子を棄てて、親を棄てて何になるというのだ。
選択できない親だからか、行為ゆえの子だからか。
そこに伝承という名分があればあれば変わるというのか。
全共闘や原理主義やカルト宗教と同じように与えられた関係を名分で改変すれば、それで気が済むというのか。
名分は所詮男性的な強迫観念であって別の本能に置き換えたに過ぎないのだ。
棄てた、というは強迫観念が作り出した単なる観念でしかない。
何故、止めを刺さないのか、物質的変換を成し遂げないのか。
何故、全ての欲望を持つ人間を全ての欲望を巻き起こす事物を打ち壊さないのか。
その底に眠らされているのは、自分が周りから殺されないようにという防衛本能と、自分が周りから日干しにされないようにという防衛本能と、そして後世に同時代の多くの人に自分を広げたいという名誉欲求とでしかないのだ。
子を棄てて、親を棄てて何になるというのだ。
選択できない親だからか、行為ゆえの子だからか。
そこに伝承という名分があればあれば変わるというのか。
全共闘や原理主義やカルト宗教と同じように与えられた関係を名分で改変すれば、それで気が済むというのか。
名分の奥底に隠された根本的な欺瞞(ぎまん)と矛盾と、そしてそれゆえの救済。
大衆の救済。
このように大衆は救済されていく。
大衆が選択した最も安逸(あんいつ)な凡才によって。
真の天才はこの世の表舞台に立つ事も出来なかっただろう。
私が知りえない過去に存在した天才たちよ、私は貴方達の声や行動を知りたいのだ。
サッカーというスポーツのナショナリズムに穢(けが)された姿はどうだ。 明らかなルール違反も、明確な道徳逸脱も、明瞭な相手への冒涜(ぼうとく)も、明晰なる神の戒律違反も、ナショナリズムによって反から合へ呼び戻されていく。
ゴルフなら野球なら陸上競技ならどうだろう。
規模が大きくないから対象外に置かれているだけであって、本質的な穢れは見え隠れしている。
悪魔というのなら祓(はら)っても、気枯(けが)れというなら祭(まつ)っても、打ち消せないそのナショナリズムの根本はこの肉体の中に
文化も文明も人種も男女すらも超越して押しつぶしていく、その根本的な非合理性に、私たちは胸を打たれ、思い煩(わずら)い、全てを許し、善悪の判断を留保し、そして狂うのである。
至高よりも不純な聖性としてのナショナリズムを私たちは求めている、その対象がサッカーというだけだ。
本能よりも頑強な性性(さがせい)としてのナショナリズムを私たちは与えられている、その対象がサッカーというだけだ。
許されるのだろうか、この身は、いや許されるはずがない。
個性を持てるのだろうか、この身は、いや持てるはずがない。
国家を求めているのだろうか、この身は、いや求めているはずがない。
次の悪魔は、また、サッカーだろうか。
次にお祭は、また、サッカーだろうか。
永劫の宿痾(しゅくあ)、永続の個別
ちょっとした口述と不満でついてくる女性は沢山いる。
「不満を感じない女なんていない。いてもたった半年さ」とホストの友達は言い切った。「30前後から女性ホルモンが盛んにでるんだよ」と医療関係の友達は言い切った。
だから、ちょこちょこっと口述を与えてあげれば喜んでついてくるし、「うんうん」と頷(うなず)いていれば、「聞いてもらってすっきりしました」とご機嫌にさせてもっていくのは簡単だ。最後はサプライズをスパイスに。
メインディッシュは「こんな風になるなんて」という陳腐な台詞と裏腹な黒いレースのついた下着
副菜は「私が不倫をするなんて」という聞きなれた台詞と裏腹な歓喜に爛々(らんらん)と輝く二重の大きな瞳
デザートは「どうしてこんなに、生まれてきて良かった」というTVドラマのような台詞と裏腹な30代のホルモンによる自己の崩壊
私だって10代後半の思春期は自己が崩壊したのかと思うほどだったんだ。そこから不安になって確実なものを掴(つか)みたいとサラリーマンになる者、不安定を肯定しようとして事業や免許を獲得しようとする者、不安に押しつぶされてニートになる者、世間や親の言いつけ、社会のルールを漫然(まんぜん)を絶対化する者、なるがままに任せて三流にってコンプレックスを抱き続ける者。
変化と自己の距離をやっと測らなければならなくなった女性性ゆえの悲劇があなたにもやってきただけなんだよ。それを男性の責任に転嫁するのも、離婚に転化するのも、職業で転職するのも、それもまた、女性性ゆえの依存の構造の中にどっぷりと嵌(はま)っているだけだから。
その牝としての性(さが)を食い殺そうとするのもまた、牡(おす)ゆえの性として狩に出かけるだけなんだ。君のそのカールした素敵な髪の毛の中に、紅色に喘(あえ)ぐ口紅と真っ赤な舌ベロを打ち壊し切るまで側にいても良いんだよ。
