2008年11月29日(土) |
「ベガスの恋に勝つルール」 |
「ベガスの恋に勝つルール」
をギンレイにて。
キャメロン・ディアスは、やっぱりキュート、です。 婚約者の彼に、彼の家でサプライズ・バースデー・パーティーで迎えようと皆を集めたその目の前でふられた彼女と、父の会社をクビになった、賭けにのらなければ勝負が着くまでやらないいい加減な彼が、憂さ晴らしに行ったベガスで出会い、酔った勢いで結婚してしまった。 酔いが醒めた翌朝、結婚は取りやめようとケンカになりながらも話をつけ、最後に回したスロットがジャック・ポッドに。 三百万ドルを手にした彼に彼女は飛びつき、「わたしたちのものよ」と彼に左の薬指を突き立てる。
キャメロンの演技が、めっちゃキュート。
Do you remember?
三百万ドルを手に入れるため、夫婦として一緒に暮らさなければならなくなったふたり。 もしくは相手に過失を認めさせて離婚に持ち込むため、足を引っ張り合ったり、すったもんだの日々。
いいね。 楽しかったね。
キミにふさわしい女性になろうと、彼女は努力した。
婚約者だった男に彼はいった。
キミは僕にふさわしい女性になった。
彼との飾らないドタバタの日々の彼女に、男は戻ってこいという。
……考えちゃいますね。
なんてこったぁっ(絶句)
て(笑)
ふさわしくなる、だとか、なった、だとか。 相手が決めるものじゃないし、まして他人が決めるものじゃあ、ないでしょう。
……わたしにふさわしい女性は、わたしに耐えられるタフなひと、です(笑)
突然ですが。
女性の涙は、わたしを、ぽっかりと空洞にさせます。 からっぽのがらんどうになるものだから、その空洞に、思う存分、跳ね返り、揺さぶり、わたし自身をたいそうおぼつかなくさせ、おぼつかないわたしを、ただなんとか一定のところに落ち着かせようと思うのだけれど、おぼつかないものだから、当然、手元も思考もおぼつかなく、どうしようもないやるせなさとせつなさと歯がゆさと、だからやっぱりやるせなさに途方に暮れてしまうばかりになります。
そらさん、いや、小西さんのただ泣き崩れる姿を前に、ただただわたしは、真っ白な空白の世界で、出口のドアの絵を描こうとしてみても、真っ白な世界にあるペンキも絵の具もペンさえも、それはすべて真っ白しかなく、いくら描こうと、描けた気になるどころか、カベなのか宙なのかさえもわからなくなって、やっぱり、途方に暮れてました。
昼休み、斜め向かいに同僚先輩らと昼食に丼屋に来たらしい若き女性がいました。
わたしは目を奪われてしまいました。
ガツガツ、もぐもぐ。
どんぶりをよいしょと持ち上げて、かき込んで、ほっぺたを膨らませて、小気味よいテンポで、食べてゆきます。 ときおり味噌汁で、ズズッ、と流し込み、そして。
……さまでした。
手を合わせ、ぺこりと軽く頭をたれ、
さ、いきましょっか。
同僚先輩らと、サッと席を立ってゆく姿。
こころを、奪われました。
黒髪の、しゅっとひとつに束ねた、ほそおもての女性。
気持ちよい食べ方は、見ている人間を、幸せな気持ちにさせてくれます。
がむしゃらにほおばるだけじゃあ、ないんだな、これが。
なんだか、おぼついてない、ようです。
2008年11月23日(日) |
「ぼくの大切なともだち」と「森の中のママ」 |
「ぼくの大切なともだち」
をギンレイにて。
あなたの葬儀には、誰一人こない。 なぜなら、あなたには友達なんていないもの。
ギャラリーの共同経営者にそう言われる。
十日間のうちに、親友をわたしたちに紹介して。でなければ、あなたが落札した品物をいただくから。
フランソワは翌日から友達探しをはじめるが、誰ひとり、彼を友達だなんて思っている人間はいなかった。
傲慢、自惚れ、最低のクズ野郎だ。
自分の何がいけないのか、友だちとはどうやってつくるのか。
フランソワの友達探しに同行していたタクシー運転手のブリュノが、フランソワに親身になって協力してくれ、やがてふたりは友情で結ばれてゆく。
はずだったのが、
こんな賭けをすること自体、友だちがいない証拠。 愛に証拠はない、ただ愛があるだけ。 わたしはあなたと、友だちになりたかった。
賭けのことを知らされ、ブリュノは友情だとしんじていたものを裏切られ、失意の底に落とされる。
ブリュノはクイズ番組の最後の問題で、ライフラインの「友だちに電話」で、迷いながらもフランソワの名を選ぶ。
司会者の「お友だちですか?」の問い掛けに、
答えを知っているだけの人です。
と答える。
僕はきみにとってたくさんいるキツネの一匹だけど、互いになじめば、かけがえのない関係になれる。
フランソワは、裏切りの謝罪と一緒に「星の王子様」の一節をブリュノに伝える。 この一節は、ブリュノが書き留めていた大切な言葉だった。
ブリュノはフランソワが教えてくれた答えを選び、見事に賞金を手に入れる。 その姿をひとりテレビの前で眺めながら、ブツンとテレビを消すフランソワの背中。
一年後、フランソワの誕生会に、ブリュノがひとり現れる。 裏切って、クイズで電話で謝罪して以来の再会。
彼は誰だ? パパの親友よ。
フランソワの娘が、誇らしげに笑顔で答える。
朝のセーヌ川。 フランソワとブリュノ。
賭けるかい? 友だちとの賭けはこりごりだ。
フランソワは笑って応える。
……。 よしにつけあしきにつけ、できることとできないこと、応えられること応えられないこと、それらが、次第にはっきりとした線で見えてしまうようになってゆく。
こう言えばこう答えるだろうから。 こうしとけばこうは答えないだろうから。
そのまんまに運んでゆき、怖くなったことがあります。
わたしはそんな立派なヤツじゃない。
と、すぐさまぶっちゃけるヤツです(笑) そして、妄想家です……。
さて。
井上荒野著「森の中のママ」
何の関係もないコーナーの平台に、ちょん、と無造作に置かれていた本でした。 さらっと手にとって、読後、むむう、と思わされました。
なんとなくこんな感じ
という作風のイメージがあったのだけれど……。
うぎゃ。
裏切られました。 こんな顔もあったのね。
一方的なイメージの押し付けは、やはりよくないです。
井上荒野作品に、さらに興味が湧いてきました。
読むべきときに読んだ感がたっぷりです。
だてに
わたしはここにいるっ!
