酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年02月11日(水) |
『輝夜姫』23巻 清水玲子 |
まゆの破綻しそうな心を救った碧は、植物状態になってしまった。碧の側から片時も離れようとしない由(ゆい)。晶たちにはなす術もない。まゆを追い詰め、傷つけ、碧を植物人間にしてしまった裏切り者の正体が明らかになる。どうして彼は柏木の配下に下ってしまったか。その理由が明らかになった時、晶たちは深い悲しみに絶望するのだった・・・。
今回は登場人物がかなり死んでしまいます。さすがに整理整頓をはじめたのかな(笑)という感触。鍵を握る人物が多すぎると物語りは終結できないから、しかたないかな。 晶は確かに輝くばかりに美しい女性だし、由は完璧な美と能力を持つ男。なのにそんな主役のふたりより、どうも屈折したタイプの方に興味を覚える。優等生の晶よりも、どろどろの嫉妬や劣等感を抱く美少女まゆや、刃物の様に美しいが乱暴者のミラーなんかが気に入っている。でっかくてミラーに狼藉されまくりのサットンもラブ。 さて、まだまだ物語の展開が読めません。続きがはやく読みたいよう。
『輝夜姫』24 2004.2.10. 清水玲子 白泉社
2004年02月10日(火) |
WOWOW『妄想代理人』#1、#2 今敏(こん・さとし) |
#1「少年バット参上」 人気キャラクター“マロミ”のデザイナー月子は、マロミを上回る新しい作品を求められていた。締め切り目前、月子は通り魔に遭遇。足を怪我した月子に事情徴収する刑事達。そして月子の狂言とふんだハイエナのようなフリーライター。周りから、プレッシャーから逃避のための自作自演と揶揄されていたが、次はフリーライターが襲われた・・・
#2「金の靴」 アイドルなみの人気者・“いっちー”こと優一は、月子が描いた犯人の少年に酷似していた。いっちーの人気を妬む何者かによって、少年バットだと疑われ始め、いじめの対象になってしまう。人気者から一気に奈落に突き落とされるいっちー。彼はライバル牛山が犯人だと確信するが・・・
楽しみにしていた今敏監督が手がけるアニメ『妄想代理人』がスタート。不思議な老人が道端に計算する数字はなにか。月子の持っているマロミが動くのは何故か。謎・謎・謎。謎だらけ。しかし惹きつけられる謎ばかり。月子は仕事のプレッシャー、いっちーはいじめ。それに呼応するかのように現れた少年バット。物語はどう転がっていくのだろう・・・。ぞくぞくぞく。
2004年02月09日(月) |
『ストレート・チェイサー』 西澤保彦 |
あたい、ビーバー。“あそこ”っていう意味よん。むふふふふ〜。<トムズ・キャビン>ってレズビアン・バーで出逢ったフォウンちゃん(仔鹿)とパンプキンちゃんと意気投合。れろれろに盛り上がっちゃった。あんなことやこんなこともしちゃったわ。パンプキンちゃんってば、もろあたいのタ・イ・プ。でもパンプキンちゃんのしっかり娘エミリイに言わせれば「そうとは知らずにレズビアンバーなんかに入ってしまって眼を白黒させるようなねんねちゃん」(p274)ですって。ヘテロなのね。ああぁーん、ざぁ〜んねぇ〜んっ。ま、それはそれとして酔っ払ったワタシタチはトリプル交換殺人をやろうなんて話題になっちゃった。パンプキンちゃんことリンズィの殺したい相手は上司ウェイン・タナカですって。セクハラでもされてるのかしら? やだわぁ〜。男って。・・・それがね、数日後に本当に起きちゃったの。パンプキンちゃんのオフィスで殺人事件が! まっ、まさか本当に・・・。 やぁ〜ん、ヤスヒコ・ニシザワっててクセモノよねぇ〜。優しげな風貌しておきながら。あれは詐欺よ。詐欺。物語は謎がいっぱーい。あたいの頭悪いけどあまりにも見事におさめられるピースにくらくらきちゃったわ。なんと言ってもラストのたった1行に酔いも醒めるわよ。涙で・・・。