毒茄子
レガお君



 教員に必要な資質

昨日の面接の報告がてら部長室へ。

ちょうど部長が1人でいて
私がドアのところに来たのを
すぐに見つけて「あら、どうだった?」
と声がかかる。
「緊張しました〜」って答えたら
「面接官は何人いた?」
「何を聞かれた?」とか
部長がどんどん質問してくる。
今日も部長がヒマしてる時に来たらしい。
ヒマな時は色々話してくれる部長。

気になってた事を質問。
「全部で4人面接したんですけど
あの中から誰かが選ばれるんですか?」
「私は上に当院から2人出せないかと
言われたから2人推薦したのよ。」
という事はやっぱり採用前提の面接?
「あと、まだ若いのにみたいな事を
くりかえし言われました。」
「はぁ?誰がそんな事言ったの?」
「面接官の〇〇さんです・・・。」
私、チクらされてる気分。
「あなた5年は越してるのよね?」
「そうですけど・・・。」

部長は続ける。
「私は臨床を4年やって教員になりました。
下調べは大変だったけど、
臨床経験が浅いという理由で
困った事はなかったように思います。
進学コースの学生さんなんて
本当に経験が豊富で私が知らない事も
どんどん質問してくるけど、肩肘はらずに
「わかりません」って言えばいい。
で、一緒に調べたらいいのよ。
演習の指導してても、知らない事聞かれて
授業途中で教員室に戻って
他の先生に聞いた事もあったわよ。
上の先生に「あなた、今ここにいて
学生はどうしてるの?」って聞かれたから
「演習室で騒いでますよ」って答えたの。
何とかなるのよ、あはははは。」
カッコよすぎる。

「学問なんて学生さんは本見て
勝手に勉強するんだから
教員には教科書には載ってない
看護の楽しさを語れる人であってほしい。
いつも原点を大切に、知識を伝えるよりは
物の考え方を示して欲しい。
人の前に立つ人なんだから
ただの教えたがりだけでは私は推薦はしない。
その辺のところを大事にして
この先、頑張ってもらえたらと思いますよ」

とても元気が出た。
私が部長と同じ器だとは思わないけど
部長の話を聞く限りでは
私も教員としてやっていけそうに思う。
だいたい、上の提示する
「臨床経験5年以上」という基本ラインは
クリアできてるんだから
後は経験何年だろうがスタートラインは一緒。
経験年数が何年あろうが
漫然とすごしてればただ時間が過ぎただけ。
私は私の7年足らずのキャリアを
それなりに濃いものだったと思ってる。

みんな恐れてる部長だけど
きちんと話せば本当に勉強になる。
緊張はするけど得るモノは大きいから
部長と話すのは好き。
部長は部長で自分がビシバシ物を言うから
周りが恐れてる事も自分でわかってる。
それを厭わないぐらい
強い動機をもって自分に近づいてくる相手には
実は懐の深い人なのかもしれない。

ちっこいけど、どこまでもカッコいい部長。
話を聞いて貰えるだけでもありがたいし
この人がそれなりに見込みをつけて
私を推薦してくれたんだから
きっと私はやっていける。という自信もある。
人に自信を与える事ができるってすごい事。
むかし、臨床指導者の会で
「皆さん、思うようにやってみて下さい。
責任は私がとります」と言った部長。
自分に自信があって、相手を信用してないと
絶対にいえない言葉だと思う。

あんな風になりたい。

2003年03月13日(木)



 面接試験当日

ついに面接の日。

大胆にマイカーで出かけて
面接終わったら、即遊びに行けるよう
着替えを車に仕込んで出発。
さすがに道は混む時間だし
遅刻は絶対まずいので早めに出かけて
早く着きすぎて途方に暮れる。

面接は9時半集合と言われて
早すぎても迷惑かなと5分前に到着。
挨拶をしてお部屋に通される。
先客3人。全員一目見てだいぶ年上。
皆さん、私を見て驚いてるのがよくわかる。