見上げれば湿気で現実感が揺れる深夜の高層ビルが建っていた。
飛行機に知らせる赤いライトがピカー・・・ピカー・・・と点滅していて、バスケットが終わった後の汗のカーテンの中で妄想していたのだと、スーーーっと飛行機が着陸するように気が付いたのだった。
あなたは個性的では全くないよね。個別性でしかないんだよね、その素敵な髪の毛も自らの悩みの原因に気が付かず、旦那様に転化しているのも、転職を希望しているのも、豊かになった社会だからこそ出産を恐れるようになったのも。
私も個性など全くないよ。
私が打ち出そうとしているものも、何時か誰かが言った事、言ってなかったとしても何時か誰かが代わりに言ってくれる事、ただそれだけの事。
私でなければない理由なんて1つもないんだから。
私はただ目の前にたまたまぶら下げられた人参を欲しがっている馬車馬(ばしゃうま)でしかないんだ。
汗をふき取ってもふき取っても流れてくる、それすらもコントロール出来ないでいる
追記:「老いきウエルテルの悩みのような」の続きです。
「もう、君の視野の狭さにコリゴリなんだよ! 一緒に居るとか、家を建てたいとか、将来ノーベル賞を取ってとか、子供が欲しいとか、そういうのがウンザリなんだ!!」
久しぶりに私の方を見てくれた、クリクリとした二重の瞳には深い怒りが燃え盛っていた。瞋恚(しんい)、と仏教で言うのを白髪の生え始めた彼から聞いたのだった。
彼はちょっと初めから可笑しかったことは可笑しかったけれど、こんなに目が爛々(らんらん)と輝くほどではなかった。
一緒に遊園地に行って笑いあったじゃない。夏の蒸し暑い海岸であなたの腕の中に包み込まれたじゃない。隠れた美味しいラーメン屋を2人で行ったじゃない。「大好きだよ。愛しているよ」と照れながらも言ってくれたじゃない。両方のご両親にも挨拶したじゃない。そりゃ~「結婚します」とは宣言していないけれど。
そんなのずるいわ。
ずるいわ、ずるいわ、ずるいわ、ずるいわ。
もう、2年も付き合ったのよ。それにあなたのことはとっても大好きだわ。
だってこれまでの男って体目当てだけだったのに、下手糞で、屁も糞も臭かったわ。
自己の健康管理も出来ないみっともない男たちだったの、独りで生きられない男たちだったの、この世に存在する価値もないゴミのような存在だったの。
あなたは違ったわ。
あなたは全然違ったわ。あなたは全然格好良かったわ。あなたは全く完璧に見えたわ。あなたはどんなにも私自身を教えてくれたわ。
もう、2年も付き合ったのよ。女の年齢はただの年齢じゃないわ。タイムリミットなのよ。
だからあなたのその瞋恚な瞳は真っ平ごめんだわ。そんなあなたは一生見たくも無かったわ。
そうね、でも、その目を見たらもう良いのね。
分ったわ、もういいのよね、あなたは私に飽き飽きなのね。
わかったわ。
あなたとは逢えなくなるけれど、一生私のもので居る場所に入れてあげるね。
徹底的に批判して馬鹿にしていた近代西欧合理主義の権化のような砦にね。
ちゃんと病院、っていう名前が付いているから大丈夫よ安心して、体裁は国民国家が補償してくれるわ。
お見舞いと称してちゃんと私が秘密に手に入れたお薬を飲ませてあげるからね、対応はばっちりになるんだし。
場所は病院で不祥事は大嫌いな数少ない国民国家、日本だし、あなたは普段から社会不適合のような引きこもりのような生活をしているんだもの。
何なら私の全く知らない人たちにお金で証言してもらってもいいわ。
警察は誤認逮捕だけでニュースに流れて批判されるんだもん、人々はちかんなんて刑が確定していないのに社会生活の全てを失うんだもん。
ばっちりよね、正しい事なんて追求しない、富で堕落して倫理観も失って、老後を子供ではなく国家に頼っているそんな様悪(さもし)い大衆の集まりなんだもの。
これでやっとあなたの、そのクリクリとした二重の瞳から、燃えるような怒りが消え去るわ。
やっとあなたは私だけのものになってくれるのね。
あなたは私の生きる道を教えてくれた人、でもちょっとだけ寄り道をしてから、またあなたの教えてくれた素晴らしい道に戻るわ。
その時にはもう、あなたは野に咲く花になっているんでしょうけれど。
絶対あなたとは離れたくないんだもの。
他の女に渡すなんてまっぴらごめんよ。
あの目も眩(くら)み続けて天国に行ったような絶頂感はあなたと私だけのものにしておきたいの。
大好きよ。
大好きよ。大好きよ。大好きよ。大好きよ。
あなただけが大好きなの。大好きなの。大好きなの。
あなたに出逢えて本当に私、良かったわ。有り難う。神様仏様ほんとうに有り難う御座います。