酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年07月14日(水) |
『宙都 第四之書 邪なるものの勝利』 柴田よしき |
鞍馬の天狗・天成と三善はカリスマ・アイドルとなった少女のコンサートに潜入する。闇の神官の存在を確認しようとするが、とんでもない事態に陥ってしまう。 ゲッコー族のはねっかえり珠星は空間をつなぐ能力を使い、ハワイにいる藤島美枝に会いに行こうとする。しかし珠星がたどり着いた場所は・・・
えーっと、拝啓、柴田よしきさま。登場人物が多すぎます(泣)。こういう壮大な物語は完結した後に一気にがーっと読む方が賢いかもしれません。登場人物は多いわ、場所が散らばってるわ、前のこと忘れてるからまた読み返さないと。 でも、こういう物語は読んでいて楽しいですね。ロマンを感じます。ただまた次が出るまでの放置プレイをなんとかして。あう・・・
義務は義務、されど、運命は義務より強いに決まっている。
『宙都 第四之書 邪なるものの勝利』 2004.6.30. 柴田よしき 徳間書店
| 2004年07月13日(火) |
『ぼくとアナン』 梓河人 |
イエナシビトの‘ながれ’は、死にそうな猫を拾う。バケツの中で見つけたから名前は‘バケツ’。‘ながれ’と‘バケツ’は仲良くいっしょにイエナシライフ。ある日、‘ながれ’はとんでもないものを拾ってしまう。それは赤ちゃんだった。イエナシビトたちは大騒ぎで‘アナン’と名づけられた子どもを育てる。そして‘アナン’のためにイエナシライフから足を洗う‘ながれ’。アナンは成長し、奇跡のような才能を開花する・・・
私の人生の宝物『アナン』を、梓河人さんが子どもたちのためにリメイク。大人の童話の『アナン』。子どもの童話の『ぼくとアナン』。どちらも読んで欲しい物語です。『ぼくとアナン』は本家の『アナン』とは少し違ったストーリー展開になっています。子どものためだから、これでいいんだよねvとしみじみしました。『ぼくとアナン』を読んだ子ども達が、いつか『アナン』を読んで欲しい。そうなれば本当に素敵だなー。
なんだって、思いどおりになるわけじゃない。とくに、人間の世界ってややこしい。だけど、ぼくはこのごろだんだん信じるようになってきた。 ほんとにねがったことは、かなうはずだって。今までもはらはら、どきどき、すれすれもことがいっぱいあった。それでも、ぼくたちは助かってきたじゃない? 本気のおねがいは、空気をぐぐっと動かして、世界に道をつくるんだ。 でも、本気じゃなきゃ、だめなんだよ。
『ぼくとアナン』 2001.12.25. 梓河人 角川書店
私立探偵・畝原は、あるバンドのおっかけをしている<おばはんトリオ>を撮影しているカメラマンとつなぎを取っていた。そこで突如血まみれの子どもが畝原の太股にしがみついてきた。Tシャツは血で汚れ、下着をつけていない幼い性器はズタズタにされていた。明らかに虐待を受けている子どもを助けた畝原はおぞましい犯罪と警察が隠微しようとする事件に巻き込まれていく・・・ ううう、どうして本物のハードボイルドって奴には悲しみが付きまとうのでしょう。大好きな畝原探偵シリーズがこんなにも心に重く哀しい展開を見せるなんて。心には重すぎる・・・ってのはまた他のハードボイルドのタイトルですけど。 東直己さんって大丈夫なのかしら。あまりにも警察に対して批判的なのでついつい心配してしまう。警察がこの物語に描かれているくらい腐敗しているとしたならば、日本の安全神話はもう過去のものですね。また子どもを人間ではなく物として売買する組織もアンダーグラウンドには存在していそうで怖すぎるなぁ。 しかし・・・畝原探偵の恋人・姉川さんには過酷な事件でした。ラストシーンのふたりは哀しいけれど美しくて泣けてしまいました。個人的にはかなり好きです。
「だったら、知っている者の言うことを聞け! 無知を恥じたらどうだ! そんな想像力もないのか!」
『熾火』 2004.6.28. 東直己 角川春樹事務所
| 2004年07月11日(日) |
『箪笥』 原作/キム・ジウン 漫画/古結あかね |
妹スヨンの療養に人里はなれた家にやってきたスミ。そこは愛する母が亡くなった家だった。迎える義母ウンジュにはむかうスミ。微妙なスタンスで見守る父。危うい均衡を綱渡りする三人の女が同じ日に生理になり・・・