面接に呼ばれたのは私だけじゃなかった。
まさかこの中から選考?
でも4人という微妙な人数は
いくつかある学校に振り分けるには
ちょうどいい感じ。
お互いを探るように話す。

若いよね?と聞かれて卒後7年目と言ったら
もっと若いかと思ったと言われる。
希望してたの?と聞かれて
「いつかやりたいとは思ってたけど
思ってただけで、年末に思い立って
いきなり部長室に教員になりたいと
直談判に行ったら思いがけず面接に呼ばれた」
と答える。

その答えを聞いて驚く皆さん。
1人は「私は3年続けて転勤希望を書いて
今年やっと面接までこぎつけた。
年末に言い出してすぐ面接?」
・・・しまった。でも本当の事だし。
もう1人は「そんな直談判するほど
強い動機なんてない。
先輩が行ったしって感じなんだけど」
・・・そんな簡単なもの?
臨床ドロップアウト組も多いらしい
というのは本当なんだろうか???

話題は給料へ。
技術職じゃなくなるので基本給が変わる。
夜勤手当も看護業務手当てもなくなるから
確実に減収なんだけど問題はその程度。
私は若いから差し引き
5千円程度しか変わらないらしい。
卒後10年なんてとっくに越してる
お姉さん方はひと月で万単位の減収。
結構シビア。
多分一緒に働くのはこの年代の人達で
最悪、来年私の後に来る新しい教員も
この世代・・・。

面接は1人20分。見事にきっかり20分。
面接室に入って椅子に坐るなり
椅子のキャスターが転がって
椅子から落ちそうになる。
面接官は笑ってる。笑い事じゃない。
ストッパーぐらいかけとけよ。
結果的には「つかみはOK」の状態。

どんな教員になりたいかとかいう類の
ふつーの質問に混じって
根本の看護婦の志望動機も聞かれる。
後は臨床で楽しかった事や苦しかった事。
ある人は「最近の若い人についてどう思うか」
と聞かれたらしい。
が、私には「その若さで、
これから臨床家として脂が乗ってくる時期に
なぜ教員を目指すのか」という質問が出される。

何度も自分を若いと評価される。
自分では若さはビハインドとは思ってない。
看護観はそれなりにしっかりしてる。
意欲も有るし問題意識も持ってる。
看護の楽しさは十分にわかって
それを人に伝える力量も備わってると思ってる。
教育は全て経験に裏打ちされるものではないし
卒後5年という条件はクリアしてる。
医者は卒後5年前後で大学院に戻ったりするし
看護分野でも同世代の助手はいる。

経験を積む事で自分が辞書のようになり
何もかも知ってる必要はない。
わからないときはこう調べたらいいとか
考え方の道筋だけ提示できたら
後は学生が自分で成長するのが本来の姿。

面接が終わって、喫茶店で着替える。
地味地味の妹のリクルートスーツから
綿のレースのストールに春コート
細身のパンツとブーツという
若者らしい格好に戻って大丸へ。
平日に買い物なんてあと何回できるやろう。

お目当てはスーツ。
今までちゃんとしたスーツは持ってない。
教員になったら実習打ち合わせとか
きちんとしなきゃいけない
大人シュチエーションは増える。
入学式もあるから学生はおろか
学生の家族の前でも
ちゃんとしておかないといけない。
頑張らないと完全に学生に見られる。
賢そうに見えるスーツを買おう。
で、ベージュのパンツスーツお買い上げ。

頭の中でスーツを着てカッコよく
キビキビ仕事してる私が出来上がってる。
授業もパソコンでパワーポイントとか
OA機器を見事に使いこなして
なんてステキなお姉さん。
でも、休みの日はライブハウスで
Tシャツにジーンズで酒飲んで騒いでるのだ。
冬はスノボだし。

現実はそんな感じで。


2003年03月12日(水)
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