さ、もう一度酔いたいから、はじめから読み返してやるわ。勿論大好きなバーボンのストレートとチェイサーを交互に呑みながら・・・。 ・・・なんて、あらすじ紹介と感想を登場人物のひとりビーバーちゃんふうにやってみました(笑)。魅力的な人物やとんでもなぁーくやな奴が出てきますが(西澤先生の本骨頂)、私はこのビーバーちゃんが一番好き。そんな訳でビーバーちゃんになりきってみて楽しかったです。しかし、これを400字以内におさめる作業はきつかった。西澤保彦ファンクラブ非公式版でこの本の紹介文をただいま募集中なんです。西澤保彦さん大好きっ子としては参戦せにゃなるめー、と頑張ってみましたが、タカタカ先生(高田崇史さん)の紹介文のうまさと簡潔さに打ちのめされています。闘わずしてズタボロにされている、みたいなー(涙)。当たり前ですよね。敵はプロの作家さんですものっ! でもまぁ拙いながらも自分らしい攻め方ができたんじゃないかなと思っています。えへへー。
呼吸困難になったみたいに、しばらく喘いでいた彼女は、今度は簡易キッチンへと行ってコップに水を汲んできた。その“追い水”(チェイサー)とストレートを交互に口に含む。
『ストレート・チェイサー』 2001.3.20. 西澤保彦 光文社文庫
2004年02月08日(日) |
『私小説』 岩井志麻子 |
私小説、岩井志麻子さんがご自分のことを赤裸々に綴られておられます。ベトナムの青年に夢中になって、ベトナムへ通っていたことは有名ですが、その恋の行方はどうなったのだろう?(突然、ある編集さんと結婚されたので)と思っていた謎が解けました。しかし、ベトナムと韓国と日本にそれぞれ男がいたとは、恐ろしいばかり。さすがに岩井志麻子さんはぼっけぇきょうてーお人やわ(笑)。 ‘わたしは子供の頃から痩せていた。なのにわたしは、いやらしい体付きだとよく言われた。顔立ちもだ。寂しげな、とこれも子供の頃から言われていた。なのに、いやらしい顔だと言われた’ー本文にご自分のことをそう描写されています。あぁ、なんだかわかるわかるとものすごーく納得してしまいました。男大好きオーラ(フェロモン)垂れ流してる女ってそういう感じ。岩井志麻子さんは小さい頃からそういうふうで、今尚それを貫いているのだなぁ。私は二股かけようが、三股かけようが自分が納得しているなら、自分の意思だと認めます。そういうの好きではありませんけど。 ただ、私の馬鹿な友人にひとり岩井志麻子さんに似ていて非なる奴がおります。こいつは性質が悪い。恋人がいても誘われればほいほいついていく。挙句に騒動起こすだけ起こして(相手の家庭がもめるとか)相手が言い寄ってきたから、と自分の責任を一切感じない。あたま来ますよ。しかし、彼女も岩井志麻子さんと同じくひたすら男ズキであることは違いないなぁ。でも岩井志麻子さんには素晴らしいご友人(森奈津子さまとお友達なんて〜。うらやましい〜)が多々いらっしゃる。やはりそこが人間の器の違いなのか。
岩井志麻子さんがベトナムの青年に恋をしてベトナムへ飛びまくっていた頃、韓国にも愛人がいて、日本にも恋人がいて。パワフルだったんだなぁと思いました。ただベトナムの青年の目的が岩井さんのお金にフォーカスしてきたことは、さらりと書いていらっしゃいますが、おつらかったろうと思います。きっと、岩井さんは夢を見たかったんだ。異国の青年との激しい恋という夢。それを壊してしまったベトナムの青年。カレは今なにをかんがえているのだろふ。
してくれる、してくれないが全てではない。これもまた彼の体の相性がいいのと同じで、まさに理屈ではなく肌が合う、合わないというものだ。
『私小説』 2004.1.20. 岩井志麻子 講談社
2004年02月07日(土) |
『鬼神伝 鬼の巻』 高田崇史 |
