Leonna's Anahori Journal
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横浜へ父を訪ねた帰り道。暮れ方の荒川に、十数隻の屋形船。 薄暮の川面に提灯をともしていっせいに浮かぶ様は、まるで鈴木清順の映画の世界で、まるでこの世のものとは思えない。
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帰宅して夕飯をすませた頃、今度は稲光。続いてドロドロ、ゴロゴロと雷鳴。それから激しい雨の音。 なんだか、きょうは徹底して清順調ですね(笑)
ベランダの窓を開けて紅茶を飲みながら、おちゃんこ座りで稲妻を眺める。空全体がババババッと白く光ると、その瞬間はまるで真昼のような明るさ。
稲妻が二、三分毎に走る。縦に降ってくるのではなくて、空を横に引き裂いて枝分かれしながらガーッと走る。龍だの麒麟だの、伝説上の動物を目の当たりにする気分。
雨が止んだ後も、稲光は夜中過ぎまで続いて、布団に入ってからも時折部屋の壁が白く光っていた。まるで今日でこの世が終わるみたいだ。ドキドキ。
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あとでわかったことだが、荒川の屋形船。あれは江東花火大会をみるためのものだったらしい。ふーん、そうだったのかー。 でも私は花火よりも麒麟の稲妻の方が好きだけどな。自然現象の大きさにはかなわないというか、ドキムネ感のスケールが桁違いという気がする。
さて、カミナリ様のおかげで少しは湿気がとれて、過ごしやすくなるのだろうか?
2002年07月29日(月) |
テニススクールのこと(完結編) |
テニススクールの件、やっと片付いた。
午後二時に本社の担当者、支店長、スクールのマネージャー、コーチと一堂に会し、謝罪の言葉をもらう。先方からは「できれば是非これまで通りのクラスでレッスンを」とのことだったが、私は一足違いで今日午前、T田沼校へ行って転校手続きをしてきてしまった。
今回のゴタゴタを抜きにしても、今いるスクールは新しいので(5月にオープンしたばかり)生徒も少なく活気に乏しい。それに、T田沼には大きな書店やCD店もあるので、週に一度テニスに行ったついでに本を漁ったり、ゆっくりお茶を飲んだりするのも悪くないと思ったのだ。
久々にT田沼校のフロントへ行ってみると、以前三年間お世話になったコーチとばったり。私が「またお世話になりたいんですけどあいてますか」と訊くと「ちょうど今月末で動く人がいるから入る?」という答え。「それでは9月からまたお世話になります」ということでトントン拍子に話は進んだ。
さて、五者面談の方に戻ると。 コートを離れた場所で初めて対面するコーチは今まで思っていたよりもずっと若くみえたのが意外だった。要するにテニスは上手だけれどまだ仕事で教えるようになってからは日が浅かったのだろう… いずれにしても、やっとこれで一件落着したわけだ。 ストレス、かなり軽減。ふぅ〜
2002年07月28日(日) |
プリミティヴな正義感 |
しばらくかかって青柳恵介著『風の男 白洲次郎』という本を、少し開いてはすぐ閉じるといった調子で、のろのろと読み進めている。
この評伝によれば、白洲次郎という人(実業家。吉田茂首相の懐刀と呼ばれ終戦処理に活躍)はすぐに怒鳴る。それも地位のある責任ある立場の人間に対して怒鳴る。どんなに偉いひとに対してでも臆することなく自分の意見を言い、対立するとこれまた臆することなく自説を通そうと大きな声でやりあうのだ。
読んでいると、強いものに平気で向かっていくその姿勢の良さ、格好良さに、ほとんど打ちのめされそうになる。 それというのもこの数日、私自身も、怒り怒鳴り悪態をつきながら、なんとか自分の“正論”を通そうとやっきになっていたからで、しかもそうやってジタバタしている自分の姿がどうにも無様に思えて自己嫌悪に陥りそうになっていたからだ。
