酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2006年09月26日(火) |
『空白の叫び』下 貫井徳郎 |
地獄のような少年院の毎日から卒院した3人の少年。葛城拓馬は親から与えられたマンションで静かに生きたいと望んでいた。久藤美也は家を出て自活するために金を貯える時期だと黙々とアルバイトに精を出していた。神原尚彦は叔母の住むマンションとは別のアパートを用意されていた。それぞれのカタチで生きていこうとする3人を周囲の色眼鏡は情け容赦なく、しかも粘着質な嫌がらせがはじまった。生き辛い3人は、再会し、破滅の道へと足を踏み出すのだった・・・。
14歳や15歳の子供が人を殺すと言う重い罪を背負い、家族をはじめ周囲から疎まれたら・・・どう生き直せると言うのでしょうか。更生するっていったいどういうことを言うのだろうと考え続けてしまいました。この物語の主人公の3人の少年を待ち受ける罰のカタチもそれぞれで、なんとも暗澹たる思いでいっぱい。こういう問題は考えても考えても答えが出てこない気がします。でも目を逸らしてはいけないのでしょうね。見て見ぬふりをしないで貫井さんのように真正面から考えて受け留めないと。
「それともうひとつ。私たちに詫びる気持ちがあるなら、その気持ちを大勢の人に伝えてください。特に、罪を犯しても反省することもできずにいる子どもたちに、今の気持ちを伝えてください。罪を犯すということがどういうことなのか、あなたは生きて、それをひとりでも多くの人に伝えなければならない。あなたがここにいるのも、英之が死んだのも、すべてそのためだったように今は思えます。あなたは自分の思いを語り続けなければならないー」
『空白の叫び』下 2006.9.20. 貫井徳郎 小学館
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