感想メモ

2008年10月23日(木) 聖家族のランチ  林真理子


林真理子 角川文庫 2005

STORY:
料理研究家のユリ子は編集者と不倫、夫の銀行は大変なことに、娘は大学に行かず男に失恋、息子はあやしい宗教にはまり…。

感想:
 うーん。こんな話だとは思わなかった! というのが、感想かも…。「衝撃のストーリー」と書いてあったけど、まさにそのとおり。

 ネタばれになっちゃうからあまり書けないけど、『OUT』とかでも、死体をバラバラにする小説はあるけど…ここまでになっちゃうとね…。

 最後に残った部分は…というのが、リアルすぎて怖かった…。



2008年10月19日(日) アキレスと亀

 芸術家と暮らすってどういうことなのか…ちょっと考えてしまう映画だった。

以下ネタばれあり!





 真知寿(吉岡澪皇)は大金持ちのお坊ちゃまだった。好きな絵をほめられ、画家からベレー帽をもらう。そのときから、将来は画家になるのだと思う。学校でも特別扱いで、授業は聞かず、絵だけを描いていても許される身分だった。

 しかし、父(中尾彬)の会社が倒産し、父は芸者と自殺。後妻の母(筒井真理子)に連れられ、叔父(大杉漣)の家に連れていかれるが、そこではひどい仕打ちを受ける。最後には養護施設に送られる。

 青年時代の真知寿(柳憂怜)は、新聞配達をしながら、絵を描くことは忘れていなかった。父が懇意にしていた画商(伊武雅刀)の息子(大森南朋)のところに絵を持って行くと、学校に行くべきだと言われ、美術学校へ。そこで出会う仲間と楽しみつつ、働いていた先の同僚(麻生久美子)と結婚。

 子供も生まれるが、真知寿(ビートたけし)の絵は全く売れない。妻(樋口可南子)が家計と夫の芸術活動を支え、夫はますます芸術にのめり込む。そののめり込み方は尋常ではない範囲になり、救急車や警察のお世話にも…。

 段々痛くなる真知寿の様子は、いくら芸術にのめり込むとは言っても度が過ぎているよな…と思うのである。

 最後には妻にも捨てられ、娘にも愛想を尽かされ…。

 子供時代の真知寿は本当にかわいそうな境遇だった。一番かわいそうなのは、金持ちの子供だからと言って、絵だけ描いていればよいという価値観を植え付けられてしまったことなのかもしれない。

 最初の頃は、自分の力で絵を描くお金を得ようとしていた真知寿だったが、結婚してからは妻におんぶにだっことなる。最後には娘にも金をせびる始末…。

 画商がまた悪質で…。他の画商にどうして持っていかないのか?と思った。

 自分の夫がこうだったら…一体どこまでついていけるだろうか…とちょっと考えてしまった。

 真知寿の周りではたくさんの人が死ぬのだけれど、真知寿は死のうと思っても死ぬことができない。最後には大やけどを負い、ボロボロになるのだが、そこに現れたのは別れた妻だった。

 妻は子供も亡くし、自分も辛いだろうに、夫に手を差し伸べる。夫はその時、自然と妻のもとへ帰るのである。きっとそのとき、2人の間に、とりあえずこれからも一緒に支えあって生きていこうというような気持ちがわきあがったのだろう。

 きっとこの先も、真知寿は芸術にのめり込み、妻はそれを支えていくのだろう。たとえそれが報われなくても…。

 しかし…自分にはこんな生き方は無理だ!と思った、正直なところ…。この妻のような生き方をするのは、かなり難しいのではないだろうか…。

 ビートたけしの映画は、暴力っぽい感じがいまいち好きではなくて、ずっと見ていなかった。久しぶりに見て思ったが、何がどうとは言えないのだが、やっぱりこの世界観はすごいのかもしれない。感想は一言では言い尽くせない。ただ映画を見て、重い気分で、いろいろなことを考えてしまうような感じになった。胸の中がもやもやする感じ。そういう映画はそうはない。たぶんこの映画はパンチがある映画だったのだろう…。



2008年10月15日(水) 猫の橋口さん  水無月さらら


水無月さらら 中経の文庫 2008

STORY:
母の死の第一発見者となった小学4年生のひなたは、その日から高熱を出し、母の葬儀に出ることができなかった。仕事中毒の父が出張に出かけたその日から、家の外に出ることができなくなってしまい、餓死寸前のところ、母の飼い猫ノワールが突然話し出して…。

