酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2004年12月17日(金) 『学園祭の悪魔』 浦賀和宏

 ‘私’は穂波留美と同級生。秋の学園祭に現れた穂波の兄たちに興味を示す。なかでも陰気そうな安藤直樹がなぜだか気にかかり・・・もしかしたら好きになってしまったのかも。どうして穂波留美なんて暗い女に彼氏がいて‘私’にはいないのか、嫉妬の先に‘私’が遭遇した事件とは・・・

 いやーっ。だめーっ。逃げてぇぇぇっ。誰に対して叫んでいるかは読んで想像してください。ううう、ここまでやるか、安藤直樹。笑わない名探偵・安藤直樹は異端すぎる。私は好きだけど。
 登場する人物の中で二人の人間が自分のために手段を選びません。それがまた酷い手段なので・・・。巻き込まれた不幸だけではすまない残虐さでありました。

『自分でお金を払ってないくせに、偉そうに作品の批判なんかしないでよ。食い逃げして、あそこのラーメン不味かったって言うのと同じだよ』

『学園祭の悪魔』 2002.2.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス 



2004年12月16日(木) 『記号を喰う魔女』 浦賀和宏

 安藤裕子(中学生)の同級生・織田が「安藤さん、さようなら」と声をかけて飛び降り自殺をした。左小指が欠損していた織田は学校一美しく優秀な少年だったのに。織田に恋していた坂本は安藤を恨む。そして織田の遺言で織田の自殺の瞬間に居合わせた天文部の少年・少女たちは、住人が10人も満たない角島へ招待されるが、そこは・・・

 ぎゃー。これはいかがしたことかぁぁぁ。うー、安藤直樹シリーズは元から問題作ではあったけれど、ここまで書くか?>浦賀和宏 これって私のようなマニアには‘たまらない’物語の運びだけど、引く人はものすごく引いて二度と浦賀作品を読めないかも(苦笑)。
 あの安藤裕子が中学生で既にここまでの魔物であったのかと、背筋が冷たくなる。ゾクゾクゾク。あまり核が見えなかった安藤裕子が私の中でハッキリしたイメージとなりました。いや、強烈過ぎ。ただ今まで語られた安藤裕子の状況から、安藤裕子がこうなってしまったとは考えづらく。生れ落ちたときから魔性だったのだろうか? 母親のことくらいで安藤裕子がめげるとも思えないんだけどなー。

「強い肉食獣は美しいよ。美しくない生物は淘汰される、それが自然の原則。にも拘わらず、本来死ぬべき弱い人間が、文明の近代化の結果で、どんどん生き残ってしまう。弱いことは醜いことなの。醜いことは罪なのよ。醜い女と醜い男がまぐわって醜い子供を産む。この国はいらない人間が多すぎるの。戦争に負けて、白人に侵されて、野蛮さを忘れた日本人は醜いよ。そしてそれを自ら打破しようとしない。システムの奴隷と化している。醜い人間に生きる資格なんて、ないのよ」

『記号を喰う魔女』 2000.5.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス



2004年12月15日(水) 『とらわれびと』 浦賀和宏

 安藤直樹の友人・飯島鉄雄の父親が殺された。ナイフで一突き。黒のレザーパンツに革ジャン、セミロングの女と一緒にいるところを目撃されている。安藤と喧嘩別れしていた金田忠志は、金田妙子という謎の存在に悩まされていた。その女は妹で、飯島の父が殺されたときに一緒にいたと言う・・・? 安藤直樹の恋人(?)穂波留美は友人の森山亜紀子の弟が殺され、腹の中を掻き出されていた事件を追いかけはじめるが、そこには・・・

 今回のテーマには‘性同一障害’。女になりたかった戸籍上・男たちが殺され、腹から中味を描き出される。まるでその中の胎児を探し出すかのように? 
 今回、安藤君の幼馴染の金田くんがパカパカ音を立てて壊れていきます。あぁ、金田くん、そのまま行っちゃうと帰ってこれないよ?と声をかけながら読み進めました。事件のつながりや動機がひと筋縄ではいかないところも安藤直樹シリーズならでは。このシリーズはどんどん残酷になっていっている気がする。どこまで行くのか。浦賀和宏。