天童純は京都の中学に転校してきて、三ヶ月。朝からなにかとついていない日の学校帰り道、純は古めかしいお寺に迷い込む。そして僧侶・源雲に平安時代に飛ばされてしまう。純の胸には赤紫の勾玉のあざがある。それは選ばれし者の印し。貴族達に鬼退治を頼まれる。しかし、どうして鬼は退治されるのだろうか? 純の心のかずかに芽生えた違和感・・・
この講談社MYSTERY LANDシリーズは、とにかく装丁の素晴らしい。今回の高田崇史さんの『鬼神伝 鬼の巻』は、挿画や装丁を村上豊さんが担当されています。あの夢枕獏さんの陰陽師シリーズの挿画のアノカタです。鬼の物語と言う事もあり、イラストは抜群にマッチしています。この装丁だけでも価値がある。あ、勿論、内容もステキでしたが。 鬼の正体というものに焦点をあてた壮大なミステリーです。どうして人間は鬼を忌み嫌い排除しようとするのか。それを高田崇史さんが解釈されているという訳です。なるほどなぁ〜と思います。神の巻が待ち遠しいです。
「あなたに悩む気持ち、私は分かる気がする。でもそれは、分かる気がするだけ。しょせん誰もあなたには、代わってあげられない。私だって、そばにいてあげられてもーただそれだけ。がんばって、自分で歩いて。」
『鬼神伝 鬼の巻』 2004.1.30. 高田崇史 講談社
2004年02月06日(金) |
映画『VALENTINE』2001年 |
1998年ケネディ中学卒業アルバムに写る5人の少女たちに愛憎のこもった書き込みが・・・。中学でのヴァレンタイン・パーティでジェレミー(JM)は、美しい少女たち4人シェリー、リリー、ケイト、ペイジにダンスを申し込む。しかし、痩せていて変態と嫌われているJMは美しい少女達に完膚なきまでに拒絶される。壁の花となっていた太目の少女ドロシーにダンスを申し込み、やっと受け入れられる。幼いキスをかわすふたり。それをいじめっこたちに見つけられ、ドロシーはとっさに嘘をつく。JMに急に無理矢理襲われたのだ、と。 13年後。5人の少女達は美しい女性に成長していた。かつては太めだったドロシーもダイエットをし、資産家の娘ならではの贅沢な女になっていた。そこで悪夢がはじまった。美しい医学生のシェリーに黒いキューピットのカードが送られ、惨殺される。次はリリー。捜査にのりこんできた刑事はペイジに色目を使いつつ、JMの過去を調べる。JMはドロシーを襲ったあの後、更正施設へ入れられ、少年院へ回され、医療施設へ入れられていた。そして今は行方不明。そんな中、ドロシーの大邸宅でのヴァレンタインパーティではセクシーな水着姿でペイジが殺された。ドロシーとケイトは生き残ることができるのだろうか。犯人はドロシーの金目当てで付き合っている詐欺師キャンベルか? ケイトの恋人酒乱のアダムか? それともJMが復讐に・・・
好きなんですよ、こういう超B級青春ホラー。なんと言っても瑞々しく若い女優さんたちの美しさに釘付け! ケイトとペイジを演じたふたりの女優さんは涎もんの綺麗さです。こういう映画から、のちのスター★が生まれるんですよねー。どうやらふたりとも既に人気女優さんのようですが。 思いっきり、ネタバレしてしまいますので、映画(ビデオかな)を観ようと思っている方は以下を読まないでください。
この物語の根底を流れるのは「ずっと憧れていた(愛していた)」と「ずっと憎んでいた(うらんでいた)」という愛憎だと思います。美しい友人に引け目を感じていたドロシーが、ケイトに向って爆発するシーンが印象的。4人は賢く美しく、でも自分だけが贅肉の塊、「みんな、くたばればいい!」と絶叫するほどに。こういう心の中で何年も熟成された燻った思いは、唐突に爆発する。被害妄想なドロシーが哀れでした。そしてケイトに一途な想いを寄せるアダムは酒乱で酒を断てない。しかしケイトを「昔からずっと愛していた」のです・・・。 そう。あの幼い日、誰からも相手にされなかったドロシーとJM(アダム)の屈折した感情が別々に悲劇をもたらすのでした。 美醜というものは人の好みもありますが、美しさはもはや才能なのではないかと思います。私の周りには不思議とものすごい美しさを持った人が集まります。私はそういう恵まれた美しさを賞賛してやみません。見ているだけでしあわせなきもちになれる。だからドロシー帰っておいで、じゃなくて、ドロシーのように羨み嫉みする感覚はわからないなぁ。そういう負のエネルギーをもつなら、自分を大事にしてあげたい。結局、心の形が一番大切なのだと思います。 みなさま、素敵なヴァレンタインをv