と、たったひとり、面をあげていたわけじゃあ、ありませんでした(汗)
ネタのメモやらは携帯のメールでやってます。
普段の日記の作成も、携帯のメールでやってます。
送信履歴の九割九分が、自分関連のアドレスです……汗
昨夜、布団にもぐって作成していたらそのまま寝てしまいました。 目覚ましの携帯のバイブレーションが、朝になればわたしを起こすようになっています。
ヴィーン、ヴィーン……。
プチ。
と、ボタンを押して止めます。 どのボタンを押しても止まります。 数字ボタンでも、サイドのボタンでも。 なのに、わたしはなぜかいつも電源ボタンを押して止めてしまうもので、しかも今朝は、やけに景気よく連打して止めてました。
ポチポチポチ。 わかってます、朝だってんでしょ。 ヴンヴン騒がなくても、わかってますよ。 ほら、起きたでしょ。
王様のブランチのブックコーナーがカレンダー特集で、ちっ、と舌打ちをしながら、ふと気づきました。
寝る前に、メモ打ってたよね。 けっこう調子づいて重要な感じだったよね。
携帯の送信履歴、未送信フォルダを見てみても、見当たりません。
ポチポチポチ。
電源ボタンを連打しちゃってたよね。
てことは。
保存しないで、自らの指で消去していた……?汗
はい。 わたしのあたまは鶏頭です(笑)
寝ている間にしているであろうはずの、記憶の整理なんか、部屋と同様、うっちゃってます(汗)
混沌から、すべては生まれた……。 宇宙のはじまりと同じ、です(汗)
鍵になるなにか、と出会えば、するすると出てくるのだけれど、なにがその鍵なのか、とんとわかりません。
ショックです……涙
あーあ。 せっかくサービスしてやったってのに。
竹が呆れた顔をしています。
俺ぁ、知らないよ。てめえでなんとかしな。 そんなつれないこと言わないで……。 どうせ後で何度も赤を入れて書き直すんだから、いいじゃん。 そりゃあ、そうだけど。赤入れるネタの、その大元になるメモは、いくらあったって困らないし大事なもんなのっ。 大事なもんなら、大事にしないてめえが、悪い、だろ。俺に泣きついたりしたって、そりゃあ俺のボランティア精神の揺れ方次第ってやつさ。 いけずぅ……。
……。 朝起きた瞬間のわたしは、空っぽです。空白からやがて、朝だ、寝てた、起きなきゃ、時間は? となり、意識よりからだをうまく(?)動かして、思考を働かせてゆきます。 体がわたしの思考ではなく意識によって動くからこそ、居空き(居るときを狙って入る泥棒)に対して恐怖やためらいを微塵もなしに飛びかかる、ということもしてしまうわけです。
思考が働いていたら、じっと動けずにいたことでしょう(汗)
空っぽだからこそ、道のりを確かめなければならず、道なんか覚えちゃいないものだから、たいがいは前だけ見るしかないじゃん、ですまそうとします。
ネタは、別です。
まあ、大事なものはすべからく大事なものとして、必要なものとして、身についてゆくなり、ついているはずだと、信じるしかありません。
竹は放置しておいて、自らそれを喋りたくなって出てくるのを狙うしかありません……汗
三連休ですから(笑)
来ましたっ!
郵便受けに、メインバンクからの配達記録が、入ってました。
カードだ。 カードに、違いない。 待ちに待ったカードが、送られてきたのだ。
再配達なんて、土曜日まで待っていられない。 上野郵便局に、ゆうゆう窓口に、取りに行きました。
受け取った窓口のすぐ目の前で、
ビリビリ
と開封しました。 胸が躍るとは、まさにこのこと。 躍り過ぎて、思うように手が動いてくれませんでした。
えい、もう。
がさがさ、ばらばら。
……口元がゆるむのを、止められません。
むずむず、にやにや。
せーの。
台紙をぱらりと開き、わたしは、ぎゅっとこぶしを握りしめました。
「オンライン登録カード」
と、書いてありました。
ぺり、とはがして、裏っ返しにしてみたりしました。 何度も。 ぱたぱたと、振ってもみました。 何度も。
裏面の注意書きも、じいっと眺めても、みました。
ゆるんだ口元が、ばかになりました。
はあっ、はっはっ……はあ?
肝心のキャッシュカードはどこにもなく、オンラインバンクが利用できるようになる登録カードだけだったのです。
それでどうしたらよいのでしょう。
ええと、あっちの口座にインターネットで振り込んで、そこから引き出す。 うん、手数料は「ご祝儀」だ。
……そんなの、ヤです。
まだ、頑張ります。 このままでは給料が振り込まれても、おろせません。
だけど……。
まだ、だいじょうぶです。 貯金していると思えばなんのその……。
2008年11月18日(火) |
ふところに44 マグナム |
「20世紀少年」などの浦沢直樹さんの作品のひとつ、「パイナップル・アーミー」のなかで、子どもたちに護身術を教えている場面があります。
いいか、ふところに「44マグナム」が入っているつもりで、勇気を持つんだ。だけどそれを抜いちゃあいけない。 お前らのその勇気に相手がひるんだら、全速力でにげろ。 勇気を出したまま、大声で誰かを呼びながら。 護身術は、戦うためのものじゃない。身を護るためのものだからな。
ダウンタウンの小学校に通う子どもたちにむけた、レクチャーです。
よし。 ふところに「44マグナム」を忍ばせているつもりで……。
弁当屋で、どどん、と弁当を買っちゃおうかしら。
まだ、残高のある銀行のカードは送られてきてません。 使えなくなっている、前のカードなら、あります……汗
ふところに「44マグナム」が……汗
タケシ(作品の本当の主人公の名前)の声が、リフレインしてます。
抜くんじゃない。 全速力で、逃げるんだ。 大声で叫びながら……。
うがあああぁーっ。 食いてぇよぉおおぉ。
背を向けて、道向こうの赤札堂に駆け込みました。 その弁当屋は、いつものわたしの弁当屋(笑)とは同じチェーン店でも違う店でした。
はあっ、はあっ。
息を切らし、点滅していた信号を渡りきったわたしが足を向けたのが、納豆売り場です。
オー、マイ、ガッ!
「本日限り、ひとパック(三個入り)『七十七円』!」
『七十七円』です! 昨日売り切れで買いそびれたものより、十円も、安い!