職場の並びにある映画館に貼ってあるポスター(下の写真参照)に惹きつけられ、映画の前にコミックで読んでみました。韓国発の哀しいホラーです。コミックのページ数内では表現しきれていないのだろうなぁ。タイトルの『箪笥』から、日本のものと想像していたのですが、やはりアジアって感性が近いのかもしれません。映画でどれほどホラーなのか楽しみですv
どうしてこんな事ばかりくり返すの? いつまでも醒めない悪い夢の中にいるみたい
『箪笥』 2004.7.8. 原作/キム・ジウン 漫画/古結あかね 角川書店
| 2004年07月10日(土) |
『イン・ザ・プール』 奥田英朗 |
「イン・ザ・プール」 伊良部総合病院の地下一階にある神経科。身体の不調を訴え連日通いつめる大森和雄は、若い医師に体よく追い払われてきた。恐る恐るドアをノックすると中から「いらっしゃーい」と甲高い声が。そこにいたのは世にも風変わりな神経科医・伊良部だった・・・
噂にたがわぬ珍妙さでした。悩める患者さんを鮮やかに(?)治してしまう伊良部。風体も性格も珍妙な男。こんな人そばにいると怖いなぁ(笑)。でもまぁ悩める人たちがどんな形でアレ、治るのはいいことだ(と言うことにしておこう)v
「つまりストレスなんてのは、人生についてまわるものであって、元来あるものをなくそうなんてのはむだな努力なの。それより別のことに目を向けた方がいいわけ」
『イン・ザ・プール』 2002.5.15. 奥田英朗 文藝春秋
| 2004年07月09日(金) |
『バッテリー�后戞,△気里△弔� |
巧が新田市に引っ越してきて一年が経とうとしていた。去年の冬、天才ピッチャー巧は豪という運命のキャッチャーと出逢えた。しかし、ふたりの周りでは事件続出。そしてついに豪が巧に対して悩みまくるのだった。今まで人に関心を持つことの無かった巧がはじめて豪のことを知りたいと考える! 巧を軸に動く人間模様。そしてまたあの天才スラッガー門脇が率いる横手ニ中との試合が近づくのだった・・・
さて『バッテリー�后戮泙覇匹澆泙靴拭�今は早く『バッテリー�此戮�出ないかとわくわく待ち望んでいるところv このバッテリー・シリーズは、つい最近あさのあつこさんが10年の時を費やして完結させたとか。巧という13歳の天才少年のほんの1年間を10年かけて・・・。その熱意と愛情だけでもこの物語を読む価値があります。巧と豪がどんな物語を見せてくれるのか。どきどき。 この『バッテリー�后戮任蓮�巧を取り巻く登場人物も生き生きしています。最初のうちはそう意識していなかったのですが、なんだかボブな香りもぷんぷん(笑)。巧は「食っちゃいたい姫さん」なんですもの〜。アニメ化希望。
突出した才能を持って生まれたということは、幸福なことでも恵まれたことでもない。才能自体にふりまわされ、追いこまれ、人間として成熟しないまま、潰れていく。そんな危うさを抱え持って、生きていかねばならないということなのだ。
『バッテリー�后戞�2003.1.10. あさのあつこ 教育画劇
| 2004年07月08日(木) |
『バッテリー�検戞,△気里△弔� |
天才スラッガー門脇の率いる横手第二中野球部を相手に、巧は平常心で挑んでいた。手加減なしの最高のストレート。それを豪は捕りこぼしてしまう。そして豪に芽生えてしまった不安。天才ピッチャー巧の成長していく球をどこまで捕れるのか? 自分がここまでかもしれないと感じた時、豪は人生ではじめて壊れてしまうのだった。そして完敗。バッテリーがぎくしゃくする中、周りはさまざまに動きを見せる。豪の代わりをつとめようとする吉貞。もう一度試合を望む門脇たち。豪は立ち直ることができるのだろうか?
天才・巧の成長を誰よりも感じる豪が自分の限界について考えてしまいます。巧がまだまだ磨かれていき、自分がどこまでその相手をつとめることができるのか?と。類稀な才能は人を魅了すれば、人を悩ませもするもの。巧は巧で決して悩んでいないわけではないけれど、もともとのレベルが凡人とは違うので悩んでいることをわかってもらえない。天才の孤独ですね。豪ちゃんはとってもわかりやすいからv しかし、そういう運命に出逢えたことは豪にとって幸運。そのチャンスを逃さないで頑張るんだ、豪!