正論を通そうとする人間は、表面はともかく内実は感情的であってはならない。表面的には熱くなっているように見えても、その心眼は正論の先にあるヴィジョンを見失ってはいけないのだ。 また、いったん自分が意見を表明したならば途中で姿勢を変えるべきではない。こんなことを言ってひとからどう見られるだろう?などというケチなことを考えるくらいなら最初から意見などしなければいいのだ。こういうことは少し冷静になってみればすぐにわかる。
しかし、それはそれとして、オンナが怒るとき怒鳴るとき正論を主張するときに、いくら正しくたって“これ以上はデッドゾーン”という一線はあるだろう、と、まあそういうことも考える。 これはケチな見栄とはまた別の、いわば身だしなみの問題というものだ。 短気で怒りっぽい私の性格はおそらく“一生もの”だろうから、せめて自分なりの規範というものを持っても良いと思うのだ、もう大人なんだし。
結局のところ私は、怒りをぶつける相手に嫌われることをおそれているのではなく、自分が自分に幻滅することをおそれているのだろう。 だから一貫して“怒り姿勢”の良い白洲次郎、どんなに怒鳴っても決して振り向かない、うつむかない白洲次郎の格好良さに我と我が身を映してはうなだれてしまうのだ。
ところで、白洲次郎というのは先にも書いたとおり吉田茂首相の懐刀と呼ばれた男。第二次大戦後、ケンブリッジ仕込みの英語と世の中の三歩先を見通す眼力でGHQを向こうに回し終戦処理に活躍、日本国憲法誕生の現場にも立ち会った昭和史の重要人物なのだ。(ちなみに奥さんは文筆家の白洲正子) だから、そもそもそういう人の短気と私の短気が同じ物であるわけがないのだけれど…(笑)。しかし、な。
“ボクは人から、アカデミックな、プリミティヴ(素朴)な正義感をふりまわされるのは困る、とよくいわれる。しかしボクにはそれが貴いものだと思っている。他の人には幼稚なのかもしれんが、これだけは死ぬまで捨てない。ボクの幼稚な正義感にさわるものは、みんなフッとばしてしまう。”(『風の男 白洲次郎』より)
どうです?こういうことを言うひとに惚れなかったらオンナに生まれた甲斐がないじゃないか、と私は思うんだけど(笑)。 ま、こういう人間の魅力に不感症であるとしたら、オトコに生まれた甲斐も(オットコならなおのこと!)あったもんじゃないですけれどね。
高校時代の友人ふたりと、横浜で食事。 出かけた先はシェラトンホテルのディナーブッフェ。私の好きな“食べ放題”だ。 ゆっくりと好きなだけ食べ且つ話し、そして飲む。おかげでつまらないアレコレを罵倒し、笑い飛ばすことができた。十代の頃とまるで同じようにつきあってくれる友人たちに感謝、感謝。
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ブッフェの待ち合わせ時間より少し早めに着いたので、桜木町のランドマークプラザをぶらぶら。元町ストリート奥の洋食器店タカラダ(明治創業の老舗)で高級デミタスを発見、鼓動が速くなる。フランス、リモージュ焼きのものや、ドイツ製のバラに金線が入ってお姫様専用みたいなやつ、それからタカラダオリジナルの花の絵柄のものなど、など。
特にドイツ製のお姫様のカップが無茶苦茶可愛らしい。高さよりもやや口径が大きいデザインも変わっているし、小さなカップに豪華なバラと金彩がおっとりと上品に収まってちっともゴチャゴチャしていない。ほしいなぁほしいなぁ、でも、一客一万六千円つーのはなぁ…
このドイツの陶磁器メーカーの名前、教えてもらってから十五分くらいの間は覚えていたのだけど、食事をしたらきれいさっぱり忘れてしまった。でも検索エンジンで調べたら、あったあった、ありました。その名も『フュルステンベルク』。(いかにもGermanyという名前でしょ?)
