2002年01月18日(金)
「天上では今日はクリスマス・イブと呼びましてね…」
いつもの執務室、いつものお茶の時間。いつもの様に参謀であるサフィルスが優しい思い出話をしてくれていた。
「『神様』の誕生日の前日なんですよ。翌日がクリスマス。イブの夜にはね、『サンタクロース』という方が良い子にプレゼントを配って回ってくださるんです」
「さんたくろーす??」
アレクは物珍しそうに反芻して見せた。サフィルスはそれを聞いて微笑む。
「ええ。サンタさんと言う人もいます」 「それってね、俺もプレゼントくれるかな?」
ぱぁっと紅い瞳を輝かせて訊ねてきた。
「え…?そ、そうですね…もしかしたら…」 「マジ?やったぁ!♪」
弁明に苦しむサフィルスの言葉が終わらないうちにアレクは一人勝手に納得して執務室から飛び出して言った。その朗報を大好きな弟に報告しに行ったのだ。
「…架空の人物なんですけどね…」
その言葉を出すのはかなり遅かった。
るんるん気分で自分の執務室を出たアレクであったが、既に機嫌は斜めになっていた。 理由は簡単。先程入手した『サンタさん』情報を大好きな大好きな弟のプラチナに提供したところ、「非現実的すぎる。そんなヤツ存在するわけが無い」と一蹴されたからである。当然、「そうだよね〜」と言って引き下がるアレクではない。
「いる!絶対にいる!!そりゃぁ、奈落には来てもらえないかもしれないけど…そのうち天上と和解したらココにも来てくれる様になるよ!!」 「判らないヤツだな…よく考えてみろ。一軒一軒プレゼントを配り歩くのだろう?どれだけの労力が必要になると思うんだ?!たった一夜で一人の…たとえ天使でも、人間がそんな所業成し遂げられるわけがないだろう?」
まるで子供の喧嘩…いや、子供なのだが。
「いる!」 「いない!!」
言い合いは簡潔を極める。お互いの主張を言い合ってから数分、無言で睨み合いをした。 そして暫くして。
「もういい!!プラチナの分らず屋!!大ッ嫌いだ!」 「上等だ。明日の朝になって『やっぱりいなかった』なんて言っても赦してやらん!」
そしてまた睨み合い。 最後に『ふん』と鼻をならしてアレクはプラチナの執務室を離れた。
「あ〜あ、怒らせちゃいましたね…」
そこで初めて今まで静観していたプラチナの参謀のジェイドが口を開いた。
「知らん。俺も怒っている。」
ぶっきらぼうにそう言い放つプラチナを見てジェイドは言葉にせず『やれやれ』と言った感じに方を竦めて見せた。
「『サンタクロース』なら俺も書物で知っている。架空の人物だろう?」 「半分アタリ、ですよ」 「?」
意地悪そうな笑みを見せて言うジェイドにプラチナは表情で何のことか訊く。
「いるけどいません」
時々わからないことを言うとは知ってはいたが今回はプラチナにとってその言葉は本当に謎だった。
「つまり『みんなのサンタさん』ってのはいないんです。でも、個々に対する『サンタさん』はいて…それの正体は両親だったり恋人だったり様々なワケです」 「つまり『サンタ』というのは職業の固有名詞みたいなものか?」 「ま、おおっぴらにいえばそんなモンです。…プラチナ様がなってあげれば宜しいんですよ。『アレク様のサンタさん』に」 「しかし俺は何も用意してないぞ?のれに兄上が何が欲しいのか判らないし…」 「シナリオ通りなら今夜アレク様は枕もとに靴下を置いてその中に欲しいものを書いた紙を入れてるハズです。それを見て用意できそうなものなら用意してやればいいんですよ。無理なら翌日でもいい」
それを聞いてプラチナは目を見開いた。
「…時々、お前は良いなことを言うな…」 「プラチナ様は時々、一言多いですよね…」
―――――――――――その夜。 プラチナはジェイドの助言に従って寝静まったアレクの部屋に忍び込んだ。 こう言うとどこぞの泥棒さんみたいだが実際ハタから見るとその表現がぴたりと当てはまるのだから仕方がない。 明かりは当然消しているため部屋の中は暗い。静かにアレクの寝床に接近してあらかじめ用意していたカンテラで枕もとを照らす。
あった。プレゼントを入れる為の靴下だ。
物音を立てないように慎重に靴下の中身を探る。予測通り紙が入っていた。紙に書かれてある文字をカンテラで照らして読む。 一瞬、プラチナは固まってしまった。
『サンタさんへ。 今夜、お前は俺にプレゼントを届けに来てくれてるんだと思う。でも、他にお願いしたい事があるんだ。俺さ、今日…サンタさんのことでプラチナと喧嘩しちゃったんだ。本当はとっても大好きなのに頭に血が上って『大嫌い』なんて言っちゃった。プラチナはも凄く怒ってた。このままは嫌だ。だからサンタさん。プラチナと仲直りできるようにプラチナの機嫌を直してください!俺、明日になったらちゃんと謝るから!!…お願いします。 アレク』
…なんと言うか…自分がこの紙を見るというのが見透かされてしまっていたのだろうか?それとも本気で架空の人物である『サンタさん』にお願いするつもりでいたのだろうか? …どちらでもいい。 この兄は嬉しいことに本当に自分を好いてくれてるのが判ったのだ。そして自分もこの兄を同じくらい…いや、それ以上に愛しいと想う。
明日、自分の方から仲直りを申し出よう。以前淹れてやった桃のジャムが入ったお茶がいいか。あれをたいそう気に入っていたみたいだし。『クリスマスプレゼント』と称した最高のお茶を淹れてやるとしよう。アレクのためだけに。他のヤツは当たり前だが除外だ。
…なぜなら自分はアレクだけの、『サンタクロース』なのだから。
□□後書き□□
恋人はサンタクロース!背の高いサンタクロースッ!!(絶叫)はん!何だよ何だよ。俺はどうせイブも当日も家でちくちく布と睨めっこ、外ではしゃかしゃかとバイトだよぅ!!世界で一番大好きな人とも年明けまで会えないしねぇ!!しかもバイト先のマスターに帰るとき言われちゃったよ。『19歳の女子大生がクリスマスの日にバイトなんかに打ち込むなよ…』 じゃぁ休ませてくださいよバイト…(吐血)したら私だって世界で一番大好きな人と過ごせたかもしれないしさー。遠いんだよ、大阪と京都の距離はさ―――… あんまりにも悔しいので他に書きかけの小説ほったらかしてプラアレクリスマス小説書いてみました。本当はジェサフィ風味も加えたかったんだけどね。でもね、もうすぐで5時。朝の。日付は26日。 もうクリスマス終わってるっちゅーの!! …はぁ、もう寝ます…。虚しいけど。でも、久しぶりのラブ甘プラアレ書けてしゃーわせvv
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2002年01月16日(水)
朝、起きたら………兎耳が生えてていた。
「…何だ、それは」
淡々と訊いてくる弟に逆ギレしそうになったが何とか堪えた。
「こっちが訊きたい!」
でも怒りを隠そうとする訳でもなく頬を膨らませて悪態をついた。 まだマシだ。コレを見たときの弟の反応は。紫紺の髪の自分の参謀や桃色の髪の遊び相手のアプラサスやその他の仲間たちは一様に声を揃えて第一声が「可愛い」だったから。 自分は男なのに可愛いと云われて全面的に嬉しくなる訳が無い。
「早く取れ」
ため息を漏らされた。…でも、取れと言われても…
「取れないよ。生えてるもん」
至極真面目に答えたし事実だった。なのに今自分の頭部から生えている問題の『兎耳』を取ろうと引っ張る。
「イッ…イタイイタイイタイタタ!!」 「…本当だな、体温まである…」 「う゛〜〜…当たり前だッ!!」
その愛らしい瞳にうっすらと涙を浮かべてアレクは力いっぱい弟を睨んだ。
「…ふぅ」
しばらくして、仕事が一段落したのか、プラチナは手を休めて溜息をついた。
「♪休憩?♪」
アレクは休憩のときに入れてくれるプラチナの紅茶がとても大好きだった。だから、今日も今か今かと待ち望んでいたのでらんらんと訊いた。 …その時に例の兎耳は無意識にぴょこんと直立し、ぴくぴくといかにも『嬉しい』と言う感情表現をしているように動いた。
「……ぶッツ!!」
普段は笑顔どころか微笑すら見せない弟が勢い良く吹いたのでアレクは『笑われた』と言うことに気がつかなかった。 「ど、どーしたんだよッ!!?」 駆け寄って顔を覗き込む。
「…ふ、ははは…兄上…耳が、…ははは」
そういわれてようやく耳のことで笑われていることに気付いてムッとする。
「み、耳が何だよ!?」
その時にもアレクに付いている兎耳は怒りを表すかのように左右に大きく揺れる。 そしてそれを見て更に噴出してしまう、プラチナ。
「…な、なんなんだよ―――――ッツ!??」
自分は何もおかしいことはしていないつもりなのに笑われるのはアレク以外にとっても不愉快極まりない。 しかも、最愛の弟に、だ。 そうして怒りを露にしていた顔も兎耳も終いにはしゅん、と垂れて『悲しみ』の表現に変わる。
「プラチナのばか…いっつも笑いかけてくれさえしないのに…なんでそーゆーときに笑うんだよぉ…」
いつもは楽しそうな紅い瞳には悲しげな雫が溜まっている。 涙に気付いてプラチナは笑い声を止めた。
「…す、すまない…」
謝罪のキスをしようと頬に優しく触れようとしたが「さわるなっばか!!」と伸ばした手を振り落とされた。
「プラチナなんかもうだいっきらいだぁぁぁぁ…」
涙が本格的に流れ始める。 一瞬、プラチナはどうしたものかと戸惑ったが謝るしか他、無い。
「…笑ってしまって…すまないその」 「やーだー!プラチナのばかばかばかきらいきらいきらい〜」 全く聞く耳持たない、とはこのことだ。 瞬間、プラチナは困って黙り込んでしまった。
「うぅ〜〜〜…ぷらちなのばかばかばかきらいきらいきらいぃ〜…っふぇ?!」
一瞬の隙をついてプラチナがアレクを抱き寄せる。
「は〜な〜せ〜」
腕の中にすっぽりと入ってしまったアレクは必死にもがくが力では体格差にハンデがあるので到底適わなかった。
「すまない、兄上」
とても真剣な声だった。
「…だが、俺は兄上が好きだ」
突然の告白にアレクの動きはぴたりと止まる。
『好き』
この言葉自体は聴き慣れている。 アレクも何度もプラチナに向かって使っている言葉だ。だが、プラチナは中々この言葉をくれない。 …恥ずかしいからといって。
「…だから、…『嫌い』と言われるのは辛いぞ…」
その声が本当に辛そうに発せられるものだから…ついには赦してしまった。
「…ほんと?」
それこそ小動物のように可愛らしく上目遣いでプラチナを見やる。 プラチナはすこし困った表情を浮かべてあぁ、と頷いた。
「笑ってすまなかった」 「ううん、違う」
プラチナの謝罪の言葉を力いっぱい首を振って否定する。
「プラチナ、俺のこと好き?俺にきらいって言われるのいや?」 「当たり前だ」
口をへの字に曲げて応える。
「じゃあさ!もっといっぱい俺のこと好きってゆって?」 「はぁ?」 「ゆってよ〜!!ゆってくれなきゃプラチナなんかもう嫌い!」
脅迫なんてしてみたりする。そうしたら珍しく弟の慌てた顔が見れた。
「…好きだ」 「もっと!」 「好きだ」 「もっともっと〜」 「…勘弁してくれ」
どうやら恥ずかしいらしい。顔を真っ赤にして困り果てた表情を隠すように右手で顔を抑えていた。
「何で?ヤなの?…本当は俺のこと嫌いなんだ…?」
意地悪にもちょっとわざとらしく訊く。
「違うと言っているだろうι」
今度はちょっと怒ったような顔をしてた。…あんまりからかっちゃ悪いな…。
「うん♪えへへ…ありがとうv」
するりと両腕をプラチナの首に回して抱きついて擦り寄った。…それこそ子ウサギのように。
「俺、このままでも別にいいかも♪」 「…何故だ?馬鹿にされる、と嫌がっていただろう?」 「だってプラチナに嫌われて無いならなんでもいいもん♪」 「…!!///(←照れて紅くなる)」 「大好きだよvプラチナ☆」 「俺も…好きだ、アレク。」
『ですが後日、幸か不幸かアレク王の兎耳はするりと消えてしまったそうです。それはプラチナ様がちょうど、1000回、アレク様に『好き』と言うことを伝えたときに起きた出来事だとか。』
□□後書き□□
あぁ…やっと終わりました。椿●パパンからの突発リクエスト。兎耳になったアレク。プラアレ。簡単なよーでちょっと難しい。イラストを描くぶんには楽しくっていーんですが、小説ではどーゆーはなしにするかが悩みどころ。…これでいいかしら?