もちろん買いましたよ、三パック。
「戦うためのものじゃない。 身を護るためのものなんだ……」
2008年11月17日(月) |
上や(野)下や(谷)の騒ぎ |
「上野警察ですが……」
留守電に伝言が入ってました。
そうです。 財布が拾得物として届けられた、とのことでした。
あの、ちなみに中身は……? ええと、現金はないですねえ。免許証とカードの類いが、いろいろと……受け取りのさいに確認してみてくださいな。
平日の夕方までしか窓口を開けてないので、気をつけてお越しくださいね。 あの、盗難届けを「知能、犯、捜査、係」のほうに出してるんですが……。 あ、下谷署さんのほうだった……。 それならそれも、受け取りのときに……。
ということで、夕方間際に行ってきました。
現金以外、ごっそり、残ってました。
神田明神の「大吉」のおみくじも、 神田明神の「小吉」のおみくじも、 根津神社の「大吉」のおみくじも、
……て、どんだけとっといてんねんっ。 おみくじの中身には、
「失物」……家の中にある。
て、不忍池のボート池に浮かんでたのを、拾われたらしいやないのんっ。
家族や恋人たちが「キャーキャー」楽しいひとときを過ごしているその波間を、まる二週間、漂ってたらしい、です。
わたしに似て、どんだけ漂うのが好きなんでしょう……汗
「紛失」ではなく「盗難」なので、拾得物を管轄した上野警察署から、被害届を出してある下谷警察署に手続きにゆく予定だったのですが、上野警察署内の刑事課で手続きをすませることになりました。
「おふくろさんも、泣いてるぞ……。腹減ったろ、カツ丼食うか? あとで清算してもらうんだけどよ、俺がだしといてやるから」 「ううっ……。おっ母さんっ(涙)」
の部屋などには、もちろん案内されず(笑)、だけど二畳くらいの個室で、調書を作成しました。
「紛失」だと、ただ受理書だけですむのだけれど。 「盗難」なので、拾得物の会計課から刑事課に渡され、それをわたし本人が刑事課の方とわたし本人のものです、と確認して、「だから返してください」と、盗難物のリストのひとつひとつに書かなければならないのです。
なんか、とてもなさけない気持ちにさせられますね……。 すみません、書類上の決まり事なので……。
そうか、
「返却求む」
と書けばよかったんだ!
あとの祭りです……汗
二週間、池を漂ってたわりには、弁当屋のスタンプカードが、しっかりと生きてました(喜)
よっしゃ。
蓮池に放り投げられてたら見つかることもなかった。 うん。 幸運だったね。
キャッシュカードも全部、返ってきた。 うん。 だけど、使えないね。 (笑)
はやく再発行のカードが届いて欲しいです。 肝心要のカードが、よもや最後の最後になるなんて……。
おかげで節制しとるんやない。 うん。 それは幸運だね。
……笑
2008年11月16日(日) |
「アンボス・ムンボス」とランナー |
東京国際女子マラソン
目の前を、走り抜けてゆきます。
なぜ、走るのか……。
少しも辛くなどない、ジョギング(辛かったらそれはジョギングではない)や、ウォーキングなどとは違い、限界まで己を追い詰める行為。
わたしは、路傍でただ眺めているだけの自分が、哀しく思えた。
苦しみを乗り越えて、いや、苦しみと共に、自分はいま、何かをしているのだろうか。
やりたいこと たのしいこと できること
ばかりの日々。
苦しみを知らずに、果たしてそこに真の喜びがあるのだろうか。
敢えて苦しみを自覚する必要はない。 しかし、もしも喜びを感じたときに、ひとかけらでもいい、その陰にそれがあったことを思い浮かべられるような、日々を送っていたい。
そして。
桐野夏生著「アンボス・ムンドス」
桐野作品は、硬く、そしてひっそりと、だけど強烈な毒をはらんだ世界、という印象があります。
ミステリー系作品のミロシリーズは読んだことがありませんが。
ザクッと、深い闇のなかをえぐり、さらけ出す。 短編集のこの作品も、桐野ワールド全開、でした。
そして……。
わたし、竹も、全開で……。
水道橋のマイカフェで、七時間半、経ってました。 珈琲一杯のみ、です(汗) 読んでいた時間を差し引いても、六時間は、書いていたことに。
店員さん、ごめんなさい。 顔ぶれが、入店時とすっかり入れ替わっていたものね。 わかっちゃいないか(笑)
だけど、そんなに書いたわけじゃあないのです。 せいぜいが十枚程度。
ペース、遅っ。
相変わらず、字はのたくってるし、読めるのかしらん……汗
さて、そんな不安は置いといて。
さあ、とうとうやって来ました。
水道橋やギンレイからの帰り道、東京ドームからラクーアを通り抜けるルートが、わたしのなかから消える季節がやってきたのです。
恋人たちが
ワー(きれいっ) キャー(すてきっ)
と、素敵なひとときを過ごす
「イルミネーション」
が、素晴らしく、一面に、強烈なまばゆさで、光を輝きはなっているのです。
はい。 わたしは、そんなところのなかを歩けません。
恋人たちが、まぶしくって……。
ではなく(汗)
目を開けていられず、くらくらしてしまうのです。 ざっくりとした、穏やかな光のものなら、たぶん平気です。
最近のはLED技術の進歩なのか、ちいさくこまかく、強い光の洪水のものばかり……。
まぢ、勘弁してください……。
2008年11月15日(土) |
「最高の人生の見つけ方」と、来たあっ |
「最高の人生の見つけ方」
をギンレイにて。 モーガン・フリーマン。 かっけぇ……。 いや、そんな話ではなく。
ガンで余命半年と言われて出会った金持ちと庶民の自動車修理工。
バケット・リスト (棺桶リスト)
死ぬまでにやりたいことを書き並べてゆく。
・見知らぬ他人にやさしくする。 ・荘厳な景色をみる。 ・子供の頃から憧れたマスタング(スポーツカー)を運転する。 ・死ぬほど笑う。
修理工のカーターに対して、しけたことばかりじゃないか、もっと楽しむことを書け、と金持ちのエドが、
・スカイダイビングをする。 ・シルクのスーツを買う。 ・世界一の美女とキスをする。
などを書き足し、ふたりで実行してゆく。
正直、地味です。
だけど、素敵な作品です。
エドには、わけがあってずっと会えないでいた娘がいました。 カーターのお節介で、一度は「余計なことをするなっ」と、娘と会う前にカーターとケンカ別れをするものの、あらためて、ひとりで会いにゆきます。 娘にはちいさなかわいらしい娘がいて、「はじめまして」と抱きしめ、キスをします。
「世界一の美女とキスをする」
リストに線をひいて消すエド。
カーターは、妻の制止を振り切って、エドとの旅にでることを決意しました。
彼女に惚れて、愛し合って、子どもも生まれて、孫たちにも囲まれて。 だけど……。 子どもたちが独立していって、騒がしさも、邪魔するものもなくなったのに、彼女とふたりで過ごしていたあの頃の気持ちが思い出せないんだ。
深い、です。 子どももおらん、妻もおらんのに、なにをわかったようなくちを……て?汗
倒れて最期の手術室に運ばれてゆくカーターに、投げキッスを両手のひらにのせ、そっと送る奥様に、
あんな奥さん、ええやないのんっ。
と(笑)
さて。
来たっ。 来た来た来たっ。
銀行からカードが届きましたっ。
いぃやっほうっ!
