酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年10月15日(日) 『ヘヴンリー・ブルー』「天使の卵」アナザーストーリー 村山由佳

 自分の恋人(歩太)が姉(春妃)に恋してしまった。そんな夏姫の視点からの物語です。「天使の卵」では予期せぬ事態(恋の邪魔者役)に陥ってしまい、大好きな男と大好きな姉への愛憎に苦しんだ夏姫。その夏姫が今はいない姉と同じように年下の男に恋をしている・・・。大好きな姉に投げかけた言葉が夏姫にとって呪となってしまっていて苦しんで苦しんで・・・。誰も悪くはないのに3人が3人とも苦しむことになってしまった苦い過去。そんな過去の呪縛から夏姫は再生できるのか?
 ひとつの出来事があっても、関わった人の数だけ真実がある。視点が変われば真実もカタチを変えてしまうのですよね。どれが正しいわけじゃなくて、どれもがきっと正しくて。簡単じゃないものだよなぁと思います。でも人はいつまでも同じ所に立ち止まっていられない。自分なりに自分の中で消化して、また足を前へ踏み出さなければならない。自分の真実も他の人の真実も大切に出来たらいいのですケレドモ・・・うーん、なかなか難しいことかもしれないなぁ。ただ思うのです。愛だろ、愛っ・・・って。

誰に何を言われても消えない後悔なら、自分で一生抱えていくしかないのよ

『ヘヴンリー・ブルー』2006.8.30. 村山由佳 集英社



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