感想:
 子供から大人まで読める本なので、あっという間に読み終わってしまった。

 母の死を受け入れることのできないひなたと、父。父は仕事に逃げて息子のことを気にかけようとしない。

 そんなとき母の飼い猫ノワールが「橋口です」と名乗り、ひなたに料理を教えるのである。橋口さんは、母が小さい頃に世話をしてくれた人で、母に料理を教えたのだった。

 家族のあり方についても考えさせられるなんだか心が癒されるような作品だった。



2008年10月14日(火) おくりびと

 モントリオール国際映画祭グランプリのこの作品、予告編を見て、見たいと思い、見に行ってきた。

 結論から言うと…見てよかった。すごく良い映画だったと思った。

 主人公はチェリストとしてオーケストラにやっと入ることができた矢先に、オーケストラが解散になり、田舎に帰ることになった大悟(本木雅弘)。チェロの借金1000万以上を妻の美香(広末涼子)に内緒でしていた。ウェブデザイナーの妻は何も言わず、夫について大悟の田舎、山形へ。そこは大悟の亡き母が残してくれた店。もとは父(峰岸徹)が始めた店だったが、女と一緒に出て行ってしまってから母が切り盛りし、大悟を育ててくれたのだった。

 「旅のお手伝い、数時間で高給」というチラシに惹かれ、大悟が面接に行った先は、納棺の仕事をする会社だった。社長(山﨑努)に一目で気に入られ、その場で採用が決まった大悟は、最初は恐る恐る仕事を覚えていくが、そのうちに社長の納棺の儀式に惹かれていくようになる。

 しかし、妻に仕事の内容がばれてしまい、妻は家を出て行ってしまう。田舎という土地柄もあってか、納棺の仕事に対する風当たりは強いのだった。

 それでも淡々と仕事をこなし、子供の頃のチェロを取り出しては弾くという毎日を送る大悟。数ヶ月後、妻が懐妊して家に戻ってくる。仕事を辞めてもらおうと思っていた妻だったが、夫の仕事に触れるうちに、次第に心に変化が…。

 人の生と死について、否応なく考えさせられる映画だった。死にたくなければ、食べる、それが生きていくということ…。そして、死は誰にも訪れる。死んだあとは自分では何かができるわけではない。残された人や葬儀屋の人たちがその人の死の儀式を執り行う。最後の儀式を誰にしてもらいたいか…考えせられる。

 素晴らしい最期になるか、敬意を表して遺体に向き合ってもらえるか…。そんなことは、実際死んだらわからないのだろうけど、事務員(余貴美子)の言葉のように「私もこの人にやってもらいたい」というのは、あるんだろうなーと思う。

 夫婦のあり方についても考えさせられた。妻は何も文句を言わずに田舎について行ったが、結局夫の仕事が気に入らず、「けがらわしい」という言葉を残して実家へ帰る。しかし、夫はそれを追いかけるでもなく…。妻は妊娠がわかり、もう一度夫とやり直そうと戻ってくるが…。

 この展開が私にはちょっと微妙だった。いかにも日本人っぽいのかな。

 話し合わず、実家に帰ってしまい、その後、数ヶ月連絡もない夫…。私ならこの時点で離婚を考えるかも。妊娠しなかったらこの夫婦はこのままだったのか?

 ついついそんなことを考えてしまった。

 やっぱり不満に思うことがあったら、笑顔でついて行くだけじゃダメなんだろうな。そこで自分の思ったことを話し合わないと…。そして、実家に帰る前に、もっと話し合わないと。実家に帰られたら、夫は連絡を取らないと…。

 と、なんか関係ないところにちょっと突っ込みたくなったけど…。

 台詞がすごく心に響くものが多くてよかった。出ていた誰もが素晴らしい演技だった。

 それから、チェロを弾く姿を見ていたら、ずっと放ったままになっていたバイオリンを突然弾きたい気分になってきた。やっぱ弦楽器の音っていい…。もっくんは本当にチェロを弾いているみたいで、相当練習したんだろうなと思った。

 納棺の儀式の仕方もすごく美しくて格式高い感じで素晴らしかった。 



2008年10月10日(金) 二度失われた娘  ジョイ・フィールディング


ジョイ・フィールディング 吉田利子訳 文春文庫 (2003) 2005

STORY:
離婚し、2人の娘を育てるシンディ。ある日、娘のジュリアが突然帰って来なくなってしまい、大パニックに。かつて一度は元夫と暮らすことを選択したジュリアをもう一度失いたくない一心で、シンディは娘を探そうとする…。