……でもないのです。 届いたのは、公共料金やらの引き落としに使っているほうの銀行でした。
はい。 残高なんて、ほとんどありません。 今それを引き出してしまうと、
「残高が不足してました」
と振込用紙がほうぼうから送られてくることになってしまいます(汗)
それでも、ないよりましです……笑
2008年11月14日(金) |
ためらい立ち居て寝て待つ月夜に |
昨夜は十六夜、今夜は立待月。
雲の切れ間から、ぽっかり、顔をのぞかせてくれたりして、思わず、不格好なウィンクを送ってみたりしてみてます(笑)
ためらって、立って、居て、寝て待つ夜が続きます。
待ってたって、来なけりゃしょうがない。
財布? カード? だからなに?
……うそ、です。 現金だけ、帰ってきてっ!笑
白い月が♪ 笑ってるよ♪
品川駅のe-cuteの前で、手を握られました。
むにゅ。
へ?
ママとはぐれまい、とした女の子が、ママの手と間違えて握ってしまったようです。
あっ。
声には出さず、ただまあるく、「あ」のかたちに開いた口のまま、わたしとしばしにらめっこ。
「すいません、すいません」
ママが慌て手を取り、いえいえ、と笑いながら歩き去るわたし。
「手」って、ちっちゃいのに、あったかくて、やわらかくて、命のあったかさなんだな……と。
ちょっと待て。
わたしの手は、マウスもキーボードも机も結露をおこすほどの、じっとりぶり。
「チョー気持ち悪りかったぁ」
なんて、言われてないかの心配が……。
月がとってもきれいだから、 遠回りして帰ろ。
そう。 月がとってもきれいだから……涙
2008年11月13日(木) |
とっととやっちまいましょうや |
定額給付金?
さんざん耳にしまくっているかと思いますが……。
くれ。 すぐにくれ。
という本音は棚に上げときます。
よいしょ、と。
……ばっかじゃねえのっ。
ひとりあたり一万円強、ですか。 毎月くれるんですか。 一回こっきり、ですか。
はんっ。 なんの意味もなさねいや……。
有効な経済効果なんて、でやしないと思います。
原価高騰がおさまると思いますか。 社会経済が活性化するほどの経済活動を、買い物したり遊興費につぎ込んだり、しますか。
家計で苦しかった、その苦しさが、つかの間やわらぐだけでしょう。
しかもその間に、さらに高騰したり、消費税が倍になったりして、どんだけの意味があるのですか。
朝三暮四よりも、もっとタチが悪い。 国民は猿じゃあねいぞっ。
対策委員会だかなんだか知らないが、それだけでとんだ無駄金を使ってるのを、皆知らないとでも思ってるんだ。
委員会だかに集まる議員さんたち全員の交通費、飲食代、資料の印刷代、何時間かの議員さんが他のやるべきことで稼ぐべき給料、これは実際の金額でなくても、労力としての……。
その金を、もっと意味のあるところには、使わないんでしょうね……。
使おうとしたら、かたよった議員さんのところだけがになって不公平だ、てなって、じゃあ、さも政府で頑張ってます的な、新しいとこを立ち上げて、皆でわいわいやりましょうや、と。
とっとと頭下げて、やっぱりやめます、ていっちまいましょうよ。
さて棚からおろして、よいしょ、と。
ま、くれるっていうなら、いただきます。 使わずに、しっかりと、貯めておきますので……笑
2008年11月12日(水) |
障害生涯、渉外しょうがい |
「読字障害」というものを、知りました。
文字を読んだり書いたりすることがうまくできない、というものです。
文盲率(この言葉は使ってもよいのかしらん?)に差はあれども、世界で一割のひとがその傾向があるかもしれないそうです。
会話は、ふつうにできます。 ただ、書いてある文字を読んだり、それを声に出して読み上げたりすることが、うまくできない……。
文字が視覚から絵として入ってきて、その意味を文字というそれぞれの意味に変換する脳の部分に問題があるらしいのです。
だから会話のなかで培ってきた言葉に関してはまったく問題がなく、すらすらとムツカシイ言葉やらが、マシンガンのようにでてきたりもします。
ところが、ひらがなで
「わたし」
と書いた紙を読み上げようとすると、
「わ、わ、わ……っと、えぇと、し、じゃなくて……なんだっけ、えと、わ……た、た、た? わた……っと……えと……」
となってしまうのです。
そんなたいへんな苦労を強いられる人たちのなかには、イメージ力に抜きん出ているかたが多くみられるそうです。
空間把握能力だったり、それに伴う多面的な描写力。
一面を見て、横から後ろから上や下、頭のなかでぐるぐる回して眺められたりするのです。
羨ましく思ったり……建築をやっている人間としては、ですが、まあ、だからなにさ、ともまた思ったりもします(汗)
もし、文字が読めなくなり、書けなくなったら……。
……作家ではなく、映画監督でも目指してるでしょう。
書けなけりゃ、書けるひとに書いてもらえばいい。 読めなけりゃ、読めるひとに読んでもらえばいい。
そうしてもらえるひとがいなければ……
何度でも 何時間でも 何をしてでも
やるしかない。
力を貸してもらえるように常に心がけるのは、大事なことでもあります。
耳が痛い(汗)
もしくは、
……できることを探すとか(汗)
人間の脳みそ自体が、本来は文字というものを理解する進化の過程にいまだある、的な「え、そうだったの?」という現実……。 文字というものはあくまでも、
「道具」
として、それぞれが作り出したもの。 道具は使いこなさないとだめだし、使わなくてもすむものなら使わなくたっていい。
携帯やパソコンで、字を書く、という機会が減ってきてると、文字はまさに、記号や絵にしか過ぎなくなっている現代。 手を使って書いて、声に出だして読んで、そうやって覚えることを繰り返してゆくしかないらしい……。
電話を発明したグラハム・ベルや、レオナルド・ダヴィンチ、ウォルト・ディズニー、アインシュタイン、ピカソ、アガサ・クリスティ……らも読字障害があったと言われている。
言葉を文字にして書かなくても、物語は描ける。
ということ。 今はパソコンで音声入力もできるし、わたしみたいに、自分で書いたのにあとで見ると判読不明の汚い文字もあるわけだし(汗)
文字が書けなくなるわけではないけれど、何度書き直そうとしても、繰り返し同じ、記号みたいな文字しか書けなくなりそうになって、はた、とペンを止めるときもあるし……汗
そのときは「うっきぃっー!」とペンを放り投げてひと息入れるけれど(汗)
2008年11月11日(火) |
人恋しくお巡るどんぶり |
「あのねえ。近所のおじさんじゃないんだよ、こっちは警察官、なんだよ」
学生とおぼしき男の子が、お巡りさんふたりに挟まれて、背中を丸くしてました。
たぶん、反発するような、調子にのった素直じゃない返答をしていたのかもしれません。
若者よ。 勘違いするでないぞ。 職業がなんであれ、目上の人たちは皆、てめえなんかじゃ遠く及びもつかない、毎日を過ごしてきてるのだよ。
わたしにとってお巡りさんたちは、
人恋しい季節になると我が家を訪ねて、賑々しく過ごしてくれる方々
となりつつあります(笑)
なんかヤだ……汗
さて。
家計の総見直しです。
これまでの使途不明金解明のため、じつは家計簿みたいなものをつけていたりしてます。
どんぶり勘定
ですが。
うん、やっぱり「どんぶり」は「どんぶり」です。
使途不明金は、やがて十二使徒となり、黙示録よろしく世界の大再編成の鐘を鳴らさんと……汗
一日に確実に使う金額と、家賃他、月に必要な金額を足し合わせ……。
ほれ見ろ。 だいじょうぶじゃないのさっ。
でも……汗
どんぶりは、あげ底か二重底になっているようです。
某老舗鰻屋のひつまぶしかいっ!
