酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年01月10日(土) |
『こどもの一生』 中島らも |
瀬戸内海に浮かぶ小さな島、亀島。そこにMMMというセラピー施設があった。ストレスで心を病んだ5人の‘クライアント’が治療に集まった。施設での治療として彼らは10歳に退行する。5人の‘こども’たちの中で芽生える力関係といじめ。その狡猾ないじめが現実化してきて・・・。
物語の中で歌われるCD付きの本。ただいまCDを聞きながら感想を書いています。このCDが一番のホラーかもしれない(苦笑)。 中島らもさんの物語を読んだのはこれがはじめて。舞台化されていたもののノベライズと言うことですが、これはきっと舞台のほうが面白いだろうなぁ。見てみたいです。 物語はあとがきでらもさんご自身が述べておいでの通り、かなりのB級ホラーです。オチが私には物足りなかったかしら。願わくば、より残酷に。よりグロテスクに。ふふふふふ・・・
世の中じゃ誰もがストレス、ストレスと騒いでいる。
『こどもの一生』 2003.12.20. 中島らも 集英社
| 2004年01月09日(金) |
『20世紀少年』15巻 浦沢直樹 |
2015年、ローマ。もとストリートギャングだったルチアーノ神父は、恩師ペリン神父の研究を引き継ぐ。ペリン神父は偽造古文書を熱心に調べていたらしい。ルチアーノ神父はペリン神父の調べていたことを探るうちに、偽造古文書をペリン神父が信じ、2015年に世界が終ると思っていたらしいことに気付く。その偽造古文書は、大金を積んだ日本人に依頼されたことを突き止め、日本へ飛ぶのだが・・・。
すごい。今回の15巻‘ばんぱくばんざい’の展開はまたまた度肝を抜かれました。浦沢直樹と言う人の頭の中はいったいどうなっているのだろう。気になる。 死んだはずの‘ともだち’。死んだはずの‘ケンヂ’。ふたりは果たして本当に死んだのだろうか? こんなに面白いマンガにもなかなか巡り合えないと思います。リアルタイムにこのマンガを読める幸せに乾杯!
奴は、永遠の命を与えられたどころか・・・・・・ 本当の神になった・・・・・・
『20世紀少年』15巻 2004.2.1. 浦沢直樹 小学館
| 2004年01月08日(木) |
『イリヤの空、UFOの夏 その1』 秋山瑞人 |
6月24日は全世界的にUFOの日。黙っていればいい男・水前寺邦博とともに浅羽直之のUFOの夏が始まった。水前寺とともに、UFO張り込みに裏山の張り込みに夏休みすべてを費やした。最後の日、夜の学校のプールに忍び込むとそこに先客がいた。その少女は、手首に金属球を埋め込んだ「いりや」だった・・・。
どうやらこの物語の舞台は現代日本ではなく、戦争もおきているのかな。でも浅羽くんたちは普通の学生生活を送っている。まだ登場人物紹介の段階のようで、これからどうなっていくのでしょう。どきどき。こういう物語はキャラクター勝負だと思いますが、水前寺くんと保健室の椎名真由美でじゅうぶんキャラ勝ちしています(笑)。さて巷で噂のこの物語はどう動いて行きますことやら。
この人はエネルギーの使い方を生まれつき間違ってるんだよな、と浅羽はいつも思う。 なにしろ、進路調査表の第一志望に本気で「CIA」と書く男である。
『イリヤの空、UFOの夏 その1』 2001.10.25. 秋山瑞人 メディアワークス
これは別冊文藝春秋に‘私鉄沿線’と言うタイトルで連載されていたそうです。『送り火』よりも『私鉄沿線』の方に一票です。帯にアーバン・ホラーとありましたが、そうなんですよ。いつもの切っても切っても金太郎飴な重松清節の中にそこはかとなくホラーテイストが混じっていて、ちょっと新鮮でした。重松清さんの物語は、読んだからってなにひとつ問題は解決しないのだけど、それでもやっぱり「もうちょっとだけ頑張ってみようかな」と思わせてくれる不思議な力強さがとても好き。 武蔵電鉄富士見線沿線で起きる不思議な物語たち。私が気に入ったのは、都市伝説をテーマにした「ハードラック・ウーマン」と、このHPを読ませて欲しいと切望してしまった「よーそろ」でした。