酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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| 2004年10月19日(火) |
『尋牛奇談』 椹野道流 |
天本森(あまもとしん)は物置で探し物をしていて、父トマスが手紙や書類を保管していた美しい箱を見つける。箱の美しさゆえ、破壊して箱を開けることに躊躇していたが、妖魔・司野によって箱は損なわれることなく開けられた。その中に入っていたものは・・・
椹野道流さんのバリバリボブな物語から司野と正路が出張ってきます。ふたりに煽られて森と敏生にも発展が見られるか? 今回は、‘十牛図’を御題にもってきたあたり、うまいなぁと思いました。まさに森さん版の過酷な自分探しがはじまってしまいました。十はポイントをクリアしないとたどり着けないと言う事なのかな? いったいいつまで続くんだ。このシリーズは(笑)。 椹野道流さんのシリーズものでは、やはり鬼籍通覧シリーズと奇談シリーズまでが許容範囲内と言う気がします。バリバリボブな物語はあんまり再々読みたいとは思えないです。
「ああ。過去のすべてに蓋をして、未来だけ見て生きていけるんじゃないかと思ったこともある。だが、そうしようとしても、やはり俺の知らない自分自身の出生にまつわることや、父と母の関係、それに姉の死・・・・・・すべての過去が、あとからついてくる。迫ってくる影を感じながら死ぬまで逃げ続けるくらいなら、すべてを知ることへの恐怖に立ち向かう方がマシだ」
『尋牛奇談』 2004.4.5. 椹野道流 講談社X文庫
| 2004年10月18日(月) |
『カタコンベ』 神山裕右 |
東馬亮(とうまりょう)は、過去の失敗を胸に抱えケイブダイバーを続けていた。ケイブダイバーとは、洞窟での潜水を専門に行うダイバーのことであり、洞窟潜水は地球上でもっとも危険なダイビング。東馬は、恩人の娘を救うために洞窟に閉じ込められた調査隊を救いに単身行動するのだが・・・
第50回江戸川乱歩賞受賞作品。作者は24歳。史上最年少で受賞だそうです。物語は舞台が洞窟という閉ざされた空間。テンポがよくて面白かったです。まぁ、最後に大御所たちが辛口批評をのっけられているように、B級ハリウッド映画的っていうのは言いえて妙なのですが(苦笑)、どうなるんだろう?と思わせながら最後までひっぱっていくだけで立派だと思いました。・・・と言うか、賞を与える側がはじめっから映像を頭に選んでいる気がします。この作品の映像化を見てみたいし。
あのときのことは、今も弥生の胸に深い傷跡を残している。たとえそこに時間という名の瘡蓋が貼られたとしても、決して癒えるはずのない傷は、今もこの胸に確かに疼いているのだから。
『カタコンベ』 2004.8.6. 神山裕右 講談社
| 2004年10月16日(土) |
『PLUTO』 浦沢直樹 |
近未来。ロボットは人間と共に暮らしている。ヨーロッパのロボット刑事ゲジヒトは、スイスの人気者モンブラン(ロボット)破壊事件とランケというロボット擁護団体の殺人事件を追っていた。ゲジヒトは謎解明のために8年前に人を殺したロボットに会いに行く。そこで聞いた情報はローマ神話の冥王プルートウのことだったが・・・
すごいです。鳥肌が立つくらいに面白かった。鉄腕アトムの『地上最大のロボット』を下敷きにされていますが、このアトムのエピソードは<国を追われた権力者が、百万馬力のロボットプルートウを作らせ、世界の7大ロボットに挑戦させる>というもので、鉄腕アトムでも一番人気のエピソードとか。(アトムはテレビで放送されたものを小さい頃になんとなく見たくらいなので、このエピソードについては調べました) 浦沢直樹さんが挑むアトムはこうなる。1巻の最後にゲジヒトは日本へ赴き、少年アトムに出逢って終ります。ううう、こんな蛇の生殺し状態でいったいどれくらい2巻を待たなければならないのだろう。アトムが可愛いんですよう。はぁ(惚れ惚れ)v ‘今’は、ゲジヒトが主役ですが、これからいったいどうなることやら。浦沢直樹さんの今後の料理の仕方が楽しみでたまりません〜。1巻は、愛されたロボット破壊事件を追うゲジヒトが会いに行く殺人ロボットが強烈です・・・。