映画『VALENTINE』2001年
2004年02月05日(木) |
『七度狐』 大倉崇裕 |
前作『三人目の幽霊』で、〈季刊落語〉編集部勤務を命ず―という辞令を受けた間宮緑。落語と無縁だった緑も1年が過ぎ、天衣無縫な上司・牧のおかげで(?)落語に造詣を深めていく毎日。そんなある日、北海道へ行ってしまった(笑)牧から、「静岡に行ってくれないかな」と指令される。牧のおかげでてんやわんやの緑だが、相変わらず天性の巻き込まれがた気質ゆえ単身静岡の片田舎にある杵槌村(きねつちむら)へ出向く。今回の牧からの指令は、春華亭古秋(しゅんかていこしゅう)一門会の取材。しかも古秋の七代目を指名するという一大事さ! 六代目、古秋の三人の息子ー古市(こいち)、古春(こはる)、古吉(こきち) の熾烈な跡目争い勃発である。しかし何故こんな人里離れた田舎で執り行われるのか? さまざまな疑問を抱きつつ、取材をはじめる緑を待ち受けていたのは『七度狐』を見立てた連続殺人だった・・・。
面白い! 膝をぽんっと叩いてそう唸らされる出来のよさでした。落語ものと言うのは、難しいと思います。北村薫さんの代表作がどうしても頭に残っている方が多いかと思いますので。しかし、前作の短篇集『三人目の幽霊』でも、爽快に楽しませてもらえましたし、今回のどんでん返しの連続は小気味いいですね。ラストがかなりお気に入りで、超オススメですぅ〜。はーい、おあとがよろしいようで。
『人を泣かすのは簡単だ。怒らせるのもな。だが、笑わせるのは難しい』
『七度狐』 2003.7.30. 大倉崇裕 東京創元社
2004年02月04日(水) |
映画『MYSTIC RIVER』 |
ボストンのダウンタウンに近いイーストバッキンガム地区に3人の少年たちがいた。ジミー、ショーン、デイブという悪戯盛りの11歳だった。ホッケーをして遊んでいたが、デイブのショットが強すぎて下水に落ちてしまう。やんちゃナンバー1のジミーはそこらの車を運転してみようと言い出すが、少しお坊ちゃんのショーンは反対する。そこでジミーは舗装したてのコンクリートに自分の名前を刻む。続いてショーン。デイブがDAと書いている時、二人組みのおとなに注意をされる。腰には手錠がぶらさがっていた。3人を注意しつつ、3人の住所をさりげなく聞きだす警官ふうの男。そこから一番遠かったデイブだけが車に乗せられ、連れ去られてしまう。デイブは誘拐監禁され、男たちにさんざん弄ばれたのだった・・・。 25年後、悪事から足を洗ったジミーの最愛の娘ケイティが殺害される。刑事となったショーンは奇しくも事件を担当し、デイブを容疑者として調べることになる。あの忌まわしい事件から3人の少年達は、どんな時を生き、どんな結末を迎えるのだろうか・・・。
アカデミー賞が発表される前にどうしても観ておきたかった映画でした。11歳の時に男にレイプされた男を演じるティム・ロビンスの演技を観たかったからです・しかし、ジミーを演じるショーン・ペンも刑事になったショーンを演じるケビン・ベーコンも最高に良かったです。中でもショーン・ペンは第二のロバート・デ・ニーロになるのではないでしょうか。それくらいうまかった。 この原作はデニス・ルヘインのベストセラーです。原作を読んでいないので軽軽しい感想は吐けませんが、映画では殺人事件が起こり、通報の電話が入った瞬間に犯人とその動機は読めました。これしかないな、と。 この映画は犯人探しよりも、3人とそれを取り巻く人たちの人生の物語だなぁと思いましたね。人生は厳しく辛い。思いも寄らぬ災難に遭遇した時、それをどう自分と融合させるか。それが問題だ・・・。