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2002年01月15日(火)
誰にでも意外な特技の一つや二つや三つほど所持しているものである。 そしてそれは意外な理由により習得されたものであったりするのでまたタチが悪い。
ここに一人の参謀がいる。彼もまた顔に似合わず意外な特技を所有している。…ザル。決して料理に使うアレではなくて一般的に『底なしの酒飲み』を意味する言葉である。 彼はソレであったが、今まで好んで酒を飲んでいる姿など見たものなんていない。いや、それどころか彼自身、『お酒』というものにはどちらかと言うと大した好意は抱いていないのだ。 そんな彼がなぜ、あのベリルを差し置いて『キング・オブ・ザル』(何だよ、それ…)なのであろうか…?
今宵、皆様にだけこっそりお教えして差し上げましょう…。
「飲み比べ、ですか?」
透き通った青い空を連想させるような瞳が疑問を投げかける。同僚の紫色の瞳に向かって。
「えぇ。どうせ暇なんでしょう?坊ちゃん」
そう言いながら同僚―ジェイドなのであるが―はメイドに持ってこさせたワインやらウォッカやら焼酎(?)やらをテーブルに移動させていく。
「確かに暇ですが…アナタとお酒を酌み交わすような気分にはなれません」
さらりと。女官達から「優しい男性No.1!」と叫ばれてる空色の瞳の彼―サフィルスである―はこのジェイドにだけは冷たい。ってゆーか、冷たすぎる。
「おやおや。もう少し気を使った物言いが出来ないんでしょうかねぇ?お坊ちゃんは」
酷い言われように少し傷ついた素振りを見せながら(本当はちっとも堪えちゃいないのだが)肩をすくませてみたりした。 そのしぐさを見てサフィルスは何とか抑えていた怒りが爆発しそうになるが、何とか堪えて引きつった笑みを顔に貼り付け、応える。
「いいでしょう?どうせ暇なんですし?!」
奈落王の後継者が誕生するまで。
「毎度のコトながらそのセリフは聞き飽きましたね」
ため息をつきながら応えるサフィルス。 ジェイドはそれににこりと笑顔で受け止める。
「だって事実でしょう?私達のオシゴトは奈落王の後継者の教育係り。肝心のそのお方が居ないんじゃ開店休業ですよ」
加えて自分たち以外のお城勤めの者たちは目が回るほど忙しい。 …悲しいことにお互いしか共に暇をつぶせる相手は存在しないのである。(まぁ、そこら辺はGet My LOVE?!参照っちゅーことで。)
「では、始めましょうか♪」
嬉々としてグラスを配るジェイドに慌てて静止の声をかける。
「ちょちょちょ、ちょっと!!」 「ハイ?」
何ですか?といわんばかりの応対に思わず長〜いため息が零れそうになる。
「私はまだ『やる』とは言ってませんよ?」
それどころか『やらない』ともいっていないし。
「あぁ!」
わざとらしくぽん、と手を打ってみたりなんかしたりするさまが殴りたくなってくる。 そして続く爆弾発言。
「アナタに選択権なんて元々存在してなかったんですよv」
死亡。
「ま、私に勝ったらゆー事なんでも聞いて上げますし」
…いつものパターンである。
「何でも?」
しかしそれに毎度の事ながら引っかかる彼もどうだろうか? キラキラと輝いた水色の瞳はもう、やる気満々、勝つ気満々である…。(つまり、懲りていない)
「わかってますよね?先に酔いつぶれたほうが負けです。…レディ・ゴー!!」
一体どこから持ってきたんだ、どこに入るんだ、税金の無駄使いだ!と言いたくなるような量の酒瓶、樽、ジョッキを前にして(もう勝敗の見えている)熱い闘いは始まった。
しかし、意外にも勝負は早くつきそうになる。
「…じぇ、じぇいろ(ジェイドと言っている。舌が回っていない)…あなたわたしのおさけになにかいれまひたね〜…??」
ウィスキー瓶2本目(それでも凄い)というところでサフィルスの体にはっきりと異常が出始めたのだ。
「えぇ。何か依存でも?」
さらりと悪気なく白状するあたり、この翠髪の同僚はある意味大物かもしれない。
「…ひ、ひきょ〜ものッ!!」
当たり前だが怒って抗議の声をあげるサフィルス。…ただし、既に出来上がっているので怖くも何とも無いが。
「卑怯ですか?私は元からこう言う人間だってアナタも知っていたでしょうに!?」 「わ、わかってはいましたけれろ〜…」
ろれつすら回っていない。相手に一発殴ろうとでも思ったのだろうか。サフィルスは立ち上がってジェイドに歩み寄ろうとしたがまっすぐ歩くことも適わずくたりと床に座り込んでしまった。
「…うッ…ひっく…じぇいろのばかぁぁぁぁぁ…」
…どうやらサフィルスは泣き上戸らしい。
「はいはい。すみませんねぇ」
この時を待ってましたと言わんばかりにジェイドはサフィルスを抱き起こし、頭を撫でてやる。
「じぇ、いろ…?」
いつもの睨むような視線とは打って変わって潤んだ瞳を投げかける紫紺色の人。 ジェイドがくすりと質の悪い笑みを零すけれどべろんべろんに出来上がってしまっているサフィルスがそれに気付くはずがない。
「遊んでしまって申し訳ありませんでしたね。お詫びに介抱してさしあげますから」
にっこりと(いかにも何か企んでいそうな)笑みを向ける。
「じぇいろ…!!やっぱりあなたはほんろうはいいひろです!!」
サフィルスは素直に感動してしまっていた。…全てはジェイドの思惑通りに進んでいると言うのに。
「さぁ、寝所へ行きましょうか…」
オヒメサマ抱きをしてサフィルスの寝所へと向かう。 …これから起こる事も知らずに酔っ払いサフィルスは抵抗もせず、すっかり信頼しきって体を預けていた。…夜は更けていく。ただ、月の光だけが優しく、優しく…。
―――――<余談>―――――
翌日、サフィルスの腰に謎の鈍痛が頻繁に起こることになったのは、言うまでも無い。(深く考えて下さい/死)
「つまり、要は『慣れ』です。何回もそう言うことが起きてたら嫌でもお酒に強くなりますよ」
ため息混じりに言う、自分の参謀。
「…何回もされてたの…?」
赤の王子は驚いたような、…少し、呆れたような眼差しを送って訊く。
「えぇ、まぁ…暇でしたからね」
きょとんと。どうやらまだ懲りていないらしい。 やれやれと思いつつ出されたお茶をすすりながらアレクは思った。
(サフィ…結局はジェイドのこと嫌いきれてないんだ…)
□□後書き□□
完成させるのに時間食っちゃってすみませんでした!!しかも、意味不明に終わるし(死) やっぱり私には文才は皆無です〜。リクエストしてくれた由梨果さん、本当にすみませんでした!!私とは違ってあなたは文才ありまくりなのに!!あぅあぅ。今度小説の書き方教えて下さいネ☆
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2002年01月12日(土)
望みは何だ!? 楽しいお茶の時間?それともお仕事のお手伝い? それともそれとも…
いつもの風景。午後3時。きっかりに時計を見て指差す。
「お茶の時間だぞ、プラチナ!」
休憩を強請るその声は少し怒った様な、楽しみだと言う様な。
「この書類、あと少しで目を通し終わるから…」
待ってくれ、という前にその書類を取り上げられてしまう。
「ダメ!休憩!!休め!これ、王様の命令!!」
唇を尖らせて言う様はまるで子供。いや、子供なのだが…自分も同時に。 短く嘆息し、『命令』を実行する。
休憩。
「サフィ、遅いね〜…」
いつも嬉々としてこの可愛らしい奈落王に茶を淹れにくる参謀が中々来ないものだから奈落王自身から自然とそう言う言葉が出て来た。 その言葉ははっきり言って聴いているこちらとしてはかなり面白くない。 これは独占欲。
「…プラチナもお茶淹れるの上手だよねぇ…」
やっとお鉢が回ってきた。…サフィルスの後だと言うのがかなり気にいらないが。
「プラチナ、淹れてよ!早くね。王様の命令♪」
どうやら『命令』をするのが気にいったらしい。またもやその単語を使ってきた奈落王に苦笑を向ける。
「わかった」
短く答える、が。
「ぶー!違うだろー、ちゃんとした返事!」
非難の声を浴びてしまった。
「承知しました」
全く、と思いながらも訂正をする。そして手早くお茶の用意。 ちらりと視線を奈落王の方に落とすととても楽しそうな表情でお茶の完成を待っているのが見えた。 彼の笑顔が見れるのなら『命令』されて茶を淹れるのも悪くは無い。 ただ、何度も言うがサフィルスの後に回されたのが気に入らない。
「ホラ」
間もなくして、お茶は完成した。
「わぁvありがと♪」
嬉々としてそれを受け取って一口飲む。
「おいしーvv」
幸せそうな笑顔を浮かべて感想を漏らす。それを見たらすぐに先程からの暗い感情も消えうせてしまうと言うものだ。 だから自然にプラチナの表情も緩む。
「当たり前だ。兄上に淹れる茶には特に気を使っているからな」
それを聴いてアレクはとたんに不機嫌な表情を浮かべる。アレクの変化にプラチナが気付いた。
「兄上?」 「俺以外にも誰かにお茶、淹れてやってるの?」
見つめてきた瞳はとても不安そうなのが見てとれる。けれど何故そうなったのかまでは判らない。
「…いや…」 「でも、今俺には特別だって言った」
成る程。ようやくプラチナは理解することが出来た。 つまりこの兄は嫉妬してくれていたのだ。兄以外の誰かに茶を淹れる自分に。
「自分の飲む分も淹れるだろう?」
それを聴いたアレクが、あ。と声をあげた。
「言っただろう?兄上に淹れるお茶は『特別』だと…」
そしてすかさず包み込むようにして抱きしめてやる。
「…『特別』じゃヤダ…」
小さな言葉が返ってくる。
「では、何が望みだ?」
両手でアレクの顔を包み込んでやると少し屈んで目線を同じにしてじっと見つめた。…何一つ見逃すまいとでも言うように。
「『唯一』がいい。お前には俺だけ。お茶を淹れるのも、『好き』って言ってくれるのも…」
見上げてきたアレクの顔は、いつもの元気な彼からは想像出来ない追い詰められたような表情をしている。
「それは命令か?」
質問。答えはNO。横に首を振っているから。
「…お願い、だから…」 「判った」
返答は間を入れずに出された。考えるまでもない。 もう、心の中に確立されたものだったのだから。
「お前だけだ…俺が茶を淹れるのも、この胸を締めつけるのも…」
独占欲。自分だけではなかった。 そんなものとはおよそ無縁だと思っていた彼も一緒だった。
「兄上も…俺だけでいてくれ。望みはなんでも叶えてみせるから…」 「…うん」
その愛くるしい笑顔で命令されれば必ず叶えてあげたくなるから。
お前は愛の権力者。
□□後書き□□
はい、やっと書けました。河原とむさんから戴きましたキリリクの『相手(アレク)に振り回される二人(プラチナ)プラアレ(またはその逆)』です。 リクされたときにすぐにタイトル浮かびました(笑)ハニーって響きいいよね(うっとり) でも、お昼はこんなカンジに振り回されてるプラチナさんですが、夜は逆にアレクを振り回してるんですよ!?(もういい、ダマレ) ちなみに、ココまでたくさんの小説書いてなんですが 私はプラチナが王様になったバージョンの方が好きです。(はかりにかけたら微妙に、ね) EDは(笑)セレスとキスしたら怒る兄上とか、「俺といると幸せ?」とか訊いてくる兄上とか(死) 地位的にはアレクが王様の方がスキですv 前のジャンルの某中国歴史マンガもそうだったしね!!(しつこい)
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2002年01月11日(金)
チュ-チュ(プラアレ・七海いるかさんにささぐお見舞い品)
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朝。起きたらすぐ横には大好きな人の寝顔があった。 この世でたった一人の双子の弟、兼恋人。 「おはよう」と起こさないように小さく呟いて長い銀色の髪を一房手にとり弄ぶ。
さらさらと。
ひとしきり遊んだらキスを一つ落として寝顔の観察に入った。 整った顔立ち。長い睫毛。そして、いつも甘いキスを施してくれる形の良い唇。
(…綺麗だなぁ…)
もう何年も見てるのに未だに飽きない。 けれど何よりも美しいのは今は瞼に憚られている蒼い眼。 つと、瞼に軽くキスをする。
(いつもと立場が逆転してるや)
声を押し殺してくすくすと笑う。 起こさないように。起こさないように。 実はいつもは彼が先に起きているのだ。 目が覚めたらまずは優しく微笑んでこちらを見つめている二つの蒼い眼に出会う。 そして施されるおはようのキスがあって。 彼はどんな気持ちで自分の目覚めを待っているのだろう? 自分は今、彼の目覚めが待ち遠しくて堪らない。自分からは起こさないけれど。 彼も同じ気持ちで待っていてくれていたのであろうか!?