「ふふふふふッ。可笑しいね。みんなみんなそんなセックスやらジェンダーやらに翻弄されて。人間を男だとか女だとか、単純な二分法に集約させないと気が済まないんだから」

『とらわれびと』 1999.10.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス 



2004年12月14日(火) 『頭蓋骨の楽園』 浦賀和宏

 大学で笑わない男・安藤直樹に興味を抱いた穂波英雄は美しい管野香織さんが好き。しかし菅野さんは安藤を気にしている? 大学祭の日にミスコンで菅野さん優勝。安藤の友人・飯島や自分の友人雨宮・妹の留美といるところへ菅野さんの婚約者がやってきた。失恋。そして菅野さんが首を切られ、首なし殺人事件が続発し・・・

 「これはきっと俺の事件だ」・・・安藤直樹は穂波にそう告げる。大好きだった菅野さんが殺され、彼女のおぞましい過去を知っていくたびに穂波もまた壊れていく。留美は安藤直樹に恋したばかりに、やはり・・・。
 どうして首を切られなければならなかったか? その動機の哀しさに浦賀和宏さんの才能を見ます。そういう想像力ってどんなだろう。すごかった。これ。安藤直樹シリーズは登場人物と相関図をメモりながら、読むことをオススメします。安藤直樹の言う通り、「全てはつながっているから」

「ネット上だけで優れた表現者になれるとはまず考えられない。ネットは社会の投影です。社会の中で、あるレベル以上の表現者になれない人間は、ネット上でもそのレベル以上の表現者にはなれないんです。そのことを理解しているのならば、個人がホームページを持つのは構わないでしょう」

『頭蓋骨の楽園』 1999.4.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス



2004年12月13日(月) 『時の鳥籠』 浦賀和宏

 DOA = Dead On Arrival(来院心肺停止)で病院へ担ぎ込まれた女は、目覚めたとき記憶を失っていた(?)。付き添ってきたクールな美少女・安藤裕子は、その女性に執着する。なぜなら、出会ったことのないその人は安藤裕子のことを知っていたから・・・

 前作の『記憶の果て』で安藤直樹が巡り合った少女の物語。ハンサムなドクターの甲斐と甲斐の友人のミヤノシンイチが不気味な彩りを添えている(苦笑)。
 いやはや、あの少女がこんなメビウスの輪に捕りこめられてしまうなんて。まさかこういう展開とは予測つかなかった。無間地獄の苦しみだわ。
 安藤直樹の物語は本当に「繋がっている」んだなぁと痛感。そしてまた次もすごいんだな、これが。

「何方を選択しようと、その結果の善し悪しは人生をもう一回やり直さない限り分からないから」

『時の鳥籠』 1998.9.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス 



2004年12月12日(日) 『記憶の果て』 浦賀和宏

 親父が死んだ。自殺だった。あと一ヶ月で大学生になろういう安藤直樹はいきなりアイデンティティの崩壊に見舞われることとなる。パソコンの中に親父が残した安藤裕子。彼女の正体に気づいたとき、安藤直樹は笑わない男になってしまったのかもしれない・・・

 うー、すごいんですよ。浦賀和宏さんの安藤直樹‘笑わない探偵’シリーズ。4作めを読んだところでスタートに戻りノートに登場人物を書き出し、頭を整理しているところ。そう、このシリーズは最初から読まないと駄目なんです! 伏線につぐ伏線で、登場人物の役どころと関係性をしっかり頭に叩き込んでおかなければ面白さを堪能できなから。(ちなみに酔狂写真にメモっぷりをUPしてますv)
 18歳の安藤直樹が直面した現実の過酷さは、彼を“笑わない男”としてしまう。その一番根っこの物語が(安藤直樹における)詰まった一冊。パソコンの中の安藤裕子との会話や、パソコンの中の安藤裕子には今ひとつ気持ちが入らなかったけれど、それ以外はかなり面白かった。この物語で語られた少女の物語が次の作品となるのでありました。それがまたすごいのよ。

 名探偵はー事件の関係者が抱えている悩みや苦悩など考える必要はないのだ。名探偵とは謎を解いて事件を解決する為にしか機能しない存在だ。他人の心の中を土足で踏み躙ってもー名探偵は事件を解決すればそれでいいのだ。それでこそ名探偵なんだ。

『記憶の果て』 1998.2.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス



2004年12月09日(木) 『DEATH NOTE』� 銑ぁ‖臂譴弔阿漾文矯遏法楙�畑健(漫画)

 死神界で退屈に腐っていたリュークは下界(人間界)へ‘デスノート’をわざと落とす。そのノートに名前を書かれた人間は死ぬ。それを手に入れたのは成績優秀&眉目秀麗(イケメン)高校生・夜神月(やがみ らいと)だった。月はデスノートによって新しい世界の神になろうとする。そしてキラと呼ばれる存在になる。正義の名の元に殺人を繰り広げる月の前に現れたのは、世界で謎の名探偵と言われる“L”。頭脳と頭脳の対決がはじまった・・・