わあっ、ご飯の中にもふわふわのうなぎが入ってるぅ! すっごぉうい!
うなぎは、ぬるりと掴む手を抜け出して、川へ逃げてゆくものなのです……汗
2008年11月10日(月) |
つらのかわと、からまるナイーヴ |
ようやく、カードが発行されました。
クレジットカードと 会社のIDカードが。
現金無くても、食いつなげられる……。
いや、でもなんか、赤札堂で
納豆二パックと 野菜ジュース二パックで 六百円ちょい
をカードで支払うなんて、ヤな感じです(汗)
はやく、キャッシュカードのほうが、欲しいです。
会社のIDのほうは、笑っちゃいます。
二ヶ月過ぎて「まだなのでもうしばらく待ってください」と言われ続けて、あら写真とか必要なかったのかしらん、履歴書のを使い回すんでしょうね、言ってこないのだから、と傍観をきめてたのです。
すみません、八月にもう手続きはやってあったんですが、写真だけ忘れてて……。
どわっはっはっ。
先週わたしにメールで聞かれて、はじめてようやく、きちんと確認してみたんか。
……遅いわっ。
口だけの確認は、やはり危険です。
IDの顔写真、でかっ。 魔除けになります。 ぜったい。
免許証の写真のほうが、全然、マシです。
シールで上から貼り直そうかしら。
……オダギリジョーの写真とか。 ……。 半歩譲って、妻夫木聡とか……汗
さて。
「こんばんは、今日もホットで?」
といつも迎えてくれるのは、湯島のマイ・ドト。 アットホームで、素敵なお店です。
キャッシュカードが届いたら、コーヒーだけでなくサンドもつけさせていただきます。
ほんのたまあに、ということになるでしょうけれど(汗)
頭のなかで、言葉のあやとりが、からまってしまいました。
およよ、ろ?
「まことによろしくお願いしあげちゃいます」的な、からまり方です(笑)
はしばしで、引っ張られます。
そんなに違わないでしょうに。
と思われるかもしれないけれど、書いてる本人としては、だいぶ、違うんです。
ナイーヴ
なんです。
そんなふうに、数知れぬすれ違いを繰り返して♪ それでも、それぞれの出会いや別れで手一杯で♪
……汗
限りある大切な時間のなか♪ 出会うはずの人や場所、 あとどれくらい残っている♪
たくさん。 たくさん、です。
だから、からまったって投げ出したりせず。
からまないように、そっと慎重に、紡いでゆかなければ……。 めんどくさくなるとすぐに放り出すヤツは誰だって?
あたしだよっ(汗)
2008年11月09日(日) |
カンバセーション、クエスチョン |
上野から秋葉原へめずらしく中央通りを下っていました。
そのままゆけば、今は中止されていますが、歩行者天国があった場所に着きます。
「スミマセン、チョト、イイデスカ」
はい、なんでしょ。
パキスタンかバングラデシュか、そちらのほうから来たらしきお兄さんです。
上野パー、ドコデスカ? パー? バー? パー。 ………ぱぁ?
懐かしのパーでんねんのポーズをしてみせ……。 あ、めっちゃ残念そうな顔しとる。 ジョークやないけ。 ジャスト、ジョーク、やん。
まっすぐ、いや、ストレート、ツーブロック、レフトサイド。 オオ、サンキュー。アリガトウゴザマシタ。 ウェルカム、ウェルカム、どこ噛む。
最後の「どこ噛む」は、口に出しませんでした。 さんま・村上ショージコンボ不発なり……汗
いや、「パー」が「パーク」だって、わかってましたよ、初めから。 まさか、ポーズをしてみた瞬間にようやくわかった、だなんて、そんなバナナマン。
小学生の男の子が、父親の手を引っ張って、
「ヒア・ウィ・ゴー!」
敗北宣言。 関白宣言。 鶴は千年。 亀は万年。
どやっ!笑
というのはさておき……神保町へ(汗)
図書カードって、ありがたい……涙
はい。 現金をまだおろせないわたしにとって、手持ちを使うにはまだまだ、ちと勇気がいる。 だけど、本がない一日なんて、耐え難い。
そんなとき、「図書カード」をもらっていたことを、思い出したのです。 さんきう、コバオっ。
昨日は三省堂の一階で、 「チームバチスタの栄光」
などの著者である海堂尊さんのサイン会が開かれており、そのお姿を、ちらちらと立ち読みしながらうかがうだけで、すごすごと退散してしまいました。
だけれども、今日は「図書カード」が、ある。
ふんふ、ふーん♪ 何にしましょうかしらん♪
棚に並んだ本たちは、みんな照れたようにうつみいて、わたしと目を合わそうとしません。
なんでっ!?
