毒茄子
レガお君



 二十歳の恋心

20歳の子ばかり3人連れて実習中。

で、そのうちの一人が
病棟にいる医者を気に入った。
レジデント世代の医者で
色白で目鼻立ちが優しくて
今時の若い子が気に入りそうな
男か女かわからない感じの顔。
ありがちー。

「今時の若い子」とか言うと
自分がものすごくオバサンに思えるけど
まぁ実際10歳上なワケだし
あえて反論はしない。

で、若さが溢れてるので外見重視。
彼のガーゼ交換の手際が悪かろうが
電話で要領を得ない話し方をしてようが
独り言をつぶやきながら
カルテを書いていようが
もう、全然オッケー。

さらに外見で年齢を判断できない。
どう見ても30代中盤の医者を
30歳手前だと言ったりしてて
気に入ってる医者も25歳ぐらいかな?
って医者デビューは26だし。

詰所で会えば毎日嬉しそうな顔をして
もう顔がニヘラニヘラと笑ってる。
見事に恋する乙女な感じで
可愛いといえば可愛い。
進学コースの学生だと
こうはいかない気がする。
彼女たちは勤務先で
医者の実態をよーく見てる。
そこは幻滅あるのみ。

あたしにも若い頃はあった。
高校時代は廊下で好きな男の子に会うと
とても嬉しくて一日機嫌が良くて
会えないと何度でも
教室の前の廊下を通ったりした。
目なんて合おうものならもう
一日ボンヤリ。

そんな子も10年経てば立派なおっさん女。
で、嫁に行こうとしてたりする。
若いときは若い子らしく素直に
キャピキャピとはしゃぐのも必要。
ここまで来れば世の中は
醒めて歪んで黒ずんで見える事もある。

この子達の10年後はどうなるやら。
就職して仕事が面白くて
学生時代の彼氏と別れて
ちょっと仕事出来だしたら遊びだして
好きな車買ってみたり旅行行ったりして
1人前になって医者にも手を出して
痛い目見ながらそこで得るものもあって
キャリア伸ばして腹くくって結婚
みたいな。

そんな10年でした。




2004年05月20日(木)



 巻きっぱなしの血圧計

台風が来よるらしい。

学生の記録を見てて
看護問題のネーミングの下手さに驚く。
アセスメントはそれなりに書けてるのに
問題は「車イス移動がスムーズにいかず
夜間頻尿であることからの睡眠障害」
って車イス移動にアプローチするのか
頻尿にアプローチするのか
不眠にアプローチするのか。

車イスがスムーズでも
夜間頻尿だったら患者はしんどい。
頻尿でなくても車イス移動が難しければ
患者の負担は大きい。
だから移動と頻尿と睡眠を
別々に考えたほうがいいんじゃないかと
色々言うんだけど
なかなかうまく伝わらない。
言葉遊びしてるみたいで嫌になる。

誰が最初に看護過程を教えたんやと
ボヤいてもしょうがない。
今ここで出来るだけのことをしないと
この先の彼女たちはどうにも使えない。
実践は結構うまくやってるのに
看護計画にそれを書けないなんて。

ぼちぼち周りが見え出して
実習病院の看護のアラも見えだす。
昨日のカンファレンスでは
安楽を巡って意見の食い違いあり。
「術後回復室にいる患者に
自動血圧計のマンシェットを
巻きっぱなしにするかその都度外すか。」

学生は「拘束感につながるから安楽の面で
一晩中巻きっぱなしは良くない。」
臨床家は「巻いたり外したりする事も
患者にとっては煩わしい。
安楽も必要だけど
急性期の優先順位は安全」だという。
それで堂々巡り。

確かに安全の確保は大切なんだけど
それで安楽が犠牲になるものでもなく
安全と安楽を天秤にかけること自体
何だか違うような気がする。
色んな意見が出るんだけど
どれにも「患者の意見」がない。

患者が何人もいれば
1時間に一回膨らんで仕事をする
一晩巻きっぱなしのマンシェットを
気にならない人もいれば
嫌がる人もいるだろう。
でも、ここでの話は完全に
看護師がどう判断するかという視点。

良かれと思って測定の度に巻きなおしても
患者に煩わしいと思われたら
それは有効なケアではない。
巻きっぱなしを嫌がる人がいれば
夜間1時間毎の測定という頻度では
外しておくというのがケアだと思う。

だからウダウダ話し合う前に
患者に聞けばいいんだと思う。
それで「なぜ巻きっぱなしなのか?」
「なぜ外してるのか?」という時に
患者の意向に添えていれば
いいんじゃないかと思う。

ひとりよがりは嫌い。

2004年05月19日(水)
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