酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年04月06日(火) 『勇気凛々ルリの色 四十肩と恋愛』 浅田次郎

 面白い・・・。ビバ!浅田のオッサン節である。浅田次郎さんが好き放題書き散らしているような極悪非道(笑)エッセイシリーズ2作目ですが、今回もほのぼの笑わしていただいた。特に今回、わけあって欝っぽい春を悶々と耐えている私にとって、まさに福音のようなエッセイが。タイトルはずばり「欝について」。気分が低迷すると視野が狭くなり、自分だけが悲劇のヒロインになっていく。そんな時に愛してやまない偉大な浅田のオッサンでさえ、春には心のバランスを崩し、欝状態になると知り、目から鱗がぼろぼろ落ちた。そりゃぁ、私はこの季節に恋旦那を亡くした負荷があると言え、誰だってなにかしら耐えているものだよなぁ。浅田のオッサンはすごい。文章で私の暗闇に光を当ててくださった。神である。髪は少ないけど(ひどい)。

 脂肪肝の宣告を受けたと同時に、私は医者からコレステロール値についても指摘された。何でも「悪玉」の数値が高く、「善玉」が少ないので注意を要する、というわけだ。
 悪人である私は、一瞬正体をあばかれたような気分になったが、どうやらこれは物のたとえで、性格とかいまわしい過去とかは余り関係がないらしい。

『勇気凛々ルリの色 四十肩と恋愛』 浅田次郎 講談社文庫



2004年04月05日(月) 『バトル・ロワイヤル�供…炭臆痢戞/�江松恋

 鹿之砦中3年B組の生徒42人は拉致された。いつもは無気力な教師リキが突然生き生きとした様子でみなに告げる。「今日はみんなに、ちょっと戦争をしてもらいます」・・・彼らは改正されたBR法により、政府がテロリストと指名手配しているワイルドセブン七原秋也を殺せば助かるというものだった。そして今回はタッグマッチ。相棒になにかあればお馴染みの首輪が爆破。協調性も必要さ、とおとなたちは言うのだが・・・。

 かつてバトルロ・ワイヤルで生き延びた七原秋也が、対BR組織のTOPとして活動している。失った友、三村の叔父に導かれて。そんな秋也におとなたちは迷彩服を着た中学生を差し向けた。どこまでも汚れたおとなたちの思惑に翻弄され、悩み苦しむ秋也・・・。
 うーん、映画はどんな仕上がりなのでしょう。まだ観ていないのですけど、きっと藤原竜也くんが苦悩する顔がかわいいのでしょうねー。この原作は映画の続編のために書かれたものなのでしょうね。作者が変わってしまった割には、それなりに読ませてくれました。ちゃんと前作を受けて話を膨らませているし。ただ前作より中学生達の抱える問題が重いものばかりだったことが気にかかる。まぁ設定として鹿之砦中学が問題児を受け入れる学校だから仕方ないか。パート2はこれくらいなら上出来な気がしました。

「誰かが覚えてくれている限り、その人は本当に死んだことにはならないのかもね」

『バトル・ロワイヤル�供…炭臆痢戞�2003.7.23. 杉江松恋 太田出版



2004年04月04日(日) 映画『あずみ』

 時は戦国時代の終わり。徳川家康は豊臣秀吉の末裔を戦いを仕掛けてくる前に根絶やしにしようと考える。そのための暗殺集団が育て上げられた。10人の少数精鋭の剣士の中に美少女「あずみ」がいた。あずみは命の恩人のために人を斬って斬って斬りまくる。ある日、大道芸の少女やえと知り合い、自分がひとりの女であることを自覚する。そして自分の流されるままの運命に疑問を抱くのだが・・・。

