酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2007年01月03日(水) 『天涯の蒼』 永瀬隼介

 古城は北関東の町のヤメデカで調査事務所をはじめた。担当した事件で無実の男を締め上げ、その男が自殺してしまったツケをはらわされたのだ。女房子供も出て行ってしまい、人生に迷う古城の元にひとりの少年が訪ねて来た。刑事をやめるきっかけになった19歳の風俗嬢が殺された事件の犯人を知っていると言う。古城は腐敗した警察組織のスケープゴートにされたのではないか!? 古城が見つけた真実とは・・・!?

 警察とヤクザの癒着と言うのはよく物語になりますね。暴力団担当刑事がヤクザ風に表現されることもしばしば。この物語では正義を持っていた男が刑事をやめなくてはならない羽目に陥り、しかもそれは組織内の仕業ではないかと疑念を持ってしまう・・・なんだか哀れでしたよ。政治の世界でも何故だか秘書とかが自殺すること多いですケレドモ、真実は闇の中になってしまってうやむやに。そうさせまいと必死になる古城はケッコーかっこいいです。ただ辿り着く真実はありがち。正義って真実って知った方がいいのか、悪いのか。むずかしいところ。

「あんたに言われなくても分かっている。だが、バカだって1分の意地はあるさ」

『天涯の蒼』 2006.12.15. 永瀬隼介 実業之日本社



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