酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年08月31日(火) 『西の善き魔女5 闇の左手』 荻原規子

 フィリエルは、ルーンとともに選んだ生活に満足していた。しかし、世界の果ての壁の調査に向かい、思わぬ敵と遭遇してしまう。ルーンはフィリエルを残し、ユーシスを助けに走り、フィリエルはフィリエルで・・・

 この物語で一番良かったのは何度も書いてきたアヤシイ女子校編でしたね。あぁいうファンタジーってありだと思うなぁ。しかしながら、よくもまぁ大風呂敷をきっちり落としたもんです。さすが勾玉シリーズの作者!と言ったところ。
 ただ女王対決に関しては私の想像通りのオチでしたけどねv ふふふ。そして私の一番愛したキャラは・・・レアンドラだっ! 当然よね。

「前のは、人物描写がいくぶん甘かったと思うぞ。次に書くなら、その点に気をつけたほうがいい」

『西の善き魔女5 闇の左手』 1999.5.15. 荻原規子 C★NOVELS



2004年08月30日(月) 『西の善き魔女4 世界のかなたの森』 荻原規子

 伝統の騎士として竜退治に向うユーシス。レイディ・マルゴットに懇願し、ユーシスを守るため南に向うフィリエル。フィリエルには予感があった。その先にはルーンがいるはずだと。しかしアデイルの差し金でロウランドの若君ユーシスとあかがね色の髪の乙女フィリエルのロマンスが広まり、行く先々で好奇の的となる。フィリエルを待ち受けていたものは・・・

 フィリエルはユニコーンの子供や不思議な吟遊詩人に出会う。いきなりこういう展開になるとはなぁ。しかしだなぁ、これって果たしてファンタジーなのか? うーん(悩) いったい後一巻でどうまとめるんやー!と心配してしまいました(笑)。

「それならいいよ − 夜が明けたらね」

『西の善き魔女4 世界のかなたの森』 1998.11.15. 荻原規子 C★NOVELS



2004年08月29日(日) 『西の善き魔女3 薔薇の名前』 荻原規子 

 フィリエルは、伯爵たちと王宮ハイグリオンへ向った。ルーンは王立研究所へ。輝くばかりの宴の毎夜。華やかな仮面の下でのかけひき。フィリエルは違和感を覚えているとユーシスに助けられ、ダンスを踊る。そして駆け巡るユーシスとフィリエルのスキャンダル。フィリエルはやっと自分の気持ちに気づくのだが・・・

 秘密の花園の女子校を追い出された(笑)フィリエルは、打って変わって華やかな王宮デビュー。個人的にはずっとアヤシイ女子校もので攻めていただきたかった。残念。
 フィリエルは、王宮の光に目を眩まされることなく自分にとっての真実に気づきます。たったひとつの自分にとっての真実を大事にしようとするのに、哀しい別れが。

 ・・・・・・どんなに悔やんだって、起きたことはもとに戻らない。

『西の善き魔女3 薔薇の名前』 1998.4.15. 荻原規子 C★NOVELS



2004年08月28日(土) 『西の善き魔女2 秘密の花園』 荻原規子

 ルアルゴー伯爵ロウランドの客人となったフィリエル。伯爵令嬢アデイルの教育係セルマを怒らせたフィリエルはアデイルの学んでいたトーラス女子修道院付属学校に放り込まれる。完全なる女だけの園。男子禁制の場所。『秘密の花園』とも『魔の巣窟』とも呼ばれている。そしてそこでフィリエルが巻き起こす騒動は・・・

 面白かった〜v 女子校のアヤシイムード満点でした。アデイルの宿敵レアンドラも登場したし、お約束の女の子同士のラブもあったし、ルーンの●●も拝めたし(笑)。まさかこういう物語で女の園潜入となるとは思わなかったです。意表をつく展開がとってもよいですv