このふたつは、今まで読んだ重松さん作品の中でもかなり気に入りました。 「ハードラック・ウーマン」は、フリーのライターが街の噂を必死で拾い集めているうちに自分で噂を生み出してしまう。その作り出した噂の真相にライター自身が誰より背筋を寒くします。これは重松さんが一枚上手だった。ありそうでかなり怖い。これは長編ホラーいけるんじゃないかなぁ。 「よーそろ」は、現場から離れない駅員さんのお話。彼は自殺志願者を見抜き、助け続けている。そしてそっと秘密のHPのURLを教えてくれる。これが、いいんですわ。HPなんて、ある部分フィクションと言うか、架空の部分あっていいと私は思っているので、これはこれで大賛成って感じですね。こんなHPあったら日参します。
世の中には「いい奴」もおるし、「嫌な奴」もおる。それが現実や。自分は「いい奴」としか出会いとうない? アホか、ずうずうしいにもほどがあるわ。 逆に言うたら、「嫌な奴」に出くわしても、そんなに落ち込むなや。なあ。丁半博打と同じや。たまたま裏目の奴と会うただけのことやないけ。
『送り火』 2003.11.15. 重松清 文藝春秋
| 2004年01月06日(火) |
『Gift』 飯田譲治+梓河人 |
早坂由紀夫は、真っ裸であるマンションのクローゼットから生まれた。記憶をまったく無くした状態で。記憶を無くす前の彼は、51億3千8百20万という金の行方の鍵を握っていたらしい。彼を取り巻くうさんくさいが心優しい人間達は、彼を運び屋として働かせ記憶を取り戻させようとする。どうやら彼は、誰かに何かを運ぶという行為になんらかの意味を持っているようだ。彼はさまざまなものを運ぶようになる。果たして彼は記憶を取り戻すことができるのか? 彼は運ばなければならない何かを誰かの元へ運ぶことができるのか?
なつかしいですねー。数年前のキムサマ主演のドラマのノベライズです。飯田譲治+梓河人さんコンビの描く世界は大好きなので、ついつい夢中で読んでしまいました。当時のドラマもフラッシュバックのように思い出して、そう言えばキムサマがバタフライナイフを上手に扱って、若者がまねして困ったんだっけ〜なんてことまで思い出してしまいました。 由紀夫の記憶喪失は、彼が過去の自分から生まれ変わるための神様からの‘Gift’でした。人間はほんのささいな別れ道の選び方を間違ってしまうと、腐った人間に落ちることもあれば、その人の才能をうまく伸ばして生きていけることもある。この小説はそれをわかりやすく教えてくれますね。 ちなみに飯田譲治+梓河人さんコンビの小説では『アナン』が最高です。こちらの方を熱烈オススメします。
そう、俺だって。どんなに逃げようとしても追いかけてくる過去の俺。それは誰でもない、俺が自分でつくった俺なのだ。
『Gift』 1997.6.25. 飯田譲治+梓河人 角川書店
| 2004年01月05日(月) |
映画『必殺!』シリーズ�機銑� |
この年末年始の最大のお楽しみとして、WOWOWで放映される映画『必殺!』シリーズ全作(中村主水の必殺シリーズに限る)を観れることvでした。幼いころ、おぼろげながらあのチャララーン♪という音楽に心ときめいたことを今でも覚えています。が、しかし、記憶と言うのは本当に曖昧なもので、テレビドラマと映画の記憶がごちゃまぜになっていたし、今回観ていない映画が何作かあったことにも驚きました。そして映画でいつのまにか登場しなくなったキャラクターはドラマの方で死んでしまったのか?という疑問も残りました。そういうキャラもいたような気がします。郷愁誘う我が愛する必殺。やはり、中村主水は永遠です。 �機銑困泙把未靴憧僂董�映画として素晴らしいのは後のニ作品でした。中でもやはり『必殺! 主水死す』はピンの映画としても最高に面白かったですね。残念なことは、死んでしまったのか、時間が経ちすぎて配役設定が難しかったのか、何でも屋の加代や、主水の上司口うるさい田中さまが出てこないこと。このふたりも必殺シリーズの顔だと思うんですよね〜。