酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2003年11月18日(火) |
映画『サウンド・オブ・サイレンス』(2001年アメリカ) |
小児精神科医ネイサン・コンラッドは、美しい妻アギーとかわいい8歳の娘ジェシーと恵まれた幸せな生活を送っていた。ところがある日、何者かに娘ジェシーを誘拐されてしまう。誘拐犯の要求は、古巣の病院で友人に頼まれて看たばかりの少女エリザベスから6桁の数字を午後5時まで聞きだせ、というものだった。エリザベスは子ども時代の父の死を目の当たりにしたことから心を病んでしまっていた。ネイサンは数字を聞き出し、ジェシーとエリザベスを救うことができるのか。数字に隠された意味は・・・?
先日、WOWOWで放映されたものを録画して観ました。これは人気推理作家A・クラヴァンの『秘密の友人』の映画化。この小説を読んだ記憶があったのですが、記憶違いだったのかしら。 心を閉ざした少女と小児精神科医のかかわりにとても注目していたのですが、そのシーンに限って言えば、マイケル・ダグラスでは役不足だった気がします。少女役のブリタニー・マーフィはよかったのだけどな。ちょっと消化不良。
映画『サウンド・オブ・サイレンス』
2003年11月16日(日) |
『anego』 林真理子 |
野田奈央子は33歳・独身、一流商社OL。若い派遣社員の女性が席捲する中、しっかりと働き、後輩の女性たちに絶大なる信頼を受けている。性格的に人から頼られやすいアネゴ肌な奈央子は、つい人の相談に乗ってしまう人の良さがある。旅先でかつての後輩、鈴木絵里子とその夫、沢木に出会った時から、彼女の人生は波乱と混乱と恐怖に満ち溢れていく・・・。
これは、紛れもない怖いホラーですね。しかもかなり上質のホラーでした。どうして上質かと言うと一番最後のたった一文にホラーを感じさせたからです。これでもか、これでもか、と畳み掛けるホラーもいいけれど、普通に読みすすめていって、たった最後の1文でぞーっとさせるなんてなかなかできるもんじゃありません。 どちらかと言うと林真理子さんは読まずギライで通してきたのですが、ここまで面白いと認識を改めないといけませんねー。 若さを通り越した33歳の独身女性がぶつかるさまざまなことが描かれていて、きっと読みながらどこかに自分を見つけた女性も多かったのではないでしょうか。奈央子がとても好きなタイプの女性だっただけに、本当にどうして幸せになれないのだろうとものすごく同調してしまいました。そこもまたある意味ホラーでした。 いい人と回り中から認められ、頼りにされた女性が迷い込んでしまった迷路。はたして彼女はそこから抜け出ることができるのでしょうか?
けれどもセックスというのは菓子と同じで、すぐに食べなくても常備しておかなければ心もとない。不安になる。
『anego』 2003.11.1. 林真理子 小学館
2003年11月15日(土) |
『千里眼の死角』 松岡圭祐 |
嵯峨敏也は、シンポジウム参加のためイギリスに来ていた。そこで急遽英国王室シンシア妃のカウンセリングを依頼される。シンシア妃は何かに異常に怯え錯乱していた。嵯峨はシンシアの身と心を助けるが、シンシアを襲いかけた原因不明の「人体発火」による死亡事件が相次ぎ始めた。なんらかの危機を察知した嵯峨は、行動力と知力を兼ね揃えた岬美由紀に強力を要請する。美由紀が対することになったのは考えるコンピューターだった・・・? 「催眠」の嵯峨敏也と「千里眼」の岬美由紀。そしてラストには彼らが関わってきたオールキャストが顔を揃えると言う豪華なエンタテイメント作品です。松岡圭祐さんの作品はこれくらい破天荒に派手にぶちかましてくれないとねーv 今回、またもや岬美由紀は戦いぬきますが、彼女の孤独も浮き彫りにされ、才能豊か過ぎるゆえの孤独にそっと涙。でもエンディングが素敵なので安心して読んでいただきたいです。 コンピューターが意思を持ち、進化する。絵に描いたような未来地獄絵が登場しました。ものすごく破天荒ながらも、どこかに不安や危惧を感じる。そんな娯楽作品でした。あ〜すっきりv
「すべてが闇でも、未来がまだ残されている。生きている限り、希望はある。最後まであきらめないのは当然のことさ。それを教えてくれたのは、きみじゃないか」
『千里眼の死角』 2003.11.20. 松岡圭祐 小学館
2003年11月13日(木) |
『クレオパトラの夢』 恩田陸 |
神原恵弥(かんばらめぐみ)は、容姿端麗で有能なオネエ言葉を操る男である。双子の妹、和見を連れ戻しに酷寒の地までやってきた。和見は不倫相手を追いかけてこの寒い街へ引っ越してしまっていたのだった。しかし、再会した途端、和見が恵弥を連れて行ったのは、彼女の不倫相手の葬式だった。どうして彼は死んだのか? 双子の間に流れる疑心暗鬼。そして恵弥の本当の目的は・・・?
