彼女は歯ブラシが好きだ。
もう50本以上歯ブラシを集めたらしい。
彼女は、歯を風呂に入ったときに磨く。
でも使っているのは三本百九十八円。
部屋の壁にはその証。
頭に新聞の角が当たっている。
身動きはとれないから、終点まで我慢する。
新聞の角は悪くない。
でも角が気になって仕方が無い。
小さいころ遊んだ遊歩道の遊具。
ずいぶん錆びたり色がはげて寂れてる。
小学生には関係ない。楽しそうに遊んでる。
寒さなんかは関係ない。
西日が見上げたアパートの窓に当たってきれいだ。
じっと眺めていたら、カーテンをひく女の人。
にらまれた、ちょっと悲しくなった。
一平方センチに三個。
西に見える大きな緑の山脈。
西風が吹き始めると飛び出す黄色い粒々。
見つける前に目が痒くなりくしゃみが始まる。
もう止まらない、桜が咲くころまで。
匂いのない春の季節。
四年に一度オリンピック選手より緊張する人がいる。
聖火台の設計者。火がつかなかったらどうしよう。
でも失敗したりはしないのだろう。
17日間、途中で消えちゃったりしなければだけど。
白いライン、まっすぐ伸びていく。
青い空にちょっとずつ広がっていく。
あんまり長いので首が痛くなった。
音はしない、どんどん伸びる白いすじ。
写真に撮ろう、でも全部は写らない。
しばらくするとただの雲。
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