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海と山 �� 2002年04月08日(月)
少女は少年の手をとろうとしました 少年はちょっと驚いて手を引っ込めようとしました でもすぐに ふたりは手を繋ぎました そしてベンチの上に 一緒にねっころがりました ふたりの上には強い陽射しが降り注いでいました
少年は少女の汗を拭きました 少女は少年の汗を舐めました
空高くおおきな鳥が 弧を描いて飛んでいくのが見えました 山は空に近く 雲は手を伸ばすと触れられるように思えます 照りつける陽射しは心地よく 草の匂いが鼻をくすぐります
少女はいつまでもこうしていたいな、と思いました 少年は少女の匂いのする海を見たい、と言いました
「ふたりで海に行きましょう」
ふたりは手を繋いだまま立ち上がりました 少女はベンチを振り返り その向こうに見える雲を見上げました
ふたりは山を下りました 海に向かって進みました
少女は少年の手をとって歩きます 少年は少女に手を引かれて歩きます
少女は少年に海を見せてあげたいと思いました 少年はきっと海が好きになるでしょう 少女にはそれがわかります 強く、確かに、わかるのでした
海に近づくにつれ 少女はだんだん嬉しくなりました 風に潮の匂いが強く混じります
帰ろう かえろう 海に還ろう
少女はどんどん歩きます 少年の手を引いて飛ぶように歩きます 少年は少女に手を引かれていると 忘れていた何かを思い出しそうな 不思議な気分になりました 嬉しそうにしている少女を見ていると 少年まで楽しくなります あったかくなります
とうとう海が見えました 母なる海が見えました
ふたりは海のすぐ近くに立っていました
「どうして泣くの?」 少女は少年の涙を見て聞きました 「帰ってきたから」 少年は答えました
「ここがあなたの海だよ」 少女はそう言って 少年の涙を舐めました そうして 少年の手をとって海に入りました
少年は海から遠く見える山を見上げました
「遠いね」 少年は小さな声で言いました 「いいえ」 少女は答えました
「君はよく来てくれたね」 少年は言いました 「あなたはよく来てくれたね」 少女は言いました
ふたりは海のなかで抱き合いました
海はふたりを 優しく大きく包みました。
山はそれを 悠然と見守っていました。
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