おもしろいっ! 内容的にはさまざまな意見が飛び交いそうですが、私的にはこの神原恵弥ひとりで十二分に堪能できた物語でした。『MAZE』を読んだ時、ここまで神原恵弥に惹かれたかどうか記憶にないので、また読み返してみようと思います。 陸ちゃんの天才っぷりは健在で、最後の最後まで謎をちりばめてくれます。この‘クレオパトラ’なるものの正体や、‘冷凍みかんの話’などは背筋が凍る怖さもあります。こういうタイトルのつけ方は相変わらず心憎いと申しましょうか、内容とタイトルの関係がうまいなぁ・・・。 恵弥と和見の男女の立場が逆転したような麗しい双子の性格が心に痛かったりしましたけど。特に和見の方が。くすん。でもまぁ恵弥みたいな双子の片割れがいればだいじょうぶかー。 私的には読んでよかった、おもしろかった、オススメ〜でございます。
「そうねぇ。人間なんて、しぶとくて儚いものよね」
『クレオパトラの夢』 2003.11.5. 恩田陸 双葉社
2003年11月12日(水) |
『いじわるうさぎの日記』 俣野温子 |
俣野温子さんのイラストが好きです。中でも一番好きなキャラクターは‘いじわるうさぎ’! 最初はイラストで惚れこんで、絵本になって彼女の性格が明らかになった時、ますます好きになりました。そう言えば私の好きなキャラって最近ではアランジ・アロンゾさんの‘ワルモノ’だったり、ちょっとひねくれはぐれ系が多いかもしれません。でもみんな根はとってもいい子なのv 少しくたびれた時は、活字が追えなくて絵本を眺めます。ひさしぶりに目と文字で再会した‘いじわるうさぎ’は私にちょっぴり元気を与えてくれます。よし、明日からまた頑張ろうv
『笑顔』 私が笑うと あなたも笑うから 私はいつも笑っている・・・・・・。
『いじわるうさぎの日記』 1994.10.15. 俣野温子 ほるぷ出版
「儀式」 亜希子の夫は、娘と妻を捨てて亜希子と再婚をした。娘・佐穂に辛い思いをさせたからと夫は異様に佐穂をあまやかす。亜希子も心の中にわだかまりをおしこめながら佐穂と付き合うのだった。やがて亜希子は男の子を出産。しかし、夫はまた次の女のもとへと去ってしまう。その夫が亡くなったと言う知らせを受け、葬儀の場で亜希子は少女から娘へ成長を遂げた佐穂と再会を果たすのだが・・・。
女VS女と言うものは、ひとりの男を介在してしまうと年齢など関係なく敵となるのだなぁと思いました。この『初夜』は、中年にさしかかった女たちの物語なのですが、心にじくじくと痛かったです。女と女の係わり合いは、シンプルな友情(男絡めず)に限ります。こわすぎ・・・。
何よりも、娘の父親に対する天性の媚びというのは、どんな商売女も敵わないだろう。
『初夜』 2002.5.15. 林真理子 文藝春秋
2003年11月10日(月) |
『葉桜の季節に君を想うということ』 歌野晶午 |
成瀬将虎は、気ままなフリーター。好奇心旺盛でなんでもやってやろうと言う気概にあふるる男。もちろん女も大好き。そのため(?)に肉体を鍛えることも忘れない。トラが可愛がっている舎弟キヨシの思い人・愛子さんがトラブルに巻き込まれているらしい。行きがかり上、かかわるトラ。なんでも愛子さんの大金持ちのおじいさんが蓬莱倶楽部という団体にだまされた挙句、ひき逃げされたと言うのだ。調査に乗り出したトラは、地下鉄へ飛び込み自殺未遂の女性を助け、惹かれるようになるのだが・・・。
うーん、これはやられましたな。タイトルが素晴らしく素敵だったのでずっと読みたいと思っていたのですが、ある事情からしばらく取り置きしていました。結果的に言うと、時間を置いて読ませていただいてよかったな、と言うのが本音です。(この事情に関しては、今夜、酔いどれ日記の方に書くと思いますので、気になられる方はそちらへどうぞ) こういうふうに最後の最後でちゃぶ台をひっくり返されると、ただただ唖然とするばかり。ある事情からネタに気付いてしまったことが本当に残念。まっさらなまま読めていたらもっと楽しめただろうなぁ。(と言う訳でまだ未読の方で読む予定の方は酔いどれ日記は読まないようになさってくださいまし) 物語は将虎と言う精力的でタフないい男が魅力的だし、蓬莱倶楽部と言う怪しげな団体もなかなか興味をそそります。そして最後に・・・・・。あとはどうぞ読んでくださいね。
「好きなやつが死んじまうと、胸がズタズタに張り裂け、その穴は一年やそこらじゃ塞がらない。それが愛した女だとなおさらだ」
『葉桜の季節に君を想うということ』 2003.3.30. 歌野晶午 文藝春秋
2003年11月09日(日) |
『紫蘭の花嫁』 乃南アサ |
最初に、花嫁が消えた・・・。「逃げなきゃ、あいつから逃げなきゃ!」三田村夏季はどこまでも追ってくる男の影から逃げ続けている。神奈川県警の小田垣は連続婦女暴行事件犯を執念で追いかけている。小田垣は法医学研究室の渋沢に目をつけていた。孤高のエリート小田垣が通うバーの美女、摩衣子。摩衣子は小田垣の趣味の蘭の花をいつもどこかにあしらっている。摩衣子は小田垣を追っているのか?
