世間で言う深夜残業、ウチの感覚では晩メシ時であと三時間弱働かなきゃ、という21時半を過ぎた頃。 おもむろに、隣の先輩が立ち上がり、 「なぁ、食うもん持ってない?」 「無いです。コバラ減りましたね〜」 そして二人で別の持ってそうな人に声を苅テけて回る。 ゾンビの行進よろしく、四・五人でゾロゾロと練り歩く。不気味な光景だったかもしれない。 当の本人達はそうと知る由も無かった。 てか、潔くコンビニに行けば良い事を自分も含め、気付きつつも誰も口にしなかった・・・ 収穫が「ゼロ」だったのが悔しかった。
帰りに弁当屋に寄った。少し混んでたので、唐揚げと弁当を頼んでお金を払い、唐揚げ片手に弁当のできるのを待つ。 気付くと他の客は自分の弁当を次々に受け取って姿が無くなっていった。 店のおばちゃんと見つめ合う・・・ 「ご注文でしょうか?」 「弁当、待ってるんですけど」 「!すぐお作りします!すみません!」 忘れられてたよ。 「申し訳ありませんでした。唐揚げをお付け致しましたから・・・」 「あぁ、いえいえ・・・」
店を出て気付いた。 唐揚げ、別に買ってあるじゃん!
今夜の食事は、たっぷり唐揚げ弁当です。
大工道具(ノコギリ・カナヅチ・釘)と、あわよくば木板材を買いに、ハンズに行った。 戸惑った。 父親の影響だが、ホームセンターでその類は今まで揃えていたから、今の事情とはいえ、まさかここに来ざるをえないとは・・・。 実家の家具は、父親の日曜大工の占める割合が多く、本棚・机・クローゼット・・・と、いとまがない。 既製の家具に手づくりの感を求めるのは、流行りとは別に、父親の影響だ。 三つ子の魂百まで、というヤツだろう・・・。
WEBで小説を書いてるサイトを覗いた。 よく出来た数々の作品に感心させられた。書き込んだ(量を)もの勝ちなのか、自分はまだまだとも思った。 当たり前だろうが、登場人物達には名前が付けられていた。 自分のには無いもの。 独白系の話しか書いてないこともあるが、理由がある。 名前のある人物は、他の誰でもない存在になる。そこに存在してしまう。時にそれは、その者自身にとって邪魔にもなる。 名前の無い存在は、誰のものでもなく、また、誰のものでもある。 形が無ければ、どんな形にもなれるハズだから。 ちと、独り語ちてみた。
雲が流れる 風が流れる 体を吹き抜ける
煙草に火をつける 紫煙が風に乗る 流れてゆく 風に溶けてゆく
香りだけが残される
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