酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2002年11月26日(火) 黒焦げ美人

 大正時代の岡山で、妾になって親と妹の家計を助ける美しい姉の数奇な人生。

 岩井志麻子さんの書く岡山が、やっと落ち着いてきた感じがします。今まではそれは違うだろうーって感じで読まずに入られないけれど、読むと辛かった。前作『がふいしんじゅう』くらいから、読んでいて息苦しくなくなりました。
 岡山弁ってこうして本で読むと、淫靡な方言だなぁとあらためて思ってしまう。避けて通れない作家さんですね。

『黒焦げ美人』 2002.9.30. 岩井志麻子 文藝春秋



2002年11月25日(月) 砂の狩人 (上下)

 ひさしぶりに大沢親分らしい最高に面白いハードボイルドを読むことができました。むちゃくちゃおもしろかったぁぁぁ。ああーしあわせ〜v
 物語は、事情があって警察を辞めた‘やめデカ’西野が、美人キャリアの案件に巻き込まれることからはじまる。この西野に絡む、美人キャリア、もと同僚、ヤクザ、中国人、快楽殺人者・・・と、大沢親分の庭、新宿が抱えるさまざまな人種が登場します。それぞれにそれぞれの事情や思惑がある。ジェットコースターのように読ませてしまいながら、抱えるテーマの深さ・重さに愕然とします。これから日本はどうなっていくのかなぁ。
 西野は、自分が警察を辞めることになった事件を心の闇として生きていました。この西野の姿は、アガサ・クリスティの『カーテン』のポアロを彷彿させました。これしか解決手段はない、その手段を使った人間はどうなるのか。本当に考えさせられてしまいました。
 ただ単にハードボイルドとしてアクションとして読むも面白い。でも本当はかなり深くて重い物語だと思います。うーん、やっぱり大沢親分はすごいっvvv

『砂の狩人』 2002.9.25. 大沢在昌 幻冬舎



2002年11月23日(土) マジシャン

 天才詐欺師が、マジックにおけるトリックを利用するとどうなるのか。
 頭脳が飛びぬけていい人間が、犯罪を犯すとなると手がつけられない。そうなると、毒をもって毒を制す、その頭脳以上の持ち主をぶつけるしかありません。
 天才詐欺師と、その天才詐欺師をやりこめる人間関係が明かされるとき、いろんな意味で哀しくなります。うーん、エンターテイメントとしては、とってもおもしろいんだけどな。

『マジシャン』 2002.10.10. 松岡圭祐 小学館



2002年11月22日(金) 虹の家のアリス

 『螺旋階段のアリス』の続編短編集です。
 仁木探偵事務所の有能な助手、アリス(ありさ)。今回は、家族にまつわるさまざまな問題を解きほぐしていきます。
 あまあまな美少女ではなく、しっかりと自分を持っているアリスは魅力的です。今回は、天使というより墜天使っぷりを随所で披露してくれて、素敵ですv

『虹の家のアリス』 2002.10.30. 加納朋子 文藝春秋



2002年11月21日(木) ダーク

 私が、桐野夏生女史に惚れることになったきっかけの女、村野ミロ。彼女のあらたな壮絶な物語です。
 今回のミロも、ミロの友人のゲイのともさんも、なんだかいつもと違う。あえて人間の脆さ汚さを桐野夏生女史は描きたかったのでしょうか。
 物語は、『天使に見捨てられた夜』から続いていきます。ミロ初登場作『顔に降りかかる雨』以降いつも感じるミロの諦念感・虚無感はいったいなにに起因しているのだろうか。今回もすれすれのところでその原因はわからずじまい。義父、村野善三との本当の関係も。まだまだミロの物語は続くと言うことでしょうか。
 正直に言えば、今回の物語は起承転結を通して唐突すぎました。ミロの内面や屈折ぶりはわからないではないのですが。『ローズガーデン』を番外編として、前二作とあまりにも路線が違いすぎて、つながりが感じられないのです。あぁむずかしくてうまく書けない。いずれにせよ、ミロシリーズを読んでいる方は、読まずに通り過ぎられない物語です。ミロはふたつのとんでもないことをしでかします。あ、みっつかなぁ。

『ダーク』 2002.10.28. 桐野夏生 講談社



2002年11月20日(水) 雨柳堂夢咄

 かなぞちゃんが少し前にはまっていると教えてくれた『雨柳堂夢咄』の其の一を読みました。むーおもしろいv
 店の入り口に大きな柳の木がある骨董屋‘雨柳堂’。そこの店主の孫、蓮。彼にはいろんな想い(残留思念?)が見えてしまう・・・。骨董品とそれにまつわる人間模様。連とおじい様がとってもいい味だしてますv

