酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年10月07日(木) USJ ビートル・ジュースのHAUNTED BEAT

 10月になるとハロウィーン気分でうきうき。やっと日本にも定着してきた悪霊たちのお祭り。去年に引き続き今年もUSJの HALLYWOOD HALLOWEENへ。狙いは勿論ビートル・ジュースのダンス・パフォーマンス。ニューヨーク・エリアにあるパークは、この時期ハロウィーンヴァージョンで不気味たるやこのうえなし。すっごく素敵。写真ここだけで撮りまくりん。ビートの利いた音楽とともに悪霊たちの大行進! ビートル・ジュースの声はどこから聞こえるのだろうと思っていたら、パークの天辺に発見(笑)。どのキャラクターも不気味でコミカル。中でも伯爵(吸血鬼だろうなぁ)がたまたま目の前で華麗にダンシング。これまた写真を撮りまくりん。3回角度を変えて見たけれど楽しかった! オススメは最終パレード。USJは宵闇に包まれ、ほろ酔い気分で悪霊たちとダンシング。また来年も絶対に行きたいv



2004年10月06日(水) WOWOW舞台『浪人街』

 舞台は幕末。京都では新撰組が大暴れしている頃、江戸は荒れていた。浪人の荒牧源内は、自分の女(お新)に巾着切りをさせ盗ませたお金で気楽に遊び暮らしていた。美しいお新に惚れている浪人の権兵衛は、お新の働く居酒屋に、やはり浪人の赤牛と通い詰めていた。居酒屋の親父はお新の後見人。お新には遊び人の源内より、誠実な権兵衛と所帯を持って欲しいと願っている。
 江戸の町では夜鷹が連続して切り殺されていた。その事件を目撃した居酒屋の親父が殺され、お新は仇討ちに向うが逆に囚われてしまう。心がない、気持ちがない、誠意がない、・・・ないないづくしの源内は果たしてお新を助けに行くのだろうか。

 これは生で観たかった舞台です。キャストは豪華にも主演に唐沢寿明と松たか子。脇を伊原剛志と中村獅童が固めます。そして悪役に升毅、鈴木一真。源内を演じる唐沢くんを仇と狙う若武者に成宮寛貴くん。まぁ、よくもここまですごい顔ぶれのスケジュールを抑えたものです。
 舞台はうまい役者さんばかりなので見ごたえ十分。あまり松たか子は好きではありませんが、役者さんとしてはうまい! 三人の主演級の男性陣のうまさは言うに及ばず。泣かせて笑わせて興奮させる舞台でした。アンコールの挨拶で「成宮くぅ〜ん」と黄色い声が飛んだときの、唐沢くんの反応がむっちゃらしくて面白かったです。うう、生で観たかった。 



2004年10月05日(火) 『妖魔なオレ様と下僕な僕』1〜3 椹野道流

 三浪決定した正路はひき逃げに遭遇。とことんツイテイナイと思っていたら、あらら、僕ってば死にかけているようだ。足音が聞こえ、助かった!と思ったが、僕を見下ろす超美形は助けてやる代わりに僕になれと言う。その男(の姿をしたもの)はナント妖魔だった。ある方法で正路は‘気’を妖魔・司野に吸い取られながら、骨董屋《忘暁堂》にアルバイト兼居候となるのだが・・・

 椹野道流さんのバリバリなボブ(ボーイズラブ)の物語です。奇談シリーズのアノふたりの展開はもどかしいほど遅いのに、こちらのふたりってばあっ!ちゅう間ですわ(大笑)。この司野は奇談シリーズにも出張ってます。鬼籍通覧シリーズの龍村さんも奇談シリーズに出張っているし、そういうリンクを楽しめてグー。いや、でも、しかし、これってあまりにアダルトにボブなので、そういうの好きな人にしか薦められないです。3巻通して読みましたが(現在4巻まで出ているはず)正路のある言葉をピックアップしておしまいv

「ううう。もう、お酒なんか絶対飲まない。一生飲まない」

『妖魔なオレ様と下僕な僕』1〜3 椹野道流 イースト・プレス



2004年10月04日(月) 『黒を纏う紫』 五條瑛

 近未来の東京は移民で溢れかえっていた。夜の繁栄をささえるためのエネルギー特殊物質を運ぶ運転手・鶴見。彼は特殊物質を運ぶ男たちに関するある噂におびえていた。ある夜に出逢った女とともに特殊物質をめぐる大きな陰謀に巻き込まれていくのだが・・・。

 女性でここまでのノアールっぷりを描けるのは桐野夏生か、五條瑛かと言う感じですね。壮大な悪。どこまでやってしまうのと思わせる残虐さ。それでいてスマート。男性が書く性描写のえぐさが女性だと少ないからかもしれません。おもしろかったですv

「だがな、世の中ってのは、何でもそんなふうに思い通りにはいかないんだ」

『黒を纏う紫』 2004.2.29. 五條瑛 徳間書店



2004年10月03日(日) 『蛍坂』 北森鴻

 東急田園都市線の三軒茶屋駅から路地を縫うように歩くこと五分あまり。そこにその店がある。美味しいフードと美味しいお酒を出しながら、訪れた者の心に燻るわだかまりを綺麗に溶かしてくれる・・・《香菜里屋》が。

 今回もマスター工藤の作る酒の肴に涎が出そうでした。そして図らずも涙までもが、だだだだーっとものすごい勢いで出てしまいました。それはタイトルにもなっている「蛍坂」でした。テーマは自分勝手に‘消えない昔の恋心’だと思ってしまいました。あぐあぐと泣けてしまった。ロックスタイルで呑むビールとともに私の心に残る消えない恋心も綺麗に昇華したいわ・・・。

