇を払ってくれる。この『ハゴロモ』は大きな存在に去られ、傷つき揺らいだココロが再生して行く物語。よしもとばなならしく不思議な人たちがたくさん当たり前の様にそこにいて、自然にあるがままに生きている。このさりげなく心優しくと言うのが大切なのだろうと思いますね。ありがとう、よしもとばなな。 そして本当の別れというのは、縁がぶちっと切れるということは、死よりもよっぽど死に近いことなのだ、とさとった。
『ハゴロモ』 2006.7.1. よしもとばなな 新潮文庫
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