『雨柳堂夢咄』 1993.3.1. 波津彬子 朝日ソノラマ



2002年11月19日(火) ファサード�´�

 これは、jackしゃん大絶賛の漫画。読んでみたら、あら、おもしろいv 主人公の設定が意表をつきます。時代を流れ放浪するファサード。彼はさまざまなものと同居して永遠の時を生きている・・・。とっても泣かせます。

『ファサード』 篠原烏童 新書館



2002年11月17日(日) 池袋ウエストゲートパーク�掘々�音

 はじめて石田衣良の『池袋ウエストゲートパーク』に出会ったのは、今から4年前のこの季節の図書館でのことだったと思う。暇な時には、こつこつと足音を響かせながら夕闇の図書館の中を歩くのが好きだった頃のこと。ふとタイトルに惹かれて手にした本だった。そう、本に呼ばれたのだ。手にした本は大当たり! 美月に教え、その後テレビドラマ化されると言う奇跡のような大ブレーク。当然と言えば当然のこと。テレビドラマで池袋のキングを演じた窪塚くんの怪演は素晴らしかった。
 その後は、新刊が出るたびに必ず石田衣良を追いかけている。『うつくしい子ども』も『エンジェル』もなかなか優れもの。でも石田衣良の本骨頂はやはり池袋ウエストゲートパークにあるだろう。
 今回も心優しいまこっちゃんと、素敵なキングがさまざまな事件を解決していく。時に心を痛めながら。

「骨音」
 池袋で起きるホームレス骨折り事件。マコトとキングが捕らえた犯人への罪の償わせ方とは。
「西一番街テイクアウト」
 マコトのファンキーなかぁちゃんが活躍する風俗嬢救出作戦。
「キミドリの神様」
 なにか新しいことを始める時に付きまとう光と影。
「西口ミッドサマー狂乱」
 うーん、今回いちばん唸らされた物語。ドラッグと狂乱。うーん・・・。
 ジャンキーのエディにマコトが言う台詞は泣かせました。
 ‘だからエディ、おまえも自分の足で立て。不幸を誰かのせいにするな。おまえが自分の足で歩けば、同じ誰かが助けてくれる。おまえが歩くなら、おれもいっしょに歩くよ’

 まこっちゃんはいい奴です。でも私は一等最初からキングが大好き。いろんな境界線に立っているキングにめろめろ。
 陽子の超おすすめシリーズでございますvvv

『骨音』 2002.10.30. 石田衣良 文藝春秋



2002年11月16日(土) 腕貫探偵2

 さて、噂の腕貫探偵の登場です。今回は、櫃洗市の大学病院へ忽然と姿を現した、‘市民サーヴィス課臨時出張所’。む、どうやらこの腕貫男、やはり公務員であるらしい。この物語は櫃洗市に限られそうだ。
 今回の相談者は、筑摩葉子。前回の相談者、蘇川くんの想い人である。ちなみに葉子の想い人もわかっちゃう。にこりv 葉子の母親が、初恋の人と再会し、湧き上がった再婚騒動。なのにしあわせの絶頂にいるはずだった母親が突如体調を崩してしまう・・・。
 前回同様この腕貫男、愛想もくそもなく、相談者の周りの風景が見えてしまうかのような助言を与える。与えるだけで最終的に解明するのは前回と同じく相談者自身。
 これはもしかしたら櫃洗市の関わりのある人々の大きな輪になっていくのかもしれないなぁ。
 西澤先生のキャラにしては珍しいタイプの探偵であるに違いないです。

『恋よりほかに死するものなし』 J-NOVELS12より 西澤保彦



2002年11月15日(金) 中央構造帯

 ひさしぶりに浅見光彦登場です。内田康夫さんも好き嫌いのハッキリ分かれる作家さんのようですが、私にとっては小説界の久米宏。時事ネタをわかりやすく推理小説に仕立ててくださるので、読まずにはいられないのです。
 今回のメインテーマは、「日本の銀行はいったいどうなっちゃったのか」のひとことです。昨今の銀行問題(政府の対応も含め)が私にもとてもよくわかりました。そのメインテーマに戦時中の正義と罪と平将門伝説が絡められていきます。平将門の非業の死をうまく絡めていましたよ。平将門伝説を読みたくなりましたから。
 日本が、バブルに浮かれ、今そのツケを支払うべき時期になっています。ただ大騒ぎするでなく、きちんと問題の根を見据えて日本国民全体で対処していかねばならないのだなぁと思いました。
 あっぱれ、軽井沢のせんせv (内田康夫さんのこと)

『中央構造帯』 2002.10.10. 内田康夫 講談社



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