酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2003年06月27日(金) |
『キノの旅�検�the Beautiful World』 時雨沢恵一 |
人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の物語��
第一話「像のある国」 短い文章なので、あえて触れないでいます。 イラストがいいですよー。
第二話「×××××」 これも1話と同じく、あえて触れないでいます。 イラストを見ていると、アニメ化も深くうなづけますv
第三話「二人の国」 入国審査で質問書類に答えるキノ。この質問事項の意図は・・・。
第四話「伝統」 キノとエルメスが訪れた小さな国では、国民がみんな焦げ茶色の“猫耳”をつけていた・・・(笑える)
第五話「仕事をしなくていい国」 旅人の噂で機械が発展していて人間のすることがほとんどない国へ足を踏み入れたキノとエルメス。出逢った男は<仕事>として「ストレスをもらっているのだ」と言うのだが。
第六話「分かれている国」 キノとエルメスは大きな国へ辿り着く。ここでは海側と山側でまっぷたつに分かれて人々が暮らしていた。どうしても相容れない海の者たちと山の者たち?
第七話「ぶどう」 キノにいきなり説教をするおとな・・・
第八話「認めている国」 王様は必ず医師でなくてはならない国では“いらない人”を選ぶお祭りをやっていた。いらないもんは、すっぱり処分?
第九話「たかられた話」 はいっ、シズ様と陸の登場ですよ〜。ぱちぱちぱちv シズ様は、泊めて貰った恩義にこたえ、略奪者たちを成敗してさしあげるのだが・・・。むー。
第十話「橋の国」 砂漠から突然生まれ、真っ直ぐ西へただひたすら向かって、水平線と共に消えている橋を渡る。その橋を築いた人たちの残した文字。
第十一話「塔の国」 塔を建てることが生きがいの人たちの国。
『キノの旅』も四巻になりました。今回なにより驚いたのは時雨沢さんの《あとがき》です。急転直下の展開で今後どうなっていくのか作者にも予想がつかないし、キノは宇宙へ旅立つし、魔王との宇宙大戦争になり、エルメスは変身するわ、陸はスパイでシズ様を裏切るんですって(大笑)。読みすすめて《あとがき》を読んでぶっ飛んでしまいました。いやぁ、ますますキノから目が離せません。魔王たちと宇宙で戦うんですものねぇ(苦笑)。 ま、冗談はそのくらいにして(笑)、キノとの旅にもそろそろ慣れて参りました。このキノやシズ様が旅をする短編集は物語によっては寓話的だし、物語によってはすーっと流れる風景を描写したようなものだったりします。読みやすいのが大きなポイントですが、キノの謎に迫りたい欲求はますます高まりますね。またシズ様と愛する陸をちょっとしか露出しないところも心憎い演出なのかな。
「まあ、しょうがないね。いらないものをすっぱり捨てられるのも、人間の才能だよ」
『キノの旅�検戞�2001.7.25. 時雨沢恵一 電撃文庫
| 2003年06月26日(木) |
『キノの旅�掘�the Beautiful World』 時雨沢恵一 |
人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の物語��
第一話「城壁のない国」 キノとエルメスは草原に住まう一族に出逢う。つねに移動をしている一族は、旅人と滅多に会うことも無いため、キノたちを歓迎してくれるのだが。
第二話「説得力」 キノが老婆の指導のもと、パースエイダーを訓練している。これはキノの過去のフラッシュバック?