(早く起きないかなぁ…?起きたら俺からキスしてやるのに)
そう思いつつ今度は頬にキス。
「…ッ…!?」
離れようとした瞬間、まだ夢の中にいるはずの弟にいきなり抱き寄せられた。
「おはよう、兄上」
さも楽しそうにいたずらな笑みを浮かべつつ頬にキスをしてくる。
「い、いつから起きてたの!?」
びっくりして心臓が早鐘を打つかのように鳴り響く。…理由はそれだけではないけれども。
「兄上が笑っているところか…」 「ぶー!寝たふりなんてひきょーだゾ!?」 「…はは、すまない…」
頬を膨らませて拗ね始める兄の額にに謝罪のキスを送る。 すると、今度は表情を曇らせた。
「兄上!?」 「おはようのキス、俺からしようと思ったのに…」
余程残念だったのであろう。俯いて沈んだ声でそう言った。 それを聞いて一瞬眼を丸くして驚いたプラチナだったが、すぐに柔らかな笑顔浮かべた。
「それはすまなかった…いや」
何か思いたったらしく、言葉を続ける。
「おはようのキスはまだしたつもりはない」 「え!?」
何を言っているのか判らない、という表情。苦笑してそれに応える。
「先程のは謝罪のキスだし、目覚めたときのはお仕置きのキスのつもりだった」 「でも!それでも…朝一番にしたかったの!」 「それはすまなかった…」
ぽろぽろと零される涙を唇で掬い取ってやる。 くすぐったいけれど、心地いい。
「ん、もういいよ〜。くすぐったい…」
一頻り涙を流してすっきりしたらしい。 施されるキスから解放してもらおうともがき始めた。けれどプラチナはそれを許さない。
「明日は…ダメか!?」 「ほぇ!?」 「明日なら…。…お前からキスして欲しい」 「え!…あ、…うん…」
約束。
明日は俺からお前に。モーニング・キス。
□□後書き□□
アレですな。 欲求不満。ただ単にラブラブいちゃいちゃが書きたかっただけ―――(死) でもってこの駄文は七海いるかさんに捧げもの。七海さんは入院しちゃってるのでお見舞い品に、と思いまして。 この駄文のとりあえず起きたばっかなので二人ともベッドの中です。さて、ここで問題です。 二人は何を着ているでしょう!? 1.ヤった後なので裸(ヤメロ) 2.お揃いのパジャマ 3.上→アレク、下(ズボン)→プラチナの半分こ。(夢) 正解はCMの後で〜♪(あるか)
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2002年01月10日(木)
「兄上、ジェイドを見なかったか?」
そう言って自分の部屋に尋ねてきた弟の髪型にアレクは違和感を感じた。
「おはよう〜。…今日は髪、くぐってないんだ?」
そう。いつもは一つにまとめてポニーテールにしているのに今はいつも就寝する時の髪型、つまりはざんばらなままだったのだ。
「いや、今からジェイドにまとめてもらおうと思ってな。それで捜してるんだが…」 「俺にそれ、させてよ♪」
後に続く言葉を待たずにアレクは目を輝かせてプラチナにお願いしていた。
「あ、兄上が…?」
プラチナの脳裏に一抹の不安が頭をよぎる。
「あ、何だよー、その顔。俺だって髪結いくらい出来るぞー!!」
何となく判ったのか頬を膨らませて抗議の声を上げた。 そしてプラチナは半ばヤケになったアレクの髪結いに付き合わされるハメになる…。
数十分後。
「………兄上、もういいから」 「う〜〜ん、う〜〜ん…あ、アレ〜〜??」
たかがポニーテールなのだが、何故か何回やっても成功しない。途中で他の髪型にも挑戦しては見たのだが、それもまた断念せざるを得ない失敗で終わっていた。
「やはりジェイドを…」 「ヤダッ!!」 「兄上!」
なおも駄々をこねて続けようとする兄に少しきつくあたってしまった。
「…ッ…だってッ!!」
今にも泣きそうな声が後ろで髪を結う人から発せられたので焦って後ろを振り返ると案の定、アレクの目から既に涙が零れ落ちていた。
「すまない!!きつく言い過ぎた…」
おろおろとしながら慰める姿はかなり情けない気もしたが、愛しい人の機嫌を損ねるよりは断然いい。
「…本に書いてたんだもん…」 「ん?」
アレクが何を言いたいのか判らなくて聞き返す。
「動物が頭部を委ねるのは気を許せる存在だけなんだって」
次から次へと零れる涙をそっと唇を寄せて拭ってやると微笑んで言った。
「成る程な。しかし、人には得て・不得手というのが有る。兄上は髪結いが苦手だから…そうだ。こうしよう!髪を洗って貰うことにしよう」
急に出された提案を聞いてアレクは瞳をぱちくりとさせた。
「しゃ、シャンプー??」 「あぁ。是非とも兄上にして貰いたいな」
プラチナはいくら不器用なアレクといえどもいつも自分の頭を洗っているであろうからシャンプーくらいは出来るはずだと踏んだのだ。 プラチナの勘が当たったようでアレクは
「うん!それなら出来る♪さ、行こう☆」
と早速彼の腕を引っ張って浴室に赴こうとした。
「い、今からか?」
焦るプラチナ。と、言うのも無理はない。まだ時刻は正午にも達していないのだから。
「だって!善は急げって言うだろ?俺も早くプラチナのためになること、してあげたいしv」
実はプラチナ、下心があって『シャンプー』と言った手段を提案していたのが最大の理由であった(笑)が、無邪気にこんな嬉しいことを言われてしまってはどう断ることができようか?いや、出来まい(反語)そう、特にプラチナはアレクに誰よりも逆らえなかった。 結局、風呂に入ることになっってプラチナは先に一人で湯船に浸かっていた。
(昼とはいえ、風呂は風呂だ。イマイチムードにかけるが兄上の裸を見れることには変わりない。)
全く朝っぱらッから何を考えているのだか、この蒼い人は(呆)
「お待たせ〜」
程なくしてアレクが入ってきた。駄菓子菓子(死)
ざぱぁ――――――――んッ!!
入ってきたアレクの姿を見たプラチナは思いっきりずっこけた。
「あにうえ!?何だ、その格好は!!」
プラチナは顔面全体に不服の二文字をさらけ出して叫んだ。無理もない、アレクの今の格好はプラチナが期待していた『裸』ではなかったのだから。
「ほぇ?何って…髪、洗ってやるんだから動きやすい格好しないと…」
因みにアレクのいでたちを説明させていただくと、はっぴに半ズボン、そしてたすきを巻いてとても動きやすい『お風呂屋さん』の格好をしているのである(笑) けれどプラチナの不満をよそにアレクは作業を進める。時々、「痒いところはない?」と言うお約束のセリフなどを言ってみたりしながら。
(…まぁ、兄上に期待などしてしまった俺が馬鹿だった、と言うわけか…)
既にプラチナは諦めモードに突入していたが、下半身は素直だった(爆) 一応気付かれないようにタオルと己の手で必死で隠していたのでアレクは気付かなかったが。 頑張れ、プラチナ。明日があるさ♪
□□後書き□□
やっちゃった、下ネタ――――――ッ☆(嬉しそう) えぇ、からしさん、実は下ネタ大好きですv(殴)バイト先では『はぐれレジ娘・純情派』で通ってるのにねぇ?(知るか!っつーか、何さそれ!) つーか、プラチナだけ心も体も育ちきってる設定が好きです。アレクは何にも知らないおバカさんなのvお子様なのvv そんで我慢の限界に達したプラチナに押し倒されてピ―――――られて初めて自分とプラチナの気持ちに気が付くの!!(死) つーか、おねーちゃん、不発でごめんなさい。あぁ、私、不発作品多いなぁ…(泣)
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2002年01月09日(水)
最強ダーリン!!(ジェイドリクのプラチナジェイド)
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(注意:これはギャグです。ジェイド攻め、またはプラチナ受けがお好きな方は見ないほうが身のためです。書いた人は心底からプラチナ×アレク、ジェイド×サフィルスなので絶対にジェイプラは書けませんの。では、以上のことを踏まえたうえで…どうぞ)
ジェ「おはようございます、プラチナ・パストゥール様。」 プ「誰だ、お前!?」 ジェ「早速お前呼ばわりですか…(汗)ま、いいです。貴方は王子ですしね。」 プ「そうか、お前は俺の下僕なんだな。」 ジェ「まだ何も言ってねぇよ(怒)」 プ「何だお前、下僕の癖に偉そうだな。」 ジェ「(何か…俺、ハズレくじ引いたか!?(汗))」 プ「何か喋れ、真性メガネホモ。」 ジェ「勝手に変な名前で呼ばんとってください(泣)私の名前はジェイド=ディヴィスです。」 プ「わかった。ホモジェイド。」 ジェ「誰がホモだ、誰が(怒髪)」 プ「お前。」 ジェ「納得のいく理由を500文字以内で述べてくれませんかね(マジギレ)」 プ「ホモっぽい。」 ジェ「……5文字……(泣)句点入れても6文字………。」 プ「泣くな、ホモ。人生には幸せなことより不幸せなことの方が多いんだから。」 ジェ「そんなこと目覚めて5分も経ってない人に言われたくありません。大体ホモ呼ばわりしないで下さい。ってゆーか既に名前省略されてるし!?」 プ「しかしだからこそ人は幸せをより一層素晴らしいものとして受け止めることができるんだ。」 ジェ「無視すんな。」 プ「煩いな、では出血大サービスでノンケと呼んでやる。」 ジェ「ちゃんと名前で呼べやーーーッ!!」 プ「お前、キレやすいな。ふぅ…部下には恵まれんかったか。」 ジェ「それはこっちのセリフじゃボケェーー!!」 プ「……ぷちッ……煩い。その口、塞いでやる…。」 ジェ「…え゛!?」 プ「喜べ。主君の夜伽を担当できるのだからな…(鬼畜な微笑み)」 ジェ「…う、うそ…!?…ッッ…い、いーーーーやーーーーッ!!!」
終
□□後書き□□
はい、強引にプラジェイ。しかも、某サイトさんちっく。判ってるのでツッこまないように。なんつーか…うん。やっぱりプラチナ様は攻めだね!!ジェイドも攻め!!………ごめんなさい、なりチャのジェイドさん。これが私のせいいっぱいです…。
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2002年01月08日(火)
サクラサク。4月7日。大抵の高等学校が新入生を迎え入れる日である。 俺、アレクサンドル・パストゥールもその『新入生』の一人でこれから入学式会場に向かうところだ。
「見てみて!!桜並木!!」
先にある桜並木の道を指さす。
「綺麗だね〜」
その言葉を伝えた相手は自分の双子の弟のプラチナ・パストゥール。と、言っても俺とは全然似てなくって俺よりも背は高いし、俺と違って頭も良いから「本当に兄弟!?」っていつも他人に言われちゃうんだけど。
「兄上、はしゃぎすぎだ」
呆れられた!? ちょっと焦ってプラチナの方を向いて顔色を窺うけど…アレ?微笑んでる…!?