 正直に告白するならば、オダギリジョーが見たいがために観ました(笑)。主演の上戸彩ちゃんも超かわゆいv まぶしい太もも。あの美しさはあの年代までのものだなぁ。いやらしさがまったくないもの。健康でまぶしい美しさ。じゅるる。しかし!お目当てのオダジョーの変態っぷり、よかったですよー。何故だかオネェ言葉に白塗りの美女丸。なんちゅーネーミング。ぷぷぷ。快楽殺人者なんですよね、美女丸って。オダジョーのあぶない狂気がいかしてました。
 内容はどうやら原作マンガの良さを活かせていないという噂です。マンガの方が奥行きの深い物語らしい。あずみたちの受けたマインドコントロールの問題とか。映画はとにかくアクション娯楽に徹していたように思います。それはそれでいいんじゃないかな。人斬り殺し合いの映画を面白いと言うことは顰蹙なのかな、と思わないでもありませんが、フィクションとして映画としてそこそこに面白かったです。



2004年04月03日(土) ドラマ『砦なき者』(原作:野沢尚)

 渋谷の有名美少女めい子が、首吊り自殺をした。前日に首都テレビの番組「ナイン・トゥ・テン」の企画で少女売春の元締めであるかのように報じられたことが原因と思われた。そしてライバル局の東洋テレビでめい子の恋人(?)八尋が独占インタビューを受け、涙を流し大反響となる。結果、メインキャスターの長坂は謹慎処分を受け、八尋はマスコミの寵児となる。しかし、ディレクターの逢沢瑶子は八尋のさまざまなウソ(詐称)を調べ上げ、ふるさと諫早で謹慎している長坂の元へ八尋との戦いを煽りにやってくる。瑶子の熱意と愛情に動かされた長坂は、メディアが生み出した悪意の申し子・八尋と対決するのだが・・・。

 うーん、まずは単発のドラマとしては非常に面白かったです。役所広司さんの演じるキャスター長坂は素晴らしかった。対する悪意のカリスマ八尋を演じる妻夫木くんも役所さんたちの胸を借りて、初の悪役をなかなかうまく演じていたと思います。なんにしても妻夫木くんはいい男v
 しかし、原作をあそこまでいじってしまったのは、いかがなものか。やはり時間枠の問題なのかな。まずは主人公が違う。原作での主人公は、「破線のマリス」で映像を悪用した遠藤瑶子のかつての部下・赤松。原作の彼がお気に入りだったのだけど、映像化での主人公となると地味すぎたのかな。原作では長坂も八尋もドラマほどいい男ではありません。かえってやな奴って感じがびしばし伝わってくる。そこもまったく違う。そういうことをまったく気にしなかったら、ドラマとしてかなりいい出来だったと思います。

 人間の悪意を、報道という手段で具現した『破線のマリス』。そのマスコミが生み出したカリスマ八尋を描いた『砦なき者』。八尋は砦のない者はこうやって弱者を踏み台にしてのしあがっていくしかないのだと語る。その怪物を粛清するにはやはりマスコミの正義でしかない。なんだか空恐ろしいほど奥の深い物語だなぁと思いました。面白かった。



2004年04月02日(金) 『富士山大噴火』 鯨統一郎

 天童さゆりが公園でいきなりドーベルマンに襲われそうになった。恋人のカメラマン山本達也はさゆりを助けられずに忸怩たる思いを抱く。そしてそれは大いなる予兆のちょっとしたはじまりだった。地震が起こり、富士山が噴火し、そして・・・。

 日本一の山、富士山は火山。宝永4(1707)年に噴火してから300年近くが経ったそうです。300年分のエネルギーを蓄え富士山が噴火する可能性がある。この物語はそこらへんのホラーよりものすごく怖い気がしました。ありえそうな自然災害というものに大して人類はどう立ち向かっていけばいいのでしょう。
 しかし、鯨さんの変幻自在な物語づくりには感服します。

