酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
DiaryINDEX|past|will
| 2003年06月07日(土) |
志麻子のしびれフグ日記 岩井志麻子 |
とうとうこの日が来てしまいましたか・・・。折りしも只今岡山は雷雨(6月7日PM5:00を過ぎたところ)v えーっと今まで厭で絶対に認めたくありませんでしたが、面白かったです。岩井志麻子さんの『志麻子のしびれフグ日記』は。 岡山に住まう者として、作家岩井志麻子さんの活躍(?)はとても恥ずかしいものでした。いや他の岡山県民はどうだか存じませんが、ワタクシはどうにも厭でした。でもこのエッセイは素直に面白いと認めないわけにはいきませんね。 物を書くために離婚し(いえ勿論それだけではない事情も多々おありだったことでしょうが)、東京へ単身赴いた岩井志麻子さんの赤裸々なエロ・エッセイです。でも中には純情可憐な恋愛についても描かれていたり。そうかと思えば最終的にはこのエッセイの担当ジミーちゃんと本当に再婚していたり。なんだかとても素直で破天荒な女性と言う感じ。 興味深いのはワタクシの敬愛する森奈津子さんとの交流や、森奈津子さんのこぼれネタ。美しい森奈津子さんの隠さないまじめなエロさは素敵。森奈津子さんが岩井志麻子さんを友と認めたのだから、私も岩井志麻子さんを面白い作家さんと認定してしまおう。(岩井志麻子さんは「いらん」と言いそうだけど)
素人さんのネット等の書評に関しては、わしは相当ひどいことを書かれても見逃してやるよ。だって素人だもん。金もらって書いているんじゃないんだもん。その無責任さが面白かったりもするからな。たとえそれが「感情的な」悪口雑言であってもな。
『志麻子のしびれフグ日記』 2003.4.20. 岩井志麻子 光文社
| 2003年06月06日(金) |
被害者は誰? 貫井徳郎 |
ベストセラー作家、吉祥院慶彦。頭脳明晰眉目秀麗、その上態度もスーパーにでかい安楽椅子探偵さまである。その昔《太陽にほえろ!研究会》にいたことはひた隠しに隠し、今では足の捜査をバカにしているときたもんだ。ぼく桂島は足の捜査命の刑事である。尊敬する(?)吉祥院先輩に振り回されながらも、事件の真相にたどりつく・・・。
和製ホームズとワトソンコンビは多々あれど、これまた憎たらしくも愛すべき探偵さんの登場だなぁと言う感じ。勿論それは貫井さんの読ませる力があってこそ。でもこういうお笑いお馬鹿コンビって流行と言えば流行なのかな。
最後まで書ききる根気もないくせに、『どうやったら小説を書けるんでしょう』なんて質問してくるな。根性なし
『被害者は誰?』 2003.5.7. 貫井徳郎 講談社ノベルス
| 2003年06月05日(木) |
神のロジック 人間のマジック 西澤保彦 |
マモルは、<学校>(ファシリティ)で生活している。そこには他に5人の仲間がいた。<学校>での実習(ワークショップ)の課題は変わっている。ある出来事を設定し、その出来事の結末をディスカッションさせるのである。その採点によってお小遣いがもらえるのだから、キャンディバー欲しさにマモルはがんばっちゃうのだ。 ある日、新しい友達がやってきて、マモルたちの世界にひずみが・・・。
Boys & Girls、不思議なコロニーに幽閉された子供たち。彼らは性別も出身国も違う。規律に縛られた彼らはどうしてなぜそこに集められたのか? 探偵養成のためのようなワークショップの意味はなにか? 西澤保彦さんは大好きな作家さんのおひとりなので、作品もほとんど拝読しているし、騙されないわよっvって思いつつ読んでいましたが、あっさりだまされました。うまいなー。見事にやられました。
「一緒にいたい。マモル。ねえ。大人になったらあたしを迎えにきて。パリまで。そして神戸へ連れていって」
『神のロジック 人間のマジック』 2003.5.30. 西澤保彦 文藝春秋
| 2003年06月04日(水) |
世界の中心で、愛をさけぶ 片山恭一 |
朔太郎が愛していたアキという少女が病に冒され、死んでしまう。
うーんと、泣きながら、ただひたすら泣きながら読みました。朔太郎とアキの高校時代が亡くなった旦那と私の高校時代を彷彿させてしまうから。高校時代という純粋で野蛮で多感な時期を共に生きた人が逝ってしまう。これはなかなかヘビーな体験です。でもそれでも朔太郎は生きていかなければならないし、私も生きている。さらりと自然に生きること愛することを謳いあげた素晴らしい物語です。まぁ、私が個人的な事情でこの手の物語にむちゃくちゃ弱いのですけど・・・。
「人はいろいろな別れに遭遇するものだ。奇妙なことに、わしらは二人とも同じような体験をすることになった。二人とも好きな女と一緒になれず、死に目にも会えなかった。おまえの辛さはよくわかる。だがね、それでもわしは、人生はいいものだと思うよ。美しいものだと思う。美しいなんていうと、いまの朔太郎の実感にはそぐわないかもしれないが、実感としてそう思うんだ。人生は美しいとね」
『世界の中心で、愛をさけぶ』 2001.4.20. 片山恭一 小学館
宇梶雅彦という少年は粗暴で支配的だった。雅彦に苛められた子供の親たちが、雅彦の母親佐智子に直談判に行くも、証拠がないとつっぱねられてばかり。ある日雅彦がプルミンという乳酸飲料を飲み死亡。プルミンレディに扮した何者かにもらったプルミンだった。雅彦は日々の暴力の報復に誰かに殺されたのか?