「全く兄上は元気だな」 「当たり前じゃん〜!!受験地獄も終わってこれから新しい学校で新しい生活!!自然と元気も沸いてくるよ!」 「受験地獄…か」
そう言って意地の悪い笑みを浮かべて続けてきた。
「兄上は『地獄』と言うほど勉強はしていなかった筈だが!?」
う…流石に兄弟には嘘ってばれるな。ってゆーか俺、プラチナに勉強教えて貰ってたし。………試験日2週間前に。
「俺の方が地獄だったと思うがな…?兄上に勉強を教えつつ合間を見つけては自分の勉強も…」 「わ〜!わ〜!!ごめんってば〜〜!!で、でも!いいじゃん受かったんだから。結果良ければすべて良しってネ♪」
冷や汗を思いっきりかきながら何とか言い逃れようと必死になる。
「冗談だ」
はぅぅ……冗談だって判っててもそれは聞いてて耳が痛いゾ〜!?(泣)
「兄上と同じ学校に通えて嬉しいから、構わない」
笑顔で嬉しいことを付け足してくれる。
「俺も一緒に通えて嬉しいv」
大好きなプラチナの笑顔を見せられてふにゃ、と思わず表情が崩れる。何だか…幸せvv 誘われるままにお互い手を繋いだ。
「いっぱい友達できるといいね♪」 「それは困る!」 「え?」
何気ない一言だったのに凄く真剣な否定の言葉が返ってきて驚いた。 見上げた顔はちょっと辛そうな表情を浮かべてた。 何で?と視線で訊く。
「兄上が俺以外の他の奴と仲良くしているのなんて見たくないな…」
苦笑をしながら言葉と一緒に施された抱擁。嬉しいやら恥ずかしいやら…。
「わっがままだなぁ〜」
呆れた素振りで返す。さっきの笑えない冗談のお返しだからな! そうしたら案の定覗き込んできた顔には不安の色が見えた。
「友達は友達じゃん。お前はちゃんと俺の『唯一の特別』だよ!」
これもお返し。さっき嬉しいこと言ってくれた言葉の、ね。 すると幾分か納得してくれたのかプラチナは笑顔に戻った。
「…それでも、嫌なものは嫌だな…」 「この期に及んでまだ言うか!!」
ぺし!
軽くチョップをお見舞いする。すると
「じゃぁ、兄上は俺が女性と話をしていて怒るのは何故だ?」
むす、とした表情で反撃してきた。
「それとこれとは話が違う!」 「違わない」
うぅ…頑固なんだから。
「男でも女でも好きだと思う気持ちには変わりはないぞ?俺が兄上を好きだと思うように…」
…あ、そっか。成る程。それで嫌がってるんだ。 ナゾが解けたら何だかプラチナが可愛く思えた。背伸びをして頭に手をやる。そして
ぽんぽん。
かるく頭を叩くようにして撫でる。
「プラチナだけだよ!?」
そして大サービスで頬にキス。その後には彼にしか向けない極上の笑顔。
「俺も、兄上だけだ」
頑張った成果かようやく納得してくれたみたいだ。
「うん♪さ、行こう!遅刻しちゃうよ!!」
繋ぎなおした手を引っ張って校門に急ぐ。
「同じクラスになるといいね」 「それはないだろう。同じ苗字が二人もいたら大変だ」 「そっか。じゃぁ、隣のクラスだといいね♪」
ひらりひらり。サクラサク。
ずっとずうっと一緒だよ!?
□□後書き□□
どこが学園モンやねん!!すんませんすんません!!まったくこいつらはどこのドイツ人なんざましょ。サクラサクとか高校とか受験とか… 舞台設定は明らかに日本。でも、横文字名。アレクサンドル&プラチナ・パストゥール。何か、し○ごママの学園天国〜校門編〜みたいなノリですみません。げっふ、ゲフン!!とにかく、これはなりチャのセレス様宛。ヘボですがもらってやってくだせぇ。
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2002年01月07日(月)
「どうして君は僕を求めるの?」
必要だと思ったからです。
「君が僕をかい!?」
勿論俺が貴方を。けれど貴方にも俺が必要だと思った。
「…とんだ自惚れ屋だね、君は。」
そうですね。
「……確かに今は必要だね。…一人は淋しいから…でも。」
なんでしょう?
「いつか要らなくなるから。その時は捨てるよ!?…それでも、君は共にありたいと願うの?」
勿論です。それに、それを覚悟した上で俺は貴方を探してきたんです。
「君は…バカだよ…こんな我侭な僕に付いてきたりなんかして……」
でも、貴方は理由があって俺を捨てるんでしょう!?
「………」
それ相応の訳が。
「…君が死ぬ前に僕はもう一度君の前からいなくなるよ!?」
はい。
「…もう、大好きな人を見送るのは懲り懲りなんだ。」
……はい。
「だからその時は追って来ないで。でないと僕はもう、君から逃げられなくなってしまうから…」
……はい。
限り有る時を懸命に生きよう。出会いは別れ。別れは出会い。悲しむことなかれ。だから戒めの鎖を解いて。
だからその手を離して
□□後書き□□
なりチャのベリルっちに捧げるジルベリっす。ベリジルちっくかも〜〜(死) ごめんね、ごめんね、不発で!!(爆) タイトルは大好きなB’zからvv これからも仲良くしてやってくださいvではでは〜☆
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2002年01月06日(日)
今は昔の話。
ここ、奈落と呼ばれる国の王宮の一室で静かではあるがかなり熱い戦いが二人の男によって繰り広げられていた。
「う〜〜ん…」
一人はサフィルス=ホーソン。戦況が芳しくないらしく、先程からこの調子で唸りっぱなしである。
「早く打って下さいよ、坊ちゃん!?」
対するもう一人はジェイド=デイヴィス。こちらは打って変わって余裕の表情を浮かべていた。
ことの発端は数刻前のことだ。次代の王を育成するという大役を任された二人ではあるが次期王の作成がまだ終わっていないため、彼らは待つだけの日々を与えられていた。その退屈な時間を埋めるために二人は世間話などをしていた。と、言ってもいつもジェイドが押しかけて来て、サフィルスがしぶしぶとそれに付き合うというのがお決まりのパターンではあるが。 そして今日、つとジェイドが言い出したのだ。
「これからするチェスに罰ゲームをつけませんか?」 「罰ゲーム…ですか?」 「そう、罰ゲーム。負けた方は勝った方の命令を明日1日忠実に聞くんです」
一瞬、何を突然言い出すかと思ったが彼が唐突なことを言い出すのはいつものことであったし、断っても押し切られて結局は言う通りにさせられるのが目に見えていたので逆らわないことにした。もし負けて何をされるかは判らないが、チェスならまだ勝ち目はある。サフィルスはこの勝負を受けてたつ事にした。
そして、今。自分の選択は間違っていた事に気付く。 そもそも言い出す、という事はジェイドには負ける気がなかったからだ。平たく言えば勝てるから持ちかけた。 まだ勝負は決してはいないが負けるのはもう時間の問題であった。それでも一生懸命抵抗の駒を進める。…が。
「チェックメイト♪」
予想通り勝利をもぎ取ったのは翠の髪をした同僚。敗者は大きなため息しかその唇から発せられなかった。
「じゃぁ、明日は朝一番にこれを着て私を起こしに来てくださいね。あぁ、朝食の準備もお忘れなく」
勝者となった同僚が一枚の衣服を自分に差し出してさも楽しそうに告げる。罰ゲームを受けることには反論はしない。…しかし…
「何ですか、この服は?」 「メイド服ですよ!?」
何か問題でも?と更に付け加える。その悪びれも無い態度に頭痛を憶えた。
「…女装は罰ゲームのうちには入っていなかったと思うのですが…?」
こめかみを抑えて抗議の意見を何とか搾り出した。だが、相手は少しも堪えず、「罰ゲームは明日1日勝者の言うことを忠実にきく、でしたよねぇ?つまりは私がこれを着ろ、と言ったらそれは罰ゲームの内に入ってるんですよ?坊ちゃん」などと言ってのける。確かに彼のいう事はもっともだ。 サフィルスにはもう少し深く考えるべきだったと後悔するしかなかった。
シャッ!!