感想:
 何でもない日常が続くはずだったのに、突然、娘が帰って来なくなる。母親は犯罪に巻き込まれたのではないかと、大パニックになる。

 そこに元夫やその妻、隣人、自分の妹や母、友人、友人に紹介された恋人などが加わり、話が進行していく。

 シンディの気持ちが、微妙にわからない部分があった。しかし、最後まで読むと、その決断は遅すぎたものの、妥当なのではと思った。

 家族というのは、結構辛辣なもので、お互いに相手のことを思うがゆえに色々なことを言ったりするものだ。時には言い争いになることもある…。

 でも、その根底にはやはり愛があり、やり取りで誤解に気づくこともある。けれど、それが誤解でなく、愛などがないということがわかったとき、人はどうするべきなのか…。

 久々のジョイ・フィールディングだったけれど、相変わらずスリリングな展開は面白く、先が気になってついつい読み進めてしまう。でも、今回のは、ちょっと微妙な結末だったかなーとも思った。その前に気づけよ~みたいな…。



2008年10月07日(火) キャットストリート (ドラマ)

 先にドラマを見始めて、面白そうだと原作を借りて、ドラマが終わる前に原作を読み終えた。原作の方は、少女マンガなだけあって、かっこいい男2人が恵都(谷村美月)のことを好きになる展開だったが、ドラマはそういう部分をすっきりさせるべく、登場人物やストーリーをわかりやすいように変えていた。

 ドラマにするには、そういう若干の変更設定もありなのかもと思った。

 引きこもりの恵都が通ったフリースクールのエル・リストンも、マンガでは無料で通える場所だが、ドラマではきちんと学費を支払う形式になっていたし。

 原作のよいところを引き継ぎながら、わかりやすい展開に持って行くのはよかったとは思う。

 けど、最終回への展開はちょっとびっくり…。

 あと、最後のステージがサニーみたいだったんだけど、さすがにその年でサニーはないんじゃないか…。どうせなら、もっと大人の女優になった姿を見せた方がよかったんではないか…と少し思った。

 主題歌も素敵な歌で、1週間が楽しみなドラマだった。



2008年10月05日(日) 最後の初恋

 予告編を見て、面白そうだと思い、見に行ってみたのだけれど、思っていたよりヘビーな映画だったかな…。

 夫(クリストファー・メローニ)の不義により離婚し、2人の子供を育てているエイドリアン(ダイアン・レイン)。友人(ビオラ・デイビス)の持つ海辺のホテルの手伝いをすることになり、子供を元夫に預けるが、元夫からやり直したいと告げられ動揺する。

 ホテルに泊まりに来たのは、医師のポール(リチャード・ギア)。医療ミスで訴えられており、訴えた人物から話がしたいと呼ばれたのである。

 2人はただのホテルの従業員と客という関係のはずだったのだが、ポールが料理を一人で食べるのは味気ないと、2人で料理を食べたことから、お互いに惹かれあっていって…。

 以下ネタばれあり。見ていない方は注意。







 最後にこういう展開になるとは…という感じ。お涙ちょうだいものになってしまって、その辺がちょっと残念な気がしたのだけれど、でも、このあとの展開が、子供たちとポールと一緒に…というのは、あまり考えられなさそうな気もしたので、こんなところでよかったのかな…。

 くたびれていたエイドリアンが、ポールと出会い、恋をし、文通をすることできれいになっていく。諦めていた芸術への意欲も取り戻し…。

 恋って人を変える…。

 ステキな方に変われるなら、本当に素晴らしいもの。

 でも、突然訪れた別れ…。

 愛する人を失う悲しみは筆舌に尽くし難い。

 母の悲しみを反抗的だった娘がわかってくれようとする。このシーンで救われる。

 悲しみって、すぐには癒えないもので、とことん悲しむ時間が必要なのかなと思う。

 最後のシーンで、エイドリアンが悲しみを克服した(しようとしている)のがすごく伝わって、いい終わり方だなと思った。

 しかし…海辺のホテル…。土台が腐って嵐で崩れてしまわないのか…と変なことを思ってしまった。きっとメンテナンス大変なんだろうなぁ…。



2008年10月03日(金) ちりとてちん外伝 まいご3兄弟

 録画したままになってた「ちりとてちん外伝 まいご3兄弟」を見た。

 うーん。面白いかも…。

 若狭が子供を生んだあと、草々が昔、草原・小草若・四草に起こった不思議な話について、創作落語で語る…という形式。

 すごい久しぶりに「ちりとてちん」を見て、内容を忘れていてもおかしくないのに、キャラが立っていたのかな…? ずっと見ていた頃のように、すんなり世界に入っていけた。

 出て来なかったけど、「寝床のみんなも待ってる」みたいなセリフを聞いても、ああ、あの人とあの人とあの人だなー…みたいなのがよくわかる。

 やっぱり「瞳」に比べると、「ちりとてちん」は登場人物のキャラがはっきりしていて、すっごくいろんな人の心情に入ることができたんだろうなーと思ったりして…。



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