「どこでおぼえたの、こんなこと」

『西の善き魔女2 秘密の花園』 1997.11.15. 荻原規子 C★NOVELS



2004年08月27日(金) 『西の善き魔女1 セラフィールドの少女』 荻原規子

 グラールの最北端にあるセラフィールド。少女フィリエルは初めての舞踏会に胸をときめかせていた。変わり者の天文学者ディー博士が弟子ルーンにことづけた母の形見の首飾りがフィリエルの運命を変える。舞踏会で王子さまに出会い、ダンスを踊るシンデレラのようなフィリエル。首飾りによって自分の出生の秘密を知り、大きな世界の謀略の渦に否応なく巻き込まれていくのだが・・・。

 田舎で育った少女が実は・・・なんて、典型的な展開なのに心が躍ってしまうのはなぜかしら。それはきっとフィリエルがやんちゃだから。天文学者ディー博士の弟子のルーンが頑固で純粋な少年だから。フィリエルとルーンがどうなっていくのか、わくわくの導入です。異世界にぐいっと引き寄せる荻原規子さんはうまい作家さんだと思います〜。

 あたしがだれのものかは、あたしが決めるわ。

『西の善き魔女1 セラフィールドの少女』 1997.9.15. 荻原規子 C★NOVELS



2004年08月26日(木) 映画『フレイルティー 妄執』

 ‘神の手’という謎の文字が残されるバラバラ殺人事件。事件の担当FBI捜査官ドイルのもとへ一人の男が現れる。この男、自分の父親のことを話し出した。
 1979年、フェントンとアダムの父が神から啓示を受けたと言い出し、悪魔を滅ぼすと言い始めたと言う。実際に滅ぼすための道具(斧)を手に入れ、名簿も手に入れ、滅ぼし(殺人)始めた。アダムは父を盲信するが、フェイトンは父の精神状態を疑う。父親はフェイトンを地下牢に軟禁し、マインドコントロールを試みる。食べ物も与えられず、朦朧としたフェントンは父に神の声が聞こえたと嘘をつく。そして思い余って父を殺すのだが・・・。

 ドイル捜査官のもとへ訪れたのは、フェイトンかアダムか。ここが大きなポイントでした。二転三転する物語に翻弄されました。私が怖いと感じたのは、回想シーンの狂っていく父の姿を見ている兄弟でした。兄は絶対に父の精神状態がおかしいと感じ、弟のアダムは愛する父を疑うこともなく盲信する。この分かれ道が恐怖のポイントだったと思います。特に兄のフェイトンは辛かったろうに。母を幼くして失い、父と弟とささやかな幸福を感じ生きていたのに全てが崩れてしまうのだから。ただ正直に言えば、ラストで曖昧になってしまった感じでした。オカルトなのかホラーなのかサイキックものなのか。全てのミックス? 途中までの心理ホラーがよくわからなくなってしまってとても残念でした。



2004年08月25日(水) 『方舟は冬の国へ』 西澤保彦

 十(つなし)和人は、失業し職安で相談員にネチネチネチネチ説教をされていた。まるで「キミは仕事ないけどボクはこうしてあるんだよん、いいだろ」とか言いたいみたいだ。ふと高校時代のある変態陰湿粘着質英語教師を思い出す。周りから蛇蠍のごとく嫌われていたハマグチ。そんな和人に言語同断文章(てくらだふみあき)と言うとんでもない珍名さんから突発的名仕事を依頼される。報酬は破格。しかし、質問はしないで「ある場所に一ヶ月ほど滞在して欲しい」と言うもの。報酬と謎に惹かれ、和人はその話に乗るのだが・・・・

 面白かったです。依頼された仕事はある人物になりきって、擬似家族ごっこをするというもの。魅力的な女性がパートナーの妻役。彼女に悶々とする和人の描写が西澤先生ならではって感じ。そして何より誰より‘やな奴’を描かせたら本当に右に出る者はいないんじゃないかってくらい‘やな奴’が本当にやな奴で(大笑)。いつもいつも思う。あのほのぼのやさしさうらうら光線だしまくりの西澤先生がどうしてあんな的確に‘やな奴’を描けるのかしらん、って。
 この物語は、意外と言えばとても意外な路線かもしれないけれど、西澤先生らしさてんこ盛りだと思いましたわ。西澤先生が書きたかったあんなこと。むふふ。私が感じたことが正解ならば、それらしきことは結構書かれてきている気がしますけど。大人のためのファンタジー・ロマンスでした。ラストが非常によいですv