勢いよくカーテンが開けられる音がする。
「朝ですよ、ご主人様!」
朝。 サフィルス受難(罰ゲーム)の1日の始まりである。 あの後、ジェイドによる命令がもう一つ追加されていた。それは自分のことを『ジェイド』ではなく、『ご主人様』と呼ぶこと。 理由は「男のロマンですよ♪」と、あまりにもくだらなさ過ぎて本当に涙が出た。 けれど、負けた自分が、勝負を受ける前にちゃんと考えなかった自分が悪いのだ。
「朝食でございますッ!!」
ばんっと荒々しくテーブルに置く。
「……お前ね〜、そんな格好してるんだからもう少し大人しめに出来ないか?」
起きたばかりのジェイドは不満の声を漏らす。
「好きでやってる訳じゃありませんからね!」
サフィルスの青筋マークを立てながらの反論にジェイドは怖い怖いと言いながらも全然怖くなさそうに一人ごちた。
「で、次は何をすればいいんですか?」
朝食を済ませ、サフィルスの淹れたモーニングコーヒーをおいしそうにすするジェイドに苛立たしげに質問する。
「…そうですねぇ…」
ちろり、と。サフィルスのメイド姿を一瞥する。 普通の女性に比べれば高い背をしてはいるが体格がもともと細い為あまり違和感は感じられない。むしろ長身の美女と言った感じで似合っていたりさえする。
(まぁ、お楽しみは夜にとっておきますかね…)
思わず邪な笑みが零れる。それをサフィルスが見逃すはずはない。
「何ですか?!貴方が、このような格好をしろと言ったんじゃないですか!」
顔を真っ赤にして怒る姿また可愛らしくてついつい苛めてしまいたくなる。
「いえ?よく、お似合いですよv」
本当に心の底からそう思う。しかし、事実でも言っていい事と悪いことが世の中にはあるもので。ジェイドの言葉は後者の方であった。
「馬鹿にしてッバカにしてッ馬鹿にしてっ!!」
サフィルスの怒りは『ご主人様』ジェイドに命ぜられた部屋の掃除で発散されていた。
「大体何故あんな人が次期王の教育係になったんでしょうかッ?」
はたきで埃を落とす。かなり乱暴な動作で。
「彼に育てられる王子が可哀想で仕方がありませんよッ!!」
キュキュッとテーブルや窓を磨く様に拭いていく。
「きっと史上最高にヒネくれた奈落王が誕生しますねッ!」
ばふっ!干していた枕をベッドに投げつける。
「……終わりました!」
なんだかんだ文句を言いつつも完璧に仕事をこなす姿勢は流石は次期王の教育係りと言えようか。 同僚は元々潔癖症であった為、掃除自体が楽な仕事ではあったのだが。
「終わったか。次は昼食を作ってきてくれ」
そこにタイミング良くやってきたジェイドに次の指令が下された。 本気で嫁に欲しいですね、と言ったのはサフィルスが台所に向かった後であった。
しばらくして、『それら』は運ばれてきた。
「おいしいですねぇ…」
着々と『それら』はジェイドの胃に収められていく。 昼食を摂る、それだけを見ればなんら問題ない。だが、今の光景はいかんせん異様であった。何故なら、その昼食はあまりにも膨大な量だったからであった。
「よくそんなに入りますね」
あれよあれよと言う間にジェイドは同僚の手作り昼食を平らげていく。実はサフィルスは前から彼の胃の中にはブラックホールが飼われているのかもしれない思っていた。
「普通だよ。まぁ、お前の作ったモンの場合だと確かに普段よりは多く食べるな」 「はい?」
同僚の言っている意味がよく判らず、訊き返す。
「お前の作る料理は格別おいしいってコトだよ」
言って、また食事に専念する。
「どうせ私の作る食事はおい…って、えぇ!?」
天邪鬼な彼から自然に発せられた言葉だったので、危うく聞き逃しそうになっていたが何とか気付いた。
「お、おいしい…!?」
聴こえた言葉は予想していたものとは遥かに違って。一瞬、自分の耳が腐ってしまったのかとまで疑ってしまった。(笑)
「おいしいですよ!?」 「う…ウソだ!!」 「はい!?」 「あなたが他人を手放しで褒める訳がない!!何か企んでるんでしょう?」
長年いじめら(おもちゃにさ)れ続けてきた悲しいサガというべきか…サフィルスはジェイドの言葉を素直に受け入れることが出来なくなっていた。
「オイオイ、俺はそんなに信用無いのか!?」 「皆無です(←即答)」 「……(笑顔で怒)」
サフィルスは気付かなかった。ジェイドの一人称が『俺』になっているのを。 ジェイドは『俺』と言うときはいつも本音で語っているのだ。
「そこまで言われると流石の俺でも傷付くぞ?!」
明るい口調で言ったが…ジェイドさん、目が笑ってません(怯)
「じぇ、じぇいど…!?」
遅らばせながらサフィルスもそれに気付いた。
「予定変更」
ジェイドはそう一言呟いて最後の一口を口に放り込むとがたりと音をたてて席を立った。
「…は!?な、何が…」
こちらに向かってくる同僚が浮かべている微笑が何となく恐ろしく感じられたため一歩あとずざる。
「おや?ただのボケニブではないようですね!?ちゃんと身の危険は察知できるみたいだ」
一歩、また一歩。二人の距離は少しずつ縮まっていく。 サフィルスは言い知れぬ恐怖感に冷や汗をかいていた。
「身の危険…!?」 「そうです」
クスッと笑うそのしぐさに思わず見惚れかけたが…
「夜のお楽しみに取っておこうと思ったのですが今からでも全然構いませんね。むしろ早いほうがじっくりと堪能できていいじゃないですか。うん、今いただいちゃいましょうか」 (な、何か嫌な予感…)
背中が壁に到達したのが判った。もう逃げ道は無い。
「何を…戴くんですか!?」
今出来る精一杯の笑顔で問う。…引きつってはいたが。
「決まってるじゃないですかv…あなたをですよ、サフィルス」
(やぱりぃぃぃぃぃぃぃいぃっぃ!?!)
「では、いただきますvv」
それから…心の大絶叫も虚しく、メイドサフィルスは行儀良く両手を合わせて食前の挨拶をしたジェイドに翌朝までじっくりと丁寧に優しく、時には激しく(笑)食べられてしまいましたとさ。 お終い。
□□後書き□□
ナvメvんvなvv2回連続女装ネタかい!!(死)いやんvvだってさ〜〜〜どのサイト回ってもアレクが女装するネタは見るけどサフィが女装するネタなんてないんだも〜〜ん。(因みにサフィの女性名は『サファイア』)まぁ、一般的にサフィはアレクラブラブに見られてるしな。私はサフィ&アレクはカップリングとかよりも親子、母娘です。ジェイド&プラチナは父息子。参謀×王子って暗い話が多いですよね…私は性格が賑やかなんでそういうのダメなんです…トホリ。すみません。だからただ単にいちゃつく王子ーズが好きなのかもね、私!! あと、サフィの話。最近私、サフィが大好きです。えぇ!!だって可愛いじゃないですか!受け子さんですよ、彼は!細いし、丸顔だし、関智一だし!!(ヲイ)
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2002年01月05日(土)
ふわり。
いつもはまとめて帽子の中に放り込んでいる金色の髪がふいに風になびいた。 いつもの帽子は今、脱いでいる。 替わりに頭部を彩るのは純白のリボン。衣装もいつもとは遥かに印象の違う頭部のリボンとおそろいの純白のフリルとレースをふんだんに使用したワンピース。
まるでお人形さんのような姿をしているのは現奈落王のアレクサンドル・パストゥールであった。
今から数刻前。ロードとプラムに髪を結わせろとしつこく頼まれて。 仕方なくOKして。 寝ててもいいぞと言われて。 素直に寝て。 …起きたらこんな格好にされている自分がいた。 しかももと着ていた服は強奪されて。
「くっそぉぉ〜〜、あ〜い〜つ〜ら〜…!!」
見つけたらタダじゃおかない。服を返して貰わなければこの格好も解けない。とにかく捜さなければ!!
…ドンッ!
と、その時何かとぶつかっってしまった。
「ぷ、ぷらちなぁっ!?」 「…ん?あ、あにうえッ!?」
ぶつかったのはアレクの副官であり、弟のプラチナ王子だった。
「あ、兄上…。何だ、その格好は…?!」
プラチナは当然の質問を投げかける。 アレクは自分がどういう格好をしていたのか一瞬忘れていたらしい。それを聞いて慌てふためく。
「あッ!!これはな、元の服が誘拐されて髪を結わせろって油断して執務してたけどプラムとロードが昼寝してたらこんな格好になってて〜ッ!!」 「落ち着け。なんとなく判った」
構文を考える余裕も無いらしく、とにかく一生懸命言葉を陳列しただけだで、常人には理解しがたい日本語(?)だったが弟にはなんとか通じたらしい。流石と言うべきか。
「とにかく、ここを離れよう」 「何で!?」 「…注目されてる」
城の廊下の一角。ハタから見ると美男・美少女の大声での会話は大注目を浴びていた。
とりあえず二人はその場を離れたものの、お昼休憩の時間帯ともあって暇を持て余していた女官達がすぐに見つけてアレクに話し掛けてきた。
「ねぇ、どこから来たの?可愛い〜vv」 「プラチナ様とお知り合い!?手を繋いでもらえるなんていいなぁ」 「でもすっごい絵になるわぁv」
幸い、彼女達には目の前にいる人形のような容姿をしたアレクが奈落王だと気付かれる事はなかった。 ふと、女官の一人に訊かれる。
「名前、何て言うの!?」
流石に本名を名乗る訳にはいかない。 女官達に取り囲まれてしまったため、頼みの綱の弟は輪の外に追いやられている。
…な、名前…えっ…と…。
意識してる訳ではないのだが、自然に発せられた声は高くてまるで少女のような…。 輪の外から弟の笑いをかみ殺したような声が聞こえる。
(うぅッ…殴る!絶対殴ってやるッ!!)
とにかく早くこの輪を振り切らなければと、力の限り叫んだ。
「クレアです!」 「クレアちゃん?」 「名前も可愛い〜vv」
きゃぁきゃぁと楽しそうに話し続けようとしてきたがそうはいかない。強引に輪から出てプラチナの腕を掴んで「失礼します!」と叫んで走り去った。
「恥ずかしがりやさんだったのかしら…」
女官達は圧倒されてそれ以上追いかける事はなかった。
「…くく…ッふ、はは…クレア、止まってくれ…アハハ…」 「うるさいっ!!」
ガスッ!
止まった。…プラチナの動きが。
「…痛…クレア…」 「しつこいッ!」
アレクが容赦なく2発目を食らわそうとしたが、2度も同じ攻撃を受けるプラチナではない。難なくそれを流してアレクを懐に引き入れて「兄上と呼んではまずいのだろう?」と、耳元で囁く。 アレクは何とも反論することが出来ずに、そしてくすぐったくてそのまま弟の胸の中に入った。 しつこいようだがハタから見ると美青年は美少女を誰の目にも届かない場所でひっそりと抱きしめていた(謎)
20分程経過して、ようやくプラチナの方から口を開いた。
「さて、これからどうする?兄上」 「…えッ、あ!うん!!ぷ、プラムとロードを探さなきゃ!」
抱きしめられて20分。その間アレクは大人しくしていたのだった。 それはプラチナにとってはこの上なく嬉しいことであったがやはり何故急に!?と疑ってしまうのが人の心理だろう。
「抵抗、しなかったな?」
野暮なことではあるが訊いてみる。 するとなんとも愛らしく(本人に言えば確実に殴られるだろうから言わないが)恥ずかしそうに応えてくれた。
「だって…この格好だったら変に思われないだろ…!?」
確かに。いくらアレクが可愛い外見をしていようとも、彼は奈落王で二人は双子の兄弟だから。けれど二人は既に世間一般からみればあってはならない恋人同士にまで発展していた。
でも…
(兄上にそういう感情は乏しいと思っていたのだが、な)
中々どうして!?考える事は同じの様だ。
護衛、ということも兼ねてアレク、ならぬクレアは弟と一緒にプラムとロードを探すべく城下街へと降り立った。 街でも相変わらず二人は注目の的である。
(…み、見ららてる…ι)
はっきり言ってもの凄いプレッシャーである。 もしかして男なのがバレたとか王様なのがバレたとか。 それをさっき弟に言ってみたらそれは無いと即答で断言されてしまったけれど。 と、そのとき前を歩いていた弟がいきなり立ち止まった。
「どうしたの!?」
相手の長い髪をちょい、と引っ張って小さな声で訊いてみる。 すると前から捜し求めていた人物の片方の声がするのが聞こえてきた。
「キャーッvお似合いね、お二人さんvv」
聞くだけで男を魅了するような声が辺りに響く。 今まで二人を取り巻いていたギャラリーの視線の約半分が前方にいる人物に注がれた。 確認するまでも無い。ロードだ。
「ロード!お前…ッ」
アレクは今にも殴りかかりそうな勢いでロードに歩み寄る。 その顔は真剣そのものであったが、ロードは気にもしていない様子である。それどころか楽しんでいるようだ。
「そんな怖い顔して〜。女の子らしくしなきゃダメよ、クレア様〜☆」
ロードお得意の神経逆撫で美少女声が炸裂。見事にアレクはその術中にハマり頭に血を上らせてロードに殴りかかろうとしたが、すんでのところでプラチナに止められる。