第三話「同じ顔の国」 キノは入国検査に血を採取される。強がっているが、キノは採血が苦手らしい(笑)v その国はたった‘二人’の遺伝子を受け継ぐ同じ顔をした国民たちだった。
第四話「機械人形の話」 紅葉の森の中で、キノは機械人形のお婆さんに出会い、お婆さんの仕えている家に招待される。機械人形のお婆さんは、エルメスの故障も手早く正確に治してくれる。そんなお婆さんの機械の寿命が切れてしまう時が来た。残された家の者たちはキノにあるお願いをするのだが・・・。
第五話「差別を許さない国」 城壁に囲まれ閉ざされた国、そこには差別をすることを許さない国だったが。
第六話「終ってしまった話」 海賊になる試験のためにキノを襲った男は襲撃に失敗し、海賊になれず彼の夢は終ってしまう。しかし、その後彼がはじめたことは・・・。
さて、キノの旅の物語も三巻目となりました。今回のキノの旅の滞在時間は比較的長かった気がします。この物語は、アニメ化、ゲーム化されたそうですが、どちらにもなるべき要素が詰まっていると感心してしまう。「機械人形の話」なんてアニメで見てみたかったなぁと思います。WOWOWで再放送を希望v キノはどこへ行くのだろう。どこへ行きたいのだろうなぁ。 今回もシズ様と陸がちょっとだけ登場。クールなシズ様と忠実でふしゃふしゃの犬、陸。こちらが主人公の視点の物語も読みたいです。
空の蒼さは・・・・・・、場所や、時間や季節、天気なんかでとてもよく変わります。そして、どれもきれいでした。その時はきれいと思えなかったのも、今思い出すと、きれいと言える気がするんです。
『キノの旅�掘戞�2001.1.25. 時雨沢恵一 電撃文庫
| 2003年06月25日(水) |
『キノの旅�供�the Beautiful World』 時雨沢恵一 |
人間キノと言葉を話す二輪車エルメスの旅の物語��
第一話「人を喰った話」 冬の森の中でキノはうさぎ狩りをしている。自分の携帯食料を減らさないで、遭難した男たちを救うために。男たちが体力を取り戻すまで面倒をみてやるキノ。そのキノに救われた男たちは・・・。
第二話「過保護」 戦争に行かなければならない息子をめぐって身勝手な過保護をする父と母。息子の意思は。
第三話「魔法使いの国」 国自慢で銅像がいっぱい。ニーミャはある実験のため銅像をいくつか排除して欲しい。キノはニーミャのために・・・。
第四話「自由報道の国」 切り取られた事実を報道している新聞。それらの記事にはとても重要なことがぽっかり抜け落ちている。
第五話「絵の話」 戦車マニアの男が描いた絵が、反戦の象徴としてもてはやされる。
第六話「帰郷」 夢を追いかけてふるさとを捨てたトートが、‘帰ってきた’。
第七話「本の国」 キノが辿り着いた国は読書が盛ん。寝ている時以外は本を読んでいる・・・。
第八話「優しい国」 キノが入ろうとしている国は、かなり旅人たちに評判の悪い国。しかしキノが入国すると、なにもかもが優しい優しい国だった! この物語でキノの昔の名前がわかります。
「続・絵の話」 一巻でキノと闘ったシズ様と、忠実な僕、陸が登場v キノが少し前に訪れた戦車の絵がもてはやされている国で、シズは戦車マニアの絵描きと出会う。あの戦車マニアは今・・・。
『キノの旅�供戮鯑匹澆泙靴拭A衒僂錣蕕妻�語によってページ数もばらばらで、オチがあるようなないような物語も(苦笑)。でもキノとエルメスは変わらず魅力的。そこここに謎のピースを落としながら物語をすすめられている感じを受けます。 気になったのは巷でも人気だという「優しい国」でしょうか。キノの過去や正体がまた少しだけ語られています。キノの名前には驚いたなぁ。そうだったのかぁ。 いやはやしかしながら、ネタバレなしに書こうとするとかなり無理があります。この旅(物語)がどこへ行き着くのかまだまだ私の旅も始まったばかり。 しかし「本の国」へ辿り着いたら、私は永住だわ。動けるものかぁ〜。
「だから言ったとおりだよ。最初からこれじゃあ旅なんて無理だよ。キノ。旅人に一番必要なのは、決断力だよ。それは新人でも、熟練の旅人でも同じ。違う?」 「いいや、エルメス。それはきっと運だよ。旅人に一番必要なのは、最後まであがいた後に自分を助けてくれるもの。運さ」