「バベルの塔。そうですね。わたしたちはいずれ崩れ落ちることが判りきっている煉瓦を積み上げているいるにすぎない」

『方舟は冬の国へ』 2004.8.25. 西澤保彦 光文社




2004年08月24日(火) 『キッパリ! たった5分間で自分を変える方法』 上大岡トメ

 5分間で自分を変えられる・・・なんて絶対に無理(笑)。でも、この本を読んでいると少しずつ変えることは可能な気分になってきます。ささいなことで、キッパリ! 自分は変われる可能性があるのですよねー。

「約束の5分前に行く」
 60個のカンタンに自分を変える方法のラスト60個目に出てくるフレーズがこれです。仕事でも約束でも約束を守る大切さを忘れてはいけないと思うのです。この本の締め括りにこの言葉が出てきてとっても嬉しかった。
 結局は、自分の意識を変えていく。それが自分を変えていくのですね。

『キッパリ! たった5分間で自分を変える方法』 2004.7.30. 上大岡トメ 間幻冬舎




2004年08月23日(月) 『ぶたぶた日記』 矢崎存美

 義母の代理でエッセイ教室へ通うことになった山崎ぶたぶた氏。鼻をもくもくさせながら、周りの人たちの心をひょいっと軽くしてあげる。これぞぶたぶたマジックv

 愛すべき物語は出版社が変わろうとも必ずや存続するのですよねー。本当に本当に嬉しいことですねっ。ぶたぶたさんは今回は義理のおかぁさんの代わりに急遽エッセイ教室に通うことになります。もうこの路線で行くならば、いろーんな場所(職業)にぶたぶたさんを出没させてください!>矢崎先生(はぁと)
 久しぶりに矢崎先生の掲示板にお邪魔して、映画『誰も知らない』の話題になりました。私はあの捨てられた子供たちにぶたぶたさんと会わせてあげたい、と思いました。すると矢崎先生は会うなら母親の方でしょう、と。あ、目から鱗。そうですよね。あの母親に会わせてあげて欲しいですよ・・・。
 ふっとぶたぶたさんの暗黒ヴァージョン(もしくはホラー)を読んでみたいなと思いました。今回も勿論人の悪意は登場しますが、もっと強烈な悪や恐怖に遭遇するぶたぶたさんはどんなマジックを見せてくれるのでしょうか?

 いくつもの苦労やいやなことが重なって、彼は生きている。どれもこれも、一番怖く、そしてつらいことばかりだ。

『ぶたぶた日記』 2004.8.20. 矢崎存美 光文社文庫




2004年08月22日(日) 『愛することを恐れるべきでない私、愛されていることに気づくべき私』 豊川悦司

 帯の惹句は、「これは僕が2年間にわたって書いたラブレターである。相手はどこかに実在する女性。Eメールで送り、また送らなかった手紙もある。日付も、時間も、そして手紙も、これは現実のものだ」と・・・。スキャンダルとしては、女性誌で豊川悦司が中山美穂に宛てた81通のラブレターなんて報道も目にしたことがありました。それこそ映画『ラブレター』で共演し、リアルタイムで書かれたEメールは、ふたりが共演したドラマ『ラブストーリー』の頃ですよね。豊川さんってば確信犯?
 フィクションなのか、ポエムなのか、帯の惹句の通り本当のラブレターなのか。それを突き止めようとするのは野暮なのかもしれませんね(いや、実際、突き止めようとしたのですが)。なんであるにしてもロマンチストで情熱的な豊川さんの心の叫びが伝わってきます。痛いほどに。せつないほどに。

 声が聞きたいし、
 顔も見たいし、
 匂いも嗅ぎたいし、
 抱きしめたい、
 強く、ギュッ、って、
 抱きしめて、
 キスをして、
 もっと強く、抱きしめたい。

『愛することを恐れるべきでない私、愛されていることに気づくべき私』 2003年9月18日 豊川悦司 マガジンハウス



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