「…ップラチナ!!」
離してくれと言わんばかりに睨む。しかし、そうはいかない。 兄である現奈落王は前奈落王とは違い国民全員に顔が知れている。したがってあまり注目されすぎるとバレる可能性が高いのだ。
「クレア、女装趣味があると国民に勘違いされてもいいのか!?」
声を抑えて耳元で囁く。その言葉に我に帰り冷静さを取り戻した。
「ここでは何だから他へ…」
そのとき既にロードの手にはプラチナが施した魔法の戒めがされてあった。
「で?俺の服はどこにやったんだよ!?」
部屋を借りれる店に入り、部屋に通されてすぐさまアレクは訊ねた。
「え〜!?そんなに可愛いのにもう脱いじゃうのかよ〜?つまんねーなー。」 「つまるとかつまらんとかの問題じゃないッ!!」
ばんッ!!とテーブルをたたく。
「俺の服…どこ!?」
この上なく真剣な表情のアレク。その右手には冗談抜きで最強魔法がいつでもぶっ放せる状態に準備されていた。
「わ、わぁったわぁった!!言うッ!言うからッ!!ねッvv(滝汗)」
いくら怖いもの知らずのロードと言ってもこの可愛い姿をした奈落王が本気を出せば自分では歯が立たないとよく知っているつもりだ。すぐに白旗をあげる。
「べ、ベッドの中…」 「…誰の!?」 「………プラチナの。」 『はァ!?』
兄弟の声が見事にハモる。
「な、何で??」
当然、アレクは理由を訊いた。
「ん〜〜、だってさ…ちょっと冗談で着せてみたら凄く似合っててこれをプラチナにも見せてやろうとプラムが言い出したんだ。でもさ〜、こんっっっなに可愛いんだから男として何もしない訳にはいかないだろ!?ってー訳で俺が一肌脱いで必然的にそう言うシチュエーションになったら面白いじゃん!?準備万端、終わった後にはちゃんと着替えれるようにベットにおいてやったんだよ〜…」
以上、ロードさんのわかりやすい説明でした。
「…ちょっとまて、確かに可愛いと思ったが…俺はそんなにケダモノとして見られていたのか!?」
一通り訊き終えてまず初めに喋ったのはプラチナ。
「モチのロン!」
グッ☆
親指を立ててまるでふ○やのペ○ちゃんのようにウィンクをして舌を口の端にチロと出す。
「しっかし面白くねーの。据え膳食わねば何とやらだろー!?」
デバガメをしたかったんだろう。何とも悔しそうに愚痴る。 そこに反省の色などもう微塵もなかった。 そして、今事件は起ころうとしていた。
「いや…時間的にするべきではないと…」
今まで責める側に立っていたプラチナであったが、ロードに同意し始めたのだ。
「バッカ!愛に時間なんて関係あるか!」
本来使うべき意味が間違っているがこの場合適切でもあるアドバイスでロードも便乗する。
「……そうか!?」 「そうだよ」
プラチナの問いに無責任にもあっけらかんと。いや、いけしゃあしゃあと返す。 因みにまだ生まれて数年しか経っていないからかプラチナは外見に比べて案外単純である。この時もロードの言葉を信じかけていた。
「……兄上」
静かに振り返る。
「何?」
事の成り行きを今まで静かに怒りを覚えつつ見守っていた兄は嫌な予感はしたが、冷静に返した。
「じゃぁ、行こうか」
少女の姿をした兄の元から華奢な手を引く。
「ど、どこに!?」
何となく、応えは読めたのだが恐る恐る聞いてみる。
「城に帰る。…そして…」
そして!?言葉を続けようとしない弟に今や絶世の美少女となった兄が首を傾げて訊く。
「ヤる」
たった二文字を極上の男前スマイルでお届けしてきた。いつもならその大好きなめったに見ることの出来ない笑顔にほだされてOKしてしまうアレクであったが…
ぷちッ
キレた。
「………一人で………」
ヤってろーーーーーーーーーーーーーーーーーーー………
……後日。 器用にも周りを巻き込まないように片割れだけに集中させた必殺魔法は今までに見た何よりも紅かった、と目撃者(ロード)は語っていた。
□□後書き□□
プリンセスアレクが書きたかっただけ。ただそれだけのコトvv(爆) 因みにフロイラインとはドイツ語で日本語に訳すと『お嬢さん』という意味です。響きが気に入っていたので使ってみましたvv 途中でやる気がなくなったのバレバレな位へたくそな文章になってるのが笑えますね。ヲホホ。でも、後半何とかやる気が戻りました。 今、もの凄くオリジナルキャラを交えたプラアレストーリーが書きたいですvvでも、長編になりそうなのでどうなることやら。もし、出来そうなら、凄く面白いキャラが出ますんで可愛がってやって欲しいです☆
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2002年01月04日(金)
貴方は知らない。 いえ、知っているのかも知れませんが。
…私は貴方に惹かれています。誰よりも気高く剛い貴方に。
まだ私達が彼の地にいたとき、貴方の噂を聴いたことがあります。 そのときはお互いの存在なんて知るはずもなく…。でも、一度だけ…彼の地で貴方を見かけました。 廊下ですれ違うと言うほんの数瞬の時間だったけれども。 噂の彼の者だと言う事はすぐに見当がつきました。私は貴方から目が離せなかった。
誰よりも凛々しく、誇らしげな貴方。 この地に堕ちて貴方を一番に見つけた時、悲しみなんて感じなくなりました。
…だって彼の地では身分のあまりにも違う私達が言葉を交わすなんて事、有り得ませんでしたから。
翼は失ってしまったけれど。貴方が傍にいてくれる。 共に帰ろうと言ってくれた時、私がどれほど嬉しかったか…貴方は知らない。
「…お前ね、それは未練たらしいぞ!?」
読書をしていたらそんなことをため息混じりに言われた。
「え?」 「…しおり」
ふと本にはさんであるしおりに視線を落とす。
「羽根のしおり」
呆れられた声で言われてしまった。
「そ、そうですかね?」
苦笑しながら返答しつつ、内心冷や汗を流す。 偽造のものではない。本物の…天使の羽根。 長い年月を感じさせるかのように少し薄汚れていて純白とは到底いえないが。
「どうせ堕とされた原因の『好きな人』の羽根だろ?」
…鋭い。でも…
「半分アタリです」
こまた苦笑で応える。
「半分?」
少し意表を突かれたらしい。驚いた彼を見ることが出来た。私はにっこりと微笑んで応える。
「今は大嫌いですから」
…あなたの羽根ですよ、ジェイド…。
□□後書き□□
短ッ!!(笑)これは愛の差!?いや、そんなに差があるわけじゃないと思うんだけど…(汗)ずっと前から書きたかったネタです。参謀夫婦。さっぱりしていていいですね、この二人。多分、愛とか恋とかべたべたした付き合いじゃないからなんだろうけど。双子はまだお互い幼いですからね。触れ合っていないと不安なのでしょう。でも、ジェイドさんはきっとヤるときゃヤる人なんです(カタカナやめろよ)誰よりも!!(笑)私の中では彼は超攻めなんで(爆) 今回はサフィ視点から書きましたけど、きっとこれからもジェイド視点で書くことはないでしょう(何)私には彼の考えてることが理解できませんカラ。憎まれてるのに何で生き返るかな?7人の大天使に疑問を持ったのは尊敬するけど。サフィ頑張れ。相手は手ごわいゾ(笑)
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2002年01月03日(木)
「おうじぃ〜!どこですか!?おぉじぃ〜〜〜!!」
…ぅん…!?ぁ、プラムが俺を呼んでる…。 どうしたんだろ?俺、今すっごくいい気持ちで寝てたのに(><)
「うぅ〜…何?俺寝てるんだけど…」 「うわわッ!?ど、どこで寝てるですか〜!」 「…木の上」 「危ないですよッ!!」
…時々こいつってサフィじみたこと言うよなぁ…。でも説教は聞きたくないぞ!
「で、何が大変って!?」 よし!我ながら上手い逃げ方だ!!これなら単純なプラムの気をそらせれるゾ♪
「そ、そうなのですッ!!大変大変なのですぅ〜!」
ほらな(^^) 「だから何が大変なの?」
よしよし。ま、大変大変って言うけどプラムの場合ちょっとしたことも大事件だから今回も大した事じゃないだろうと思っていたら…
「プラチナさんが倒れてしまったですぅ!!」 「え!?」
俺は一瞬頭の中と目の前が真っ白になった…。
だだだだだだだ…
あの後何とか失神は免れた。次に気付いたとき俺はロケットスタートでプラチナの部屋へと走っていた。
ばんッ
「プラチナっ!大丈夫!?」 「…うるさい」
勢いよく扉を開けて真っ先に安否を尋ねると返ってきたのはいつもほどではないものの、弱々しくも尊大な態度の声だった。
「…頭に響く」
いつも無口だけど、今は喋るのも辛いのか短く怒る。俺はゴメンと小さく呟いた。 プラチナは顔を赤く蒸気させていてはぁはぁと激しく息をしている。…これはもしや…
「…風邪!?」 「それ以外の何に見える?」
ぴしゃりとつっこまれ少しムッとして俺は
「りんご病かもしれないじゃないか!」
と言って反発しそうになったが、相手は病人。何とか堪えた。でも、ちょっと仕返し。
「そ〜言えば昔から体弱かったみたいだもんね、プラチナ」
からかってやったら「お前は健康だけが取り柄だろう」と言い当てられてしまった。
「で、何をしにきた?」
…何って…
「見舞い」 「帰れ」
即答だし(泣)
「…伝染る」
あれ?今のってすごく聞き取りにくい声だったけどもしかして俺に風邪が伝染ること心配、してくれてる!? エヘヘ♪…何だかんだ言っててもやっぱり優しいじゃん♪
「えいッ☆」
何だか嬉しくなって思わず抱きついた。 プラチナは伝染るのを気にしたのか身を捩じらせて抵抗してきた。
「よし、俺が看病してやるよ♪」 「……やめてくれ」 「あ、俺が何にも出来ないと思って心配してるだろ?確かに初めてだけど大体は判ってるんだからな。」 「例えば?」 「んと、額に置くタオルを冷やすだろ、氷枕造ってやって、お粥食べさせてやって、夜中に汗かいた下着とか取り替えて…」
がばっ!!
息も絶え絶えの筈のプラチナが急に起き出した。
「な、何だよ!?」 「………」
凄く何か言いたそうだったのに言う体力が無いのかそろそろと布団に戻っていった。
ひたり…
水に濡らせて絞ったタオルを置いてやる。 プラチナの熱は39℃と思ったより高かった。だからこうやって30分位ごとにタオルを冷やしてる。 他にも寝相を直してやったり、汗を拭いてあげたりと俺はつきっきりで看病していた。お粥はカロールとルビィが作って来てくれた。俺が作るって言ったのにカロールが『アレク様は彼の傍にいてあげてください』って目を逸らしながら言ったんだ。…もしかして…俺が料理したことないから不安なのか?…ムカツク。
色々と考えてたらプラチナの落ち着いた寝息が聞こえてきたのに気付いた。さっきまで苦しそうな呼吸をしていたから何だかほっとした。 起こさないように細心の注意を払って額に手を当てて熱を測って見るとさっきより随分マシになってる。このまま休んでおけば一先ず安心だよな。
(…汗ぐっしょり…。着替え、用意しとかなくきゃな!)
俺は新しい寝巻きと下着を取りにタンスに向かった。
額に冷たいものが触れて目が覚めた。 瞼を開けたらすぐ視界に兄上が入ってきてタオルを冷やしてくれたのだと判った。
「ゴメン、起こしちゃった?」
すまなさそうに謝るしぐさがとても愛らしい。あぁ、こんな状態でなければ…。
「熱、何とか下がってきてるみたいだよ」
喉がカラカラで声が出そうに無かったので頷いて了解の合図を送る。そうしたら俺が喉が渇いてる事に気がついたのかお手水を持って「飲む?」と訊いてきてくれた。こくりと頷くとそれを口に運んできた。
「いっぱい汗かいたもんな。あ!これ飲み終わったら着替えような。気持ち悪いだろ?」
そう言えば汗を沢山かいて寝巻きが湿気ている。着替えるに越したことはない。 水を飲み終わって新しい寝巻きに着替えようとするとお湯で濡らしたタオルを持った兄上が迫ってきた。
「駄目だよ!ちゃんと綺麗に体拭かなきゃ汚いぞ?」
…もしかして…
「俺が拭いてやるから。ほら、脱げ♪」 「…じッ…自分で出来るッ!!」
いたずらっ子のような顔をしながらじりじりと迫り来る兄上と間合いを取るように俺は後ずざった。 だがベッドの上では逃げ場に限りがある。すぐに追い詰められて窮地に追いやられた。
「気にしなくていいってば♪看病するって言い出したのは俺なんだからv」
…気にしている所が違うν…ただでさえ風邪の所為で精神的にも弱っているのに…兄上にその気はなくても理性がまともに働かなくなってしまってるんだから…はっきり言ってヤバイ。
「…しょーがないなぁ。そんなに嫌なのか!?」
ほっとした反面、嫌と言うか出来ればそう言うムードの時なら一向に構わないのだが。などと残念に思う。
「よし、じゃぁ俺が脱がせてやるよ!」
…へッ!?