仕事人は死んじゃった人が多いので、組み紐屋の竜さんや花屋のマサさんが出れないのは仕方ないのだけど。(まぁ、加代さんも仕事人だし、おそらく死んじゃったのでしょうけど) この『主水死す』は、主演の藤田まことさんが当たり役の中村主水と別れたいが故に作った映画のような気がします(いや個人的に勝手に)。思いっきりネタバレですが、子供のできない主水さんがかつて子供ができていた!?という謎なんか出てきて興味深かったですねー。ただあぁいうラストなら、対比として最後の最後に絶対的変わらない中村家のおふたりを出して欲しかった。「婿殿はお戻りが遅いわね〜」とか言い合って待ち続けて欲しかった・・・。いやっ!終って欲しくなかったよう〜(滂沱) なんにしてもとても楽しい映画鑑賞を家でできたことがしあわせでした。でもおかげでドラマシリーズも全部見てみたい欲求がふつふつと沸いて困っています。
| 2004年01月03日(土) |
『撃つ薔薇 AD2023 涼子』 大沢在昌 |
西暦2023年、多民族化した東京。刑事部捜査第四課・櫟涼子は合成麻薬「ブラックボール」情報収集のため、麻薬組織に潜入捜査を命じられる。恵まれた美貌ゆえ傷ついた過去を持つ涼子は、孤高を保ち闘っていくが・・・。
久しぶりに大沢親分のハードボイルドを読みました。美貌の女が怪しげな組織に潜入し、身の危険を顧みず闘うさまは少々病的。そしてそこには訳がある。そのトラウマがなんともねぇ・・・。最後に鮫が出てきたのはすっごく驚きました。
「私にはわからない。だがこれだけはいえる。たとえ忘れてしまったとしても、起きたできごとが消えるわけではない。本当にそれが重要なできごとなら、必ずこれからのお前の人生にかかわってくる。そのとき、過去と対決する気持さえもっていれば、きっとやり抜ける筈だ」
『撃つ薔薇 AD2023 涼子』 1999.6.5. 大沢在昌 光文社
| 2004年01月02日(金) |
『黒の貴婦人』 西澤保彦 |
なにがなんでもタカチ(とその僕たち)シリーズの短篇集です。年末に西澤保彦さんがファンクラブ閉鎖を宣言され、傷心で読み始めた『黒の貴婦人』でしたが、読んでいるうちに心が癒されました。あの4人が西澤先生の作品で登場する限り、なんだかだいじょうぶな気がしてきたのです。まぁ、勝手な思い込みですけどね。 この『黒の貴婦人』での事件や出来事は、どうやら『スコッチ・ゲーム』と『依存』の間に時間軸がある模様。あ。もっとおとなになってからのものもありますか。あとがきで西澤先生がさまざまな作品にリンクしていると書かれていましたが、それもなんとなしに「あ、あのことかー」とわかる仕組みになっていました。さすがだわ。 タカチ大好き人間としては、タックとタカチの関係が気になるところなのですが、この短編集で結構タカチの心情がわかります。ふたりがおとなになってどういう関係でスタンスでいるのかも。特に「黒の貴婦人」では、ウサコの洞察したタカチの内面がいじらしくも愛しくて・・・タックにくたらしーとつぶやいてしまった(笑)。西澤先生はウサコだったんだ。うん。 私が出会った愛すべき酔っぱらい探偵の4人の物語を、いつまでも読むことができますようにと願ってやみません。やはり西澤保彦さんは面白いです。最高v
相手の事情に必要以上に踏み込まないーその暗黙の了解こそが、あたしたちの絆なのだ。
『黒の貴婦人』 2003.11.25. 西澤保彦 幻冬舎
| 2004年01月01日(木) |
『日曜日たち』 吉田修一 |
日曜日、明日からまた仕事・・・。そんな微妙な空間は寂しさややるせなさをふいっと運んでくる。時々なにもかもから逃げ出したくなるような、日曜日には出たくない、なんて引きこもってしまうような。私にとっての日曜日は、また明日からを生きるための休息になっているかもしれない。 この『日曜日たち』には、さまざまな人間のそれぞれの日曜日が描かれています。都会の片隅にそれぞれの想いを抱えて生きていく人たち。そんな彼らになんらかの形で関わる幼い兄弟。必死で弟を守りながらなにかを探しているような兄の姿は、登場する人たち全てに共通するなにかを感じさせます。だからみんな大なり小なり兄弟にやさしくしてしまう。 明けない夜なんて決してないから、素直に前向きに頑張ってみようよ。私はやはりそう思いながらいつも日曜日の夜を迎えています。そして必ず次の日はやってくる。