 いやはや、やられましたな。只今絶賛攻略中の作家・浦賀さんが作品の中で手軽な漫画には敵わないことを嘆いていますが、これを読めば確かになぁ・・・。
 大好きな作家さんの西澤保彦さんが面白いと言われていたので、気分転換で買ってみました。絵もかなり好みだったし。しかし、内容までもが無茶苦茶好みで驚いてしまった。私の勝手な感想を言えば、月は蔵馬、Lは飛影、リュークは桑原なんですね(笑)。おーい、幽介どこ行ったぁ〜(苦笑)。さっきさまざまなファンサイトをのぞいたところ一番人気はL。やはり飛影だ。でも遊幽白書でも実は一番のお気に入りは桑原だったように、死神リュークが大好きデス。お茶目だしv
 月とLの頭脳合戦は漫画で読むとわかりやすくて面白い。これは今年ダントツ人気の漫画だったはずだよなぁと納得。ジャンプ買おうかなぁ〜。




2004年12月08日(水) 『こわれもの』 浦賀和宏

 陣内は売れっ子漫画家。仕事は絶好調で婚約者の里美とはラブラブ。幸福の絶頂にいた陣内だったが、ある朝、自分が買ってプレゼントした車で里美が交通事故死してしまう。ショックから立ち直れない陣内は、絶大な人気を誇るヒロインを作中で唐突に殺してしまう。そして周りからの抗議の嵐。その中に里美の事故死を予言するような手紙が紛れ込んでいた・・・

 うーむ。浦賀和宏さんってのは、一筋縄では終らせないとこが憎い。ころりんころりんころころりんっと物語が二転三転し、こう終るだろうという予測をもうひとつ裏切ってくれる。いやー、好きですわ。詐欺のような浦賀和宏節が(笑)

 未来は決まっていない。明日は自由だ。たとえ、予めストーリーが組まれていたって、そんなものは、こわして、また新しく作りあげればいい。まだ存在していない未来の粗筋なんて、こわれもののガラス細工のように、もろいもののはずだから。

『こわれもの』 2002.4.30. 浦賀和宏 徳間書店



2004年12月07日(火) 『眠りの牢獄』 浦賀和宏

 浦賀は作家。愛する亜矢子と結ばれた翌朝、階段から落ちて(?)しまう。一緒に落ちてしまった亜矢子は昏睡状態。その日は仲間の吉野と北澤も泊まっていた。
 5年後、浦賀は吉野と北澤とともに亜矢子の兄に呼び寄せられ、核シェルターに監禁されてしまう。あの日、亜矢子を突き落としたのは3人のうちの誰なのか? そして3人のうちのひとりが死んでしまい・・・

 物語の中で同時進行する交換殺人のメールのやりとりも最後にはひとつの物語として集結する。いやー、ずるいなぁ(大笑)。でも浦賀和宏さんのこのテイストは個人的にはかなり好み。薄いし、さらりとオススメ・・・かな。ダークOKな方には是非是非。

「浦賀ー。お前も喰え」

『眠りの牢獄』 2001.5.5. 浦賀和宏 講談社ノベルス 



2004年12月06日(月) 『アイムソーリー、ママ』 桐野夏生

 星の子学園の保育士だった美佐江は、お気に入りの稔が18になり卒園したのを機に同棲に誘い込む。美佐江は44歳だった。そして今、稔は42、美佐江は67になっていた。ふたりで焼肉を食べに行き、かつて星の子学園にいた女に出会う。松島アイ子。娼婦の置屋で育った奇妙な少女だった。アイ子に再会したばっかりにふたりは・・・

 松島アイ子という女と彼女に巻き込まれる人間達の物語。生まれ育った環境のせいか、生まれ持った性質なのか、アイ子はとんでもない思考回路の持ち主。その場しのぎで生き、罪の意識を持たない。アイ子なりの生きる智恵だったのかもしれない。ただ否応なく巻き込まれる人間たちは運が悪かったとしか言いようがないのだろうか。アイ子の極悪非道さが不気味に小気味いいほどだったけど、運が尽きたとき、面白さ半減。悪ならとことん悪を! 桐野さんにしては甘い終り方でした。桐野さんならばもっと残虐に終れたはずなのに・・・残念!

 「畜生!」。アイ子は吼え、紙を投げ捨てた。裏切り者は近くにいたのだ。

『アイムソーリー、ママ』 2004.11.30. 桐野夏生 集英社



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