「…諦めてくれるんじゃなかったのか?」 「だから!自分で脱ぐの嫌なんだろ?」
そうゆう意味ではナイ…(泣) …ギブアップ。もう無駄な抵抗はやめた。大人しくしていればいい。そう、瞑想だ。何にも考えないように……したかったのに!
「うわぁ!プラチナって着やせするタイプなんだな。案外たくましい体してるじゃん」
などと感嘆の声をあげつつ拭く、という作業だけの筈がなぜか兄上は俺の体をぺたぺたと触ってきた。 …イカン!邪な考えが…
「いいなぁ…俺もこんな感じになったら『可愛い』なんてバカにされないで済むのに」
…見たくないぞ、俺は。兄上の逞しくなった姿なんて。 その後も俺の体について色々と感想を言いながら丹念に拭いていった。勿論下半身も拭こうとしてきたが、そこは何故か最初の抵抗であっさりと条件を飲んでくれた。 何とか何事もなく(それはそれで淋しいが)無事に終わってシーツも新しくなったのですっきりした気分で再び布団に潜ろうとする。 するりと何かが布団に入り込んだ気がした。
「えへへ…vv」 「…兄上…」
一体何を考えてるんだこいつは(げんなり)
「風邪が伝染る」
ぎゅむっと押しのけて布団から出させようとするが体力が落ちているためか、力が入らない。
「大丈夫だよ。俺、そんなにヤワく出来てないもん♪」
嫌味か。 まぁいい。もし伝染っても俺の知ったことではない。…訳でもないか。結局、面倒見るのは俺だろう。 でも、まぁたまにはいいか。握られた手が心地いいことだし。…昔…『出来た』ばかりの頃、こうやって繋がっていたな、確か。 懐かしくなってほんの、本当に少しだけ握り返してみる。それに気付かれたのか猫のように擦り寄ってきた。 あらかじめ瞼を閉じて寝てるフリをしておいたので素直にそれを受け入れた。 …こんなのも時々は悪くないだろう。
□□後書き□□
久しぶりの更新です。やっと終わりましたね。これは弟ディスクが発売される前に兄ディスクでジルを仲間にするときのイベントに『プラチナが臥せっている』というセリフを聞いて考え出した話です。実際弟ディスクをプレイして、体が弱いとかクールビューティとかの印象はなくなりましたが(笑)ただ単に若年寄なだけ。アレクにおじんと言われプラムにじじむさいとなじられるても尚マイペースに寝る彼が可愛くて仕方ありません。もっとこう、激しい性格だと思ったんだけどね。いや、違う方向に激しかったけど(わがままですね、兄弟そろって/笑) 次はシリアスにでも挑戦してみます。ハイ。
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2002年01月02日(水)
ふと気になったことがあった。本当にどうでもいい事なんだけど。 でも、すっごく知りたいから聞いて見ることにした。
「ねぇ!?プラチナは『キス』ってしたことある…?」
ぶッ!!
それまで、茶を飲みながら書類に目を通していたプラチナがむせた。
「わわわッ!?そ、それ!その書類!!今年の予算案だろ!?なにやってんだよぉ〜〜…」
とか何とか言いつつその書類よりも咳き込んでる弟の背中をさすってやる俺はとっても良いお兄ちゃんかもしれないゾ♪と、思っていたら案の定「誰のせいだ?」と睨まれた。 …ん〜〜っ…ま、気にすんなって☆
「それよりさぁ、実際どうなんだよ?」
初志貫徹。何が起ころうとこれだけは訊いとかなくちゃと、奇跡的に無傷(?)の書類たちをまとめるプラチナに向かってもう一度聞いた。 するとプラチナはこめかみに手をやりはぁっとため息をついた。
いつものことでもう慣れたつもりだったがまったく兄上には困ったものだ。 大事な書類に目を通して集中してるときによりにもよって「『キス』したことあるか?」なんて…。 お陰でまだ複製していない今年の予算案がもう少しで茶付けになるところだった。
「で?本当のところどうなんだよ!?」
…まだ諦めていなかったのか。 ちょうど見終わった書類をまとめながらどう返答しようか模索してみた。 さて、この場合どう答えるのが最善か。 あると答えれば拗ねたりで色々と面倒な事になりそうだし、ないと答えれば根拠のない非難が来そうだ。(なんだよーないのかよー、みたいな。) 実際あるようでない。ないようである。 出来れば言わないほうがいい。俺の体裁の為にも(汗)
そう言えば訊いてどうするんだろう、俺? プラチナのキスの思い出なんて…。 ちょっとプライバシーの侵害だよな、それって。でも、言いたくなかったら言わないよね。気になるけどその時は深くツっこまないでおこ☆ま、なかったらないでそれまでだし。 …でも…もし、あったら!? プラチナが誰かと『キス』してたらどうリアクションすればいいのかな? 相手の人は誰? 今もそー言う仲なんだ!? …だめだ。何だか頭がぐらぐらして普通の言葉が思い浮かばないよ…。 …俺、仮にもお兄ちゃんなのに…弟の幸せを素直に喜べないかもしれない…。 変だな。お兄ちゃん失格だよ〜〜…。
そんな風に色々考えているうちに暫くしてプラチナが俺に向かって問題発言を飛ばしてきた。
珍しく兄上が俺の答えが出るまで静かに待っていてくれたから俺はどう答えるか考えることに没頭できた。
実はキスをしたことが一度だけある。
しかも目の前にいる兄上と。 でも、兄上はそのことを知らない。 知ったらどんな反応が返ってくるだろう? 俺は兄上のことが好きなのは何度か(遠まわしにだけど)伝えてる。その度に気付いてくれなかったり(哀)、からかってると思われて殴られたり(泣)と…まぁ、散々だった。 しかし、この辺で二人の関係をはっきりしておきたいのも事実。 俺は兄上の傍にずっと居て良いのは自分だけという確たる称号が欲しい。ただの兄弟ではなくて。
「…ある。」
俺はイチかバチかの勝負に出ることにした。
「…ある」 「え!?」
一瞬眩暈を起こしかけた。 でも何とか持ちこたえて。
「ま、マジ!?」 「ああ。」
こいつが嘘を吐くようなヤツじゃないことは十分判ってたが、何でかな…嘘でも冗談だと言って欲しかった…。 聞きたくなかった。 訊かなきゃ良かった。 自分勝手だな、俺…。
「そか♪なんだぁ、プラチナってばオっトナ〜☆」
わざと明るく振舞ってみる。 何だ。俺って案外器用なんだな。本当は悲しくて淋しくて仕方がないのに…。 ……あ、そうか!先を越されてムカつくんだ!!そうだよ!だって俺がお兄ちゃんなのに弟に先を越されるなんて癪だもんな。 …う〜ん…それもちょっと違うかな、ちょっとだけ。
「何を百面相している。」 「え?」 「笑ったり、怒ったり、眉間に皺を寄せたり…」 「…っウソ!?」 「ウソじゃない」
〜〜〜ヤなヤツ!! 意地の悪ぅい笑みを浮かべやがった! 俺、お兄ちゃんなのに!!
「…ある」
さて、この後はどうしようか。 取り敢えず兄上の出方を待ってみることにしよう。 ・・・・・・・・・。 あのあと2,3回の言葉を交わしたまま兄上は黙ってしまった。今は百面相をしている(笑)
(…これは…少なくとも複雑な心境にはなってくれているということだな)
予想以上の反応に少し嬉しさがこみ上げてきた。 さて、ココからが正念場だ。どうにかしてこの超鈍感な兄上に自分の想いと真実を伝えなければならないんだからな。
ムカつくムカツク!! ちょぉっと背が高くて教養もあってかっこいくてお茶淹れるのが上手いからって偉そうにしすぎだ!無礼無礼!!
「兄上は生まれたばかりの頃、ケージに入ってた頃のこと憶えているか!?」
俺がこれでもかって程睨んでいたらプラチナは急にどうでもいい話題をふっかけてきた。
「生憎!俺は出来損ないなので全ッ然憶えてないよーッだ!!」
どうせまたバカにするつもりなんだろ!?そのテには乗るか!!
「…そうか。やっぱりな…」
あ、アレ!?何か沈んでる??からかってこないのかな!?…でもケージの中って、なんでまた今……ん?
「…もしかして…俺がプラチナのファーストキス奪った…!?…寝ぼけて」
恐る恐る訊いてみる。まさかね…アハハ(汗)
「いや、兄上からじゃない。俺からやったんだ」 「あ、そーなんだぁ…て、えええぇぇぇぇえ!?」
俺は驚愕の真実を知ってしまって絶叫した…。
…やっぱり驚くよな…。体は大きくてもお互い0歳児だった訳だし(笑)
「な、何でまた生まれたばっかりなのに…?ね、寝ぼけてか!?」
予想通りこれでもかと言うほど驚いてくれた兄上はまだ目を大きく見開いていた。
「いや、意識ははっきりしていた」 「じゃぁ何で…」
当たり前の質問をされて少し困った。 実はここが問題なのだ。ちゃんと伝わるか。 自分の中でも文章に出来ていないから余計不安になる。けれど伝えるしかない。
「初めて見た世界には兄上の姿があった。見ていたら酷く懐かしいような感覚になって…少し触れてみたら『戻れた』気がした。後で聞いた話だが俺は兄上から出た欠片らしいな。それを聞いて酷く納得がいった」 「で、でも何で…き、キス…なんか…////」
言って恥ずかしくなったのか兄上は俯いてしまった。 …何だか可愛いな。耳朶まで真っ赤になってる(笑) 俺はからかいたいのを我慢して続けた。
「マウス・トゥ・マウスのつもりだったんだがな」 「…まうす…?」
俺の頭の中で国際的人気のねずみが出てきた。…多分、いや絶対違うなこれは。 そんな俺の思考を察してかプラチナは「人工呼吸だ」と短く説明してくれた。 …ああ、アレね。
「俺は兄上の存在がわかるのに兄上は俺に気付くことなく昏々と眠っていたから…もしかしたら死んでいるのでは、と思ったんだ。それで咄嗟に思いついたことが…それだ」
ほうほう。取り敢えず心配だったんだな、俺のこと。 まぁ、それならファーストキス奪われてても怒らないぞ♪ あれ!?でも…
「…そう言えば!誰かから聞いた話だけど人工呼吸はキスのうちに入らないんだって」
おぉ!!俺って偉いじゃん。これで誰も傷付かないで済むぞ☆
「…そうなのか?」
…って、アレ!?プラチナ、なんか嬉しくなさそう?何で??