なんの前触れもなく、胸が騒いだ。自分の限界の先を見てみたい。ここまでだと自分の力を見切った、その先に行ってみたい。越えてみたい。
『バッテリー�検戞�2001.9.15. あさのあつこ 教育画劇
| 2004年07月07日(水) |
『バッテリー�掘戞,△気里△弔� |
巧を巻き込んだ暴力事件のために、野球部は活動停止していた。これでは引退していく三年生に申し訳が立たないと、監督は横手ニ中との練習試合を考える。横手ニ中は全国大会ベスト4に入り、天才スラッガーともてはやされる門脇がいた。打てない相手はいなかった門脇は、巧の球に出会った瞬間に魅せられてしまう。門脇との真剣勝負の時に、キャッチャーの豪が・・・
巧は超ジコチューな少年。なのにいつも周りを巻き込んでしまう不思議な魅力を併せ持っています。校長先生やおとなたちは巧たちを型に押し込めようとばかりします。でもやっぱり巧はその中に入ってしまわない・・・。その強靭な精神力は天性のもの? 今回は、巧と運命の出会いをしてしまった豪にとんでもないことが起こります。天才を相手にするとこういうことが起こっても不思議はないのかもしれません。豪が陥ってしまった迷宮から、豪がどうやって這い出てくるのか、そこがまた楽しみであります。
なんでも、どんなことでも、真っ向からむかってくるものなら受けとめる。
『バッテリー�掘戞�2000.4.15. あさのあつこ 教育画劇
| 2004年07月06日(火) |
『バッテリー�供戞,△気里△弔� |
巧と豪は中学に入学した。巧の判断ですぐに野球部へ入部せず、豪とふたりで自主練習を重ねる。そして満を持して入部。自信満々で態度のでかい巧を監督をはじめ、先輩達はねじ伏せようとする。しかし、巧は己を信じ、己の力で監督に認めさせる。そこでますます嫉妬する先輩部員たちに巧は・・・
巧と豪が中学に入学しました。入部した途端、巧が巻き起こしてしまう嵐。その嵐は今までの野球部の体制すら根底から覆す。たったひとりの天才少年がそこまで・・・。そして当然のように反発され傷つけられる。でも巧は負けない。13歳の少年の神々しいまでのプライドにおののきました。 今回は、弟・青波のほかに巧と豪のチームメイトの沢口と東谷の存在が際立ってきました。決して友情とかチームプレイを謳っているわけではないけれど、仲間の素晴らしさは巧と豪の宝にちがいない。
「自分が信じきれなかったら、なんかすごく、みじめな気がして・・・・・・うん、壊れちゃうってのは、おれがおれを信じられなくなっちゃうってことなのかな・・・・・・やっぱみじめだろ、そんなの。よくわかんないけどな」
『バッテリー�供戞�2004.6.25. あさのあつこ 角川文庫
| 2004年07月05日(月) |
『バッテリー』 あさのあつこ |
原田巧(たくみ)は、中学入学を目前にして、父親の仕事の都合で岡山県の地方都市新田市へ引っ越してきた。引っ越し先は母の実家。今では祖父がひとりで住んでいる。祖父はかつて名の知れた高校野球名物監督だった。そして孫の巧は、野球に関しては孤高の天才少年だった。天才であるがゆえに自分自身という個に徹底的に拘る身体と精神を持った巧は、周囲から浮いていた。しかし、新田市で運命の出会いをする。永倉豪。医者の息子の豪は中学入学を境に野球を諦めようとしていたが、巧に出会い運命が変わっていくのだった・・・
友人から薦められて手に取った文庫2冊。それが岡山出身のあさのあつこさんの『バッテリー』でした。この友人とは読書のアンテナが、かなり近いため、まったく心配せず読み始めました。そしてノックアウト。あっと言う間に巧と豪と周囲の少年の世界に引きずり込まれてしまいました。あぁ、また素晴らしい出会いができました。友人に心から感謝v 巧という13歳の天才少年の心の動きがものすごくよくわかります。「おとなはわかってくれない」と叫ぶ少年少女たちの想いを垣間見ることができます。かつて少年少女だった人たちに、今が少年少女である人たちに、全ての人に読んで欲しい物語です。きらきらしてる・・・。決して綺麗事だけじゃないリアル・ワールドがそこに展開しています。 巧と豪、そして巧の弟・青波(せいは)。この3人の少年が軸となって物語がすすんでいくようです。巧と対照的な青波がすっごくかわいい。天使のような少年です。
十三歳だから。どうだというんだ。十三歳だって、自分の人生を夢見れる。おれと出会って永倉が将来を決めたのなら、それでいいじゃないか。十三歳のおれに、その力があるんだ。まきこんだとかまきこまれたとか、そんなちっぽけなものじゃない。
『バッテリー』 2003.12.25. あさのあつこ 角川文庫
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