 あなたが死んだら、生きてたって意味がない。

『富士山大噴火』 2004.3.10. 鯨統一郎 講談社



2004年04月01日(木) 『ハーフリース保育園推理日誌 白昼蟲』 黒田研二

 幼児図書の営業マン・次郎丸ことアルマジロ(笑)が、今度は平和荘という今時珍しいオンボロアパートで発生した殺人事件に巻き込まれる。その事件の背景にはおぞましく陰湿な“いじめ”の構造があった・・・。

 うーぬぅ・・・これは参りましたな。前回は子供に笑顔を見せるとその子に災難が起こると笑わない保母さん。今回はいじめ。
 まさかアルマジロくんにこんなハードな過去があったとは。ふぅ。最初は読みすすめることがしんどいくらいでした。残念ながら犯人は結構早い段階でわかってしまいました。その犯人の心模様も意外ではありませんでした。しかし、さすがにクロケンさんの筆力で最後までぐいぐい読ませてくださいましたので満足。
 オトコマエの園長と美人の山添女史。ふたりの関係は?とやきもきするアルマジロはかわいかったです。山添女史のオオボケなコメントには苦笑。あれって好き嫌い分かれるでしょうが、私は大好きですv 山添女史がいてこそ魅力的な物語になっている気がします。

 君の死を哀しむ人間がいる限り、君は絶対に死んではいけないんだ。

『ハーフリース保育園推理日誌 白昼蟲』 2004.3.5. 黒田研二 講談社ノベルス



2004年03月31日(水) 『殺し屋ですのよ』 星新一(テレビドラマ「世にも奇妙な物語」より)

 特番で楽しみと言えば「世にも奇妙な物語」です。なにが楽しみかと言うと、その元となった話の原作! 今回はいきなり『殺し屋ですのよ』が映像化されていました。「世にも奇妙な物語」では、はずせない星新一さんのショートショート。
 観月ありさ扮する自称殺し屋が、職業上の守秘義務を破り、美貌を利用して男からお金を巻き上げるブラックユーモアあふるるストーリィ。なかでも時代錯誤な喋り口調は、星新一さんだなぁ〜と嬉しくなってしまいました。非現実感がいいのよねv
 「世にも奇妙な物語」での忘れられない星新一さんのショートショートのひとつに『穴』がありました。原作も映像も忘れがたい。しかも、いかりや長介さんが主演だったのですよね。あの時、長さんは役者になったんだと思ったものですが、12年も前の放映でした。吃驚。
 「世にも奇妙な物語」のおかげで知った作家(監督)さんのひとりに飯田譲治さんもいらっしゃいます。『ナイトヘッド』の起源となった「トラブルカフェ」と「常識酒場」のニ作品は、私的に「世にも奇妙な物語」のベストであります。あの衝撃も大きかった。岩井俊二さんの『ルナティックラブ』も豊川さま主演でよかったなー。
 これからも期待しちゃいますv



2004年03月30日(火) WOWOW『妄想代理人』#7 今敏(こんさとし)

#7「MHz」
 ホームレスの老女の証言で、少年バットは月子の妄想で、狐塚は模倣犯だと決め付け尋問をする猪狩。しかし名探偵(?)馬庭は、被害者が追い詰められた時に少年バットが出現することに気付く。そして捜査の暴走をする馬庭は、死んでいる狐塚を発見し、捜査からはずされてしまうのだった。馬庭は趣味の無線で世界中に向って発信する。「少年バットは存在する」と・・・。

 ますます妄想が加速し、謎がいっぱい。狐塚は自殺なのか? 少年バットの犯行なのか?? 追い詰められた人間の前に現れると確信した馬庭が誰よりも追い詰められているのにどうして少年バットは出現しなかったのか? うーん。今週は放送がなかったので悶々としてしまう。いったいどこに落とすのだろう。困惑。