「いや、だからさ、お前のように生きても一生。俺みたいに生きても一生だと思ってさ・・・・・・」
『日曜日たち』 2003.8.29. 吉田修一 講談社
| 2003年12月30日(火) |
酔陽亭の2003これ読んどけ本(ただのオススメです) |
本当は、総括として明日これを書こうと思っていたのですが、少々個人的大事件がありまして、本日先に書くことにいたします。タイトルは「読んどけ」なんて生意気な書き方をしていますが、「よかったら読んでみてくださいね」くらいのニュアンスに受けとめていただければ、これ幸いにございます。
『重力ピエロ』 伊坂幸太郎 新潮社 今年、仲間内で大ブレイクした伊坂幸太郎さん。『陽気なギャングが地球を回す』も捨てがたいのですが、せつなさが気に入ったのでこちらをオススメ。春を想う父と兄がすごくいいです。(酩酊本処;5月9日)
『神のロジック 人間のマジック』 西澤保彦 文藝春秋 今年もやっぱり西澤保彦さんに「してやられてしまった」・・・。マモルとその仲間達の世界が崩れた時に見えてきたもの。あれには本当に驚かされました。(酩酊本処;6月5日)
『空を見上げる 古い歌を口ずさむ』 小路幸也 講談社 装丁の魅力に惹かれた一冊でした。物語りも読んで行くうちに遠いなつかしい昔を思い出させてくれて、心が癒されていくような・・・そんな暖かい物語でした。(酩酊本処;6月19日)
『グロテスク』 桐野夏生 文藝春秋 これはこれを書いた桐野夏生がグロテスク(超越しているといういい意味で)だと脱帽しました。こんな物語を書ける女性はそうそう出てくるものじゃない。(酩酊本処;7月18日)
『嫌われ松子の一生』 山田宗樹 幻冬舎 好き嫌いはハッキリ分かれそうな物語ですが、面白かったです。松子という一人の女性が昭和という時代と寝て、平成という時代に殺されてしまう。私にはかなり面白かった。(酩酊本処;8月8日)
『ワイルド・ソウル』 垣根涼介 幻冬舎 日本という国がおこなった愚かな政策のため、とんでもない人生を歩んだ人たちの復讐物語。暗く重苦しくなりがちな展開をケイというセクシーな男ひとりがパァ〜っと明るくしてしまう。物語の主人公の魅力が読ませた一冊でした。(酩酊本処;9月9日)
『太平洋の薔薇』 笹本稜平 中央公論新社 船を乗っ取られたキャプテン柚木がおこす奇跡の物語。上のケイとは対照的なキャプテン柚木の人柄の魅力。上下巻ですが、ぐいぐい読ませてくれました。(酩酊本処;9月26日)
『クレオパトラの夢』 恩田陸 双葉社 オネエ言葉を操る神原恵弥と言う男の追いかけた夢と野望。今年も陸ちゃんやってくれたなーと嬉しくなってしまう。『蛇行する川のほとり』とどちらにするか悩んだのですが、神原恵弥が好きなのでこちらをオススメ。(酩酊本処;11月13日)
『泳げ、唐獅子牡丹』 菊池幸見 祥伝社 タイトルとイラストに惹かれて読んでみた一冊。背中に刺青を背負ったヤクザが繰り広げる人情ドラマ。軽くて暖かくて泣けます。(酩酊本処;12月20)
『レインレイン・ボウ』 加納朋子 集英社 かつての仲間の死をめぐり、リンクしていくそれぞれの人生の物語。1年の終わりにこの心に優しい物語が読めてほんわかしあわせになりました。(酩酊本処;12月27日)
2003年、私はたぶん200冊以上の本を読めたのではないかな。いい読書ができた1年でした。そしてたくさんのいい物語に出会えた1年だったと思います。 今日、「これ読んどけ本」にあげた本たちは、今年の私の心を鷲づかみにしました。重いものもあれば、軽いものもありました。好き嫌いがハッキリ分かれるだろうなぁ〜という本も。もし気になる本があれば、チャンスを見つけて読んでみて欲しいです。
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