私が犯人を捜します。 ロボットだろうと、 人間だろうと。 そいつには・・・・・・ 悪魔がやどっています。
『PLUTO1』 2004.11.1. 浦沢直樹 小学館
| 2004年10月15日(金) |
『バラ色の怪物』 笹生陽子 |
中学2年生の遠藤は始業式で貧血を起こしてしまう。奇人で有名な吉川ミチルが屋上で派手なパフォーマンスをした直後の事だった。遠藤は母子家庭。母の自転車が紛失したので真夜中過ぎまで探したゆえの寝不足のためだった。遠藤は倒れた時に眼鏡を割ってしまい、母に迷惑をかけずに自分でなんとかしようとアルバイトをはじめるのだが・・・
ほんの中学2年生の少年が体験する闇の世界。小さいながらも悪は存在するし、遠藤はいろんなものを見て考えて学び取っているのだと思う。ただ珍しく読後感が重苦しい感じがして意外でした。もう少し吉川ミチルにフォーカスあわせて欲しかった気がすることも残念。
闇を嫌って光を求める人の心はもろくて弱い。醜いものや不愉快なものに恐れおののく人々は、自分自身の醜さや愚かさを知ることもない。吉川はそれを知ったのだ。あの遊歩道で、はっきりと。目をそむけたくなるものたちから目をそらしてはいけない、と。
『バラ色の怪物』 2004.7.20. 笹生陽子 講談社
| 2004年10月14日(木) |
『あなたの石』 関口尚 |
桜井修二は盛岡市の石の花という店でアルバイトをしている。鉱物を扱うマニアックな店。修二はこの店でさまざまな人と関わり、恋愛をし、失恋をし、成長していく。
爽やかな青春純愛(?)小説です。読んでいて心が痛い所もあるけれど、それを乗り越えた先に爽快感があります。桜井修二という男性のまっすぐさや不器用さが心に温かく沁みこんでくるようです。
石の美しさが、少しだけ理解できたように思えた。見た目だけではない美しさが、石にはあるのだ。それはまるで人間の心の美しさや、生き方の美しさに似ているように。
『あなたの石』 2004.8.10. 関口尚 集英社
| 2004年10月13日(水) |
映画『スタンド・バイ・ミー』 |
1959年、オレゴンの小さな町の夏。もうすぐ中学生になる12歳の4人の少年の冒険と友情を描いた最高傑作。行方不明になっている少年が、列車に轢かれ死んでいるという情報をもとに、少年の死体を捜しに遠出する。ほんの2日間の冒険は少年達の心に忘れえぬ想いを残し、少年達はおとなに近づいた・・・
リチャード・ドレイファスが少年時代を回想する・・・。リチャード・ドレイファスは似た様な映画に出演していますね(笑)。あちらは少し大人版(アメリカン・グラフティ)ですが、あれもいい映画です。 この『STAND BY ME』の原作はスティーブン・キング。恐怖の大王のようなキングですが、『STAND BY ME』のほかに『ショーシャンクの空に』も素晴らしい。優れた書き手はジャンルを問わないということでしょう。 少年のほろ苦い想い出ものには弱くて。特にこの映画でクリスを演じたリバー・フェニックスがオーバードラッグで死亡したことも衝撃でした。リバー・フェニックスが23才のハロウィン(10月31日)のことでした。惜しい俳優さんを亡くしたものですね・・・。 ベン・E・キングが歌う主題歌『スタンド・バイ・ミー』は心せつなくさせる。泣けてくる。この季節に観たくなる映画なのです・・・。
| 2004年10月12日(火) |
『イタリア幻想曲 貴賓室の怪人�供戞‘眦長�夫 |
豪華客船‘飛鳥’で世界一周クルーズに参加している浅見光彦は、奇妙な因縁(兄・陽一郎が絡む)から、イタリア・トスカーナ地方にあるカッシアーナ・アルタという田舎町に赴く。若狭優子という女性が嫁ぎ、経営しているヴィラ・オルシーニを舞台に事件が起こった・・・