『キノの旅�供戞�2000.10.25. 時雨沢恵一 電撃文庫
| 2003年06月24日(火) |
『キノの旅 the Beautiful World』 時雨沢恵一 |
人間キノと言葉を話すモトラド(二輪車)エルメスの数々の不思議な旅の物語たち。キノとエルメスはいろいろな国を訪れ、いろいろな人々に出会い、そして、3日目に旅立っていく。 キノとエルメスが出会う人やモノたちは時に哀しく、時に残酷で、そしてとても愛おしい。世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい。
第一話「人の痛みが分かる国」 この国では、人の姿が見えず、全てを機械がやってくれる。キノがやっと出逢った人間が語ったその国の進化の結末とは。
第二話「多数決の国」 ここは、ゴーストタウン? やっと出逢った男から恐怖政治と王への反乱、その後、国の運営は全て多数決によることに決まったと聞かされる。そして今残っているのはこの男ただひとり・・・。
第三話「レールの上の三人の男」 巨木の森を進むキノとエルメスは、線路を見つけその上を移動し、三人の老人に出会う。一人目はレールの草を取り、磨いているお爺さん。ふたりめはレールを取り外している。三人目は新たにレールを設置している。その三人がどうしてそれぞれ違う作業を続けているのか。
第四話「コロシアム」 入国した国で、市民権獲得の戦いに巻き込まれるキノ。キノが決戦で出会った男シズの正体は・・・。
第五話「大人の国」 キノと名乗る旅人と出逢った×××ちゃん。キノはゴミのモトラドを治していた。モトラドの名前は×××ちゃんが、エルメスと決める。 ×××ちゃんは、大人になる儀式を拒否すると、親に殺されそうになり、キノに助けられる。そして×××ちゃんは、キノの言葉に従い、モトラド・エルメスに乗って旅立って行く・・・。
第六話「平和な国」 ヴェルデルヴァルと言う国は、平和な国。その平和を保っているものは・・・。
ううん、これは参りましたねぇ。時雨沢恵一(しぐさわ)さんの文章にイラストレーター黒星紅白さんが物語りにぴったりのイラストをつけた冒険小説です。お話ごとにページ数にばらつきがあるし、ネタばれなしに説明するのは本当に難しいと思い知らされました。これがあと六冊続くのね(涙)。 キノは、まだ謎の多い人物です。過去も旅の訳もまったく明かされていません。ポイントとなるのは、第五話の「大人の国」だとはわかるのですが。 しかし、二輪車モトラドのエルメスのキャラクターは最高ですv 気になる登場人物シズ様とシズ様の忠実な僕、陸(こいつは喋る犬!)が魅力的。このまま消えてしまうキャラではないと思いたい。特に生意気な陸! あと六冊読んでいくつもりですが、キノたちの出会いや成長が気になるところです。
「ボクはね、たまに自分がどうしようもない、愚かで矮小な奴ではないか? なぜだかよく分からないけど、そう感じる時があるんだ。・・・・・・でもそんな時は必ず、それ以外のもの、例えば世界とか、他の人間の生き方とかが、全て美しく、素敵なものの様に感じるんだ。とても、愛しく思えるんだよ・・・・・・。ボクは、それらをもっともっと知りたくて、そのために旅をしている様な気がする。」
『キノの旅』 2000.7.25. 時雨沢恵一 電撃文庫
| 2003年06月23日(月) |
『完全無欠の名探偵』 西澤保彦 |
白鹿毛源衛門(しらかげげんえもん)は、溺愛する孫娘りんが大学卒業後そのまま高知で就職し、自分のもとへ戻ってこないことに駄々をこねる。部下の黒鶴の進言に寄り、りんには高知にとどまりたい動機があるらしい。その動機を知りさえすれば、りんを連れ戻す手はずもあろう。そこで黒鶴はひとりの大きな男、山吹みはるを御前に連れ出す。この山吹みはると言う男、そばにいるだけで個人の過去に埋もれた謎を掘り起こす。そしてその個人が勝手に考え気づき謎を解明してしまう。山吹みはるはなぁーんにも知らずその人のそばでのほほんとしているだけ(笑)。 白鹿毛りんのもとへ派遣された山吹みはる。みはるはりんの抱える高知にとどまりたい謎に迫ることができるのか?