いやいや、一冊だけ、いました。
それなら、あたしを読んでみなさいよ。
媚びず、静かに、淡々と、平台の一角からわたしを見上げているのに、見下ろすかのように……。
アネさん、久しぶりじゃのう。 あんたなんか、知らないよ。あたしの上を通り過ぎてった男なんて、いちいち覚えちゃあいられないね。 あまりつれないことを、いうもんじゃあねえよ。あんたらはわしたちに、つかの間の夢を見させるんが仕事じゃろう? 夢なんて、見るほうの勝手さね。あたしらは、ただ包み隠さずに、ありのままをあんたらにさらけ出すだけさ。 煮ようが焼こうが、わしらの勝手なわけじゃのう……。
……妄想が(汗)
ローテーションで、今日はお茶の水のマイカフェで四時間、打ち込みに専念しました。
百枚作品のほうが、おぼろげに竹のほうで捉えつつあるようです。 とりあえず、欠けているプロットのとこをうまいとこ埋まるように、よろしく(笑)
なにせ百枚です。
上限は三百枚ですが、さすがにそこまでの枚数を、ふたつ並行でやるなんて無理がありますので……汗
今の調子とはまったく違うかたちでやらねば、まとまらないでしょう。
……てか、締め切りに間に合うんだろうか?汗
2008年11月08日(土) |
「たみおのしあわせ」としわあわせ |
「たみおのしあわせ」
をギンレイにて。 オダギリジョー、原田芳雄、麻生久美子主演。 大人になりきれない父親を原田芳雄、どこか冷めた感じで、だけど蛙の子は蛙、な息子オダギリジョーのふたりと、ちょっと変わった周りの人たちの、オダギリジョーの結婚までのひと騒動。 コミカルです。
最後は、父子で「卒業」の名シーンです(笑)
いや、オダギリジョーという役者は、やっぱり「役者」です。
クセがあるのに、クセがない。
テレビドラマでのオダギリジョーは、よく知りません。 かといって、彼の出演映画作品を語れるほど観たわけでもありません。
だけど、語っちゃいます。
役者は、日本にも、います。
さて。
とりあえず手書き十九枚の打ち込みが終わりました。 二十五枚になってます。 次は手書き二十五枚が残ってますが、これもきっと打ち込んでみたら三十枚越えるでしょう。
本題にまだまだ入らずに五十枚強。
脂肪感たっぷり、です。 バッサ、バッサ、で、このあたりをせめて二十枚前後にまとめたいのが、ストーリーを無視したわたしの希望です。
きっと、無視すると思います。
……小説の書き方って、どうやってたっけ?
わたしがバンザイしているのをいいことに、わたしが「ほれ今のうち、そら今のうち」と、手を進めてゆきます。
こんにゃろ、見てろよ。あとで痛い目にあわしたる。 できるもんなら、やってみな。おしーり、ペン、ペーン。
ところで、東大といい谷中霊園といい、わたしの通り道はギンナンの匂いが、つきまとってます。
今、油断して、それでもそっと放屁したら、スタスタと女の子がわたしを追い越してゆきました。
違う、違うんです。 きっとそれはギンナンです。 わたしのは、魔女の一撃、ですから……汗
空に散る……。
皆様、どうか油断なきよう、お気をつけください……合掌
2008年11月07日(金) |
「密やかな結晶」と我の消滅? |
小川洋子著「密やかな結晶」
うん。 いいね。 やっぱり、素晴らしいね。 小川洋子さんは。
とある島の物語。 その島は、ひとつずつ、何かが消滅してゆく。 たとえば「鳥」だとすると、鳥を見てもそれがいったいなんなのか、記憶からさっぱり抜け落ちて、やがて存在しなくなる。 身の回りにそれがあるときは、それらを処分しなくてはならない。 処分しないもの、また、記憶からなくならない者は秘密警察の手によって探し出され連行されてしまう。
消滅するものが「小説」ときたときは、ビクリとした。
図書館は燃やされ、書物は天を焦がすほどの炎にくべられていった。 原稿用紙の升目に、文字がおさまらない。それどころか、文字の意味がわからない。
わたしは、そのおぞましさに、恐怖に似たものを覚えた。
やがて消滅するものが体におよぶ。 右腕、右足……。 処分しなくてはならないのに、切り離して今までの他の物のときのように川に流したり焚き火にくべたりすることができない。
消滅するたびに、人々の記憶は空虚になり、薄まっていったが、空虚そのものを抱え込んだまま、暮らさねばならない。 やがて肉体のすべてが消滅し、声だけが残された。
消滅を受けない、秘密警察の記憶狩りの対象とされ、彼女の助けを得て隠れ家にひっそりと息を潜めてきた彼……。
……とにかく、密やかにゾクゾクさせられました。
わたしが書いているとき……。
根本的に「わたし」であることは間違いなく、わたしの知るものやことでないかぎり文字や言葉にできるわけがないのだけれど、だけれども、そこに「わたし」は無いのです。
わたしならこうする、こう言う、という「わたしの思考」がそこにあってしまったら、話になんかなりません。
そして、
「彼(彼女)ならこうする、こう言う」
という判断や分析もまた、しません。 する余地など、まったく存在しないのですから。
そんな「わたし」が、気がつくと、あれよあれよと、書き殴り、ページを繰ってまた書き殴ってゆくのです。
げ、なんで、こんな一幕だけなのに、こんなに枚数がかさんでいるの?
書いている最中は、制止など効きません。 おなじことの繰り返しだとか、取捨選択だとか、それらの判断をする余地が、先ほどあげたように、無いのですから。
ふと、ゾクッとすることがあります。
「わたし」なのか、「わたし」ではないわたしなのか、はて、わたしはいったい、いつどんなとき、「わたし」として考えて行動しているのか、そもそも今、「わたし」なのだろうか。
うん。 こうしてウジウジと御託を並べているのだから、今は間違いなく「わたし」です(笑)
先週から続いていた、おそらく熱のせいであろう手のひらからの多量の発汗がまだおさまらず、マウスとキーボードが結露をおこしてます。
タオルを手放せません(汗)
さて、熱のウィルスのせいか(?)、どうやら「肋間神経痛」らしきものがでています。
疲れやストレスやらの体からの信号らしいです。
手を変え品を変え、どうにかヘタろうとするわけです。
あかんたれ
やなあ、自分(笑)
どこがどう「神経痛」なのか。
わたしが大好きなハラミのその上の、蜂の巣でもなく、まだ食したことのないチクビのちょい下。
ホルモンの呼び名はやめておきます。
咳やくしゃみをすると、ズキン。 大きく息を吸っても、ズキン。 ちょいと胸を張っても、ズキン。
今さらになって雑菌を排除しようと、わたし同様、いつも手遅ればかりのわたしの体は、
「ご主人様。不肖、わたくしめは頑張っております」
と、咳をしたがるのです。
だから、痛いんだって。
「ですから、全快すべく、こうして懸命の排斥活動を……」
だから、痛いんだって。
首を可愛らしく傾げて「なんのことだか、わかんなぁい」と可愛いはずもない素振りをみせ、ひたすら繰り返してます。
そんな帰りの電車内。
