遠距離M女ですが、何か?
井原りり



 ほんとうの自分

一生に一度の大きなイベント。

旧制中学から新制高校までの同窓会総会の幹事学年がめぐってきて、幹事長は名前だけのやつで、あたしが細かいとこみんなやった。


当日は着物で、そういう細かい仕切りの苦労など、見せずに涼しい顔していた。


ここにいる古い友だち、仲間、昔あこがれた男子生徒のなれのはての中年男たち。……。


みんなほんとうのあたしを知らない。






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2004年06月17日(木)



 関係

誰かに説明しようなんて、もう思わない。


誰も理解しないだろう。


こんなに離れてるのに、二世のえにしに結ばれて……。


現実はもう越えた。


あとは……。






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2004年06月06日(日)



 長電話

「少し話があるから、夜に……」


短いメールだった。


通話は長くなった。


逢えるかもしれない予定の日は、抜けられない仕事とかさなり、あえなく断念。


「久しぶりに声を聞かせてよ」


もう十分話をしてからのせりふ。
普段の声であるわけがない。







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服の上からでも、カラダを強くつかんでゆさぶると、喘ぎ声がもれる。


「ふん、どうなの? 気持ちイイ?」

「……はい……」

「イイ声で啼くよね」


お褒めにあずかり光栄です。


2004年06月03日(木)



 キャシャーン

郊外のシネコンの25:00すぎにたむろしてるやつらってなんなんだろう。

『キャシャーン』

樋口可南子って美しいな。






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2004年05月08日(土)



 金子みすヾ

ムスメの入学式の日、担任が配った学級通信を覗き込んでがっかりした。


をい! いきなり相田みつをはないだろう。

相田みつをなんか信奉してどうなる。


金子みすヾは許せるが、相田みつをは許せない。


帰宅してから、ムスメの「相田はくさいし、キモイ」という寸評に、まったくだ、とうなづく。


悪い先生じゃあないんだが、あの高校の生徒に、相田はないだろうってことが、わかんないんだろうか?



* * * * *



アラーキーがスチールを撮った映画『みすヾ』の写真集(紀伊国屋書店:\1,143)を、ヴィレッジヴァンガードで買って、しばらく読まずに忘れていた。


さっき、読んで泣いてしまった。

それで、何週間も前の入学式のがっかりを思い出した。


金子みすヾは、静かな港町でどんなにつらい日々を過ごしたことか。

現代ならば、死なずにすんだろう、と誰かが書いていた。


死ねばいいってもんではないが、夭折してこその人というのは、文学史上に必然的に存在する。


何度でも言う。

金子みすヾは許せるが、相田みつをは許せない。


じゃあ、住宅顕信は?

いいんじゃない。







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いはらは、境遇を売り物にするモノ書きは最低だ、という。

そんなサイテーな作家の代表格は柳美里である。


夭折してから、境遇が一人歩きするならば、それはそれでいいんじゃないか、とわたしは思う。


2004年04月28日(水)
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