西澤保彦さんの作品ではマイ暗黒ナンバー3という不動の三作品があります。『依存』・『黄金色の祈り』・『夢幻巡礼』です。ファンの間でも心に痛いと評判のものばかり。その三作品は別格として、西澤保彦さんの作品は何度読み返しても唸らされてしまう。しかも時間が経っていても色あせない。やはり西澤保彦さんは最高に面白いv この『完全無欠の名探偵』は、不思議な能力を持っているがために<完全無欠>です。心に眠っていた謎が、山吹みはるによって触発され、甦り、新しい視点で考え解明する。みはるが、ではなくて謎を抱える本人が(大笑)。なんともとぼけた大男みはるの存在がやさしくてユーモラスでいいなぁ。とってもv 物語の中で人間のさまざまな欲望や屈折した心模様がたくさん描かれます。これが西澤保彦さんの最たる魅力。ひどい人間いやな人間を書かせたらうまいと定評のある西澤保彦さんならでは。 そしてなにより西澤先生ご自身が、まことにほのぼのとお優しい人となりであるだけに、そのギャップがまたたまらないんですね。オススメです。
だけど他人が見たら馬鹿らしいことだって、そのひとにとってはかけがえのない拠り所かもしれないじゃないですか。
『完全無欠の名探偵』 1995.6.5. 西澤保彦 講談社ノベルス
| 2003年06月22日(日) |
『うつくしい子ども』 石田衣良 |
僕は中学2年生。ニックネームは‘ジャガ’。ごつごつしてざらざらしてジャガイモみたいだから。内心ちょっとショック。僕の弟と妹は母親似でとても<うつくしい子ども>なのに。要するに人間は生まれつき不平等にできている・・・。 僕の住んでいる夢見ニュータウンで9歳の女の子が行方不明になっていたのだが、遺体で見つかった。妹の同級生。遺体は吊り下げられ、胸には噛んだ後が残っていた。そしてその犯人が・・・僕の弟、カズシだったんだ。 僕の生活は一日ですべてが変わってしまった。しかし、僕は弟のためにできることをやってみようと思うんだ。
この物語は、ちょうど3年前に読みました。『池袋ウエストゲートパーク』を書いた石田衣良さんが、どんな酒鬼薔薇聖斗事件を描くのか、とても興味があったことを記憶しています。今回、読み直して最初に読んだ時と自分の感想がかなり違っていることに驚きました。 主人公のジャガは、殺人犯となった弟を<言ってはいけないことかもしれないけれど、殺人犯となった後も生きなければならないなんてかわいそう>と思います。そして殺人犯の家族であることを隠さず、弟の心の闇に迫ろうと努力をし、ある真相に辿り着きます。その真相をジャガは・・・。ここなのです。前回は、ジャガの心優しい決断に涙しました。でも今回は、ジャガの決断は間違っていると感じました。そして真相を知る唯一の大人、新聞記者・山崎の決断も。 ジャガはそれでよかったかもしれない。でも本当のことを知る権利は被害者の家族にもあったのではないかと思う。たとえジャガが自力でその真相へ辿り着いたとは言え・・・。 でもその感想の相違はあったものの、やはりこの『うつくしい子ども』が優れた物語であることに違いはありません。ジャガとジャガを取り巻く魅力的な仲間たちの存在がもうたまらないくらい素晴らしい。なにが起ころうと人生は捨てたものじゃない、そう思わせてくれるところが救いでした。 高田理香さんのイラストはキュートで大好きですv
ぼくの家が痛がっている。 心のなかでごめんといって、ぼくは逃げた。近所の誰かに顔を見られないように。もしぼくに向かって、あんなにフラッシュをたかれたら、きっとおかしくなってしまうだろう。あんなに明るくて正しい光りに、とてもぼくは耐えられない。
『うつくしい子ども』 1999.5.10. 石田衣良 文藝春秋
| 2003年06月21日(土) |
『笑う怪獣 ミステリ劇場』 西澤保彦 |
アタル、正太郎、京介はナンパ大好きな(ただし成功率は極めて低い)悪友三人組。この三人が邪な劣情を抱くくと、あーら大変。怪獣、宇宙人、改造人間・・・そんなものたちにわんさかわんさか遭遇してしまうのである。
西澤保彦さんと言えば、良質なミステリーを提供してくださることでファンの多い作家さんである。かく言うワタクシめも西澤保彦さんとの出会いは衝撃的でした・・・。そしてたまーにこういう奇想天外な物語を発表されて度肝を抜いてくださいます。レズビアンものに特撮怪獣もの・・・次はどんな角度から度肝を抜かれるのでしょう(大笑)v この作品は純粋にミステリーを読みたいと思う方にはオススメできません。広い心で「西澤保彦っておもろいやっちゃな」くらいの心がまえで読める方にだけオススメします。 今回、私が一番面白かったものは「書店、ときどき殺人」です。タイトルはかの先生のタイトルのパロディの香りも(笑)。さらさら書かれている物語ですが、コンニチの日本の出版業界の問題をさりげなーく盛り込まれています。万引きをしては安売りショップに売り飛ばすフトドキな人間が登場するのですが、それってかなり深刻な問題のようですからねぇ。 あと、多少なりとも西澤保彦さんとお話した体験のある私としては、先生の口調や趣味などが露出されている部分も面白かったです。