読みやすい物語でしたが、筋も読みやすいかもしれません。登場人物ひとりひとりを掘り下げて描けば面白かったのではないかと思いました。特に顰蹙極まりない宇梶親子や宇梶親子と対照をなす素敵な親子のことなどはもっと詳しく描いて欲しかったです。そうすると真実の残酷さがもっと際立つのに。
常に他者と適当な距離を保っている人間は、他人や他人の意向に安易に迎合しない人間である。
『プルミン』 2003.5.15. 海月ルイ 文藝春秋
| 2003年06月02日(月) |
楽園のつくりかた 笹生陽子 |
優の希望はエリートコースをまっしぐらに突き進むこと。なのにある日突然おとうさんの田舎へ引越しをすることになってしまう。引っ越した先の中学校のクラスメートはたった三人! ひとりはサルみたいなやんちゃ坊主。ひとりはアイドル系美少女(?)。ひとりはマスクと髪で顔を隠して言葉をださない女の子。優はアイドル系美少女がいるなら田舎も悪くないやと思ったのだけれど・・・その子は男の子だった! ボケたおじいちゃんと妙なクラスメート。優のユートピアはどこにある?
優は、とても頭のいい都会の男の子。事情により田舎にひっこみ忸怩たる日々を送る。でも優が目線を変えたとき、優の世界観も変わってくる。おじいさんとクラスメートたちと触れ合っていくうちに心もすこしずつおとなになっていく。離れた父へのメールの回数も減っていき、父からも卒業できそうになる。 思春期の男の子のがんばりが微笑ましくいとおしい物語です。キィは父とのメールのやりとりですが、そこに深い深い思いと理由が隠されていました。楽園は自分でつくるもの。そう気づいたら人生に怖いものなんてない。 個人的にとても読んでいただきたい物語です。
田舎の子どもは、むやみやたらとフレンドリーで強引だ。
『楽園のつくりかた』 2002.7.15. 笹生陽子 講談社
新宿副都心新宿中央公園をねぐらとするホームレス・ヨシ。ある日、ひとりの老人がヨシの側へ墜ちてきた。その老人が抱える闇が、昭和のミステリーを解き明かす鍵となることをヨシは知る術もなかった。 同じ冬、ひとりの男が殺された。その男は迷宮入りとなった事件の容疑者のひとりだった。定年を控えて窓際へ追いやられていた刑事・滝口は、その被害者の名前を耳にした途端、かつての迫力と執念を取り戻し捜査にのりだす・・・。
迷宮入りとされ、昭和最大のミステリーと言われる《三億円事件》。この事件を永瀬隼介さんが解き明かすとこういう物語となる。いくつもの遺留品と証拠から犯人検挙はたやすいと囁かれた事件が迷宮入りしてしまったのはなぜか。犯人たちと時代の抱える特殊な背景を鑑みると、ありえそうな物語になっています。 永瀬隼介さんは、ノンフィクションライターとしても力のある方なので、この物語はフィクションと踏まえながらも、ありそうだなぁと思えてしまう。筆の運びの迫力はいつもながらすごい。事件ものをお好きな方にはオススメです。意外すぎる最後の犯人のひとりに驚いてくださいv
「読書の邪魔をするって最低よ。野蛮人の行為でしょう」
『閃光』 2003.5.1. 永瀬隼介 角川書店
| 2003年05月31日(土) |
蛇行する川のほとり2 恩田陸 |
少女らしい少女・毬子が、美しい先輩・香澄と芳野たちと過ごす夏。彼女たちの過去、あの夏、あの川のほとりで少女たちになにが起きたのか・・・・・・。 毬子が封印していた過去を思い出し、運命の歯車が回り始める。美しい少女たちに忍び寄る破滅の死の影。