扉脇に立って身の安全を最優先にしていたところ、朝のラッシュ以上の人の波が流れ込んできたのです。
京浜東北線が人身事故で止まってしまい、自然、山手線に皆が乗り込んでくるわけです。
胸を圧迫されないよう、必死で守っていたのです。
人間って、胸が詰まると、
目を見開き、口もぱっくりと開いて、天を仰ぎ、声はおろか息もできないんですね。
わたしの右のバーを必死に掴んだまま、おばちゃんの体だけがホームに押し流されてゆく……。
肘が、ヒジが、ひじ、がぁ……。
ぐおりぐおり。 ぐぐぐぅ……。
てこの原理で、わたしの胸の、痛んでいるまさにその肋骨の上を……。
おばちゃんの肘の骨が折れるが先か、わたしの意識が折れるのが先か。
おばちゃんは掴んでいることを諦めざるを得ないほど押し流され、ようやく、解放されましたが……。
もんどり打ちましたよ。 人目もはばからず。
降りたらそれ以上の人波がまた乗り込んできて、もう、天にものぼる気持ちで地獄行き……。
品川から御徒町までが、長かったです。
せーんろは、つづくーよ。 どーこまーでーもー。
エンドレス レールウェイ
スパイラル ステアウェイ
へこたれない あかんたれい
2008年11月03日(月) |
「歩いても歩いても」素晴らしき哉 |
庭先……隣宅の大家さんの庭……から、ガサガサと音が聞こえてました。
「あっちのも、そう」
大家さんと奥さんが、庭の手入れでもしてるのかと。 昨日の現場検証で、警察の方が指紋や足跡をとるために行き来したものだから……。
通りから出入りできる裏門扉があります。 そこを男は乗り越えて逃げていったのだけれど……。 その門扉の足元に、びっしり、ペットボトルが立てて並べられてました。 門扉を開けるどころか、手が届きもしないくらい、何十本も……。
谷中は猫のまちです。
だから、猫よけを兼ねたペットボトルは、各家庭に必ず立ててあります。
それを総動員して、侵入防止策にしてくれたようでした。
ありがとうございます……。
さらに昨日、
「休みの間の食事代に使って」
と、お見舞い金まで、いただいてしまいました。
ありがとうございます……。 m(_ _)m
お見舞い金と書かれた封筒を持って、アメ横に行きました。 剥き身で持ち歩くわけにもいかないので、まずは財布を、と。
高いのなんて眼中にありません。
これぞアメ横、というおっちゃんがやっている店へ。
「じゃあ、端数はひいてやるよ」
ありがとうございます……。
封筒から取り出す様子をみて、安くしてくれました。
スカスカの、薄っぺくなった、新しい財布。
おつりの千円札と一緒に、人情をそっとしまいこみました。
「次はこっちの高いほうのヤツ買いにきてくれな」
商売魂も、ちょっとだけ(笑)
こうやって、いろんなものをまた自分のなかにためていって、わたしはわたしとして生きてゆくわけです。
ひとり住まいだけれど。 ひとり暮らしじゃあ、ない。 そこにひとが、いる。
素晴らしき哉、 我が街、谷中。
さて。
「歩いても歩いても」
メンバーズカードを再発行、ギンレイにて。
阿部寛、夏川結衣、YOU、樹木希林、原田芳雄出演、是枝監督作品……。
観れ。 観りゃあ、わかる。
いいぞ、これは。
実家へ兄の命日に久しぶりに帰ってくる姉弟それぞれ。
コピーにもなっている、
「人生は、いつでもちょっとずつ間に合わない」
それまではゆるく、あちこちでクスリとさせられたり、やさしさいっぱいの雰囲気だったところに、
じゅん、
と胸に染みさせてくる。
名優の力ばかりにあらず。 作品の力である。
わけのわからないキャッチコピーだけの洋画なんかより、やはり、邦画の地力ですわな……汗
さて。
神田明神で、結婚式の写真撮影がまさに撮られようとしていました。
後ろにわたしなんかが映りこんじゃあいけない、とちょいと待ってから、手を叩きました。
あなたまさか、自分が出雲からようやく帰ってきたというのに、わたしが「お疲れ様」や「おかえりなさい」やらの挨拶もしに来ずに、にょほほぉんと映画観て回ってたことへの腹いせに、賽銭がわりにわたしの財布ごと持っていかせた、とかじゃあ、ないですよね? ……。 ちゃんと、わたしの縁を結んできてくれました? ……おなごじゃ駄目なのか? おなごでもよいですけどね。それよりも、もっとしっかり縁を結びたいっていうのが、あるでしょう? そんなの、わしより相応しいヤツがおろうに。お門違いじゃないのんか? ああ、そういうこと、言っちゃいますか。自分には種馬の御利益しかありませんよ、とか、言っちゃいますか。 そんな失礼な。ば、ば、馬鹿にするでない。 馬鹿になんかしやしてませんよ。ええどうせ、わたしが我が子と作品のことを言ってみせたりするのは、単なるこじつけの、妄想家の虚言ですよ。まあ、べつにあなたの力だけで無理やりかなえてもらったって、わたしにゃあありがたみなんかないですけどね。自力でなんぼ、でないと意味がないですから。 そんな言い方せんでもよかろうに。それでは、わしらの立場というものがだなあ……。 じゃあ、お互いの立場が許す限りのところで折り合いましょうよ。 うむむ。本当に、おなごじゃ駄目なのか? クドいっす。それは二の次。 ううむ。面倒くさいヤツじゃのう……。
そんな感じです(笑)
おみくじをひいてみると、
「大吉」
でした。 なんか、いいもんださせて誤魔化そうとしてないですかい?
待人…早く来たる 失物…人の助けありて必らず出る
ふうん。
縁談…我が心早く定めよ
やっぱり、誤魔化そうとしてんねんやろ(笑)
石像を見上げると、笑って誤魔化してました。 わたしから目をそらすように空を見上げて。
こんにゃろ目(笑)
わたしがふと目を覚ましたのは、頬をつめたい風が撫でていたからだった。 ほのかな明かりが、うっすらと細くあけた目に射し込んでくる。
シャリ、シャリ……。
絹が擦れるような音が聞こえ、まだぼんやりとしかものをとらえることができない視界に、あるものをみた。
背後に光を放つ、黒い十字架……。
俺は神(キリスト)なんか、クソッくらえだっ。
そう怒鳴りつけてやろうと、目を開けてからはじめて、しっかりとまばたたきをした。
十字架なんかじゃあ、ない。
黒ずくめの男が窓枠に手をかけ、外に出ようとしているところだった。
瞬間沸き上がったままの感情は、明確な、しかしぶつけるべき対象がすり替わってしまったために、冷静さを取り戻しつつあってしまった。
男は背を向けている。 俺に気がついてないまま、これを乗り越えてしまえばもうだいじょうぶ、と思っている。
「ふんっ」
布団を跳ねのけ、脇から手を入れてつかみ倒そう、と思ってしまった。
それが、いけなかった。
「ヒッ」
布団の音で気がつき、中途半端な勢いで、飛びかかろうとしているわたしを振り返り、男は慌てて窓を乗り越えようとする。
わたしの手は、空を、きっていた。
庭を突っ切り、門扉を軽々と飛び越えてゆく。
わたしは時計を見上げた。
午前六時五分。
ノートパソコンは、ある。 カバンも、ある。 じゃあ、何が?
