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旧ラ・パレット掲示板でも、何度か話題になり、激論が交わされたこともある話題ですが、最近、また、気になる書き込みを余所で読んでしまったりしたので、楽譜のコピーや、CDのダビングなどについて、書いておこうと思います。
殆どの方は、ご存知だと思いますが、楽譜のコピーやCDのダビングは、個人的使用と、学校のような公の機関が教育用に使用する場合をのぞいて、著作権を侵害する行為です。 ところが、ピアノレッスンにおいて、メインの教材以外の曲は、コピーで済ますことを容認する指導者や、そのような指導者を支持する保護者が、実際には多く見られるように思います。 確かに、楽譜は、一冊、1000円前後の事が多く、コピーは1枚10円前後ですから、下手をすると、全てのページをコピーしても、コピーの方が安い…などということになるかも知れません。 しかし、そうして、大勢の人がコピーしてしまうために、良い楽譜を出しても、なかなか売れず、採算が合わなくて、絶版になってしまう…というケースは、珍しくありません。 似たようなモノがいくらでもあるのなら、絶版になっても次を探せば良いかも知れませんが、似たようなものが見つけられないと、指導そのものに、支障をきたしてしまう場合もあります。 今、現在も、何種類か、代わりが見つけられないでいるテキストがあります。
こういった現状は、消費の場からは、なかなか見えにくい、実感しにくいモノですが、楽譜が商品として流通している以上、他のあらゆる商品と同じように、需要と供給の論理に従わざるを得ないのは、悲しいかな、当然のことです。
また、楽譜のコピーには、もう1つの問題点があるように思います。 それは、楽譜に対する、生徒さんの意識の問題です。 一度、発表会の曲を決めてから、一日も早く練習したい生徒さんのために、1ページ目だけをコピーして、貸してみたことがありました。 しかし、結果は散々で、親御さんは、コピーがあるから…と、楽譜を買いに行くのを先延ばしにし、何人かの生徒は、楽譜を買ってもらう前に、コピーをなくしてしまう…という始末でした。 連弾譜などを、譜めくりの都合上、本番用に、コピーして使用する場合でも、台紙に貼るように…といって、すぐに貼る生徒さんは、私の教室では、ごく稀です。 酷い場合は、本番当日、画用紙がない…と騒いでいる始末。 おそらく、書かれていることは同じでも、今の子供たちにとって、コピーしたものは、あくまで、ただの紙に過ぎないのではないでしょうか。 そのような意識で勉強したモノが、人前での演奏に耐えるものには、なりにくいような気がします。
音楽を好きになって欲しい、音楽に愛情を持って欲しい。 そう思っていらっしゃるピアノ指導者の皆様でしたら、きっと、同じようなことを感じられたことがあるのではないか…と思うのですが…。
目のお話をしたので、今度は、耳のお話です。
目の使い方は、頭の働きと繋がっていますが、耳の使い方は、集中力と繋がっているように思います。 そして、今の多くの子供たちにとって、こういう集中力を発揮するのは、苦手な事のようです。 でも、音を集中して聴くことが当たり前…でなければ、本当の意味での、音楽的な指導はできないのですよね。 今の時代のように、苦手なことをやらなくても良い…という方向に社会が進んでいると、音を聴けない生徒さんに、聴くことに神経を集中させる…というのは、至難の技です。 カードを使った、簡単な和声聴音などを行って、少しづつ聴けるようになってきても、自分のピアノの音を聴く(つまり、作業しながらでも、耳が働いている)というのは、また一つハードルがあるようで、そこを、どうクリアさせていくか…を、今、考えている所です。
音楽を日常的に聴く習慣があるご家庭のお子さんなら、そんなに悩まなくて済む事ですし、幼児の時から、音楽のレッスンをしていれば、自然と身につくことではあるのですが…。
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