タカラダさんは、もしこれが売れてしまっても、ご注文くだされば一客からでもお取り寄せ致しますと言ってくださいました。とにかく、メーカー名だけは忘れないようにしておかなくちゃ(えーとメモ用紙、メモ用紙…)
メールをいただきました。
「テニスのコーチがとんでもないヤローって、もしかしてそれ、セクハラですか?」
簡潔にお答えすると「違います」。(…ここで、あ、セクハラじゃあないから怒ってるんですネ!などとつっこまないように)
今月から担当になった新コーチ、最初から「今度のコーチはキツイね」と生徒同士、言い合ってはいたのですが。 今週はとうとう、中級のクラスでどう考えても上級以上のレッスンをやって、そのうえボール獲れない生徒を見て失笑かましてくださったんですよ。 で、なぜそんなことになったかというと、今週から入った上手な生徒(コーチにひっぱられて他のクラスから移ってきた)と体験レッスン生(激ウマの男子。どうみても上級の上レベル)がいたからなんだな。
それで、元々のクラス生の私ともう一人のオバサンは、サウナみたいな室内コートを死ぬほど走り回らされたうえに、給水の配慮すらしてもらえなかったわけ。 冗談抜きで危ないよ、倒れたらどうするんだ。そんなのスポーツの指導員にとってはイロハのイだろう! そのうえ鼻を鳴らして冷笑するわ、レッスン終わっても「お疲れ様」の挨拶ひとつなしなんだよ?こんなことが許されていいわけないよね。 レッスン料払ってどうしてこんな目にあわなきゃならないの、シドスギルワ!!
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とまあ、そういう理由なんです。 でもってご多分に漏れず、今回もなかなかまともな対応をしてもらえませんでね。 やーな思いを散々した挙句、やっと本社のお客様相談係と当該スポーツクラブの支店長氏に会っていただける、らしいんです。 それじゃあというので「件のコーチ同席でお願いします。言った言わないじゃなくて、実際にあったことを私のいる所でお話しいただきたいので」とお願いしておきました…
しかし、信じられないようなヤツっているもんですね。まったくもって、冗談はヨシコさん!
今年の暑さはちょっと尋常ではないと思いませんか? なんか、地球崩壊への序曲って気がしてくるのは私だけ? 7月なのに次々と台風が来たりするのも“環境問題と関係あり”とする説があるそうです…
しかし、地球崩壊以前に私の方が崩壊してしまいそう。 暑いわ、仕事だわ、カラダキツイわ。 夜9時を過ぎると背中が張って、まっすぐ立てません(もう歳だわね…) そのうえテニススクールとの間で問題勃発。 新しく担当になったコーチがとんでもないヤローでね。 いまスクール側に正式に苦情を申し入れているところ。 ガッコかわることになるかもしれません。… そんなこんなで、溜息つくのもいやんなるくらい疲れています。 (なにせ昨日なんか『濱マイク』観るのも忘れてたんですよ)
それで、こうなったらもうあんまり頑張ってもしようがないので省エネモードでゆらり〜んと、 あるかなしかの空気の流れに乗っかってしばらくは生きていこうと思います。
リニュだの更新だの、滞っていたのがさらに滞ってしまうかもしれませんが、 この老チマリスの目尻の涙に免じて勘弁してやってくださいませ。
(あーあ。バリ島へでも逃げたいっちゃ…!)
新聞もテレビもみていないので知らなかったけれど、どうやら関東地方も梅雨明けしたらしい。 家にいても暑いし面白くないことばかり思い出すので、気晴らしに買い物に出かけた。
ちょうどアイロンがけにつかうリネンウォーターというのが欲しいと思っていたのだ。あと、朝コーンフレークを食べるときのシリアルボウルも。それから、旅行に行くときにはくカーゴパンツ(ウエストを紐でしめるユルユルズボンでも可)もさがしたい。
それで、今日も今日とて“ららぽーたー”となり、二時間ほど歩き回ったあと、スタバでお菓子を食べながら読書して帰ってきた。
リネンウォーターは AfternoonTea のラヴェンダーの香りのを、シリアルボウルにはポルトガル製の、手書きの花の絵のついたカフェオレボウルを買って代用することにした。
少ーしだけれど、気が晴れました(笑)

今朝ベランダに出たら、今年最初の朝顔が咲いていました。これは『富士の青』という種類。
きょうは、土用の丑の日。 ちゃんと鰻を食べましたよ。こんどは間違えなかった(笑)
(土用の丑の日は年によって日が違うので、いままではたまに間違えて、カンケーない日に鰻を食べてしまったりしていたのです)
鹿児島県は大隅半島の豊富な地下水をつかって養殖したうなぎ。 ふっくらとして、とても美味しかったです。

ああーくたびれた。やっと一週間が終わった。 でも今日は何となくスッキリしない気分。
いい年をしてお店で口うるさく注意される。仕事だから別に注意されることがあっても仕方ないけれど、少しシツコイ。
この間は、6月のうちに了解をとって出したシフトのことで、突然、上の人間から電話がかかってきてくどくど説教された。 いわく「なぜこんなに長くお盆休みを取るのか」と。 それは、もうとっくの昔に店長に了解をもらっているのに。店長のみならずお店の人たち全員に説明して了解をもらっていることなのに。 しかも、相談したさい「後半は都合がつきますから出てきます」と申し出て「いや、構わないです」と言われたから入れた休みなのに。 さらに提出の際、「通常と違う休みパターンなので理由等一筆書いて出しますか?」ときいたら「書かなくていい」というからそのまま送ったのに。 どうして今頃になってこんな事言われなきゃならない? どうして店長に事情を聞かずに直接本人に文句言う? それじゃ、何のための店長なのさ?