「ええ。でも十六年の年月は、どれほどつらい思い出をもセピア色に変えてくれるだろう。なによりも、奈津実さんがすでにこの世にいないのだから、と」

『蛍坂』 2004.9.21. 北森鴻 講談社 



2004年10月02日(土) 『夏の名残りの薔薇』 恩田陸

 沢渡家三姉妹(伊茅子・丹伽子・未州子)は、毎年秋になると山にある沢渡家所有ホテルへ特定の選んだ人間達を招待する。選ばれた招待客たちは三姉妹が個別に主催するお茶会に招かれたり、ディナーでは三人揃って恒例のかけあい物語を拝聴しなければならない。口を挟むなどもってのほか。残酷でグロテスクな彼女達の物語は、いったい本当なのか。嘘なのか・・・?

 いやはや、進化する恩田陸。とんでもない話でしたー(かなり面白いv)! 陸ちゃんの好むクローズドな世界で起こる人間同士の葛藤は読んでいて唸りますよ。そして視点が次々と変わっていくから、また惑わされてしまう。うまい。視点が変わると主人公と脇役も代わるのだけれど、それでも魅力的な桜子。素敵(ため息)。
 読み終わって感じたことは、現実というのは自分にとっては目の前のたったひとつなのだけれども、視点が変わればパラレルになってしまうってこと。あと記憶の曖昧さですかね。記憶は捏造され、改竄されていく。だから生きていきやすいのかもしれないな、なんて。

「だけど、終わりというのは始まりでもあるから」

『夏の名残りの薔薇』 2004.9.30. 恩田陸 文藝春秋 



2004年09月30日(木) 『ぼくは悪党になりたい』 笹生陽子

 兎丸エイジ、17歳。自由奔放気ままな母ユリコと父親が違う弟ヒロト。エイジもヒロトも父親を知らない。青春まっさかりのはずなのに、エイジは家を平気で空けるユリコとモテモテの親友・羊谷と腕白やんちゃなヒロトに日々振り回されている。ユリコが海外出張中にヒロトが病気になり、ユリコの元恋人らしき31歳の杉尾さんに助けてもらう。そしてエイジの平凡な(?)日常が壊れ始め、エイジは悪党になりたいと思う・・・

 笹生陽子さんは少年を描かせたらホントうまいなぁと思います。エイジはとってもいい子だなぁ。気持ちがいいです。きっと心が健やかなのだろうなー。それに対する母ユリコはぶっとびかぁちゃんであります。でも彼女のおおらかさはエイジにもヒロトにもいい影響を与えていると思う。恋愛事情に関しては物申したいけれども(苦笑)・・・

今のところはそれで十分だったし、急ぐことなんてないと思った。

『ぼく僕は悪党になりたい』 2004.6.30. 笹生陽子 角川書店




2004年09月29日(水) 『つきあってはいけない』 平山夢明

 本当にあった怖い話、と言うのですが・・・結構フィクションになっている感じを受けました。都市伝説の類。妙な人間(異常に嫉妬深い男、傷付いた女が好きな電波男、逆恨みしてくる元カノなどなど)と気軽に関わったばかりにつきまとわれてしまう物語が多かったです。根っこは本当にあった話なのかもしれません。
 もしもこれが本当ならば一番怖いと思ったのは「子持ちの男」でした。だってこんな奴いそうなんですもん・・・(怖)。そして金本進さんの写真と見間違うようなイラストがむちゃくちゃ怖かった・・・(泣)

『つきあってはいけない』 2004.7.18. 平山夢明 ハルキ・ホラー文庫



2004年09月28日(火) 『裏ドラマ』 君塚良一

 「踊る大捜査線」で一世風靡した脚本家・君塚良一さんの日記(でもきっとフィクション)です。手がけた人気ドラマ(「恋人はスナイパー」「TEAM」など)の裏話を読めてとても面白いです。この裏ドラマの<わたし>=君塚さん?が、常連のショットバーで知り合った不思議な<コダマさん>。<コダマさん>と関わる事によって様々なインスピレーションを得るのだが、いったい<コダマさん>の正体とは・・・?
 君塚さんは気になる脚本家さん。あ、これ面白いなぁと思うと君塚さんってパターンがここ数年多いです。「踊る大捜査線」のパート3はあるのか?とか。踊るの枝葉の物語のことなど、美味しい情報いっぱいです。

『裏ドラマ』 2003.12.4. 君塚良一 ダイヤモンド社



 



2004年09月27日(月) 『Q.O.L.』 小路幸也

 ひょんなことから龍哉の家に同居することになった光平とくるみ。殺し屋だったという龍哉の父が死に、龍哉に遺言を託す。それは横浜にいるもと相棒に拳銃を届けて欲しいというものだった。そのロング・ドライブに光平とくるみが同行したいと言い出した。ふたりにはその拳銃を使って殺したい奴がいた・・・

 小路幸也さんの三作目は、あの昔懐かしいパルプタウンとは違った世界ということでドキドキでした。読み始めるとやはり小路さんの世界が大好きだっ!と叫びたくなりました。とても哀しいものを背負った人たちが癒され再生されていく・・・。泣けます。大好きだーっ。

 私は本が好きで、読書好きで、本を扱うことを仕事にしているいわば本とか物語のプロなのだけど、それでもやっぱり小説家と同じレベルで話ができるかというとそうでもないと思う。縁があって何人かの作家さんとお話しする機会があったけれど、やっぱりどこかズレていくのがよくわかった。

『Q.O.L.』 2004.8.30. 小路幸也 集英社




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