それぞれの心の傷を抱えて、少年達は大人になった。 底知れぬ悲しみの果てにある、本当の涙を知るためにー。
映画『MYSTIC RIVER』
2004年02月03日(火) |
ドラマ『長く孤独な誘拐』 原作:貫井徳郎 |
耕一は、住宅販売会社の辣腕営業課長だったが、手抜き工事のマンションを売らされたことを上司に訴え、関連会社へ出向させられる。プライドをずたずたにされながら、妻と子どものために耐えて働く耕一。ある日、息子、耕平が誘拐された。犯人の要求は、羽村裕貴也という少年を誘拐しろというものだった。息子の命を守るため、犯人の指示に従い、誘拐を実行する耕一だったのだが・・・。
うーむぅ、なかなかほのぼのしたラストに変更されていましたねぇ。貫井さんの原作はもっと残酷なラストでした。誘拐という犯罪は、成功しない。しかも誘拐された子どもは殺されてしまうことが多いようです。子を持つ親の必死さがなんだかせつなかったですよう(涙)。 しかし、上川隆也さんという俳優さんはうまいもんですねぇ。以前よりふっくらされて、私的には好みが増しましたわ。そして子役のふたりがむちゃくちゃかわいかったです。ドラマは子役で生きもすれば、死にもしちゃいますねぇ。
『光と影の誘惑』より「長く孤独な誘拐」 2002.1.25. 貫井徳郎 集英社文庫
2004年02月02日(月) |
映画『PERFECT BLUE』今敏監督作品 |
野外イベントステージで、3人組アイドルグループ《チャム》のメンバーが歌い踊る。この日、メンバーのひとり霧越未麻(みま)が、グループから脱退する。今ひとつ伸び悩むグループから切り離し、未麻を女優として売り出そうというプロダクションの意向だった。マネージャー(元アイドル)ルミは田所社長に反対したがかなわなかった。未麻は連続ドラマに起用され、台詞がひとこと“あなた、誰なの?”だった。田所社長のセールスが功を奏し、じょじょに女優として花開いていく未麻。それと同時に、脅迫ファックスや爆発物添付のファンレターが届きだす。そして本人が知らない間に立ち上げられていたホームページ「未麻の部屋」、そこには本人の生活や心の声が克明に表記されていた。いったい誰がどうして・・・。
これは、2年前に本で読んだ『PERFECT BLUE』のアニメ化だと思っていたら、ずいぶん内容が違っていました。いろいろ調べてみたところ、原作者の竹内義和さんは、脚色に関して、サイコ・スリラーであること、主人公はアイドル、狂信的なファンという3つの条件を提示し、それ以外はすべて、今監督と脚本の村井さだゆきさんに委ねたそうです。これがよかったのか、アニメは原作をかなり上回っていました。 未麻が起用された連続ドラマ(劇中劇)「ダブル・バインド」は、猟奇殺人を追う物語。未麻は、猟奇殺人犯を演じ、またヌード写真集も出し、アイドルから完璧に脱皮していく。しかし現実ではドラマの脚本家やヌード撮影をした写真家が惨殺されはじめる・・・。死を招く女優と言われ、自分を見失いかける未麻。ドラマと現実の区別がつかなくなりかけた未麻の前に現れる驚愕の真実とは。 いやぁ、アニメなのにR指定されたはず、ってくらいにハードです。未麻がドラマ上でレイプされるシーンなんてぞくぞくさせられます(嫌悪感とある種興奮で)。なにより、ラストがとてもいや(大笑)。あんなのすっごいホラーだよーっ。ラストに関して申し上げるならば、この世のものとは思えぬホラーでございました・・・。おもしろうございました。はい。
映画『PERFECT BLUE』今敏監督作品
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