* * * 
憐凪



 水のたまり


 眺める 窓の外
 空から 零れ落ちてくる 雨の雫たち
 アスファルトに 滲みきれなくって
 流れ出す 雨粒たち


 目をつむると 浮かんでくる 遠いあの日
 アスファルトに 未だデコボコがあって
 雨が降ると できる水のたまり


 水のたまりの水滴たちを 
 長靴 脱いで 入れて歩く
 ズック ズック ズック と 音を立てて歩く
 そんな他愛のないコトが 嬉しくって 楽しかった日々


 ぴっち ぴっち ちゃっぷ ちゃっぷ ラン・ラン・ラン♪
 母から聴いて 覚えた唄だったのか
 幼稚園で習った唄だったのかしらん

 
 空から 零れ落ちる 雨粒たちを
 傘を逆さにして 道路に置く
 元に戻して わざと ずぶ濡れのびしょびしょに成った
 そんな 変なコトに 喜んで はしゃいでいた日々


 ぴっち ぴっち ちゃっぷ ちゃっぷ ラン・ラン・ラン♪
 たらふく遊んだら 小さな背中にランドセル
 右手に 傘
 そうして ずぶ濡れの長靴たちは 坂の上のお家へと 向かって歩く



 ズブ濡れの長靴の少女は
 「-雨の日は 憂うつ-」なんて言葉なんか 吐かない
 おかっぱ頭が 顔に張り付いてた 遠い日のアタシ
















2003年07月23日(水)
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