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■ 喪服
実家の母は「要介護」寸前のよぼよぼ、だ。
そうだ。 喪服!
父が死んだのは九月で、夏絽の喪服を着ようと思えば着られたのだが、あたしは妊娠してて、ふくらみはじめた腹に帯を巻くのがいやだった。
かぎホックをしなければ黒いニナリッチセレモニーのスカートは充分はけたから、それを着た。
寒がりの母は葬儀屋の貸衣装部で袷の喪服を借りたんだった。
で、わたしのために母がこしらえた喪服。
袷の方はちょっと袴をははかなきゃいけない行事があって、その時に「黒紋付き」として着たことはある。
休日、母が向こうをむいてなにやらごそごそもたもたしている隙に衣装箱をあけ、喪服の状態を確認した。
実は家紋を張り替えたいのだ。 (これについては後述の予定)
夏の喪服にはところどころぼんやりと小さな白カビが浮いてみえる。
まとめてメンテだ。
さささっと風呂敷に包み玄関に置く。
それから、ばあさんを風呂に入れるべく湯栓をひねる。
喪服のメンテは年寄りに気づかれぬよう。
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