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■ 体験は看護の資源
実習2日目。
朝から受け持ち患者変更×2。 ひとりは学生も患者もお互い拒否反応。 ひとりは患者から申し入れがあって 理由:「男子学生が来るとは思ってなかった。 女の子がよかった」本気か?? 患者は39歳の独身男性。 臨床はどんな同意のとりかたをしたのか。
冗談とも本気ともつきかねる申し出で どーにかならないかと思ったけど 臨床側の協力がないと進まないのが実習。 「外す」と言われればしょうがない。 もうひとりの学生は患者が 雑誌のエログラビアを見せたのをセクハラととり もう、とてもマズい関わりをしたので 患者もイヤになってしまって受け持ち変更。
もともと患者と関わるのに 上からモノを見る傾向がある学生なので これを機会に振り返りをと思うけど 「患者のマナーが悪い」の一点張りで 思うように話が進まない。 患者は変わったけど彼女の態度が変わらない限り 多分次の患者でも問題は起こる。前途多難。
「患者のマナーが悪いから 私の関わりが変わっただけで今度は大丈夫」 って傍から見てたら全然そんな風には思わない。 学生の年齢が40歳代というのもあるのか 本当にプライドが高くて難しい。
また別の学生がスタッフと話してる。 乳癌のOP後の患者がリハビリが進まない。 患側の腕を上げるのに「怖い」とか 「何だか痛そう」という事でためらってる。 ひとりのスタッフはその患者に 「ちょっと痛くてもまだ頑張れるよ!」とか わりと色々言葉をかけては積極的に関わってる。
そのスタッフが学生と話してる内容を聞いてみる。 「私にはあの人(患者)に 色々言える強みがあるねん。それが何かわかる?」 私は「おお、すごい!プライマリーナースかな? きっと患者とは長い付き合いで 信頼関係ができてるという自信があるのかな? こういう人の話をしっかり聴かせなきゃ」 と思って目が輝く。
学生も興味津々で「何なんですか?」って聞いたら 「ふふ、私もOPしたのよ。3年前に。 それを乗り越えたっていうのがあるからね。」 はぁ? コケそうになる。 「あの人はまだ切って3ヶ月でしょ 痛くて当たり前なのよ。 3年経ってる私でも冷えたりしたら痛いんだから 3ヶ月ぐらいで色々言ってちゃダメ。 まぁ、あの人の傷は大きくて私の小さいんだけど」
期待した分落胆は大きい。 この学生は25歳で特に病気の経験も無い。 確かに自分の経験も看護の資源にはなるけど それを学生に聴かせてどうしろと? 「私もOPしたから」って励ますのが看護なら 近所の同病のおばちゃんにだってやれる。 で、「痛いのは当たり前なのよ」って 今患者が体験してる事を 受け止めてあげる気持ちはないのか?
マネのできないことを言われても 学生にしたら「私にはできんわな」って がっくり来るだけ。 体験してなくても患者の気持ちに沿おうと かかわりを重ねて行くのが看護の力じゃない? じゃないと糖尿病にならないと 糖尿病患者の気持ちには沿えなくて ガンになってみないとガン患者には深く関われず 死んでみないとターミナルケアはできなくなる。
スタッフはまだ喋る。 「本当に仕事もできるようになったし 色々大変だけど頑張らなくっちゃという事よ。」 要は自分の頑張りを認めてほしいのか? 患者の話をしてるはずなのに 何だか自分に焦点が当たってて 聞いてる学生も目が泳いでる。
結局私はそのスタッフの話に うんうんとうなづいて相槌を打ちながら 「大変な所を頑張って乗り切ってこられたんですね」 と理解の姿勢を示して聞いておしまい。 お前が患者になってどうする。気が済んだか?? スタッフは「まぁ、頑張ってね」と つながらない事を言ってご満悦で行ってしまう。
話が終わったので学生を詰所から連れ出す。 「先生、さっきの話聞いて 結局私はどうしたらいいんですか?」 やっぱり学生はわかってる。 「うーん、自分の知識も経験も看護者丸ごとが 援助の資源になるという事になるのかな。」 こんな意味付けでいいんだろうか? 「何か途中から自分の闘病記になってて 先生が傾聴してて、どうしようかと思ったんです」 ごめんよ。
「でも経験が一番大事なわけじゃないよ。 じゃないと病気したことがない人は 病人と深く関われない事になるやん。 体験してなくても知ろうとすること、 その姿勢が一番大事なんやから」
実習中って本当に盛りだくさん。
2003年09月03日(水)
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