よほど「事前に了解をとってあります」と言おうかと思ったけれど、そうすると詳しく説明しなけりゃならない。電話が長くなる。すぐそばにお客様がいるのに。要するにそのとき、とても忙しかったのだ私は。 それで「ハイ、ワカリマシタ」を連発してワカッテルということをワカッテいただいて、受話器を置いた。
ところがその後も、そして今日も、店長とその上長の連絡(意思の疎通)がうまくいっていないせいで、なにかにつけてこちらにしわ寄せが来る。 今日はその上長(店長の上の人間)とふたりで仕事をしていたのだが、しつこく注意(問題の背景について説明)するのをやめないので、いい加減うんざりしてきて、ほんとにもう怒鳴ってやろうかと思った。
“いまごろそんなことくどくど言うなッ!そんな大事なことなら最初に言え、最初にッ!!”
ま、相槌うって聞き流しときましたけれども。要するに管理職間のコミュニケーションがうまくいっていないのだ。ほんとレベル低いよな。泣けてくる。
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こういうとき何が悲しいって、こういうツマラナイことが心の中でじわじわと拡がって、自分の世界全部がツマラナイもののように思えてくる事ほど悲しいことはない。 だいたいあんな馬鹿気たことがまかり通るのは限られたせまい世界だからで、本来あんな事は、大間違いのこんこんちきなのだ。
それに一歩店を出たら、私は私のもので、アホな上司なんかカンケーないんだから。ないんだから、だから、いつまでも私のなかで嫌なくすぶり方をするのは止めてほしいんだな。
…と、さんざん愚痴ってみても、なにやらうっすらとかなしい気分。今日は。
母の新盆。
父の家へ行く途中、教えられた花屋で仏花を買っていく。坂の上、四つ辻に面した角店の花屋。 父によれば「あそこで買うと花が長持ちする薬(鮮度保持剤)つけてくれるからいい」のだそうだ。
私は店の前は通ったことがあるけれど、買い物するのは初めてだ。 桶に入った仏花を二束取って「これください」と言いながら入っていくと、白のU首シャツ(要するにアンダーウェア)にベージュのコッパン姿の店主と思しき中年男性がいた。いつもこんなふうですといった感じの、普通に機嫌の良さそうな笑顔。 中背、白髪混じりの頭で、顔がなんとなく白洲次郎に似ている。
この店主に「これください」と花を渡すと、紙にくるむ手をとめて私の提げているスーパーマーケットの袋へさっと何かを放り込んだ。驚いて、見ると、ほうずき。
「お盆でしょ。お仏壇にあげるか、そうじゃなかったらご自分で遊んでくださいな。」
早口で、歯切れよくそう言ってニコニコしている。 もう若くはない女性に、ほおずきで遊べとは…。今の世の中に、こういうことをごく普通に口にするこの生花店主、こりゃなかなか粋なオジサン!とチマリス感心してしまった。
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午後一時過ぎ、お坊さんがお経をあげにきてくれた。 そのあと、妹とふたりで白玉あずきを食べたりしながら、母の仏壇の前で夕方まで過ごす。 父に「あの花屋さん、チョット白洲次郎に似てるわね」と言ったら可笑しそうに笑っていた。

これが花屋の白州さんからもらったほおずき。母の仏壇に供えました。
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