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海老日記
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2006年01月16日(月)
物部日記・『そろそろ伏線回収を始めないと○○さんに叱られる』


 リルリルが、いた。

 天気がいいので布団を干そうと外に出ると、なにやら人がいる。自転車置き場の横にある共同蛇口(だと思う)の前で誰かが座っている。あれを使っているのは自分だけかと思っていたが、結構需要があるらしい。
 しかし、あそこに座っているのはだれだ? といぶかしむ。
 ヘルレイザーさんの原付も上の階のZさんも誰か知らない人の自転車も、全部無い。なら全員でかけているはずだ。ここにいるとしたら、後は住み着いた野良猫ぐらいのものだ……。
 あれ、誰だ? アパート以外の人か?
 少しだけ近付いて、その人をじと見つめた。
 このアパートに住んでいる人だった。
 何日ぶりか、何ヶ月ぶりか、……いや一年ぶりだろう。お隣さんだというのに全く姿を現さないあのリルリルが、自転車置き場の脇の蛇口で雑巾を絞っていた。
「何してんですかリルリルさん」
 久しぶりで年も越したというのに最初に出てきた言葉はそれだった。私はもうちょっと礼節の知った人間だと思っていたのだが、結構にひどい。
 しかし彼女は普通に
「久しぶりザマス。物部君」
 振り返り、立ち上がり手の甲で汗をぬぐった。
「あ、お久しぶりです。……って隣に住んでいる人に言う台詞じゃないですね」
「では、お早う御座います。ざます」
「そんな時間でもないですね」
 しかし、せっかく挨拶してくれているので
「お早う御座います」
 礼。

「今日は学校はどうしたざます?」
「ああ、今日は二限目が休みなので洗濯をしにきたんです」
「すると、またあのありえない色の車に布団をかけるざますか?」
「そんなに変ですか? 私の車」
 リルリルはふう、とため息をつく。
「推して知るべき、ざます」
 多分、使い方が違う。
「物部君のキャラクターには似合わないざます」
 そうかなあ?
「ところで、リルリルさんはそこで何を?」
 彼女の右手には亀の子たわし。左手には食器用洗剤。そして足元には植木鉢のプランターが落ちていた。洗っていたのだろうか?
「何してるんですか?」
「見ればわかるザマス」
「わかんないですよ。何故にプランターを食器用洗剤で?」
「そういう物部君こそ何故に先々月ワゴンRをチャーミーグリーンで洗車してたザマス?」
「貴様、何故それを知っている!」
 案外世の中は狭い。私が気付いていないだけで、いろんな人が見ているらしい。リルリルは、ずっと私がわからない時も、私に気付いていたのだろうなあ。
 そんな目立つかなあ、ぼく。
「……じゃあ、いいです。それは置いておきましょう。それよりもリルリルさん」
 そう、もっと訊いておかなければならないことはある。
「普通に日本語喋るんですね」
「……」

 一瞬間が空いて

「dhsuigahruiehe909090^1^^」
 おい。


                           続く




2006年01月13日(金)
物部日記・『葛根湯キャットラインダンス』


「物部ー、昨日ユカゲ見たよ」
 出会い頭にゆうさんがそう言ってきた。
 ユカゲ?
 なんだそりゃ。

 ゆかげと言えば、私の知る限り弓を射る時に手につけるグローブのことだ。
 ゆうさんがそれを見たのだろうか。
「ほら、前にサークルボックスの前にいた猫」
 ああ、あれか。

 私が海老銃の他に所属している吹奏楽団のサークルボックスの近くにいた黒い子猫のことだ。
 あの頃はナンにでも名前をつけるのがマイブームでそんな名前をつけた記憶もある。
「大きくなってたよー。理学部棟に住んでるみたいだね」
 そうか、まだ生きていたか。

 大学生になってから猫にはあまりいい思い出がないので、思い出さないようにしていたら、すっかり忘れていた。
 

 名付け親がそれでは、ひどいものだ。

「ところで物部、また風邪ひいたの?」
「みたいです」
「あのさー、葛根湯じゃ風邪は治らないよ」
 漢方薬ですからねえ、と呟いて笑う。そういう類のものは、病気にかからないようにするための薬であって、一度病気にかかれば、違う処方が必要になるということを、この頃知った。我が家では風邪かな? と思ったら葛根湯だったのですっかり万病の薬と思い込んでいた。世間は広い。というか、私の頭の中の狭いこと狭いこと。
「薬飲めよ薬」
 ゆうさんは強く言う。 


 私とゆうさんは、並んで歩いた。



2006年01月10日(火)
物部日記・今、再開の時


 皆々様、明けましておめでとうございます。

 なんとか今年も始まりました。私も帰省中はいろいろと面白いこともしんどいこともありました。
 大掃除に二日かかったり年賀状メール八十通送って何故か二十人近くに受信されていなかったり正月は布団の中で寝正月だったりお葬式に行ったり飛行機に乗ったり新しい小説の構想を練ったりなんだかやばいウィルスの感染の疑いをかけられたりヘルレイザー鎌足さんが振袖きているのを見て唖然としたり成人式にでたり高校の同窓会に一時間とにかく食べまくってさっさと帰ったりかつての友に見送ってもらったり恩師の先生と飲みに行って車なのでトマトジュースだけ飲んだりタイムカプセルを掘り出してなんだか切ない思い出が出てきたり
 もう本当にいろいろとあったのですが、私お医者様からあまり人と接しないようにという指示を受けるほどに体調が再び悪化しました。




 またかよっ!!


 というわけで、講義が経った今終わったので帰って寝ます。
 私の健康は、どこに行ってしまったのでしょうか。


  ちょっと不安。

 ではでは