この物語を読んでいるとまるでサスペンスドラマを見ているかのような気分になりました。もしかしたらこの原作でドラマ化されていたかもしれないですね。 物語は、追われる者と追う者の心理が複雑に絡み合い、意外な展開へ進んでいきます。本当に追っていた者が誰で、追われていた者が誰で何故なのかが明かされたとき、読んでいた自分がいかに乃南さんに翻弄されていたかに気付くことになります。うまいなぁ・・・。逃げる女の追い詰められた閉塞感・圧迫感は圧巻でした。
「私は精神異常者のように自分を神にたとえるつもりはない。私は、確かに選ばれた人間ではあるけれど」
『紫蘭の花嫁』 1996.9.20. 乃南アサ 光文社文庫
勇斗はタレントとして成功しようと頑張っているが、認めてくれているのはファンレターを送ってくれるFLYと言う女性だけ。FLYから同封されたムーンストーンを身につけるようになり、勇斗は突然チャンスに恵まれる。CMに起用され、ドラマの主人公役まで射止めてしまった。同じ頃、滝沼未来という少女と恋におち、同棲をはじめていたが、勇斗はだんだんと未来がうとましくなってくる。そして勇斗が好意を寄せる人たちが次々と惨殺されていき・・・。
読みやすかったですけど、ローティーン向けのホラーかなと言う感じがします。未来と言う少女の豹変ぶりや、ストーキングのすざましさは背筋が寒くなりますが、どうもおどろおどろしい暗い怖さを感じられなかったので残念でした。FLYの正体と意味は納得ですv
愛する人のもとへ今すぐ飛んでゆきます…。
『FLY』 2003.10.15. 窪依凛 文芸社
2003年11月06日(木) |
映画『IDENTITY』はワンロケーション・スリラー |
昨日観た『IDENTITY』は、重要人物たちがひとところに集められます。その場所がアメリカの車社会産物の簡易宿泊施設であるモーテル(motor+hotel)でした。さもいわくありげなモーテル。それはかの『サイコ』を彷彿とさせます。そこで『そして誰もいなくなった』のようにひとり、またひとりずつと殺されていく。ふたつの名作を下地にした『IDENTITY』は下手をすれば大失敗だったことでしょうね。集められた訳ありの重要人物たちと別にこの『モーテル』が大きなキャラクターとなっています。 たとえば6号室に喧嘩の絶えないカップルが入り、ドアをばたんっと閉めたらドアのナンバーの6がくるりっと回転して9になってしまいます。これがものすごーく印象的なシーンなのですが、やはり深い意味を持っていました。まさにこのモーテルそのものがキャラクターとして生きているようにさえ思えてしまいます。更に連続殺人が起こり、その後に不思議な現象が発生しますが、それもまたモーテルが生きているのでは?と錯覚させます。 たくさんの伏線がはりめぐされていて、最後に全てが明らかになる時に「あぁ、あれがこうだったのかー」と唸りました。映画を何度も観に行かない私ですが、この映画は確認作業のためにもう一度観たいくらいです。 好奇心は猫を殺しますが、私も好奇心でうろうろしてしまいそうだわ〜。早いうちから殺されちゃうタイプ?と見せかけて実は生きていた極悪人なんてのがいいな(笑)。この映画には関係ありませんけどねv
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