パーカーを羽織り、玄関に回る。 鍵はかかっていた。 外に、出る。 通りに、出る。
朝の街は、もう、目覚めている。 この街は古き下町、入り組んだ路地が張り巡らされている。
どっちへ逃げるか。
まっすぐな道は選ばないだろう。通称「へび道」のほうか。
「へび道」とは、旧藍染川をそのまま暗渠化した、まさにへびのようにうねうねと曲がりくねった路地であり、そこにまたほかの路地が方々から接続している。
二、三歩駆け出したところで、「へび道」のほうから自転車に乗った女子高生が現れた。
「ちょっとごめん」
わたしの急な呼び止めに、彼女は不審な顔をしつつも、止まってくれた。
「なんでしょう」 「俺くらいの背で、上下黒の服で、上着がジャージの……ウィンドブレーカーみたいにシャリシャリ言うような格好で、走ってく男と擦れ違ったりしなかった?」
わたしはここで気がついた。
黒の目出し帽を脱いでしまえば、早朝ウォーキングの格好とも見えるじゃないか。
「いえ、見てないですけど」
ごめん、ありがとう。 彼女に手を振り別れたあと、わたしは警察に連絡を入れた。
「よかったじゃないですか、無傷で」
この時間、この状況でやる犯人は、慣れてるヤツですよ。部屋にいれば、大抵は財布がそこにあるとわかってるわけですからね。じゃ、財布以外に被害があったと気づいたら、そこの交番か、下谷警察のここに連絡ください。
無傷のままおめおめと逃してしまったこと。 それならいっそ、刺されても全身で向かわなかったことのほうが、悔しいですよ。
とは言わなかった。 やることをやったなら、諦めるなり打ちひしがれるなり、できる。
しかしわたしは、またひとつの場面に立ち会うことができた、と思った。 そういう性分なのだろう。
しかし、どうせ立ち会うのならもっと深く、と思ってしまうところがあるのもまた、困った性分でもあるのだが……。
……以上は、すべて「ノンフィクション」の出来事である。
2008年11月01日(土) |
「人のセックスを笑うな」と「真木栗の穴」と「東南角部屋二階の女」 |
山崎ナオコーラ著「人のセックスを笑うな」
文藝賞受賞作品、そして永作博美さん主演で映画化されました……。
さんざん、迷いましたよ。 文藝賞受賞作品ですから、読んでみるべき、だけど永作博美さんのイメージが(笑)
映画は観てません(汗)
なんとなく、文藝賞らしい作品、でした。 なにが「文藝賞らしい」のかがわかれば、わたしにも光が見えてくるというものですが。
さっぱり、わかりません。 だけどなぜか「らしさ」を感じました。
はやくわかれや、おい(笑)
年上の女性講師と若い男子生徒との、恋物語、です。
女性講師は旦那がいます。 生徒はそのこともわかっています。
彼女と旦那が一対一なら、 彼女とオレも一対一だ。 気にならないわけじゃないけど、別の話。
だから、「恋」物語。
年上の、まっ平らじゃない、ちょっとぷっくりした下腹が、かわいらしい。 気にしてないわけじゃないけれど、面倒くさくて手入れをしていないかかとやひざを触ろうとすると、恥ずかしがる。
うん、それはかわいらしい(笑)
妻は、母は、いつまで女であるのだろう。
ずっと。
であると思いつつも、はたしてもし、自分が夫となり父となったとき、そう思っていられるかが、疑問だったりする……。
それこそまさに、わたしにとっては「杞憂」以外のなにものでもないのだけれど……汗
さあ。 映画感謝デーです。
一本目は、
「真木栗の穴」
売れない小説家・真木栗(まきぐり)が住む古いアパート。 ひょんなことから、書いたこともない官能小説の依頼が舞い込む。 書けずに苦しむ彼は、部屋の壁に小さな穴を見つける。そして隣室に、白い日傘をさした女が引っ越してきた。 真木栗は穴をとりつかれたように覗き、そのままに小説に書いてゆく。 穴の向こうのあやしい世界と、こちら側の世界とが錯綜してゆき、やがて……。
乱歩の世界です。
担当編集者の女の子が、よいです。 きっと、これから名前を耳にする機会が増えるでしょう……かわいいです。北乃きい系の、プラス、田中麗奈テイストを芯に感じました。
どうでもいいですね(汗)
たとえそれが白日夢だとしても、つかんだその手を離さないだろう。
わたしも、離しません。 離したら、書けません。 主演の西島秀俊さんが、またまたいい味でした。
「先生、原稿をとりにきました」
言われてみたいですね……。
今はほとんどがメールやFAXです。 手稿を編集部に持ち帰り、横に赤ペンで文字を解読しながら書き込んでチェックする姿をみると、わたしも、いい加減読める程度の丁寧さで書かないといけないな、と思いました。
さて次は、
「東南角部屋二階の女」
西島秀俊さんがまたまた主演されてます。
なんてことのない作品です。
だけど、なぜだか後悔など微塵も感じたりなどしない作品でした。
ひらたく言ってしまうと、爺さんと婆さんの、奥ゆかしくもかなわぬ愛のかたち……葛藤。 そこに関わることになった、孫を含めた男女三人の若者たちの、生き方、日常……。
なにもなくても、そこに「ある」ということが大切なこと。
胸にひっかかる言葉が、いくつもありました。
「ぜんぶ、会社のせいにできるって、いいよな」
自分じゃどうしようもない、と、なにもしない言い訳。
「猿マネは、猿はマネなんか簡単にできない。できるのは人間だから、だ」
「もう会社員じゃないんだから、自分でしっかり自分を守らなくっちゃな」
「会社を辞めたワケを、もう一度、よおく考えてみるんだな」
仕事のせいで誰かを切らなければならないことに嫌気がさして、勢いに任せて辞めてしまった加瀬亮に、かけられてゆく言葉です。
「できないかもしれないけど、自分でもう一度、やってみる」
うん。 やってみましょうよ。 しのごのぬかすだけなら、正論なら、一般論なら、誰にだってできる。 やってみた者にしかわからないこと、見えないこと、言えないことだって、ある。
同じ映画館で隣合わせの同じ時間帯のレイトショー作品で……。
窓口でチケットを買うために作品名を口にするところまで、迷って、決まらずに、勝手に口が喋って選んでた作品だったけれど。
よかったと思います。
選ばなかったその扉は「ブリュレ」……。
中身はかなり、濃そうです。
「一卵性双生児って、心中したふたりの生まれ変わりなんだって」 「あなたもぜんぶ、燃やしてあげる」
コピーと主演の双子の女の子のフォトに、ぞくぞくっときてたのに……汗
ギンレイじゃやらないだろうなぁ……。
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