私が内田康夫さんを読む訳は、内田康夫さんを小説界の久米宏と認識しているからです。要するに知らずにいたニュースをわかりやすく題材に取り入れてくれて、「えーっ、こんなことが!?」と興味を抱かせてくれる。そして自分なりに調べてみる、という図式。 ご存知ですか? 聖骸布のことを。キリストの骸を巻いていたと言われる布。その布にキリストの姿が浮かび上がっていると言われるもの。これと言った宗教を持たない自分が圧倒されるほどのシロモノであります。このことを少し調べたことが今回の収獲でありました。 またヨーロッパは無尽蔵とも言える大理石による石の文化。対照的に日本は森林資源による木の文化。これが精神風土にも影響を及ばしたのではないかというくだりには大きく頷けます。パッと咲いてパッと散る潔い桜を愛する日本人の心はここからきているのかもしれませんね・・・。などとあれこれ考えさせられる内田康夫作品なのでありました。
信仰心のある者とない者とのあいだには、絶対的に相容れない距離があるらしい。
『イタリア幻想曲 貴賓室の怪人�供戞�2004.3.30. 内田康夫 角川書店
| 2004年10月11日(月) |
映画『メイド・イン・マンハッタン』 |
マンハッタンの五つ星ホテルで客室係りとして働くマリサ。お茶目な仲間にそそのかされ、お客様のドルチェ&ガッバーナの純白のスーツを着てしまう。その姿で時期大統領候補のクリスと出逢ってしまう。マリサのあまりの美しさと物怖じしない意見を言う姿に夢中になるクリス。しかし、マリサは本当の姿を知ったときクリスは・・・
『プリティ・ウーマン』の現代版ですね。ジャニファー・ロペス大好きっ。どうしようもない美形ではないところが特に好き(笑)v 階級というのはやはりどうしても存在していて、出逢うはずの無いふたりが出逢った時に恋の奇蹟が起こる。あまあまなラブストーリィは好きじゃないけれど、こういうサクセス・ストーリーみたいなラブストーリィは観ていて気分爽快。人恋しい秋にオススメです。
| 2004年10月10日(日) |
映画『フレディ vs ジェイソン』 |
エルム街の悪夢・・・殺人鬼フレディは、おとなたちの努力(隠匿)によって記憶から消えつつあった。悪夢を拠点に暗躍するフレディはこのままでは復活できない。地獄で悩みながら(笑)、フレディは気がついた。ジェイソンの悪夢に紛れ込み、こいつを操り、エルム街へ送り込むのだ。そうすればあそこの住人オレサマのことを思い出すはず。そして悪夢が繰り返し、フレディは好きなだけ人々に恐怖を与え続ける事ができるはず。しかし、ジェイソンがフレディの手を離れ、勝手に殺戮をはじめてしまった。慌てたフレディはジェイソンと対決する事になるのだが・・・。
わっはっは。おおいに笑かせていただきました。ふたり(?)のホラーキングに拍手。拍手。私は『エルム街の悪夢』シリーズが大好きでした。ホラーなのにコミカルだったりしたので。色合いも独特で楽しめた。かたや『13日の金曜日』シリーズは、おそらく一番はじめのものしか観ていません。闇雲に嬲り殺すタイプは好みではないのですじゃ。 世界を震撼させた2大殺人鬼の殺しい。勝つのはどっちだ?(笑) ただ、フレディとジョンソンのバトルは意外に生々しくて妙だった。不死身なのなら、あんなに傷つくものかいなぁ。でもおおいに楽しめましたv
| 2004年10月09日(土) |
『モザイク』 田口ランディ |
ミミは、移送屋。心のトラブルで引きこもっている人間を説得し、病院へ移送するという仕事。14歳の正也はいろんな情報を受信し過ぎるため混乱し、引きこもっていた。正也と知り合い、関わり、移送中に逃亡されてしまうミミ。「渋谷の底が抜ける」・・・人には聞こえない声を聴く正也が残した言葉だった。
盗作問題は詳しく知らないので、それは置いておくとして。こういう田口ランディの危ない話はいやになるくらい好き。こう言うと電波系と思われてしまうのかしら。決して猟奇的な犯罪を容認するわけではないけれど、壊れた心の持ち主の表現が妙にフィットする。ミミのようにアースとなる存在は現実にもいそうな気がするし。好き嫌いはバッツリ分かれるに違いないでしょうけど、それは仕方ない。内容が内容だもの。ヘンな世界だ。あいかわらず。
「救い? そんなもんはどこにもない。誰かが与えてやれる救いなど、どこにもない」
『モザイク』 2001.4.30. 田口ランディ 幻冬舎
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