「…それなら…」
そんな言葉の後すぐにプラチナの顔が俺の顔に急接近してきた。
肩に手を置いて抱き寄せて、軽く口付けた。 あの時と変わらない柔らかな感触。 けれどあの時とは違う。 兄上の瞳には俺が映っている。 兄上は本当に驚いたのか絶句して固まってしまっていた。 無理もない。突然だからな。 一度数ミリ唇を離して改めてもう一度、今度は深く口付ける。 暫くして、正気に戻った兄上から講義の拳が殺到した。 仕方がないので唇を離す。抱きしめた腕は解かなかったが。
「ぷはッ!!」
開口一番に文句を言われるかと思ったがどうやらそれどころではなくとにかく酸素が欠乏していたらしい。深呼吸を繰り返していた。
「……お前、どういうつもりだよ?」
それでも暫くして予測していた言葉を投げかけられた。
「何が?」
しらばっくれてみたり。
「…ッだから!キス!もう取り返しがつかないんだぞ!?」
怒ってるのかと危惧して顔を改めて見てみると、逆だった。 兄上は泣きそうな顔をしていた。
こいつが何を考えてるか判んないよ。 急にキスなんてしてくるし。
でも、俺の方がもっと判らない。 …キスされて嫌じゃなかった。プラチナじゃないけど、キスをされてたとき『戻った』気がしたんだ。 俺たち、元々は一人だったからなのかな!?触れ合ってると何故か安心する。手を繋いだり、じゃれあったり。 でも、さっきのキスは違う。もっとこう…切ないような、懐かしいような…くすぐったい気持ち。 ……あぁッもう!!それじゃ俺、プラチナに恋してるみたいじゃないか!変だよ、変。兄弟なのに、お兄ちゃんなのに、弟なのに〜〜〜〜…
「兄上?…泣いているのか?」
どうやら色々考えていたら涙目になっていたらしい。プラチナが心配して声をかけてきてくれた。 どう答えていいのか判らなくて見つめられているのが何だか恥ずかしくて…俺はプラチナの胸に顔を埋めた。これも恥ずかしいけど見られるよりはマシ。それに離してくれないんだし。
言うなら今だと思った。シチュエーション的にオイシイ!(笑)
「兄上。…兄上にとって俺はどんな存在なんだ!?」
抱きしめる腕の力をほんの少し強めて言った。 その言葉に嬉しいことに俺の胸に顔を埋めてる兄上がぴくんと反応するのが判ったが、まだ伝えたいことがあったので続けた。
「俺は唯の兄弟だけでは満足出来ない。…兄上を独り占めしたいと思っている。他の誰にも渡したくはない。…だから…キスしたんだ。兄上の『特別』になりたかったから」
兄上がもぞもぞし始めていた。でも、俺はまだ離す気はない。答えを聞くまでは。
「…兄上は…どうだ!?」 「…俺は…」
まだ顔は埋めたままだけどようやく話してくれた。続きを待って俺は耳を澄ます。
「俺は…お前の事…す、好きだ…けど…」
まだもぞもぞと動いている。どうやら離れたいのではなくて気分的にじっとしていられないみたいだ。
「兄弟じゃなかったら俺達は何なの?」
(俺だってプラチナを独り占めしたいよ…でも…)
「兄弟じゃ無くなったら俺はお前の…何になるの!?」 「…恋人、が妥当な所だな」
…やっぱり…////
「俺なんか恋人にしても何にもしてあげられないよ?」
そう、それで呆れられるのが一番怖い。
「俺がする側だから安心しろ」
…今、ニヤリって…(汗)
「それにな、何も兄弟でいることを辞めるわけじゃない。兄弟兼恋人だ」
兄弟…兼…恋人?
「その方がより特別な関係だろう?」
面食らって見上げたらそこには優しげなプラチナの顔があった。
「……そだね」
何だかその笑顔を見たらつられて俺も笑顔になった。 えへへ。何だかさっきまでの胸のモヤモヤが一気に取れたみたいだ♪やっぱり凄いなぁ、プラチナは。 ……自慢の弟兼恋人…だね☆
後日談だが。 何だかんだでようやく兄上のハートを見事射止める事が出来たわけだが大きく変わった事と言えばスキンシップが増えた事くらいだった。 しかも、兄上『から』限定で。 俺からは余程の事が無い限りしないが、その『余程の事』の事態の時に拒まれるのは流石にヘコむ。…というか、欲求不満に陥ってるのが現状だ。 目の前にご馳走が並んでいるのに食べてはいけない、蛇の生殺し…。 ……まぁ、あのサフィルスの教育内容の中には『性行為』は含まれていなかったのだと考えるのが一番妥当だな。 力で無理やり押し通す事も可能なのだが。…それは最終手段としてとっておこう…。 今は兄上から施してくれるおやすみのキスとほっぺのキスで我慢することにしようか…。
ヲワリ。
□□後書き□□
プラチナのみ誰だよアンタ(泣)…いえね、私の中のプラチナはあんな感じなのデスよ。生まれた時から兄上ラブーッ!!みたいな(有り得ん)ってか今回のヤツは短いのにするハズだったのに何故か第1章より長くなっちゃった〜!!二人の心情を交互に書いたからカナ?…敗因は。とにかくプラチナディスクが待ち遠しいデス。だってプラチナ落とせないんだもん(号泣)きっと両方インストしたら出てくるオリジナルストーリでやっと落とせるのね。 はぁんあ、楽しみ楽しみvv
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2002年01月01日(火)
「ねぇ、温泉に行かない?」
突然で突発的で急な発言をしたのは金の髪に真紅の瞳を持つ可愛らしい少年。 ここ、奈落の国の第1王子・アレクサンドル=パストゥールこと、アレクであった。
「…い、イキナリですね。王子…。」 いつもの事ながらアレクの我侭に参謀兼教育係のサフィルス=ホーソンは呆れつつも苦笑顔で応える。アレクはそんな彼の態度に少しムッとして、「だってお前、この前温泉入りたそうにしてたじゃないか!」と、何とも子供じみた癇癪を起こした。
結局なんだかんだあっても温泉街へ赴くことになった。 決まれば早いものである。楽しげに準備を手早く済ませて一行は現地に着いた。
…が。
「…あ…。」
先頭を歩いていたアレクが急に立ち止まって素っ頓狂な声を上げた。 そのすぐ後ろを歩いていたサフィルスは何だろうと視線をアレクからアレクの先に向けた。そして石化。
「おや?コンニチワ、お二人とも。」
固まっている二人の視線の先にあるメガネをかけた人物が馴れ馴れしくあいさつをした。 そう、その温泉街に宿敵(立場上/笑)であるプラチナとジェイドも来ていたのだった。
結局危惧していた(サフィルスの場合はただ単にジェイドに会うのが嫌だっただけだが)『継承戦争』が勃発する事は無かった。
理由は簡単。 お互い純粋に温泉旅行を楽しみたかっただけの事。
満場一致でとにかく温泉旅行の間は奇しくも休戦という形がとられた。…というハズなのだが。
「なぁなぁ!?プラチナも一緒にお風呂入ろ♪」
休戦協定が結ばれた直後、アレクは開口一番にプラチナを誘った。 もちろんサフィルスがすかさず止めに入った。いつも王子の我侭は最終的には聞き届けてやっているが、今回は違う。敵と一緒に風呂に入るなんて言語道断。
(…それに王子の裸なんて見せて取り返しのつかない事になってしまったら…!?)
まぁ、まずそんなことは無いとは思うが。(笑) それにアレクと違ってプラチナはちゃんとアレクを敵として見ている。きっぱりと断られてアレクも諦めるだろうと踏んだのだが…
「…いいだろう。(ニヤリ/裏のある笑み)」
プラチナは露天風呂の入り口の前でアレクを待っていた。 アレクに「用意してくるからまってろよ!」と言われたからだ。 何を用意するんだ?と、ほのかな期待をした瞬間、
「洗面器と石鹸と洗髪剤とアヒルのおもちゃってトコですよ、プラチナ様。」
と言うジェイドの手厳しい突っ込みが入ってきたのは言うまでも無い。
「プラチナ〜♪」
色々と考えていたら時間が過ぎていたらしい。前方からアレクの声が聞こえてきた。 …のだが。
(…俺は幻聴を聞いたのだろうか!?いや、確かに兄上の声だった…でも…)
今前方からプラチナに向かって駆け寄ってくるのは浴衣を着た少女であった。 しかもとびきりの美少女。 艶やかな金の髪を背中まで伸ばしていて、背はプラチナとは頭一個分の差。大きな瞳は真紅の色をしている。
(…って、え?)
金の髪?真紅の瞳??
「何ぼーっとしてるんだよ!?」
そう、美少女だと思っていた人物はアレクだったのだ。
『…よく見てみれば確かに兄上だな…』 アレクの顔をまじまじと見つめながらプラチナは自分に言い聞かせるように言った。 一方アレクは
『??ど、どーしたんだよ!?』
と、訳がわからずプラチナに問いかける。 するとプラチナはいたってマジな顔をしてまっすぐアレクを見て言った。
『いや…さっき兄上が女性に見えたから…』
ガスッ!
『俺のどこをどうしたら女に見えるんだよッ!!』
プラチナの顎に綺麗にパンチを入れた右拳をわなわなさせてアレクは怒り心頭に叫んだ。 プラチナの方はと言うと、一瞬そのパンチに怯みはしたものの大した力が入れられていなかったのか大したダメージにはならなかったようで懲りずにさらに言葉を付け足した。
『だが、そこらへんの女性よりはずっと可愛く…』
バキッ!!
…今度は容赦なくアレクの華奢な右腕の肘がプラチナの腹部にヒットした…。
二人は露天風呂に入っていた。 けれど、当初予定していたムード(何を考えてんだ)とは全く違って…
『…すまなかった、兄上。』 『……。』 『兄上、悪かった。』 『………。』 『兄上……。』 『…………』
二人の周りにはとても重い空気が渦巻いていた。 どうやらアレクはプラチナの言葉に相当憤慨してしまったらしい。 いつもは尊大な態度をとっているあのプラチナが必死になって謝罪していても一向に許してくれる気配はなかった。
『…あにうえ…』
もう何十回目の呼びかけだろうか!?ようやくアレクが反応してくれた。
『もう!うるさい!!そんなに素直に謝られたらまるで俺が悪者じゃんかよぅ!』
いい加減無視出来なくなったのかアレクも折れて出た。
『…有難う、兄上。』
ようやくまともに話してくれたアレクにプラチナは礼の言葉と安堵の笑顔を向けた。
『…それ、…その笑顔、反則だよぉ…』 『え!?』 『だって俺、プラチナのその顔見るの好きだもん。』 …顔?自分はそんなにおかしな顔をしていただろうか!? はてなマークを飛ばしてプラチナは自分の顔にてをやった。
『気付いてないの?プラチナ、時々すっごくかっこいい笑顔するんだよ!?』 『かっこいい笑顔!?』
…正直驚いた。何故なら笑ったのは認めるが、先程のは完全に頬の力が緩んでいたからあまり格好の良いものではなかったと思ったからだ。
『俺もそんな感じに笑えたらこんな風に…女みたいとか言われなくて済むのに。』
セリフ後半はプラチナをジト目で睨んでいた(笑)
『何を言っている。兄上は兄上だろう!?俺をまねても仕方がない。…それに。』
今度は肘鉄を食らわないように(爆笑)プラチナはフォローを入れようとした。
『それに?』 『俺は兄上の笑顔が好きだな。うるさいのはタマにキズだが。見ていて癒される気がする。』 『ほ、ほぇ!?////』
そう言われてアレクの顔はみるみる内に赤く染まっていった。
『な、何だよぉ!!褒めても何も出ないぞ!?』
ぶくぶく… 照れた顔を隠すように、言ってすぐ顔を半分湯につからせる。
『褒めたのではない。事実だ。可愛い、からな…兄上の笑顔は…。』
テレながらプラチナは、ある意味一世一代の告白を試みた…が。
バシャッ!!
返ってきたのは好きな人の声ではなくお湯。
『やっっっぱり!バカにしてるッ!!』
アレクがバカにされたと勘違いをしてプラチナの顔にお湯をお見舞いしたのだ。 ばしゃばしゃばしゃ…
『…あ゛、あ゛に゛う゛え゛…!?』
その後も1分程容赦なくプラチナにお湯はかけられ続けた。 プラチナは必死で逃げたがアレクはそれを許さない。
…アレクがプラチナの気持ちに気付くのはまだまだ先の事。
□□後書き□□
別人28号。誰だよお前ら。(泣)難産でした〜…途中で『ヤヲったろか』とか何回思ったことやら。そしてせっかくの温泉って設定が活かしきれなかった。裸なのよ!?髪の毛下ろしてるのよ!?漢(おとこ)なら襲えよプラチナ!!(爆)とにかく今、飢えてますので次はギャグは書けません。ラブラブorちょびっつ『ヤ』v(死)ううん、逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ…!(謎)
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