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みんみん



 梅雨明け

これで心おきなく「夏」と口にすることができます。
と言いつつ、いざ解禁されるとそれはそれで逡巡しそうです。

ヤプースの方にコメントを足そうと思ったのですが、こけているようなので、久々にこちらに書きます。

上京したり奈良に行ったりしていました。
移動中など、小説を中心に何冊か読みましたが、特に印象に残ったのは、文庫で出たばかりの村上春樹『海辺のカフカ』上・下(新潮文庫)です。
景色も見ないで(もったいないねえ)、ずっと読んでいました。

好きとか嫌いとかいうのでなくて、同時代的なたしなみとして、いくつかの村上春樹の小説を読んできました。
猫と、翻訳と、小説についての文章については、ある関心を持って読んでいました。
この作品は、私にとって、へんな客観性などなしに初めて入り込んだ(村上春樹の)小説かも知れません。
例えば「あの場面」を読みながら、ナカタさんの感情がとてもよくわかった。
私は人を殺せない人間だと思っていたけれど、読みながらちょっと驚いていました。自分の中に淡々と暴力的な感情がわき起こってくるのに気づいて(妙な表現だけど)。
もしかしたらその時に激情なんて必要ないのかも知れないなあ、なんて、これだけ書いたら物騒だけど、そういうことではないですね。
今だって殺したくはないし殺すつもりもありません。たぶん。ただ、ある意味、安心もしたのです。自分に。

富山を出るときに、地元の書店であるブックスなか(惜しい!)で上巻を、早稲田駅前の書店で下巻を買いました。
前者はたまたま、後者は、他の場所でだって買えたわけだけど、目的地のひとつでもあったし、せっかくならば、と思い、その場所で買いました。
早稲田の演劇博物館の展示、気になりつつちょっとやめてしまったのだけれど、後で『少年カフカ』を見たら、「甲村記念図書館」に関連して、居心地のよい図書室として挙げられていたではありませんか。惜しい。
演劇博物館には行ったことがありません。私は、J宮文庫をイメージしながら読んでいました。改装して(たぶんもう終了していると思う)からは行っていないのでわかりませんが。

全体として、その時の私のありようが、『海辺のカフカ』という作品の持つ象徴性とうまくシンクロしたのだろうと思います。
猫も出てくるし(結局それかい!)。

『海辺のカフカ』の次には、『スプートニクの恋人』を読みました。
たまたま選んでみたのだけど、さて、そういうチョイスは、どうなんでしょうか。読んでみて、同じラインにあるのかな、という印象を受けました。

2005年07月23日(土)
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