毒茄子
レガお君



 恵みの試合中止

ついに3月。

3月から夜勤解禁の私。
で、いきなり深夜入りと相成る。
夕方に入った喀血患者がいるから
大変に決まってる。
で、寝ようと思っても満足に眠れず。

オープン戦も何だか行きたくなくて
夜勤中雨乞いして
夜がなかなか明けないのに喜ぶ。
やっとこさあけた空はどんよりで
「よーし、このまま行ってみよ〜」
と思ってたら本当にざーざー降りだした。
やったぁ。どう考えても中止。
タケに会いたくないし究極に寝不足だし
下手に試合始まってから
雨が降るとかいう展開はブルー過ぎる。

夜勤は予想通りのバタバタで
喀血患者の状態も刻々と変わる。
状態が変われば必要な指示も変わる。
という事で魚に新たな指示をもらわねば。
日勤に任せてもいいんだけど
日勤の最初はバタバタするし
今日の呼吸器メンバーは
普段皮膚科診てる人たちだし
上手い事言って私が魚に電話する役に。

昨夜飲みに行ってた魚。
どうせ爆睡&二日酔いに決まってる。
ダラダラ記録を書き終わるまで
起こすのを待ってやる。で、9時半に電話。
もろ寝起きの声で電話に出た魚。
私は病棟名だけ名乗って話す。
が、魚は私とわかってるみたいで
「二日酔いなんや」という。
よく考えたらバカな事言ってる。
私と似た声の人だったらどーするんだか。

状況を報告したら「昼頃見に行く」と。
「雨の中をご苦労さん」と言ったら
「おお、今日はお馬ちゃん見に行くのヤメや」
という。私も「野球もないねん」と返事。
詰所の中が空っぽなのをいい事に普通に喋る。

残業が長くなりそうだから
先にタケに電話する。
タケは野球はないけど会えないかと言う。
今は会いたくない上に
本当にクタクタなので丁重にお断りする。
昼に帰って爆睡。久し振りに失神状態で眠る。

夜、魚からメール。
「PE’Zのライブって30日やった?」
は?29日だし、29日がいいと言ったのは魚。
「29日やで」と端的に返答差し上げたら
「そうやったか?空けときます」って
何か予定が入りかけたらしい。
その続き、私が帰った後の昼間
喀血患者が喀血を繰り返して
いよいよ厳しくなってるらしい。
「もうあかんかも。今から寝かす所」って。

付き合いが長い患者さんだから
亡くなるのは寂しい。
明日は私が受け持ちの予定だから
今夜亡くなるともう魚とは働けないのも事実。
なんて不謹慎な事も考える。

で、5月のシティーボーイズのチケットが
先行抽選で当たった。
魚が転勤後も2人で会う予定が決定。
コンビ解消とか言いながら
ホント何やってるんだろうなぁ。

魚は病院にお泊りかなとか考えながら寝る。

2003年03月01日(土)



 公私混同モード

2ヶ月ぶりの日勤深夜。

朝から気合入れて出かける。
さっさと仕事を終わらせて
さっさと帰ってゆっくり寝るのだ。
ここ最近、重症者だらけの病棟で
夜勤はとってもハードな時間。
普通に夜勤してる人でもしんどいのに
久々と言うのはさらにハンデ。

終業が見えてき始めた5時半頃。
婦長さんが電話でやり取りをしている。
「ひとつだけ空いてるけど
今は病棟がメチャクチャで
受ける余裕はあまりないよ〜。」
どうやらこの時間になって緊急入院。
さっさと逃げないと帰りそびれる。
婦長さんが患者さんの情報をメモに取る。
名前見たら古巣の患者さんで、喀血。
そして主治医は魚。
・・・頑張って入院受けよかな。

BF下で止血するというから準備。
暫くしたら患者さんがやってきて
「ここにおったんか」と
私の顔をみてびっくりしてる。
ひととおりBFが終わって
魚が点滴やら何やら指示を書き始める。

他病棟なので魚が知ってる茄子はいない。
おまけに夕方のバタバタしてる時間だから
頑張らないと誰も魚の話を聞いてくれない。
「看護婦さ〜ん」と言いながら
周りを見回してる魚。
しょうがないからといいながら
ここぞとばかりに御用聞き。
タメ口で話しなれてるから
ちゃんと話そうとすると違和感タップリ。

古巣の部屋は空いてないのかと聞いたら
空いてないと。ついでに
「俺はここのほうがええねん。
外科絡んでるから急変しても
看護婦がパニクらへんから」
そのかわり、なぁなぁで仕事できないのに。

この患者さんの初回治療は2年前。
病期としては完全にエンドステージで
夏にも一回喀血で緊急入院してた。
その時はBFであっさり止血できてたので
一週間ぐらいで退院してたけど
2回目となる今回は厳しいみたい。
今までのカルテを見てたら
診療記録も看護記録も古巣の人達の
懐かしい字でいっぱい。

状態が状態なので
一旦止血できても、いつかは再喀血。
肺癌に対する根本的な治療は
できない時期だから後は時間の問題で
毎日が綱渡りになる。
で、その主治医はというと
しきりに時間を気にしてる。
「何かあんの?」って聞いたら
「三宮に飲みに行くねん」「・・・。」
「あんまり時間ないから車でいこかな」
「やめとき〜金曜の晩やで。電車電車。」
相変わらずマイペースな魚。

魚と詰所の隅でボソボソ話す。
「明日夜勤明けで野球見に行くのに
この調子じゃ残業でぐったりやわ」
「おれも明日はお馬ちゃん見に行くねん。
阪神に競馬帰って来てるから」
誰と行くねんと言いかけてやめる。
そういえば去年のこの時期
魚に競馬に連れてってもらった。
あれから一年。
いつもの調子で普通に喋ってて
我に返ると後ろに後輩。イケてない。

魚がうちの病院にいるのは後一ヶ月。
そんなカウントダウン期間中に
暫くは病棟で会う事も増える。
異動して、もう一緒に仕事する事は
ないかと思ってたけど
やっぱり何らかの縁はあるみたい。
離れようと思うと
こうやって何かが起こる。

喜んでばかりもいられない。
久々の深夜は重症患者が1人プラス。
帰ってサクサクごはんを食べて寝る。
タケから着信があったけど
相手してる時間はない。
深夜は絶対忙しい。
なんだか明日のオープン戦も
本当に行きたくなくなってきた。
天気予報は雨。
試合途中とかで降るぐらいなら
朝からどっさり降って中止がいい。

雨乞いやな。

2003年02月28日(金)
初日 最新 目次 MAIL


My追加