2004年03月29日(月) 『1ポンドの悲しみ』 石田衣良

「ふたりの名前」
 サプリメントの箱の裏とは違い、男の背中には裸になっても恋の有効期限は印刷されていなかった。

「誰かのウェディング」
 でもわたしだってこのままいったら乾いていっちゃうだろうな。そう思うとなんだか怖くて

「十一月のつぼみ」
 あなたはわたしの心がからからに乾いてひび割れそうなときに、たっぷり水分を贈ってくれた。

「声を探しに」
 わたしだって三十をすぎているのだ。男を誘惑する方法だって、いくつかは実践で身につけている。だめなら、押し倒しちゃえばいいのだ。

「昔のボーイフレンド」
 こうした行為は、繰り返していけば自然に正しい形やタイミングが見つかるものである。

「スローガール」
 彼女と話すときは、言葉を選ばなければならないと思った。

「1ポンドの悲しみ」
 この世界や流れる時間をとめるには、きっとまだ自分の悲しみが足りないのだろう。

「デートは本屋で」
 本はひとつひとつが小さな鏡で、読む人間の心の底を映しだす力がある。

「秋の終わりの二週間」
 わたしはたとえ損でも、わたしのことをいつも気にかけてくれる人といっしょにいたい。

「スターティング・オーバー」
 そういうのは、ほんとうにもてるなんていわないんだよね。アルコールやニコチンやブランドものなんかと同じで、ただ男の人に依存しているだけ。


 若さの盛りを過ぎ、おとなになりかけている人たちの小さなささやかな恋愛の物語たちです。石田衣良さんのやわらかな暖かい視線が、10の物語から滲み出ていて心がほんわかしてくるよう・・・。人間は所詮はひとり。とことん孤独な生き物。でも自分が見つけ出した愛する人さえそこにいてくれれば、意外に生きていきやすいものなのかもしれません。ただ存在に依存するだけのインスタントで短命な恋愛でなく、心から慈しみたいと思える人が生きているしあわせを再認識させてくれる本でした。
 しかし、サイン会に登場する作家さんが、きっと石田衣良さん自身のことなのだろうと思えてちょっと笑えました。若作りで気障で優しいのね(笑)v
 とても心に暖かい短篇集です。心が疲れたおとなの方にオススメです。

『1ポンドの悲しみ』 2004.3.10. 石田衣良 集英社



2004年03月28日(日) 映画『殺人の追憶』

 1986年、韓国ソウル近郊の農村で猟奇的強姦殺人事件発生。雨の日にFMから「憂鬱な手紙」が流れると女性が殺されるようになった。手足を女性の衣服で縛り上げ、陵辱の挙句、女性の局部に桃やボールペンなどを残すような犯人だった。しかし手がかりはほとんど残されていない。
 地元の刑事パク・トゥマンは同僚の短気な男チョ・ヨングとともに容疑者を拷問し自白を強要する。ソウル市警から派遣されたソ・テユンは、暴力でねじ伏せようとするふたりに対し、冷静な分析で捜査をすすめる。
 たくさんの容疑者が浮かんでは消えていく。そしてついに有力な容疑者が見つかるのだが・・・。

 人間というものは物事にオチをつけてスッキリしたい生き物なのだなぁとつくづく思います。桐野夏生さんが犯人は誰だかわからないとか、謎は謎のまま終らせるもどかしい物語を書いては私は悶々とさせますが、この映画を見終わった後の壮絶な悶々さは激しかった。あいつは本当に犯人だったのだろうか? そしてこういう終り方で締めくくった監督の勇気にちょっと感動。もどかしさをありがとう。ふ。
 これは実際にあった連続強姦殺人事件をもとに作られているし、現実にも未解決なままだそうです。フィクションに変えていますが、実際にあった生々しい被害者の様子はそのまま表現したとか。また、暴力でねじ伏せようとしたり、証拠を捏造しようとしたりする警察官の姿も恐ろしかった。その恥部をそのままさらけ出した韓国映画の真正直さに唖然としました。そのくせ物語全体を通してユーモアやペーソスまで滲み出ていて・・・なかなかあなどれない映画なのでした。



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