 |
井戸の中 �� 2010年02月11日(木)
ナナはぼくよりひとつ年下だった。
ある日学校の帰り道、女の子が河原の土手でしゃがみ込んでいた。ぼくは近づき、 なにしてるの? この花をみてるの それは低い雑草の中にひとつだけ黄色い花を咲かせていた。 ビー玉あげるよ ありがとう ぼくはナナに透明なビー玉を一個あげて立ちあがった。 ナナも立ちあがり、そしてぼくのあとについてきた。
次の日、校門でナナが待っていた。 ビー玉あげるよ ぼくはふたつめのビー玉をナナにあげた。 ありがとう、と言ってナナは笑った。
覗き込む井戸の中からは冷気と一緒に白い光がふたりの顔を照らしている。 あの日以来ナナはぼくにまとわりついてくるようになり、この井戸を発見したのは夏休みに入る二日前だった。
|
|