絶賛放置プレイ堪能中です(涙)。こんな終り方で8月まで待てだなんて。ワンワンワンッ!←抗議の吼え �,鯑匹鵑聖�に、��が出揃ってから読もうと心に決めていたのに、今日ついに自分で禁を破ってしまいました。ううう。 恩田陸が描けばはずれるはずのない少年少女たちの閉鎖された美しいひとつの季節ものです。あやうくてまぶしくてその瞬間をとどめてしまいたいと読者にまで思わせてしまううまさ。�,離薀好箸皸嫐�深でしたが、�△離薀好箸楼嫐�深な上に酷すぎる・・・。ここは耐えて8月を待つといたしましょう。
あたしたちは離れられないのだ。本人の望むと望まないとに関わらず、二人は結び付けられてしまった。
『蛇行する川のほとり�◆戞�2003.4.10. 恩田陸 中央公論新社
科学警察研究所法医学第九研究室、通称‘第九’では、凶悪犯罪に関わった者の脳(犯罪被害者もしくは凶悪犯罪容疑者など)をMRIにかける。その脳から脳の持ち主が生前に「見た」映像全てをスクリーンに再現できる。その映像から犯人を割り出していく。その‘第九’の泣く子も黙る天下の室長、薪警視正は若くて美人(男)で超意地悪でガキ。薪に忠実に従う青木捜査員の前にまたもや猟奇事件被害者の脳が届く。今回の被害者の脳が生前見たものとは・・・。
ひゃぁ〜っ、またもややってくれました。恐るべし、清水玲子! 清水玲子さんの描くミュシャを彷彿させる緻密で美しい絵も大好きですが、残酷極まりない物語も最高に好きです。いえ、愛しています。じーん。←恍惚としている この『秘密』シリーズは、脳が見ていた記憶していたものをスクリーンで見せてしまうというところがえぐいです。強靭な神経の持ち主以外は続かない職場。エリートで傷つきやすい薪を青木ほかスタッフが大切にしているところはほのぼのとします。マゾ入ってるとしか思えないけど(笑)。 今回は、薪さんより青木が主人公なのでちょっとだけ物足りないかな。薪さんのクールビューティな極悪魔人っぷりをもっともっと描いて欲しいなー。
『秘密2』 2003.6.3. 清水玲子 白泉社
| 2003年05月29日(木) |
4TEEN 石田衣良 |
秀才で冷静沈着で外人巨乳マニアなジュン、家庭内暴力をふるう父親に悩む大きくて太っているダイ、人より速い速度で老いていく早期老化症候群のナオト、そして清純そうな女の子が好きな心優しいテツロー。そんな4人がさまざまな人と関わり合い、悩み傷つき少しずつおとなになっていく。
石田衣良という人は着実に書きたい物を書いていけるようになったんだな、と言うのが一番の感想。心優しい4人の14歳の少年たちが瑞々しく思春期に悩みあがき、でもやさしさを忘れない。そういうふうに少年たちを描ける目線の優しさに何度も目の奥が熱くなってしまいました。人を思いやることができる14歳が生きている限り、日本もまだまだ捨てたものじゃないわ。 8つの物語の中で私が一番好きなのは、「ぼくたちがセックスについて話すこと」です。4人にファッショナブルなカズヤという少年が近づいてくる。彼は学年でも有名な美少女に告白されるのだけれど・・・。 どうも私は、性のありようってテーマに惹かれてしまいます。14歳で自分に正直でいられるカズヤが人気者になるのもよくわかる。人はあるがまま自然に生きていくのが美しい。それを応援している石田衣良のやさしさがじーんと伝わってきますv
不思議なのは、みんなにどれほど悪く言われても、ぼくにはそれがぜんぜん悪いことに感じられないってことなんだ。
『4TEEN』 2003.5.20. 石田衣良 新潮社
|