誤解しないでいただきたいのだが、そんな謎の巨大生物が、いつ生まれ、どこに棲息していたのかとか、数いる人間たちの中で、どうして特におれたち三人と遭遇することになったのか、なんて詳細は、この物語中では、いっさい明かされない。だって誰も知らないんだもん。
『笑う怪獣 ミステリ劇場』 2003.6.20. 西澤保彦 新潮社
| 2003年06月20日(金) |
抱いて、そしてそのまま殺して 佐藤亜有子 |
律子は、ネット上のうわさをたどってあるエージェンシーを見つける。ある依頼をするため律子はそのエージェンシーに接触するが、彼らはビジネスとして成立するかどうか確認作業のため律子の身辺を調査する。その調査の影を感じ、封じ込めていた昔のことが浮き上がってくるような不安に悩まされる。しかし、律子の希望は受け入れられ、エージェンシーは依頼を承諾してくれた。律子を殺してくれることを。
東大卒の才媛が書いた『ボディ・レンタル』が数年前ある賞を受賞し、ちょっとした話題になりました。描いた物語が、心を切り離してカラダをレンタルする女性がヒロインというセクシャルなものだったからだと思います。言葉を変えようと自分を騙そうとやっていることは売春に過ぎない、と言うのが感想でした。 今回、佐藤亜有子さんの本を手にとって見たのは、タイトルと表紙のイラストの魅力ゆえでした。傷を抱えたヒロインがこの世から消えるために殺人依頼をする。ヒロイン律子はどうなってしまうでしょう。
『抱いて、そしてそのまま殺して』 2003.5.30. 佐藤亜有子 河出書房新書
| 2003年06月19日(木) |
空を見上げる 古い歌を口ずさむ 小路幸也 |
「いつか、お前の周りで、誰かが<のっぺらぼう>を見るようになったら呼んで欲しい」・・・この言葉を残し、兄は20年前、父が死んでから姿を消してしまった。 そして今、僕の息子・彰が、みんなの顔が<のっぺらぼう>に見えると言い出した。兄に会わなければ! 連絡をすると兄は飛んで来てくれた。そしてあの懐かしいカタカナの町で兄が遭遇した出来事を語って聞かせてくれたんだ・・・。
うわぁ、これはいいです。もう最後はぽろぽろ泣いてしまいました。物語はどこかに消えてしまった兄が語るセピア色した古きよき時代の日本での出来事。それを読んでいるうちに昔の懐かしい出来事がフラッシュバックのように思い浮かんできました。思い出したことは物語のような小さな頃よりも楽しかった青春時代のことだったのですけど。そういう作用があるようです。 この作品を読もうと思ったのは、ほぼ毎日通り過ぎる本屋さんで表紙に惹かれたからです。この物語の表紙は、荒井良二さんが手がけておられます。私の好きなイラストレーターのおひとりなのですが、この物語にばっちり合っています。 内容はラストをどう受けとめるかで賛否両論があるかもしれません。でも遠い懐かしい昔語りを読むうちに心が洗われていく様な、癒されていく様な、そんな素敵な読後感があると思います。オススメです!
「いい友達がたくさんいるんだろ?」 頷いた。そう思う。 「だから、そいつらとたくさん、めいっぱい遊べ。道草して陣地を増やしてオマエらだけの国をこの町のあっちこっちにいっぱい作れ。それがオマエの財産になるよ」
『空を見上げる 古い歌を口ずさむ』 2003.4.25. 小路幸也 講談社
| 2003年06月18日(水) |
医談(いらんせわ)世話 赤枝郁郎 |
岡山の有名なお医者さんが山陽新聞で連載したエッセイ集です。いい年の取り方をされた頭のいいエロ爺(あ、失礼すぎるかな)が憎めない文章でいろんなことを書いています。のびやかなお爺ちゃんだなぁと言うのが素直な感想。シモネタもからりとしている。『どくとる氏のいろ艶筆』という本がベストセラーになり、Y談先生と呼ばれるようになったそうな(笑)。
「2種類の涙」 悲しいことや、つらいことがあると人間は涙を流す。するとトニカク、胸の中がスーッと軽くなってくる。これはこうした部類の涙の中に鎮静作用がある物質が分泌されていて、その作用によるという。そうだとすると、この感情によって流れ出てくる涙を分析すれば理想的な鎮静剤が抽出できるかもしれない。
『医談世話』(いらんせわ) 2003.6.1. 赤枝郁郎 日本文教出版
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